鉱山保安法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第175号
公布年月日: 昭和33年12月12日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

鉱山保安法は戦時中及び戦後の鉱山災害の頻発を受け、昭和24年に制定された。法施行後9年で保安状況は改善され災害は減少したが、昨年秋以降、坑内出水災害等の重大災害が頻発し多数の被災者が出た。そこで政府は中小炭鉱を重点とした巡回監督の強化と法規の厳正な運用等を実施してきた。今回の改正は、鉱山災害防止に重点を置き、保安を害する恐れのある侵掘行為及び被災者救出について必要な措置を講じられるようにするとともに、最近の社会情勢を踏まえ鉱害防止についての規定を整備することを目的とするものである。

参照した発言:
第30回国会 衆議院 商工委員会 第1号

審議経過

第30回国会

衆議院
(昭和33年10月1日)
参議院
(昭和33年10月17日)
衆議院
(昭和33年10月21日)
(昭和33年10月22日)
(昭和33年10月23日)
(昭和33年10月23日)
参議院
(昭和33年10月29日)
(昭和33年10月30日)
(昭和33年10月31日)
(昭和33年11月4日)
(昭和33年11月24日)
衆議院
(昭和33年12月7日)
鉱山保安法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年十二月十二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七十五号
鉱山保安法の一部を改正する法律
鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第一条中「防止し」を「防止するとともに鉱害を防止し」に改める。
第九条の次に次の一条を加える。
(集積場等)
第九条の二 鉱業権者は、この法律又はこの法律に基く省令により措置を講じなければならないものとされる捨石又は鉱さいの集積したもの、坑道その他の省令で定める物件(以下「集積場等」という。)については、これを譲渡し又は放棄した後であつても、その措置を講じなければならない。
2 鉱業権の移転があつたときは、鉱業権者の承継人は、当該鉱業権者の集積場等に係る義務を承継する。
3 租鉱権の消滅があつたときは、採掘権者は、当該租鉱権者の集積場等に係る義務を承継する。
第二十五条の次に次の二条を加える。
第二十五条の二 鉱山保安監督部長は、鉱業権者が鉱区外又は租鉱区外に侵掘したことにより保安(侵掘した場所における鉱物の掘採に関する人に対する危害の防止、鉱物資源の保護、施設の保全及び鉱害の防止を含む。以下本条及び第三十六条第二項において同じ。)を害し、又はそのおそれがあると認めるときは、鉱業権者に対し、侵掘した場所の閉鎖その他保安のため必要な事項を命ずることができる。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による命令をしようとするときに準用する。
第二十五条の三 鉱山保安監督部長は、鉱山(侵掘した場所を含む。)における被災者を救出するため必要があると認めるときは、鉱業権者に対し、必要な措置を講ずることを命ずることができる。
第二十七条第一項本文中「第二十五条第一項」の下に「、第二十五条の二第一項」を加え、同項ただし書中「第二十五条第一項」の下に「又は第二十五条の二第一項」を加える。
第三十六条第二項中「前項」を「前三項」に改め、「第二十五条第一項」の下に「、第二十五条の二第一項又は第二十五条の三」を加え、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 鉱業権者が鉱区外又は租鉱区外に侵掘したことにより保安に関し急迫の危険があるときは、鉱務監督官は、第二十五条の二第一項に規定する鉱山保安監督部長の権限を行うことができる。
3 被災者を救出するため緊急の必要があるときは、鉱務監督官は、第二十五条の三に規定する鉱山保安監督部長の権限を行うことができる。
第四十四条ただし書を削る。
第五十一条中「第四十二条第二項」を「第四十一条、第四十二条第二項」に改める。
第五十五条第二号中「第二十五条第一項」の下に「、第二十五条の二第一項、第二十五条の三」を加える。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に中央協議会又は地方協議会の委員となつている者は、改正後の第五十一条の規定の適用については、この法律の施行の日に選任されたものとみなす。
通商産業大臣 高碕達之助
内閣総理大臣 岸信介