民事執行法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十四年三月三十日
内閣総理大臣 大平正芳
法律第四号
民事執行法
目次
第一章
総則(第一条―第二十一条)
第二章
強制執行
第一節
総則(第二十二条―第四十二条)
第二節
金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第一款
不動産に対する強制執行
第一目
通則(第四十三条・第四十四条)
第二目
強制競売(第四十五条―第九十二条)
第三目
強制管理(第九十三条―第百十一条)
第二款
船舶に対する強制執行(第百十二条―第百二十一条)
第三款
動産に対する強制執行(第百二十二条―第百四十二条)
第四款
債権及びその他の財産権に対する強制執行(第百四十三条―第百六十七条)
第三節
金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行(第百六十八条―第百七十三条)
第三章
仮差押え及び仮処分の執行(第百七十四条―第百八十条)
第四章
担保権の実行としての競売等(第百八十一条―第百九十五条)
第五章
罰則(第百九十六条―第百九十八条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 強制執行、仮差押え及び仮処分の執行、担保権の実行としての競売並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(執行機関)
第二条 民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。
(執行裁判所)
第三条 裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。
(任意的口頭弁論)
第四条 執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
(審尋)
第五条 執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。
(執行官等の職務の執行の確保)
第六条 執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。
2 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。
(立会人)
第七条 執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。執行官が前条第一項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。
(休日又は夜間の執行)
第八条 執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
2 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。
(身分証明書等の携帯)
第九条 執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
(執行抗告)
第十条 民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
2 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
3 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
4 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。
5 抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき、執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき、又は執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。
6 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
7 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。
8 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
9 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
10 民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)第四百二十九条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。
(執行異議)
第十一条 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
2 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。
(取消決定等に対する執行抗告)
第十二条 民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。
2 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。
(代理人)
第十三条 民事訴訟法第七十九条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。
2 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。
(費用の予納等)
第十四条 執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として執行裁判所の定める金額を予納しなければならない。予納した費用が不足する場合において、執行裁判所が不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。
2 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。
3 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(担保の提供)
第十五条 この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
2 民事訴訟法第百十三条、第百十五条及び第百十六条の規定は、前項の担保について準用する。
(送達の特例)
第十六条 民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、その住所、居所、営業所又は事務所を変更したときは、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をしない者に対する文書の送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所にあてて書留郵便に付して発送すれば足りる。
3 民事訴訟法第百七十条の規定は第一項に規定する者について、同法第百七十三条の規定は前項の規定による送達及びこの項において準用する同法第百七十条第二項の規定による送達について準用する。
(民事執行の事件の記録の閲覧等)
第十七条 執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、閲覧又は謄写については、執行裁判所の執務に支障があるときは、この限りでない。
(官庁等に対する援助請求等)
第十八条 民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。
2 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。
3 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。
(専属管轄)
第十九条 この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
(民事訴訟法の準用)
第二十条 特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。
(最高裁判所規則)
第二十一条 この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二章 強制執行
第一節 総則
(債務名義)
第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一 確定判決
