労働省設置法
法令番号: 法律第97号
公布年月日: 昭和22年8月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

戦後の日本経済の復興と生産性向上のためには、労働者の能力を最大限に発揮させる必要があり、そのためには労働者の福祉と職業の確保を図る強力な労働政策の実施が不可欠である。労働組合法や労働基準法等が制定され労働運動は活発化しているが、経済復興への労働者の協力促進や労働関係の調整、生活権保障、失業対策など多くの課題が山積している。これらの重要課題を積極的に解決するため、独立した労働省を設置し、労働行政を一元的に所掌することとした。

参照した発言:
第1回国会 衆議院 労働委員会決算委員会連合審査会 第1号

審議経過

第1回国会

衆議院
参議院
(昭和22年7月29日)
衆議院
(昭和22年8月1日)
(昭和22年8月2日)
(昭和22年8月5日)
参議院
(昭和22年8月6日)
衆議院
(昭和22年8月7日)
(昭和22年8月7日)
参議院
(昭和22年8月18日)
(昭和22年8月21日)
(昭和22年8月26日)
衆議院
(昭和22年8月28日)
労働省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年八月三十一日
内閣総理大臣 片山哲
法律第九十七号
労働省設置法
第一條 政府は、労働者の福祉と職業の確保とを図り以て経済の興隆と國民生活の安定とに寄與するために、労働省を設置する。
第二條 労働大臣は、労働組合、労働関係の調整、労働に関する啓蒙宣傳、労働條件、労働者災害補償保險及び労働者保護に関する事務、職業の紹介、指導、補導その他労務需給の調整に関する事務、失業対策に関する事務、失業保險に関する事務、労働統計調査に関する事務その他労働に関する事務を管理する。
第三條 労働省に大臣官房及び左の五局を置く。
労政局
労働基準局
婦人少年局
職業安定局
労働統計調査局
第四條 大臣官房においては、左の事務を掌る。
一 機密に関する事項
二 官吏の進退身分に関する事項但し、大臣が他の部局の專管に属せしめたものを除く
三 大臣の官印及び省印の管守に関する事項
四 所管行政に関する調査、企画及び考査一般並びに綜合調査に関する事項
五 公文書類の接受、発送、編纂及び保存に関する事項
六 経費及び收入の予算、決算、会計及び会計の監査に関する事項
七 官有財産及び物品に関する事項
第五條 労政局においては、左の事務を掌る。
一 労働組合法の施行に関する事項但し、労働委員会が法律に基いてその職務に属せしめられた事項を行うことを妨げるものではない。
二 労働関係調整法の施行に関する事項但し、労働委員会が法律に基いてその職務に属せしめられた事項を行うことを妨げるものではない。
三 労働に関する啓蒙宣傳に関する事項
四 その他労働に関する事項で他の所管に属しないもの
第六條 労働基準局においては、左の事務を掌る。
一 賃金、労働時間及び休息に関する事項
二 産業安全に関する事項
三 労働衞生に関する事項
四 労働者災害補償及び労働者災害補償保險に関する事項
五 労働能率の増進に関する事項
六 労働者の福利厚生に関する事項
七 工場、鉱山その他の場所における労働條件及び労働者の保護に関する監督に関する事項
八 その他労働基準法の施行に関する事項その他労働條件及び労働者の保護に関する事項で他の所管に属しないもの
第七條 婦人少年局においては、左の事務を掌る。
一 婦人及び年少労働者に特殊の労働條件及び保護に関する事項
二 兒童の使用禁止に関する事項
三 家族労働問題及び家事使用人に関する事項
四 その他婦人及び年少労働者に特殊の労働問題に関する事項
五 労働者の家族問題に関する事項但し、法律に基いて他省の所管に属せしめられたものを除く。
六 婦人の地位の向上その他婦人問題の調査及び連絡調整に関する事項但し、婦人問題の連絡調整については、他省が法律に基いて、その所管に属せしめられた事務を行うことを妨げるものではない。
第八條 職業安定局においては、左の事務を掌る。
一 職業の紹介、指導及び補導その他労務需給の調整に関する事項
二 失業対策に関する事項
三 失業保險及び失業手当に関する事項
四 その他職業に関する事項
第九條 労働統計調査局においては、左の事項に関する事務を掌る。
一 労働組合、労働爭議その他労働問題に関する定期統計及び刊行
二 労働條件に関する定期統計及び刊行
三 賃金、給料その他給與に関する定期統計及び刊行
四 労働者生計費に関する定期統計及び刊行
