競馬法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第198号
公布年月日: 昭和24年6月6日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

競馬の公正な運営維持と制度改善を目的とした改正案である。主な改正点として、一年以上の懲役刑を受けた者の馬主資格制限、農林大臣による指定市営競馬への監督権限の付与、都道府県・指定市間の組合結成の簡素化による地方競馬の秩序維持、違反行為への罰則強化が挙げられる。また、国営競馬の開催日数を地方競馬場と同一にし、重勝式勝馬投票法を新たに導入して収益増大を図るとともに、特権的な無料入場制度を廃止することとした。これらの改正により、より公正で効率的な競馬運営の実現を目指すものである。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 農林委員会 第21号

審議経過

第5回国会

参議院
(昭和24年5月6日)
衆議院
(昭和24年5月13日)
参議院
(昭和24年5月16日)
(昭和24年5月18日)
衆議院
(昭和24年5月19日)
(昭和24年5月20日)
参議院
(昭和24年5月22日)
(昭和24年5月23日)
(昭和24年5月26日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
競馬法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十八号
競馬法の一部を改正する法律
競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
第三條第一項中「年二回」を「年三回」に、「年三回」を「年四回」に、同條第二項中「年四回」を「年六回」に改める。
第四條中第一項但書及び第三項を削る。
第六條中「及び連勝式の三種」を「、連勝式及び重勝式の四種」に改める。
第七條第五項の次に次の二項を加える。
6 重勝式勝馬投票法においては、同一の日の二以上の競走につき第一着となつた馬を一組としたものを勝馬とする。
7 重勝式勝馬投票法において、その投票につき一組とした各競走のうちいずれかに出走すべき馬が七頭以上あるときは、第四項及び第五項の例により重勝式番号をつけることができる。
第八條第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を第三項とし、第二項として次の一項を加える。
2 前項の規定により拂戻金を算出する場合において、勝馬投票の的中者のない勝馬があるときは、その勝馬は、その算出については、勝馬でないものとする。
第十一條の次に次の一條を加える。
(畜産業の振興費への充当)
第十一條の二 政府は、勝馬投票券の発賣による收入金のうち、勝馬投票券の賣得金の総額から拂戻金及び返還金の総額を控除した残額の三分の一に相当する金額を、畜産業の振興のために必要な経費に充てなければならない。
2 前項の規定の適用については、金額の算出は、各年度において、その年度の予算金額によるものとする。
第十二條を次のように改める。
(投票の無効)
第十二條 單勝式、複勝式及び連勝式勝馬投票法において、勝馬投票券を発賣した後、当該競走につき左の各号の一に該当する事由を生じたときは、当該競走についての投票は、これを無効とする。一 出走すべき馬がなくなり、又は一頭のみとなつたこと。
二 競走が成立しなかつたこと。
三 当該投票法について競走に勝馬がなかつたこと。
2 重勝式勝馬投票法において、勝馬投票券を発賣した後、左の各号の一に該当する事由を生じたときは、その投票は、これを無効とする。
一 その投票において一組とした各競走のすべてについて出走すべき馬が一頭のみとなつたこと、又はいずれかの競走に出走すべき馬がなくなつたこと。
二 その投票において一組とした各競走のうちいずれかが成立しなかつたこと。
三 その投票につき勝馬がなかつたこと。
3 発賣した勝馬投票券に表示された馬が出走しなかつた場合は、その馬(連勝式勝馬投票法及び重勝式勝馬投票法にあつてはその馬の属する組)に対する投票は、これを無効とする。連勝式勝馬投票法において同一の連勝式番号をつけられた馬を一組とした場合において、表示された馬のうちいずれか一頭のみが出走したときは、その組に対する投票についてもまた同樣である。
4 入場者以外の者に対し発賣した勝馬投票券の発賣金額の全部又は一部を、天災地変その他やむを得ない事由に因り、入場者に対し発賣した勝馬投票券の発賣金額と合計することができなかつた場合には、入場者以外の者の投票であつて合計することができなかつたものは、これを無効とする。
5 前四項の場合においては、当該勝馬投票券を所有する者は、政府に対し、その勝馬投票券と引換にその券面金額の返還を請求することができる。
6 前項の請求権は、当該勝馬投票券発賣の日から一年内に、これを行使しなければならない。
第十三條第二項第二号の次に次の一号を加える。
三 一年以上の懲役に処せられた者
第二十條第三項中「前二項」を「前七項」に改め、同項を第八項とし、第二項の次に次の五項を加える。