二 仮執行の宣言を付した判決
三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
四 仮執行の宣言を付した支払命令
五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決又は仲裁判断
七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
一 債務名義に表示された当事者
二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人)
2 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
3 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。
(外国裁判所の判決の執行判決)
第二十四条 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
3 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第二百条各号に掲げる条件を具備しないときは、却下しなければならない。
4 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。
(強制執行の実施)
第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、仮執行の宣言を付した支払命令により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
(執行文の付与)
第二十六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
第二十七条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
(執行文の再度付与等)
第二十八条 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
2 前項の規定は、仮執行の宣言を付した支払命令の正本を更に交付する場合について準用する。
(債務名義等の送達)
第二十九条 強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。
(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第三十条 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。
2 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを公文書により証明したときに限り、開始することができる。
(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第三十一条 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。
2 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。
(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十二条 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
2 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
3 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
4 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による仮執行の宣言を付した支払命令の正本の交付について準用する。
(執行文付与の訴え)
第三十三条 第二十七条に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
一 第二十二条第一号から第三号まで又は第六号に掲げる債務名義及び同条第七号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの
第一審裁判所
二 第二十二条第四号に掲げる債務名義及び同条第七号に掲げる債務名義のうち和解又は調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)に係るもの
仮執行の宣言を付した支払命令を発した簡易裁判所又は和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(仮執行の宣言を付した支払命令又は簡易裁判所において成立した和解若しくは調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
三 第二十二条第五号に掲げる債務名義
債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
(執行文付与に対する異議の訴え)
第三十四条 第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
3 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
(請求異議の訴え)
第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名議による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2 確定判決についての異議の事由は口頭弁論の終結後に生じたものに限り、仮執行の宣言を付した支払命令についての異議の事由はその送達後に生じたものに限る。
3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十六条 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
2 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
4 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
5 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(終局判決における執行停止の裁判等)
第三十七条 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
2 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(第三者異議の訴え)
第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。
(強制執行の停止)
第三十九条 強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
二 債務名義に係る和解、認諾又は調停の効力がないことを宣言する確定判決の正本
三 第二十二条第二号から第四号までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解又は調停の調書の正本
五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。
3 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。
(執行処分の取消し)
第四十条 前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
2 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。
(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第四十一条 強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。
2 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。
3 民事訴訟法第五十六条第二項から第四項までの規定は、前項の特別代理人について準用する。
(執行費用の負担)
第四十二条 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
