競馬法
法令番号: 法律第百五十八号
公布年月日: 昭和23年7月13日
法令の形式: 法律
競馬法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十三日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十八号
競馬法
第一章 総則
第一條 政府、都道府縣又は著しく災害を受けた市で内閣総理大臣が指定するもの(指定市という。以下同じ。)は、この法律により、競馬を行うことができる。
2 政府が行う競馬は、國営競馬といい、都道府縣又は指定市が行う競馬は、地方競馬という。
3 政府、都道府縣又は指定市以外の者は、勝馬投票券その他これに類似するものを発賣して、競馬を行つてはならない。
第二章 國営競馬
(競馬場)
第二條 國営競馬の競馬場は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、京都、阪神、小倉及び宮崎の十一箇所とする。
(競馬の開催)
第三條 國営競馬の開催は、競馬場ごとに、年二回以内とする。但し、天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年二回開催することができないときは、その隣接競馬場において、年三回開催することができる。
2 阪神競馬場及び宮崎競馬場において競馬の開催ができるまでの間、京都競馬場及び小倉競馬場においては、第一項の規定にかかわらず、年四回國営競馬を開催することができる。
3 前二項の競馬の開催日數は、一回につき、八日以内とする。
(入場料)
第四條 政府は、競馬を開催するときには、入場者から、三十円以上百円以下の範囲内で、地方税法(昭和二十三年法律第百十号)の規定による入場税及び入場税附加税を含めた入場料を徴收する。但し、農林大臣は、一回につき二千人以内の限度において無料入場を許可することができる。
2 政府は、前項の規定により徴收した入場税及び入場税附加税は、これを当該地方公共團体に交付しなければならない。
3 地方税法が制定施行せられるまでの間、第一項中「地方税法(昭和二十三年法律第百十号)」とあるのは「入場税法(昭和十五年法律第四十四号)」と、「入場税及び入場税附加税」とあるのは「入場税」と読み替え、第二項の規定は、これを適用しない。
(勝馬投票券)
第五條 政府は、券面金額十円又は二十円の勝馬投票券を券面金額で発賣することができる。
2 政府は、前項の勝馬投票券十枚分又は百枚分を一枚をもつて代表する勝馬投票券を発賣することができる。
(勝馬投票法)
第六條 勝馬投票法は、單勝式、複勝式及び連勝式の三種とする。
第七條 單勝式勝馬投票法においては、第一着となつた馬を勝馬とする。
2 複勝式勝馬投票法においては、勝馬投票券発賣開始の時に、出走すべき馬が四頭以下であるときは第一着となつた馬を、五頭以上七頭以下であるときは第一着及び第二着となつた馬を、八頭以上であるときは第一着、第二着及び第三着となつた馬を勝馬とする。
3 連勝式勝馬投票法においては、第一着及び第二着となつた馬をその順位に從い一組としたものを勝馬とする。
4 連勝式勝馬投票法において、出走すべき馬が七頭以上あるときは、附録第一の例により連勝式番号をつけることができる。
5 前項の規定による連勝式番号は、連勝式勝馬投票法については、その馬の番号とみなす。
(拂戻金)
第八條 政府は、勝馬投票の的中者に対し、当該競走に対する勝馬投票券の賣得金(勝馬投票券の発賣金額から第十二條の規定により返還すべき金額を控除したもの。以下同じ。)の額を各勝馬投票法に区分した金額について、附録第二に定める第一号算式によつて算出した金額から附録第二に定める第二号算式によつて算出した金額を控除した残額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券に按分した金額を拂戻金として交付する。
2 前項の規定により算出した金額が、勝馬投票券の券面金額に満たないときは、その券面金額を拂戻金の額とする。
第九條 勝馬投票の的中者がない場合における賣得金は、その金額からその金額の百分の二十五及び附録第二に定める第二号算式によつて算出した金額を控除した残額を、出走した馬であつて勝馬以外のものに対し投票した者に対し、各勝馬投票券に按分した金額を拂戻金として交付する。
第十條 拂戻金を交付する場合において、前二條の規定によつて算出した金額に一円未満の端數があるときは、その端數は、これを切り捨てる。
2 前項の端數切捨によつて生じた金額は、政府の收入とする。
第十一條 第八條及び第九條の規定による拂戻金の債権は、一年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。
(投票の無効)
