第一條 都道府縣を區域とする馬匹組合聯合會(縣を區域とする馬匹組合を含む。以下これに同じ。)は、馬事の振興を圖るため、主務大臣の許可を受けて、この法律により、競馬を行ふことができる。
第十二條の馬事團體は、命令の定めるところにより、主務大臣の許可を受けて、前項の競馬を行ふことができる。
第二條 競馬施行者が、この法律により、競馬を開催しようとするときは、命令の定めるところにより、地方長官に屆出でねばならない。
第三條 この法律により、競馬を行ふ競馬場の數は、北海道三箇所以内、都府縣各ゝ一箇所以内である。
第四條 この法律により競馬に出すことのできる馬は、施行者たる馬匹組合聯合會の區域及び命令の定める區域に、命令の定める期間飼養せられる馬に限る。
第一條第二項の競馬については、前項の區域に關する規定は、これを適用しない。
第五條 競馬の開催は、競馬場毎に數へて、年四囘を超えることはできない。但し、主務大臣の許可を受けた場合は、年四囘を超えて競馬を開催することができる。
第六條 競馬開催の期間は、一囘につき、六日以内である。
第七條 競馬を開催するときは、入場者から入場料を取らねばならない。但し、地方長官の認可を受けて、無料入場者と定めた者からは、入場料を取らなくてもよい。
第八條 競馬施行者は、入場者に對して、一口の金額十圓以下の優勝馬票を、額面金額で賣出すことができる。
第九條 その競馬を開催する法人の役員又はその競馬の開催執務委員、騎手その他競馬の事務に從ふ者に對して、優勝馬票を賣出すことはできない。
第十條 競馬施行者は、優勝馬票の的中者に對して、命令の定めるところにより、その競走についての優勝馬票の賣得金の額を超えない範圍内において、拂戻金を交付する。但し、その金額は、優勝馬票の額面金額の百倍を超えることはできない。
優勝馬票の的中者の無い場合における賣得金又は前項但し書の規定によりできた超過金は、命令の定めるところにより、これを優勝馬票を買つた者に拂戻しをする。
前二項の拂戻金の債權は、一年間これを行はなければ、時效によつて消滅する。
第十一條 競馬施行者は、主務大臣の認可を受けて、優勝馬票の賣得金額の百分の二十五以内の金額を、自己の收入とすることができる。
第十二條 前條の場合には、競馬施行者は、命令の定めるところにより、納付金を馬匹組合聯合會の組織してゐる公益法人たる全國區域の馬事團體に納めなければならない。
第十三條 競馬場の開設又は維持、競走馬の出馬登録又は出場、競馬の觀覽、優勝馬票の賣出又は買入、拂戻金又は競馬賞金の支拂又は受取、その他競馬の施行又は開催に關しては、地方税を課することはできない。
第十四條 主務大臣は、公益上必要ありと認めるときは、第一條の許可を受けた者に對して、競馬場の設備の變更その他競馬の施行又は開催に關して、必要な事柄を命ずることができる。
第十五條 主務大臣は、競馬施行者又はその役員若しくは開催執務委員の行爲が、法令若しくはこれに基いてなす處分に違反し又は公益を害し若しくは害する虞があると認めるときは、次の處分をなすことができる。
第十六條 左の各號の一に該當する者は、三年以下の懲役若しくは五千圓以下の罰金に處し、又はその刑を併せ科する。
一 第一條の許可を受けないで、優勝馬票を發賣したり、又はこれに類似の行爲をなした者
二 第十五條第三號の停止又は制限に違反して、優勝馬票を發賣した者
三 この法律による競馬の競走に關し、職業として、多數の者に對して財物を以て賭けごとをなした者
四 第九條に掲げる者にして、前號に規定する行爲の相手方になつたもの
第十七條 開催執務委員が、職務を執行するにあたり、これに對して、暴行又は脅迫を加へた者は、二年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。
團體若しくは多衆の威力を示し、團體若しくは多衆を假裝して威力を示し、又は兇器を示し若しくは數人共同して前項の罪を犯した者は、三年以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
第十八條 左の各號の一に該當する者は、二千圓以下の罰金に處する。
一 第九條に掲げる者に對して、同條に掲げる者なることを知つて、優勝馬票を賣出した者
二 第九條に掲げる者にして、優勝馬票を買入れ又は讓受けたもの
三 第十條第一項の規定による制限に違反して、拂戻金を支拂つた者
四 第十六條第一號乃至第三號に規定する行爲の相手方となつた者
第十九條 左の各號の一に該當する者は、二百圓以下の罰金又は科料に處する。
二 第十條第一項の規定による制限に違反して、拂戻金の支拂を受けた者
第二十條 その競馬を開催する法人の役員又はその競馬の開催執務委員が、その職務に關して、賄賂を取り、又はこれを要求若しくは約束したときは、二年以下の懲役に處する。因つて不正の行爲をなし、又はなすべき行爲をなさないときは、五年以下の懲役に處する。
前項の場合において、受け取つた賄賂はこれを沒收する。若しその全部又は一部を沒收することができない場合には、その價額を追徴する。
第二十一條 前條第一項に掲げる者に對して、賄賂を支拂ひ、提供し、又は約束した者は、二年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。
前項の罪を犯した者が、自首したときは、その刑を減輕し、又は免除することができる。
第二十二條 競馬施行者である法人の役員又は開催執務委員が、第十五條第四號の規定による主務大臣の命令に違反したときは、千圓以下の過料に處する。
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條の規定は、前項の過料にこれを準用する。
第二十三條 競馬施行者が、この法律により收得する收入に對しては、所得税及び營業税を課せない。