3 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾若しくは調停の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
4 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所が定める。
5 前項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第四項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
7 民事訴訟法第百条第二項、第百一条第一項及び第百五条の規定は、第四項の申立てについて準用する。
第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第一款 不動産に対する強制執行
第一目 通則
(不動産執行の方法)
第四十三条 不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「不動産執行」という。)は、強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行については、不動産の共有持分、登記された地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有持分は、不動産とみなす。
(執行裁判所)
第四十四条 不動産執行については、その所在地(前条第二項の規定により不動産とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがつて存在する場合には、その建物に対する強制執行については建物の存する土地の所在地を管轄する各地方裁判所が、その土地に対する強制執行については土地の所在地を管轄する地方裁判所又は建物に対する強制執行の申立てを受けた地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 前項の場合において、執行裁判所は、必要があると認めるときは、事件を他の管轄裁判所に移送することができる。
4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第二目 強制競売
(開始決定等)
第四十五条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
2 前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。
3 強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの効力)
第四十六条 差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
2 差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。
(二重開始決定)
第四十七条 強制競売又は担保権の実行としての競売(以下この節において「競売」という。)の開始決定がされた不動産について強制競売の申立てがあつたときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする。
2 先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の申立てが取リ下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の手続が取り消されたときは、執行裁判所は、後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行しなければならない。
3 前項の場合において、後の強制競売の開始決定が配当要求の終期後の申立てに係るものであるときは、執行裁判所は、新たに配当要求の終期を定めなければならない。この場合において、既に第五十条第一項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の届出をした者に対しては、第四十九条第二項の規定による催告は、要しない。
4 先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が停止されたときは、執行裁判所は、申立てにより、後の強制競売の開始決定(配当要求の終期までにされた申立てに係るものに限る。)に基づいて手続を続行する旨の裁判をすることができる。ただし、先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が取り消されたとすれば、第六十二条第二号に掲げる事項について変更が生ずるときは、この限りでない。
5 前項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの登記の嘱託等)
第四十八条 強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。
2 登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記簿の謄本を執行裁判所に送付しなければならない。
(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第四十九条 強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、執行裁判所は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。
2 配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。
一 第八十七条第一項第三号に掲げる債権者
二 第八十七条第一項第四号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)
三 租税その他の公課を所管する官庁又は公署
3 執行裁判所は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。
4 前項の規定により配当要求の終期が延期されたときは、裁判所書記官は、延期後の終期を公告しなければならない。
(催告を受けた者の債権の届出義務)
第五十条 前条第二項の規定による催告を受けた同項第一号又は第二号に掲げる者は、配当要求の終期までに、その催告に係る事項について届出をしなければならない。
2 前項の届出をした者は、その届出に係る債権の元本の額に変更があつたときは、その旨の届出をしなければならない。
3 前二項の規定により届出をすべき者は、故意又は過失により、その届出をしなかつたとき、又は不実の届出をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(配当要求)
第五十一条 第二十五条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び第百八十一条第一項各号に掲げる文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(配当要求の終期の変更)
第五十二条 配当要求の終期から、三月以内に売却許可決定がされないとき、又は三月以内にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたときは、配当要求の終期は、その終期から三月を経過した日に変更されたものとみなす。ただし、配当要求の終期から三月以内にされた売却許可決定が効力を失つた場合において、第六十七条の規定による次順位買受けの申出について売却許可決定がされたとき(その決定が取り消され、又は効力を失つたときを除く。)は、この限りでない。
(不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)
第五十三条 不動産の滅失その他売却による不動産の移転を妨げる事情が明らかとなつたときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
(差押えの登記の 抹消の嘱託)
第五十四条 強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その開始決定に係る差押えの登記の 抹消を嘱託しなければならない。
2 前項の規定による嘱託に要する登記免許税その他の費用は、その取下げ又は取消決定に係る差押債権者の負担とする。
(売却のための保全処分)
第五十五条 債務者が、不動産の価格を著しく減少する行為をするとき、又はそのおそれがある行為をするときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を限く。次条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、又は一定の行為を命ずることができる。