第十二條 勝馬投票券を発賣した後、当該競走につき左の各号の一に該当する事由を生じたときは、当該競走における投票は、これを無効とする。
一 出走すべき馬が一頭のみとなつたこと。
二 競走が成立しなかつたこと。
三 競走に勝馬がなかつたこと。
2 前項の場合においては、当該勝馬投票券を所有する者は、政府に対し、その勝馬投票券と引換にその券面金額の返還を請求することができる。
3 前項の請求権は、当該勝馬投票券発賣の日から一年内に、これを行使しなければならない。
4 発賣した勝馬投票券に表示された馬(連勝式勝馬投票法のうち同一の連勝式番号をつけられた馬を一組とした場合にあつては表示された馬のうちいずれか一頭を除いた残の馬)が出走しなかつたときは、その馬(連勝式勝馬投票法にあつてはその馬の属する組)に対する投票についてもまた前三項と同樣である。
(馬主の登録)
第十三條 政府が行う登録を受けた者でなければ、國営競馬の競走に馬を出走させることができない。
2 左の各号の一に該当する者は、登録を受けることができない。
一 禁治産者、準禁治産者及び破産者であつて復権を得ない者
二 競馬法(大正十二年法律第四十七号。以下旧競馬法という。)、地方競馬法(昭和二十一年法律第五十七号)又はこの法律に違反して罰金以上の刑に処せられた者
(馬の登録)
第十四條 政府が行う登録を受けた馬でなければ、國営競馬の競走に出走させることができない。
(服色の登録)
第十五條 自己の服色を使用して、國営競馬の競走に馬を出走させようとする者は、政府が行う服色の登録を受けなければならない。
(競走馬の調教及び騎乘)
第十六條 省令の定めるところにより、政府が行う免許を受けた調教師又は騎手でなければ、國営競馬の競走のため、馬を調教し又は騎乘することができない。
(登録料及び免許手數料)
第十七條 政府は、前四條の規定による登録及び免許について、五千円以下の登録料及び五百円以下の免許手數料を徴收することができる。
(特別登録料)
第十八條 政府は、省令で定める國営競馬の競走に馬を出走させようとする者から、一万円以下の特別登録料を徴收することができる。
2 前項の規定により徴收した特別登録料は、これを前項の競走の賞金の一部に充てなければならない。
第三章 地方競馬
(競馬場の數)
第十九條 地方競馬の競馬場の數は、北海道にあつては六箇所以内、都府縣にあつては各二箇所以内とする。
(競馬の開催)
第二十條 都道府縣の行う競馬の開催は、競馬場ごとに、年四回以内とする。但し、天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年四回開催することができないときは、都道府縣知事は農林大臣の許可を受けて、その隣接競馬場において年五回開催することができる。
2 指定市の行う競馬の開催は、各指定市につき年二回以内とする。
3 前二項の競馬の開催日數は、一回につき、六日以内とする。
(入場料)
第二十一條 都道府縣又は指定市は、競馬を開催するときには、入場者から、五円以上五十円以下の入場料を徴收する。但し、都道府縣知事又は指定市の市長は、一回につき六百人以内の限度において無料入場を許可することができる。
(準用規定)
第二十二條 第五條から第十七條までの規定は、地方競馬に、これを準用する。この場合において、第五條及び第八條中「政府」とあるのは「都道府縣又は指定市」と、第九條中「百分の二十五」とあるのは「百分の二十九」と、第十條及び第十二條中「政府」とあるのは「都道府縣又は指定市」と、第十三條から第十六條までのうち「政府」とあるのは「都道府縣又は都道府縣の組合」と、「國営競馬」とあるのは「地方競馬」と、第十六條中「調教師又は騎手」とあるのは「騎手」と、第十七條中「政府」とあるのは「都道府縣又は都道府縣の組合」と読み替えるものとする。
(地方競馬の停止)
第二十三條 農林大臣は、都道府縣が、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を行つた場合には、当該都道府縣に対し、地方競馬の廃止を命ずることができる。
2 都道府縣知事は、指定市がこの法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を行つた場合は、農林大臣の承認を得て、当該指定市に対し地方競馬の停止を命ずることができる。
第四章 雜則
(秩序の維持等)
第二十四條 農林大臣は、國営競馬場内の秩序を維持し又は競走の公正を確保するため必要な命令を発することができる。
2 地方競馬場内の秩序を維持し又は競走の公正を確保するため必要な事項は、政令でこれを定める。
(地方競馬の監督)
第二十五條 農林大臣は、都道府縣に対し、都道府縣知事は、指定市に対し、地方競馬の開催、終了及び会計その他必要があると認める事項について、報告をさせ又は書類及び帳簿を檢査することができる。