3 都道府縣とその都道府縣の区域内にある指定市町村とが組織する組合の行う競馬の開催は、競馬場ごとに、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乘じた回数に四を加えたもの(その組合に加入している都道府縣及び指定市町村が、加入前、その年に、その競馬場において競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
4 前項の組合の行う競馬の開催は、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乘じた回数にその組合の競馬場の数に四を乘じた回数を加えたもの(その組合に加入している都道府縣及び指定市町村が、加入前、その年に、競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
5 同一の都道府縣の区域内にある指定市町村の組合の行う競馬の開催は、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乘じた回数(その組合に加入している指定市町村が、加入前、その年に、競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
6 第三項の組合の組織團体でなくなった都道府縣のその年において行う競馬の開催は、競馬場ごとに、その組合が、その年に、その競馬場において開催した競馬の回数とあわせて四回以内とする。
7 第三項又は第五項の組合の組織團体でなくなつた指定市町村のその年において行う競馬の開催は、その組合が、その年に開催した競馬の回数とあわせて二回以内とする。
第二十一條但書を削る。
第二十三條第一項中「都道府縣」の下に「又は指定市町村」を、「当該都道府縣」の下に「又は当該指定市町村」を加える。
第二十四條中「又は競走の公正」を「その他競馬の公正」に改める。
第二十五條第一項中「都道府縣に対し、」を「都道府縣又は指定市町村に対し、」に改める。
第三十條中「十万円」を「五十万円」に改め、同條第二号の次に次の一号を加える。
三 國営競馬又は地方競馬の競走に関し勝馬投票類似の行爲をさせて利を図つた者
第三十一條中「五万円」を「三十万円」に改め、同條第一号を次のように改める。
一 削除
第三十一條第二号の次に次の一号を加える。
三 競走について財産上の利益を得又は他人に得させるため競走において馬の全能力を発揮させなかつた騎手
第三十三條中「二万円」を「十万円」に、同條第二号中「第三十一條第一号」を「第三十條第三号」に改める。
第三十四條中「千円」を「五万円」に改める。
第四十條中「施行の日から一年を経過した日までに、」を「昭和二十五年三月三十一日までに、」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の日に現に馬主の登録を受けている者であつて第十三條第三号に該当する者については、その登録をまつ消する。
3 國営競馬特別会計法(昭和二十四年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第四條中「第十二條第二項及び第四項」を「第十二條第五項」に改める。
4 この法律施行前にした行爲に対する罰則の適用については、なお從前の例による。
大藏大臣 池田勇人
農林大臣 森幸太郎
内閣総理大臣 吉田茂
競馬法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十八号
競馬法の一部を改正する法律
競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「年二回」を「年三回」に、「年三回」を「年四回」に、同条第二項中「年四回」を「年六回」に改める。
第四条中第一項但書及び第三項を削る。
第六条中「及び連勝式の三種」を「、連勝式及び重勝式の四種」に改める。
第七条第五項の次に次の二項を加える。
6 重勝式勝馬投票法においては、同一の日の二以上の競走につき第一着となつた馬を一組としたものを勝馬とする。
7 重勝式勝馬投票法において、その投票につき一組とした各競走のうちいずれかに出走すべき馬が七頭以上あるときは、第四項及び第五項の例により重勝式番号をつけることができる。
第八条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を第三項とし、第二項として次の一項を加える。
2 前項の規定により払戻金を算出する場合において、勝馬投票の的中者のない勝馬があるときは、その勝馬は、その算出については、勝馬でないものとする。
第十一条の次に次の一条を加える。
(畜産業の振興費への充当)
第十一条の二 政府は、勝馬投票券の発売による収入金のうち、勝馬投票券の売得金の総額から払戻金及び返還金の総額を控除した残額の三分の一に相当する金額を、畜産業の振興のために必要な経費に充てなければならない。
2 前項の規定の適用については、金額の算出は、各年度において、その年度の予算金額によるものとする。
第十二条を次のように改める。
(投票の無効)