2 債務者が前項の規定による命令に違反したときは、執行裁判所は、同項の命令を申し立てた者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、債務者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
3 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前二項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
4 前三項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
6 第二項の規定による決定は、申立人に告知された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。
7 第二項の規定による決定は、相手方に送達される前であつても、執行することができる。
8 第一項若しくは第二項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用は、その不動産に対する強制競売の手続においては、共益費用とする。
(地代等の代払の許可)
第五十六条 建物に対し強制競売の開始決定がされた場合において、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権について債務者が地代又は借賃を支払わないときは、執行裁判所は、申立てにより、差押債権者がその不払の地代又は借賃を債務者に代わつて弁済することを許可することができる。
2 前条第八項の規定は、前項の申立てに要した費用及び同項の許可を得て支払つた地代又は借賃について準用する。
(現況調査)
第五十七条 執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。
2 執行官は、前項の調査をするに際し、不動産に立ち入り、又は債務者若しくはその不動産を占有する第三者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。
3 執行官は、前項の規定により不動産に立ち入る場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
(評価)
第五十八条 執行裁判所は、評価人を選任し、不動産の評価を命じなければならない。
2 評価人は、第六条第二項の規定により執行官に対し援助を求めるには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
3 前条第二項の規定は、評価人が評価をする場合について準用する。
(売却に伴う権利の消滅等)
第五十九条 不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。
2 前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。
3 不動産に係る差押え、仮差押えの執行及び第一項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。
4 不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第二項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによつて担保される債権を弁済する責めに任ずる。
5 利害関係を有する者が最低売却価額が定められる時までに第一項、第二項又は前項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による不動産の上の権利の変動は、その合意に従う。
(最低売却価額の決定等)
第六十条 執行裁判所は、評価人の評価に基づいて最低売却価額を定めなければならない。
2 執行裁判所は、必要があると認めるときは、最低売却価額を変更することができる。
(一括売却)
第六十一条 執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産を一括して売却することを定めることができる。ただし、一個の申立てにより強制競売の開始決定がされた数個の不動産のうち、あるものの最低売却価額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある場合には、債務者の同意があるときに限る。
(物件明細書)
第六十二条 執行裁判所は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成し、一般の閲覧に供するために、その写しを執行裁判所に備え置かなければならない。
一 不動産の表示
二 不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの
三 売却により設定されたものとみなされる地上権の概要
(剰余を生ずる見込みのない場合の措置)
第六十三条 執行裁判所は、不動産の最低売却価額で執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)及び差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第四項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)を弁済して剰余を生ずる見込みがないと認めるときは、その旨を差押債権者に通知しなければならない。
2 差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、手続費用及び優先債権の見込額を超える額(以下この条において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者がその期間内に同項の剰余を生ずる見込みがあることを証明したときは、この限りでない。
一 差押債権者が不動産の買受人になることができる場合
申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
二 差押債権者が不動産の買受人になることができない場合
買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と最低売却価額との差額に相当する保証の提供
3 前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、最低売却価額を超える価額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
4 第二項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。
(売却の方法及び公告)
第六十四条 不動産の売却は、執行裁判所の定める売却の方法により行う。
2 不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。
3 執行裁判所は、入札又は競り売りの方法により売却をするときは、売却の日時及び場所を定め、執行官に売却を実施させなければならない。
4 前項の場合においては、裁判所書記官は、売却すべき不動産の表示、最低売却価額並びに売却の日時及び場所を公告しなければならない。
(売却の場所の秩序維持)
第六十五条 執行官は、次に掲げる者に対し、売却の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は買受けの申出をさせないことができる。
一 他の者の買受けの申出を妨げ、若しくは不当に価額を引き下げる目的をもつて連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし、又はその行為をさせた者
二 他の民事執行の手続の売却不許可決定において前号に該当する者と認定され、その売却不許可決定の確定の日から二年を経過しない者
三 民事執行の手続における売却に関し刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十五条から第九十六条ノ三まで、第百九十七条から第百九十七条ノ四まで又は第百九十八条の規定により刑に処せられ、その裁判の確定の日から二年を経過しない者
(買受けの申出の保証)
第六十六条 不動産の買受けの申出をしようとする者は、最高裁判所規則で定めるところにより、執行裁判所が定める額及び方法による保証を提供しなければならない。
(次順位買受けの申出)