2 都道府縣知事は、前項の規定により得た報告又は檢査の結果を農林大臣に報告しなければならない。
(会計檢査院の檢査)
第二十六條 会計檢査院は、必要があると認めるときは、地方競馬に関し、都道府縣又は指定市の会計経理の檢査をすることができる。
2 会計檢査院が、前項の檢査をするときは、これを関係者に通知するものとする。
(脱法行爲の禁止)
第二十七條 何等の名義をもつてするを問わず、第一條第三項の規定を免れる行爲をすることができない。
(勝馬投票券の購入の制限)
第二十八條 学生生徒又は未成年者は、勝馬投票券を買うことができない。
第二十九條 左の各号の一に該当する場合においては、勝馬投票券を買うことができない。
一 競馬に関係する政府職員にあつては、すべての競馬の競走について
二 地方競馬に関係する都道府縣職員又は指定市職員にあつては、当該都道府縣又は指定市の行う地方競馬の競走について
三 國営競馬に関係する調教師、騎手及び馬丁にあつては、國営競馬の競走について
四 地方競馬に関係する騎手及び馬丁にあつては、当該都道府縣又は指定市の行う地方競馬の競走について
五 前各号に掲げる者を除き、競馬の事務に從事する者にあつては、当該競馬の競走について
第五章 罰則
第三十條 左の各号の一に該当する者は、これを五年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処する。
一 第一條第三項の規定に違反した者
二 第二十七條の規定に違反した者
第三十一條 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処する。
一 國営競馬又は地方競馬の競走に関し勝馬投票類似の行爲をさせて利を図つた者
二 馬の競走能力を一時的にたかめ又は減ずる藥品又は藥剤を使用して馬を出走させた者
第三十二條 前二條の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第三十三條 左の各号の一に該当する者は、これを二万円以下の罰金に処する。
一 第二十九條の規定に違反した者
二 第三十一條第一号の場合において勝馬投票類似の行爲をした者
第三十四條 第二十八條の規定に違反した者は、これを千円以下の罰金に処する。
附 則
第三十五條 この法律施行の日は、その公布の日から起算して六十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
第三十六條 旧競馬法、競馬法の臨時特例に関する法律(昭和十四年法律第三十八号)、地方競馬法及び馬券税法(昭和十七年法律第六十号)は、これを廃止する。
2 馬券税法の廃止前に競馬を開催した者に課した又は課すべきであつた馬券税については、なお從前の例による。
3 第一項に掲げる法律の廃止前にした行爲に対する罰則の適用については、なお從前の例による。
第三十七條 政府は、日本競馬会及び社團法人中央馬事会(昭和二十一年二月九日その設立の許可を受けたものをいう。以下同じ。)の資産及び負債を承継することができる。
2 都道府縣は、馬匹組合連合会(縣を区域とする馬匹組合を含む。以下同じ。)の資産及び負債を承継することができる。
3 前項の規定により、都道府縣が馬匹組合連合会の資産を承継したときは、農業協同組合連合会及び農業協同組合は、当該資産(競馬に必要な資産を除く。)の買受については、政令の定めるところにより、他の者に優先する。
4 第一項又は第二項の規定により、政府又は都道府縣が、日本競馬会及び社團法人中央馬事会又は馬匹組合連合会の資産及び負債を承継した場合においては、これらの團体の解散の登記は、農林大臣又は当該都道府縣知事が、これを行う。
第三十八條 政府は、旧競馬法により日本競馬会が行つていた競馬を自ら行うため、政令の定めるところにより、農林省の職員を増置することができる。
2 國営競馬の事務及び地方競馬の監督に関する事務を掌らせるため、農林省畜産局に、臨時に、競馬部を置く。
3 國営競馬の事務の一部を分掌させるため、札幌市、東京都及び京都市に、臨時に、競馬事務所を置く。
4 競馬事務所の名称、管轄する競馬場及び所掌事務の内容については、政令でこれを定める。
5 競馬部及び競馬事務所の課その他内部組織の細目及びその所掌事務の範囲は、農林大臣が、これを定める。
第三十九條 取引高税法(昭和二十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第七條第十四号を次のように改める。
十四 取引所税法(大正三年法律第二十三号)により取引所特別税又は取引税を課せられる取引
第四十條 この法律は、施行の日から一年を経過した日までに、改廃の措置をとらなければならない。
附録第一 