第十二条 単勝式、複勝式及び連勝式勝馬投票法において、勝馬投票券を発売した後、当該競走につき左の各号の一に該当する事由を生じたときは、当該競走についての投票は、これを無効とする。一 出走すべき馬がなくなり、又は一頭のみとなつたこと。
二 競走が成立しなかつたこと。
三 当該投票法について競走に勝馬がなかつたこと。
2 重勝式勝馬投票法において、勝馬投票券を発売した後、左の各号の一に該当する事由を生じたときは、その投票は、これを無効とする。
一 その投票において一組とした各競走のすべてについて出走すべき馬が一頭のみとなつたこと、又はいずれかの競走に出走すべき馬がなくなつたこと。
二 その投票において一組とした各競走のうちいずれかが成立しなかつたこと。
三 その投票につき勝馬がなかつたこと。
3 発売した勝馬投票券に表示された馬が出走しなかつた場合は、その馬(連勝式勝馬投票法及び重勝式勝馬投票法にあつてはその馬の属する組)に対する投票は、これを無効とする。連勝式勝馬投票法において同一の連勝式番号をつけられた馬を一組とした場合において、表示された馬のうちいずれか一頭のみが出走したときは、その組に対する投票についてもまた同様である。
4 入場者以外の者に対し発売した勝馬投票券の発売金額の全部又は一部を、天災地変その他やむを得ない事由に因り、入場者に対し発売した勝馬投票券の発売金額と合計することができなかつた場合には、入場者以外の者の投票であつて合計することができなかつたものは、これを無効とする。
5 前四項の場合においては、当該勝馬投票券を所有する者は、政府に対し、その勝馬投票券と引換にその券面金額の返還を請求することができる。
6 前項の請求権は、当該勝馬投票券発売の日から一年内に、これを行使しなければならない。
第十三条第二項第二号の次に次の一号を加える。
三 一年以上の懲役に処せられた者
第二十条第三項中「前二項」を「前七項」に改め、同項を第八項とし、第二項の次に次の五項を加える。
3 都道府県とその都道府県の区域内にある指定市町村とが組織する組合の行う競馬の開催は、競馬場ごとに、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乗じた回数に四を加えたもの(その組合に加入している都道府県及び指定市町村が、加入前、その年に、その競馬場において競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
4 前項の組合の行う競馬の開催は、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乗じた回数にその組合の競馬場の数に四を乗じた回数を加えたもの(その組合に加入している都道府県及び指定市町村が、加入前、その年に、競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
5 同一の都道府県の区域内にある指定市町村の組合の行う競馬の開催は、一年につき、その組合に加入している指定市町村の数に二を乗じた回数(その組合に加入している指定市町村が、加入前、その年に、競馬を開催した場合にあつては、その回数を減じたもの)以内とする。
6 第三項の組合の組織団体でなくなった都道府県のその年において行う競馬の開催は、競馬場ごとに、その組合が、その年に、その競馬場において開催した競馬の回数とあわせて四回以内とする。
7 第三項又は第五項の組合の組織団体でなくなつた指定市町村のその年において行う競馬の開催は、その組合が、その年に開催した競馬の回数とあわせて二回以内とする。
第二十一条但書を削る。
第二十三条第一項中「都道府県」の下に「又は指定市町村」を、「当該都道府県」の下に「又は当該指定市町村」を加える。
第二十四条中「又は競走の公正」を「その他競馬の公正」に改める。
第二十五条第一項中「都道府県に対し、」を「都道府県又は指定市町村に対し、」に改める。
第三十条中「十万円」を「五十万円」に改め、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 国営競馬又は地方競馬の競走に関し勝馬投票類似の行為をさせて利を図つた者
第三十一条中「五万円」を「三十万円」に改め、同条第一号を次のように改める。
一 削除
第三十一条第二号の次に次の一号を加える。
三 競走について財産上の利益を得又は他人に得させるため競走において馬の全能力を発揮させなかつた騎手
第三十三条中「二万円」を「十万円」に、同条第二号中「第三十一条第一号」を「第三十条第三号」に改める。
第三十四条中「千円」を「五万円」に改める。
第四十条中「施行の日から一年を経過した日までに、」を「昭和二十五年三月三十一日までに、」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の日に現に馬主の登録を受けている者であつて第十三条第三号に該当する者については、その登録をまつ消する。
3 国営競馬特別会計法(昭和二十四年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中「第十二条第二項及び第四項」を「第十二条第五項」に改める。
4 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 森幸太郎
内閣総理大臣 吉田茂