第六十七条 最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をした者は、その買受けの申出の額が、最低売却価額を超え、かつ、最高価買受申出人の申出の額から買受けの申出の保証の額を控除した額を超える場合に限り、売却の実施の終了までに、執行官に対し、最高価買受申出人に係る売却許可決定が第八十条第一項の規定により効力を失うときは、自己の買受けの申出について売却を許可すべき旨の申出(以下「次順位買受けの申出」という。)をすることができる。
(債務者の買受けの申出の禁止)
第六十八条 債務者は、買受けの申出をすることができない。
(売却決定期日)
第六十九条 執行裁判所は、売却決定期日を開き、売却の許可又は不許可を言い渡さなければならない。
(売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)
第七十条 不動産の売却の許可又は不許可に関し利害関係を有する者は、次条各号に掲げる事由で自己の権利に影響のあるものについて、売却決定期日において意見を陳述することができる。
(売却不許可事由)
第七十一条 執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。
一 強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
二 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
三 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
四 最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
イ その強制競売の手続において第六十五条第一号に規定する行為をした者
ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
ハ 第六十五条第二号又は第三号に掲げる者
五 第七十五条第一項の規定による売却の不許可の申出があること。
六 最低売却価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
七 売却の手続に重大な誤りがあること。
(売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)
第七十二条 売却の実施の終了から売却決定期日の終了までの間に第三十九条第一項第七号に掲げる文書の提出があつた場合には、執行裁判所は、他の事由により売却不許可決定をするときを除き、売却決定期日を開くことができない。この場合においては、最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
2 売却決定期日の終了後に前項に規定する文書の提出があつた場合には、その期日にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその期日にされた売却不許可決定が確定したときに限り、第三十九条の規定を適用する。
3 売却の実施の終了後に第三十九条第一項第八号に掲げる文書の提出があつた場合には、その売却に係る売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその売却に係る売却不許可決定が確定したときに限り、同条の規定を適用する。
(超過売却となる場合の措置)
第七十三条 数個の不動産を売却した場合において、あるものの買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがあるときは、執行裁判所は、他の不動産についての売却許可決定を留保しなければならない。
2 前項の場合において、その買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある不動産が数個あるときは、執行裁判所は、売却の許可をすべき不動産について、あらかじめ、債務者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により売却許可決定が留保された不動産の最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
4 売却許可決定のあつた不動産について代金が納付されたときは、執行裁判所は、前項の不動産に係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第七十四条 売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。
2 売却許可決定に対する執行抗告は、第七十一条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。
3 民事訴訟法第四百二十条第一項各号に掲げる事由は、前二項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。
4 抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。
5 売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
第七十五条 最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
2 前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
3 前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
第七十六条 買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がある場合において、取下げにより第六十二条第二号に掲げる事項について変更が生じないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、買受けの申出があつた後に第三十九条第一項第四号又は第五号に掲げる文書を提出する場合について準用する。
(最高価買受申出人又は買受人のための保全処分)
第七十七条 債務者が、不動産の価格を減少させ、若しくは引渡しを困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、最高価買受申出人又は買受人の申立てにより、引渡命令の執行までの間、代金又はその額(買受けの申出の際に提供した保証が金銭でされているときは、その額を控除した残額)に相当する金銭を納付させ、かつ、担保を立てさせ、又は立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、一定の行為を命じ、又は不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
2 第五十五条第三項から第七項までの規定は前項の規定による決定について、同条第四項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する第五十五条第三項の申立てについての裁判について準用する。
(代金の納付)
第七十八条 売却許可決定が確定したときは、買受人は、執行裁判所の定める期限までに代金を執行裁判所に納付しなければならない。
2 買受人が買受けの申出の保証として提供した金銭及び前条第一項の規定により納付した金銭は、代金に充てる。
3 買受人が第六十三条第二項第一号の保証を金銭の納付以外の方法で提供しているときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところによりこれを換価し、その換価代金から換価に要した費用を控除したものを代金に充てる。この場合において、換価に要した費用は、買受人の負担とする。
4 買受人は、売却代金から配当又は弁済を受けるべき債権者であるときは、売却決定期日の終了までに執行裁判所に申し出て、配当又は弁済を受けるべき額を差し引いて代金を配当期日又は弁済金の交付の日に納付することができる。この場合において、買受人の受けるべき配当の額について異議の陳述又は申出があつたときは、買受人は、直ちに、異議に係る部分に相当する金銭を納付しなければならない。
(不動産の取得の時期)
第七十九条 買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。
(代金不納付の効果)
第八十条 買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。この場合においては、買受人は、第六十六条の規定により提供した保証の返還を請求することができない。
2 前項前段の場合において、次順位買受けの申出があるときは、執行裁判所は、その申出について売却の許可又は不許可の決定をしなければならない。