出走すべき馬が七頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が八頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が九頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が十頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
出走すべき馬が十一頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
出走すべき馬が十二頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
12
出走すべき馬が十三頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
12
13
出走すべき馬が十四頭以上の場合
馬番号連勝式番号
右に準ずる。
附録第二 
第一号算式
(W+D/P)×(1-R)=T
Wは当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Dは出走した馬であつて勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Rは國営競馬にあつては百分の二十五、地方競馬にあつては百分の二十九とする。
Pは複勝式勝馬投票法における左表の場合を除き、勝馬の數とする。
第一着馬
第二着馬
第三着馬
第一着、第二着及び第三着となつた馬を勝馬とする場合
第二着の勝馬が三頭以上あるとき
P’-(N-2)
{P’-(N-2)}×N/2
P’は勝馬の數Nは第二着の勝馬の數
第三着の勝馬が二頭以上あるとき
P’-(N-1)
P’-(N-1)
{P’-(N-1)}×N
P’は勝馬の數Nは第三着の勝馬の數
第一着及び第二着となつた馬を勝馬とする場合
第二着の勝馬が二頭以上あるとき
P’-(N-1)
{P’-(N-1)}×N
P’は勝馬の數Nは第二着の勝馬の數
第二号算式
(T-W)×r
Tは第一号算式のTに同じ。
Wは第一号算式のWに同じ。
rは國営競馬にあつては百分の二十、地方競馬にあつては百分の十とする。
大蔵大臣 北村徳太郎
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均
競馬法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十三日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十八号
競馬法
第一章 総則
第一条 政府、都道府県又は著しく災害を受けた市で内閣総理大臣が指定するもの(指定市という。以下同じ。)は、この法律により、競馬を行うことができる。
2 政府が行う競馬は、国営競馬といい、都道府県又は指定市が行う競馬は、地方競馬という。
3 政府、都道府県又は指定市以外の者は、勝馬投票券その他これに類似するものを発売して、競馬を行つてはならない。
第二章 国営競馬
(競馬場)
第二条 国営競馬の競馬場は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、京都、阪神、小倉及び宮崎の十一箇所とする。
(競馬の開催)
第三条 国営競馬の開催は、競馬場ごとに、年二回以内とする。但し、天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年二回開催することができないときは、その隣接競馬場において、年三回開催することができる。
2 阪神競馬場及び宮崎競馬場において競馬の開催ができるまでの間、京都競馬場及び小倉競馬場においては、第一項の規定にかかわらず、年四回国営競馬を開催することができる。
3 前二項の競馬の開催日数は、一回につき、八日以内とする。
(入場料)
第四条 政府は、競馬を開催するときには、入場者から、三十円以上百円以下の範囲内で、地方税法(昭和二十三年法律第百十号)の規定による入場税及び入場税附加税を含めた入場料を徴収する。但し、農林大臣は、一回につき二千人以内の限度において無料入場を許可することができる。
2 政府は、前項の規定により徴収した入場税及び入場税附加税は、これを当該地方公共団体に交付しなければならない。
3 地方税法が制定施行せられるまでの間、第一項中「地方税法(昭和二十三年法律第百十号)」とあるのは「入場税法(昭和十五年法律第四十四号)」と、「入場税及び入場税附加税」とあるのは「入場税」と読み替え、第二項の規定は、これを適用しない。
(勝馬投票券)
第五条 政府は、券面金額十円又は二十円の勝馬投票券を券面金額で発売することができる。
