(通告)
第六條 家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。
(少年保護司の報告)
第七條 少年保護司は、家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見したときは、これを裁判官に報告しなければならない。
2 少年保護司は、前項の報告に先だち、少年及び保護者について、事情を調査することができる。
(事件の調査)
第八條 家庭裁判所は、前二條の通告又は報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。檢察官、司法警察員、都道府縣知事又は兒童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同樣である。
2 家庭裁判所は、少年保護司に命じて、少年、保護者又は参考人の取調その他の必要な調査を行わせることができる。
(調査の方針)
第九條 前條の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の專門的智識を活用して、これを行うように努めなければならない。
(附添人)
第十條 少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、附添人を選任することができる。但し、弁護士を附添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない。
2 保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、附添人となることができる。
(呼出、同行)
第十一條 家庭裁判所は、事件の調査について必要があると認めるときは、少年又は保護者に対して、呼出状を発することができる。
2 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に應じない者に対して、同行状を発することができる。
(緊急の場合の同行)
第十二條 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前條第二項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発することができる。
(同行状の執行)
2 家庭裁判所は、警察官、警察吏員、観察官又は保護委員をして、同行状を執行させることができる。
(証人尋問・鑑定・通訳・飜訳)
第十四條 家庭裁判所は、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは飜訳を命ずることができる。
2 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳及び飜訳に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。
(檢証、押收、搜索)
第十五條 家庭裁判所は、檢証、押收又は搜索をすることができる。
2 刑事訴訟法中、裁判所の行う檢証、押收及び搜索に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。
(援助、協力)
第十六條 家庭裁判所は、調査及び観察のため、警察官、警察吏員、観察官、保護委員、兒童福祉司又は兒童委員に対して、必要な援助をさせることができる。
2 家庭裁判所は、その職務を行うについて、公務所、公私の團体、学校、病院その他に対して、必要な協力を求めることができる。
(観護の措置)
第十七條 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
2 同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから二十四時間以内に、これを行わなければならない。檢察官又は司法警察員から勾留又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同樣である。
3 第一項第二号の措置においては、少年観護所に收容する期間は、二週間を越えることはできない。特に継続の必要があるときは、一回に限り、決定をもつて、これを更新することができる。但し、檢察官から再び送致を受けた事件が先に第一項第二号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、收容の期間は、これを更新することはできない。
4 裁判官が第四十三條第一項の請求により、第一項第一号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第一項第一号の措置とみなす。
5 裁判官が第四十三條第一項の請求により第一項第二号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第一項第二号の措置とみなす。この場合には、第三項の期間は、家庭裁判所が事件の送致を受けた日から、これを起算する。
6 観護の措置は、決定をもつて、これを取り消し、又は変更することができる。但し、第一項第二号の措置については、收容の期間は、通じて四週間を越えることはできない。
(兒童福祉法の措置)
第十八條 家庭裁判所は、調査の結果、兒童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府縣知事又は兒童相談所長に送致しなければならない。但し、都道府縣知事又は兒童相談所長から送致を受けた事件については、この限りでない。
(審判を開始しない旨の決定)
第十九條 家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。
(檢察官への送致)
第二十條 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮にあたる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照して刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対應する檢察廳の檢察官に送致しなければならない。但し、送致のとき十六歳に満たない少年の事件については、これを檢察官に送致することはできない。
(審判開始の決定)
第二十一條 家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
(審判の方式)
第二十二條 審判は、懇切を旨として、なごやかに、これを行わなければならない。
(審判開始後保護処分に付しない場合)
第二十三條 家庭裁判所は、審判の結果、第十八條又は第二十條にあたる場合であると認めるときは、それぞれ、所定の決定をしなければならない。
2 家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
(保護処分の決定)
第二十四條 家庭裁判所は、前條の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。
2 前項第一号及び第三号の保護処分においては、地方少年保護委員会をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。
(少年保護司の観察)
第二十五條 家庭裁判所は、前條第一項の保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、少年保護司の観察に付することができる。
2 家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることができる。
三 適当な施設、團体又は個人に補導を委託すること。
(決定の執行)
第二十六條 家庭裁判所は、第十七條第一項第二号、第十八條、第二十條及び第二十四條第一項の決定をしたときは、少年保護司、警察官、警察吏員、観察官、保護委員、兒童福祉司又は兒童委員をして、その決定を執行させることができる。
2 家庭裁判所は、第十七條第一項第二号、第十八條、第二十條及び第二十四條第一項の決定を執行するため必要があるときは、少年に対して、呼出状を発することができる。
3 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に應じない者に対して、同行状を発することができる。
4 第十三條の規定は、前項の同行状に、これを準用する。
(競合する処分の調整)
第二十七條 保護処分の継続中、本人に対して有罪判決が確定したときは、保護処分をした家庭裁判所は、相当と認めるときは、その保護処分を取り消すことができる。
2 保護処分の継続中、本人に対して新たな保護処分がなされたときは、新たな保護処分をした家庭裁判所は、前の保護処分をした家庭裁判所の意見を聞いて、いずれかの保護処分を取消すことができる。
(報告と意見の提出)
第二十八條 家庭裁判所は、第二十四條又は第二十五條の決定をした場合において、施設、團体、個人、地方少年保護委員会、兒童福祉施設又は少年院に対して、少年に関する報告又は意見の提出を求めることができる。
(委託費用の支給)
第二十九條 家庭裁判所は、第二十五條第二項第三号の措置として、適当な施設、團体又は個人に補導を委託したときは、その者に対して、これによつて生じた費用の全部又は一部を支給することができる。
(証人等の費用)
第三十條 証人、鑑定人、飜訳人及び通訳人に支給する旅費、日当、宿泊料その他の費用の額については、刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
2 参考人は、旅費、日当、宿泊料を請求することができる。
3 参考人に支給する費用は、これを証人に支給する費用とみなして、第一項の規定を適用する。
(費用の徴收)
第三十一條 家庭裁判所は、少年又はこれを扶養する義務のある者から証人、鑑定人、通訳人、飜訳人及び参考人に支給した旅費、日当、宿泊料その他の費用並びに少年観護所及び少年院において生じた費用の全部又は一部を徴收することができる。
2 前項の費用の徴收については、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第二百八條の規定を準用する。