五 職業に関する定期統計及び刊行
六 内外労働事情に関する資料の蒐集整理分析及び刊行
七 労働者の生活、給與及び雇用に関する経済問題に関する調査及び刊行
第十條 労働省に産業安全研究所を置き、工場事業場における災害予防の調査研究及び工場事業場における災害予防に関する技術者の養成訓練を掌らしめる。
第十一條 労働省の部局、機関及び職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
第四條乃至第九條の規定にかかわらず、必要があるときは、政令の定めるところにより、省内において部局の所掌事務の一部を変更することができる。
第十二條 船員の労働に関する行政の重要事項について、労働省の所管行政との連絡統一を図るため、労働省に、労働省部内及び運輸省部内の関係官を以て組織する船員労働連絡会議を置く。
船員労働連絡会議について必要な事項は、労働大臣が運輸大臣と協議して、これを定める。
附 則
第十三條 この法律の施行期日は、その成立の日から三十日を超えない期間内において、政令で、これを定める。
第十四條 厚生省官制の一部を次のように改正する。
第一條中「、勤労」を削り、「社会保險」の下に「(労働省ノ所管ニ属スル事項ヲ除ク)」を加える。
第三條中「九局」を「六局」に改め、
労政局
労働基準局
職業安定局
を削る。
第七條 削除
第七條ノ二及び第七條ノ三を削る。
第八條第一号中「、國民健康保險及労働者災害扶助責任保險」を「及國民健康保險」に改める。
第二十三條 削除
第十五條 労働基準法の一部を次のように改正する。
第百條の二 労働省の婦人少年局長は、労働大臣の指揮監督を受けて、この法律中女子及び年少者に特殊の規定の制定、改廃及び解釈に関する事項を掌り、その施行に関する事項については、労働基準局長及びその下級の官廳の長に勧告を行うとともに、労働基準局長が、その下級の官廳に対して行う指揮監督について援助を與える。
婦人少年局長は、自ら又はその指定する所属官吏をして、女子及び年少者に関し労働基準局若しくはその下級の官廳又はその所属官吏の行つた監督その他に関する文書を閲覽し、又は閲覽せしめることができる。
第百一條第一項及び第四項並びに第百五條の規定は、婦人少年局長又はその指定する所属官吏が、この法律中女子及び年少者に特殊の規定の施行に関して行う調査の場合に、これを準用する。
第百二十條第一号中「第百五條乃至第百九條」を「第百五條(第百條の二第三項において準用する場合を含む。)乃至第百九條」に改め、同條第四号中「第百一條」を「第百一條(第百條の二第三項において準用する場合を含む。)」に、「労働基準監督官」を「労働基準監督官又は婦人少年局長若しくはその指定する所属官吏」に改める。
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲
労働省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年八月三十一日
内閣総理大臣 片山哲
法律第九十七号
労働省設置法
第一条 政府は、労働者の福祉と職業の確保とを図り以て経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するために、労働省を設置する。
第二条 労働大臣は、労働組合、労働関係の調整、労働に関する啓蒙宣伝、労働条件、労働者災害補償保険及び労働者保護に関する事務、職業の紹介、指導、補導その他労務需給の調整に関する事務、失業対策に関する事務、失業保険に関する事務、労働統計調査に関する事務その他労働に関する事務を管理する。
第三条 労働省に大臣官房及び左の五局を置く。
労政局
労働基準局
婦人少年局
職業安定局
労働統計調査局
第四条 大臣官房においては、左の事務を掌る。
一 機密に関する事項
二 官吏の進退身分に関する事項但し、大臣が他の部局の専管に属せしめたものを除く
三 大臣の官印及び省印の管守に関する事項
四 所管行政に関する調査、企画及び考査一般並びに綜合調査に関する事項
五 公文書類の接受、発送、編纂及び保存に関する事項
六 経費及び収入の予算、決算、会計及び会計の監査に関する事項
七 官有財産及び物品に関する事項
第五条 労政局においては、左の事務を掌る。
一 労働組合法の施行に関する事項但し、労働委員会が法律に基いてその職務に属せしめられた事項を行うことを妨げるものではない。
二 労働関係調整法の施行に関する事項但し、労働委員会が法律に基いてその職務に属せしめられた事項を行うことを妨げるものではない。
三 労働に関する啓蒙宣伝に関する事項