(法定地上権)
第八十一条 土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至つたときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
(代金納付による登記の嘱託)
第八十二条 買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、次に掲げる登記及び登記の 抹消を嘱託しなければならない。
一 買受人の取得した権利の移転の登記
二 売却により消滅した権利又は売却により効力を失つた権利の取得若しくは仮処分に係る登記の 抹消
三 差押え又は仮差押えの登記の 抹消
2 前項の規定による嘱託をするには、嘱託書に売却許可決定の正本を添付しなければならない。
3 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、買受人の負担とする。
(引渡命令)
第八十三条 執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は事件の記録上差押えの効力発生前から権原により占有している者でないと認められる不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上差押えの効力発生後に占有した者で買受人に対抗することができる権原により占有していると認められるものに対しては、この限りでない。
2 買受人は、代金を納付した日から六月を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
3 執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
4 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
(売却代金の配当等の実施)
第八十四条 執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行裁判所は、売却代金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 代金の納付後に第三十九条第一項第一号から第六号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4 代金の納付後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。
(配当表の作成)
第八十五条 執行裁判所は、配当期日において、配当表を作成する。
2 配当期日には、第八十七条第一項各号に掲げる債権者及び債務者を呼び出さなければならない。
3 執行裁判所は、配当期日において、配当表の作成に関し、出頭した債権者及び債務者を審尋し、並びに即時に取り調べることができる書証の取調べをすることができる。
4 配当表には、売却代金の額のほか、各債権者について、債権の元本、利息その他の附帯の債権、執行費用の額並びに配当の順位及び額を記載しなければならない。
5 前項に規定する配当の順位及び額は、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合にはその合意により、その他の場合には民法、商法その他の法律の定めるところにより記載しなければならない。
(売却代金)
第八十六条 売却代金は、次に掲げるものとする。
一 不動産の代金
二 第六十三条第二項第二号の規定により提供した保証のうち申出額から代金の額を控除した残額に相当するもの
三 第八十条第一項後段の規定により買受人が返還を請求することができない保証
2 第六十一条の規定により不動産が一括して売却された場合において、各不動産ごとに売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各不動産の最低売却価額に応じて案分して得た額とする。各不動産ごとの執行費用の負担についても、同様とする。
3 第七十八条第三項の規定は、第一項第二号又は第三号に規定する保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に提げる者とする。
一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者
三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
四 差押えの登記前に登記された先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
2 前項第四号に掲げる債権者の権利が仮差押えの登記後に登記されたものである場合には、その債権者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押えがその効力を失つたときに限り、配当等を受けることができる。
3 差押えに係る強制競売の手続が停止され、第四十七条第四項の規定による手続を続行する旨の裁判がある場合において、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等において敗訴したときは、差押えの登記後続行の裁判に係る差押えの登記前に登記された第一項第四号に規定する権利を有する債権者は、配当等を受けることができる。
(期限付債権の配当等)
第八十八条 確定期限の到来していない債権は、配当等については、弁済期が到来したものとみなす。
2 前項の債権が無利息であるときは、配当等の日から期限までの法定利率による利息との合算額がその債権の額となるべき元本額をその債権の額とみなして、配当等の額を計算しなければならない。
(配当異議の申出)
第八十九条 配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。
2 執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。
(配当異議の訴え等)
第九十条 配当異議の申出をした債権者及び執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。
2 前項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
3 第一項の訴えは、原告が最初の口頭弁論期日に出頭しない場合には、その責めに帰することができない事由により出頭しないときを除き、却下しなければならない。
4 第一項の訴えの判決においては、配当表を変更し、又は新たな配当表の調製のために、配当表を取り消さなければならない。
5 執行力のある債務名義の正本を有する債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、請求異議の訴えを提起しなければならない。
6 配当異議の申出をした債権者又は債務者が、配当期日(知れていない抵当証券の所持人に対する配当異議の申出にあつては、その所持人を知つた日)から一週間以内に、執行裁判所に対し、第一項の訴えを提起したことの証明をしないとき、又は前項の訴えを提起したことの証明及びその訴えに係る執行停止の裁判の正本の提出をしないときは、配当異議の申出は、取り下げたものとみなす。
(配当等の額の供託)
第九十一条 配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
一 停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二 仮差押債権者の債権であるとき。
三 第三十九条第一項第七号に掲げる文書が提出されているとき。
四 その債権に係る先取特権、質権又は抵当権(以下この項において「先取特権等」という。)の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
五 その債権に係る先取特権等が仮登記されたものであるとき。
六 仮差押え又は執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき。
七 配当異議の訴えが提起されたとき。
2 裁判所書記官は、配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかつた債権者(知れていない抵当証券の所持人を含む。)に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
(権利確定等に伴う配当等の実施)
第九十二条 前条第一項の規定による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施しなければならない。