2 政府は、前項の勝馬投票券十枚分又は百枚分を一枚をもつて代表する勝馬投票券を発売することができる。
(勝馬投票法)
第六条 勝馬投票法は、単勝式、複勝式及び連勝式の三種とする。
第七条 単勝式勝馬投票法においては、第一着となつた馬を勝馬とする。
2 複勝式勝馬投票法においては、勝馬投票券発売開始の時に、出走すべき馬が四頭以下であるときは第一着となつた馬を、五頭以上七頭以下であるときは第一着及び第二着となつた馬を、八頭以上であるときは第一着、第二着及び第三着となつた馬を勝馬とする。
3 連勝式勝馬投票法においては、第一着及び第二着となつた馬をその順位に従い一組としたものを勝馬とする。
4 連勝式勝馬投票法において、出走すべき馬が七頭以上あるときは、附録第一の例により連勝式番号をつけることができる。
5 前項の規定による連勝式番号は、連勝式勝馬投票法については、その馬の番号とみなす。
(払戻金)
第八条 政府は、勝馬投票の的中者に対し、当該競走に対する勝馬投票券の売得金(勝馬投票券の発売金額から第十二条の規定により返還すべき金額を控除したもの。以下同じ。)の額を各勝馬投票法に区分した金額について、附録第二に定める第一号算式によつて算出した金額から附録第二に定める第二号算式によつて算出した金額を控除した残額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券に按分した金額を払戻金として交付する。
2 前項の規定により算出した金額が、勝馬投票券の券面金額に満たないときは、その券面金額を払戻金の額とする。
第九条 勝馬投票の的中者がない場合における売得金は、その金額からその金額の百分の二十五及び附録第二に定める第二号算式によつて算出した金額を控除した残額を、出走した馬であつて勝馬以外のものに対し投票した者に対し、各勝馬投票券に按分した金額を払戻金として交付する。
第十条 払戻金を交付する場合において、前二条の規定によつて算出した金額に一円未満の端数があるときは、その端数は、これを切り捨てる。
2 前項の端数切捨によつて生じた金額は、政府の収入とする。
第十一条 第八条及び第九条の規定による払戻金の債権は、一年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。
(投票の無効)
第十二条 勝馬投票券を発売した後、当該競走につき左の各号の一に該当する事由を生じたときは、当該競走における投票は、これを無効とする。
一 出走すべき馬が一頭のみとなつたこと。
二 競走が成立しなかつたこと。
三 競走に勝馬がなかつたこと。
2 前項の場合においては、当該勝馬投票券を所有する者は、政府に対し、その勝馬投票券と引換にその券面金額の返還を請求することができる。
3 前項の請求権は、当該勝馬投票券発売の日から一年内に、これを行使しなければならない。
4 発売した勝馬投票券に表示された馬(連勝式勝馬投票法のうち同一の連勝式番号をつけられた馬を一組とした場合にあつては表示された馬のうちいずれか一頭を除いた残の馬)が出走しなかつたときは、その馬(連勝式勝馬投票法にあつてはその馬の属する組)に対する投票についてもまた前三項と同様である。
(馬主の登録)
第十三条 政府が行う登録を受けた者でなければ、国営競馬の競走に馬を出走させることができない。
2 左の各号の一に該当する者は、登録を受けることができない。
一 禁治産者、準禁治産者及び破産者であつて復権を得ない者
二 競馬法(大正十二年法律第四十七号。以下旧競馬法という。)、地方競馬法(昭和二十一年法律第五十七号)又はこの法律に違反して罰金以上の刑に処せられた者
(馬の登録)
第十四条 政府が行う登録を受けた馬でなければ、国営競馬の競走に出走させることができない。
(服色の登録)
第十五条 自己の服色を使用して、国営競馬の競走に馬を出走させようとする者は、政府が行う服色の登録を受けなければならない。
(競走馬の調教及び騎乗)
第十六条 省令の定めるところにより、政府が行う免許を受けた調教師又は騎手でなければ、国営競馬の競走のため、馬を調教し又は騎乗することができない。
(登録料及び免許手数料)
第十七条 政府は、前四条の規定による登録及び免許について、五千円以下の登録料及び五百円以下の免許手数料を徴収することができる。
(特別登録料)
第十八条 政府は、省令で定める国営競馬の競走に馬を出走させようとする者から、一万円以下の特別登録料を徴収することができる。
2 前項の規定により徴収した特別登録料は、これを前項の競走の賞金の一部に充てなければならない。
第三章 地方競馬
(競馬場の数)
第十九条 地方競馬の競馬場の数は、北海道にあつては六箇所以内、都府県にあつては各二箇所以内とする。
(競馬の開催)