四 その他労働に関する事項で他の所管に属しないもの
第六条 労働基準局においては、左の事務を掌る。
一 賃金、労働時間及び休息に関する事項
二 産業安全に関する事項
三 労働衛生に関する事項
四 労働者災害補償及び労働者災害補償保険に関する事項
五 労働能率の増進に関する事項
六 労働者の福利厚生に関する事項
七 工場、鉱山その他の場所における労働条件及び労働者の保護に関する監督に関する事項
八 その他労働基準法の施行に関する事項その他労働条件及び労働者の保護に関する事項で他の所管に属しないもの
第七条 婦人少年局においては、左の事務を掌る。
一 婦人及び年少労働者に特殊の労働条件及び保護に関する事項
二 児童の使用禁止に関する事項
三 家族労働問題及び家事使用人に関する事項
四 その他婦人及び年少労働者に特殊の労働問題に関する事項
五 労働者の家族問題に関する事項但し、法律に基いて他省の所管に属せしめられたものを除く。
六 婦人の地位の向上その他婦人問題の調査及び連絡調整に関する事項但し、婦人問題の連絡調整については、他省が法律に基いて、その所管に属せしめられた事務を行うことを妨げるものではない。
第八条 職業安定局においては、左の事務を掌る。
一 職業の紹介、指導及び補導その他労務需給の調整に関する事項
二 失業対策に関する事項
三 失業保険及び失業手当に関する事項
四 その他職業に関する事項
第九条 労働統計調査局においては、左の事項に関する事務を掌る。
一 労働組合、労働争議その他労働問題に関する定期統計及び刊行
二 労働条件に関する定期統計及び刊行
三 賃金、給料その他給与に関する定期統計及び刊行
四 労働者生計費に関する定期統計及び刊行
五 職業に関する定期統計及び刊行
六 内外労働事情に関する資料の蒐集整理分析及び刊行
七 労働者の生活、給与及び雇用に関する経済問題に関する調査及び刊行
第十条 労働省に産業安全研究所を置き、工場事業場における災害予防の調査研究及び工場事業場における災害予防に関する技術者の養成訓練を掌らしめる。
第十一条 労働省の部局、機関及び職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
第四条乃至第九条の規定にかかわらず、必要があるときは、政令の定めるところにより、省内において部局の所掌事務の一部を変更することができる。
第十二条 船員の労働に関する行政の重要事項について、労働省の所管行政との連絡統一を図るため、労働省に、労働省部内及び運輸省部内の関係官を以て組織する船員労働連絡会議を置く。
船員労働連絡会議について必要な事項は、労働大臣が運輸大臣と協議して、これを定める。
附 則
第十三条 この法律の施行期日は、その成立の日から三十日を超えない期間内において、政令で、これを定める。
第十四条 厚生省官制の一部を次のように改正する。
第一条中「、勤労」を削り、「社会保険」の下に「(労働省ノ所管ニ属スル事項ヲ除ク)」を加える。
第三条中「九局」を「六局」に改め、
労政局
労働基準局
職業安定局
を削る。
第七条 削除
第七条ノ二及び第七条ノ三を削る。
第八条第一号中「、国民健康保険及労働者災害扶助責任保険」を「及国民健康保険」に改める。
第二十三条 削除
第十五条 労働基準法の一部を次のように改正する。
第百条の二 労働省の婦人少年局長は、労働大臣の指揮監督を受けて、この法律中女子及び年少者に特殊の規定の制定、改廃及び解釈に関する事項を掌り、その施行に関する事項については、労働基準局長及びその下級の官庁の長に勧告を行うとともに、労働基準局長が、その下級の官庁に対して行う指揮監督について援助を与える。
婦人少年局長は、自ら又はその指定する所属官吏をして、女子及び年少者に関し労働基準局若しくはその下級の官庁又はその所属官吏の行つた監督その他に関する文書を閲覧し、又は閲覧せしめることができる。
第百一条第一項及び第四項並びに第百五条の規定は、婦人少年局長又はその指定する所属官吏が、この法律中女子及び年少者に特殊の規定の施行に関して行う調査の場合に、これを準用する。
第百二十条第一号中「第百五条乃至第百九条」を「第百五条(第百条の二第三項において準用する場合を含む。)乃至第百九条」に改め、同条第四号中「第百一条」を「第百一条(第百条の二第三項において準用する場合を含む。)」に、「労働基準監督官」を「労働基準監督官又は婦人少年局長若しくはその指定する所属官吏」に改める。
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