2 前項の規定により配当を実施すべき場合において、前条第一項第一号から第五号までに掲げる事由による供託に係る債権者若しくは同項第六号に掲げる事由による供託に係る仮差押債権者若しくは執行を停止された差押債権者に対して配当を実施することができなくなつたとき、又は同項第七号に掲げる事由による供託に係る債権者が債務者の提起した配当異議の訴えにおいて敗訴したときは、執行裁判所は、配当異議の申出をしなかつた債権者のためにも配当表を変更しなければならない。
第三目 強制管理
(開始決定等)
第九十三条 執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び収益の給付義務を負う第三者があるときは、その第三者に対し収益を管理人に給付すべき旨を命じなければならない。
2 前項の収益は、既に収穫し、又は後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。
3 第一項に規定する第三者に対する同項の開始決定の効力は、開始決定がその第三者に送達された時に生ずる。
4 第一項の開始決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(管理人の選任)
第九十四条 執行裁判所は、強制管理の開始決定と同時に、管理人を選任しなければならない。
2 信託会社、銀行その他の法人は、管理人となることができる。
(管理人の権限)
第九十五条 管理人は、強制管理の開始決定がされた不動産について、管理並びに収益の収取及び換価をすることができる。
2 管理人は、民法第六百二条に定める期間を超えて不動産を賃貸するには、債務者の同意を得なければならない。
3 管理人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、執行裁判所の許可を受けて、職務を分掌することができる。
4 管理人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(強制管理のための不動産の占有等)
第九十六条 管理人は、不動産について、債務者の占有を解いて自らこれを占有することができる。
2 管理人は、前項の場合において、閉鎖した戸を開く必要があると認めるときは、執行官に対し援助を求めることができる。
3 第五十七条第三項の規定は、前項の規定により援助を求められた執行官について準用する。
(建物使用の許可)
第九十七条 債務者の居住する建物について強制管理の開始決定がされた場合において、債務者が他に居住すべき場所を得ることができないときは、執行裁判所は、申立てにより、債務者及びその者と生計を一にする同居の親族(婚姻又は縁組の届出をしていないが債務者と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にある者を含む。以下「債務者等」という。)の居住に必要な限度において、期間を定めて、その建物の使用を許可することができる。
2 債務者が管理人の管理を妨げたとき、又は事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
3 前二項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(収益等の分与)
第九十八条 強制管理により債務者の生活が著しく困窮することとなるときは、執行裁判所は、申立てにより、管理人に対し、収益又はその換価代金からその困窮の程度に応じ必要な金銭又は収益を債務者に分与すべき旨を命ずることができる。
2 前条第二項の規定は前項の規定による決定について、同条第三項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する前条第二項の申立てについての決定について準用する。
(管理人の監督)
第九十九条 管理人は、執行裁判所が監督する。
(管理人の注意義務)
第百条 管理人は、善良な管理者の注意をもつてその職務を行わなければならない。
2 管理人が前項の注意を怠つたときは、その管理人は、利害関係を有する者に対し、連帯して損害を賠償する責めに任ずる。
(管理人の報酬等)
第百一条 管理人は、強制管理のため必要な費用の前払及び執行裁判所の定める報酬を受けることができる。
2 前項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(管理人の解任)
第百二条 重要な事由があるときは、執行裁判所は、利害関係を有する者の申立てにより、又は職権で、管理人を解任することができる。この場合においては、その管理人を審尋しなければならない。
(計算の報告義務)
第百三条 管理人の任務が終了した場合においては、管理人又はその承継人は、遅滞なく、執行裁判所に計算の報告をしなければならない。
(強制管理の停止)
第百四条 第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合においては、強制管理は、配当等の手続を除き、その時の態様で継続することができる。この場合においては、管理人は、配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
2 前項の規定により供託された金銭の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、執行裁判所は、配当等の手続を除き、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(配当要求)
第百五条 執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、執行裁判所に対し、配当要求をすることができる。
2 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(配当等に充てるべき金銭等)
第百六条 配当等に充てるべき金銭は、第九十八条第一項の規定による分与をした後の収益又はその換価代金から、不動産に対して課される租税その他の公課及び管理人の報酬その他の必要な費用を控除したものとする。
2 配当等に充てるべき金銭を生ずる見込みがないときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(管理人による配当等の実施)
第百七条 管理人は、前条第一項に規定する費用を支払い、執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 前項に規定する場合を除き、配当等に充てるべき金銭の配当について債権者間に協議が調つたときは、管理人は、その協議に従い配当を実施する。
4 配当等を受けるべき債権者は、第一項の期間の満了までに、強制管理の申立てをした差押債権者及び仮差押債権者並びに配当要求をした債権者とする。
5 第三項の協議が調わないときは、管理人は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(管理人による配当等の額の供託)
第百八条 配当等を受けるべき債権者の債権が、仮差押債権者の債権であるとき、又は第三十九条第一項第七号に掲げる文書の提出されている債権であるときは、管理人は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。債権者が配当等の受領のために出頭しなかつたときも、同様とする。
(執行裁判所による配当等の実施)
第百九条 執行裁判所は、第百七条第五項の規定による届出があつた場合には直ちに、第百四条第一項又は前条の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
(弁済による強制管理の手続の取消し)
第百十条 各債権者が配当等によりその債権及び執行費用の全部の弁済を受けたときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(強制競売の規定の準用)
第百十一条 第四十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項、第四十七条第一項、第二項、第四項本文及び第五項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は強制管理について、第八十四条第一項及び第二項、第八十五条並びに第八十九条から第九十二条までの規定は第百九条の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
第二款 船舶に対する強制執行
(船舶執行の方法)
第百十二条 総トン数二十トン以上の船舶(端舟その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。以下この節において「船舶」という。)に対する強制執行(以下「船舶執行」という。)は、強制競売の方法により行う。