第二十条 都道府県の行う競馬の開催は、競馬場ごとに、年四回以内とする。但し、天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年四回開催することができないときは、都道府県知事は農林大臣の許可を受けて、その隣接競馬場において年五回開催することができる。
2 指定市の行う競馬の開催は、各指定市につき年二回以内とする。
3 前二項の競馬の開催日数は、一回につき、六日以内とする。
(入場料)
第二十一条 都道府県又は指定市は、競馬を開催するときには、入場者から、五円以上五十円以下の入場料を徴収する。但し、都道府県知事又は指定市の市長は、一回につき六百人以内の限度において無料入場を許可することができる。
(準用規定)
第二十二条 第五条から第十七条までの規定は、地方競馬に、これを準用する。この場合において、第五条及び第八条中「政府」とあるのは「都道府県又は指定市」と、第九条中「百分の二十五」とあるのは「百分の二十九」と、第十条及び第十二条中「政府」とあるのは「都道府県又は指定市」と、第十三条から第十六条までのうち「政府」とあるのは「都道府県又は都道府県の組合」と、「国営競馬」とあるのは「地方競馬」と、第十六条中「調教師又は騎手」とあるのは「騎手」と、第十七条中「政府」とあるのは「都道府県又は都道府県の組合」と読み替えるものとする。
(地方競馬の停止)
第二十三条 農林大臣は、都道府県が、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を行つた場合には、当該都道府県に対し、地方競馬の廃止を命ずることができる。
2 都道府県知事は、指定市がこの法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を行つた場合は、農林大臣の承認を得て、当該指定市に対し地方競馬の停止を命ずることができる。
第四章 雑則
(秩序の維持等)
第二十四条 農林大臣は、国営競馬場内の秩序を維持し又は競走の公正を確保するため必要な命令を発することができる。
2 地方競馬場内の秩序を維持し又は競走の公正を確保するため必要な事項は、政令でこれを定める。
(地方競馬の監督)
第二十五条 農林大臣は、都道府県に対し、都道府県知事は、指定市に対し、地方競馬の開催、終了及び会計その他必要があると認める事項について、報告をさせ又は書類及び帳簿を検査することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により得た報告又は検査の結果を農林大臣に報告しなければならない。
(会計検査院の検査)
第二十六条 会計検査院は、必要があると認めるときは、地方競馬に関し、都道府県又は指定市の会計経理の検査をすることができる。
2 会計検査院が、前項の検査をするときは、これを関係者に通知するものとする。
(脱法行為の禁止)
第二十七条 何等の名義をもつてするを問わず、第一条第三項の規定を免れる行為をすることができない。
(勝馬投票券の購入の制限)
第二十八条 学生生徒又は未成年者は、勝馬投票券を買うことができない。
第二十九条 左の各号の一に該当する場合においては、勝馬投票券を買うことができない。
一 競馬に関係する政府職員にあつては、すべての競馬の競走について
二 地方競馬に関係する都道府県職員又は指定市職員にあつては、当該都道府県又は指定市の行う地方競馬の競走について
三 国営競馬に関係する調教師、騎手及び馬丁にあつては、国営競馬の競走について
四 地方競馬に関係する騎手及び馬丁にあつては、当該都道府県又は指定市の行う地方競馬の競走について
五 前各号に掲げる者を除き、競馬の事務に従事する者にあつては、当該競馬の競走について
第五章 罰則
第三十条 左の各号の一に該当する者は、これを五年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処する。
一 第一条第三項の規定に違反した者
二 第二十七条の規定に違反した者
第三十一条 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処する。
一 国営競馬又は地方競馬の競走に関し勝馬投票類似の行為をさせて利を図つた者
二 馬の競走能力を一時的にたかめ又は減ずる薬品又は薬剤を使用して馬を出走させた者
第三十二条 前二条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第三十三条 左の各号の一に該当する者は、これを二万円以下の罰金に処する。
一 第二十九条の規定に違反した者
二 第三十一条第一号の場合において勝馬投票類似の行為をした者
第三十四条 第二十八条の規定に違反した者は、これを千円以下の罰金に処する。
附 則
第三十五条 この法律施行の日は、その公布の日から起算して六十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
第三十六条 旧競馬法、競馬法の臨時特例に関する法律(昭和十四年法律第三十八号)、地方競馬法及び馬券税法(昭和十七年法律第六十号)は、これを廃止する。
2 馬券税法の廃止前に競馬を開催した者に課した又は課すべきであつた馬券税については、なお従前の例による。
3 第一項に掲げる法律の廃止前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第三十七条 政府は、日本競馬会及び社団法人中央馬事会(昭和二十一年二月九日その設立の許可を受けたものをいう。以下同じ。)の資産及び負債を承継することができる。
2 都道府県は、馬匹組合連合会(県を区域とする馬匹組合を含む。以下同じ。)の資産及び負債を承継することができる。
3 前項の規定により、都道府県が馬匹組合連合会の資産を承継したときは、農業協同組合連合会及び農業協同組合は、当該資産(競馬に必要な資産を除く。)の買受については、政令の定めるところにより、他の者に優先する。
4 第一項又は第二項の規定により、政府又は都道府県が、日本競馬会及び社団法人中央馬事会又は馬匹組合連合会の資産及び負債を承継した場合においては、これらの団体の解散の登記は、農林大臣又は当該都道府県知事が、これを行う。
第三十八条 政府は、旧競馬法により日本競馬会が行つていた競馬を自ら行うため、政令の定めるところにより、農林省の職員を増置することができる。
2 国営競馬の事務及び地方競馬の監督に関する事務を掌らせるため、農林省畜産局に、臨時に、競馬部を置く。
3 国営競馬の事務の一部を分掌させるため、札幌市、東京都及び京都市に、臨時に、競馬事務所を置く。
4 競馬事務所の名称、管轄する競馬場及び所掌事務の内容については、政令でこれを定める。
5 競馬部及び競馬事務所の課その他内部組織の細目及びその所掌事務の範囲は、農林大臣が、これを定める。
第三十九条 取引高税法(昭和二十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第七条第十四号を次のように改める。
十四 取引所税法(大正三年法律第二十三号)により取引所特別税又は取引税を課せられる取引
第四十条 この法律は、施行の日から一年を経過した日までに、改廃の措置をとらなければならない。
附録第一 
出走すべき馬が七頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が八頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が九頭であるとき
馬番号連勝式番号
出走すべき馬が十頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
出走すべき馬が十一頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
出走すべき馬が十二頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
12
出走すべき馬が十三頭であるとき
馬番号連勝式番号
10
11
12
13
出走すべき馬が十四頭以上の場合
馬番号連勝式番号
右に準ずる。
附録第二 
第一号算式
(W+D/P)×(1-R)=T
Wは当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Dは出走した馬であつて勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Rは国営競馬にあつては百分の二十五、地方競馬にあつては百分の二十九とする。
Pは複勝式勝馬投票法における左表の場合を除き、勝馬の数とする。
第一着馬
第二着馬
第三着馬
第一着、第二着及び第三着となつた馬を勝馬とする場合
第二着の勝馬が三頭以上あるとき
P’-(N-2)
{P’-(N-2)}×N/2
P’は勝馬の数Nは第二着の勝馬の数
第三着の勝馬が二頭以上あるとき
P’-(N-1)
P’-(N-1)
{P’-(N-1)}×N
P’は勝馬の数Nは第三着の勝馬の数
第一着及び第二着となつた馬を勝馬とする場合
第二着の勝馬が二頭以上あるとき
P’-(N-1)
{P’-(N-1)}×N
P’は勝馬の数Nは第二着の勝馬の数
第二号算式
(T-W)×r
Tは第一号算式のTに同じ。
Wは第一号算式のWに同じ。
rは国営競馬にあつては百分の二十、地方競馬にあつては百分の十とする。
大蔵大臣 北村徳太郎
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均