(執行裁判所)
第百十三条 船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
(開始決定等)
第百十四条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、かつ、執行官に対し、船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命じなければならない。ただし、その開始決定前にされた開始決定により船舶国籍証書等が取り上げられているときは、執行官に対する命令を要しない。
2 強制競売の開始決定においては、債権者のために船舶を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し船舶の出航を禁止しなければならない。
3 強制競売の開始決定の送達又は差押えの登記前に執行官が船舶国籍証書等を取り上げたときは、差押えの効力は、その取上げの時に生ずる。
(船舶執行の申立て前の船舶国籍証書等の引渡命令)
第百十五条 船舶執行の申立て前に船舶国籍証書等を取り上げなければ船舶執行が著しく困難となるおそれがあるときは、その船舶の船籍の所在地(船籍のない船舶にあつては、最高裁判所の指定する地)を管轄する地方裁判所は、申立てにより、債務者に対し、船舶国籍証書等を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。急迫の事情があるときは、船舶の所在地を管轄する地方裁判所も、この命令を発することができる。
2 前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 第一項の申立てをするには、執行力のある債務名義の正本を提示し、かつ、同項に規定する事由を疎明しなければならない。
4 執行官は、船舶国籍証書等の引渡しを受けた日から五日以内に債権者が船舶執行の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、その船舶国籍証書等を債務者に返還しなければならない。
5 第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7 第五十五条第六項から第八項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。
(保管人の選任等)
第百十六条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。
2 前項の保管人が船舶の保管のために要した費用(第四項において準用する第百一条第一項の報酬を含む。)は、手続費用とする。
3 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第九十四条第二項、第九十六条及び第九十九条から第百三条までの規定は、第一項の保管人について準用する。
(保証の提供による強制競売の手続の取消し)
第百十七条 差押債権者の債権について、第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書が提出されている場合において、債務者が差押債権者及び保証の提供の時(配当要求の終期後にあつては、その終期)までに配当要求をした債権者の債権及び執行費用の総額に相当する保証を買受けの申出前に提供したときは、執行裁判所は、申立てにより、配当等の手続を除き、強制競売の手続を取り消さなければならない。
2 前項に規定する文書の提出による執行停止がその効力を失つたときは、執行裁判所は、同項の規定により提供された保証について、同項の債権者のために配当等を実施しなければならない。この場合において、執行裁判所は、保証の提供として供託された有価証券を取り戻すことができる。
3 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第十二条の規定は、第一項の規定による決定については適用しない。
5 第十五条の規定は第一項の保証の提供について、第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の供託以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
(航行許可)
第百十八条 執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立てにより、船舶の航行を許可することができる。
2 前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
3 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
(事件の移送)
第百十九条 執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。
2 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)
第百二十条 執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
(不動産に対する強制競売の規定の準用)
第百二十一条 前款第二目(第四十五条第一項、第四十六条第二項、第四十八条、第五十四条、第五十五条第二項、第六項及び第七項、第五十六条、第八十一条並びに第八十二条を除く。)の規定は船舶執行について、第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶に対する強制執行について準用する。
第三款 動産に対する強制執行
(動産執行の開始等)
第百二十二条 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。
2 動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。
(債務者の占有する動産の差押え)
第百二十三条 債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。
2 執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。
3 執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。
4 執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。
5 執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。
(債務者以外の者の占有する動産の差押え)
第百二十四条 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、債権者又は提出を拒まない第三者の占有する動産の差押えについて準用する。
(二重差押えの禁止及び事件の併合)
第百二十五条 執行官は、差押物又は仮差押えの執行をした動産を更に差し押さえることができない。
2 差押えを受けた債務者に対しその差押えの場所について更に動産執行の申立てがあつた場合においては、執行官は、まだ差し押さえていない動産があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その動産執行事件と先の動産執行事件とを併合しなければならない。仮差押えの執行を受けた債務者に対しその執行の場所について更に動産執行の申立てがあつたときも、同様とする。
3 前項前段の規定により二個の動産執行事件が併合されたときは、後の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、先の事件において差し押さえられたものとみなし、後の事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。先の差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、後の事件のために差し押さえられたものとみなす。
4 第二項後段の規定により仮差押執行事件と動産執行事件とが併合されたときは、仮差押えの執行がされた動産は、併合の時に、動産執行事件において差し押さえられたものとみなし、仮差押執行事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が取り消されたときは、動産執行事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、仮差押執行事件において仮差押えの執行がされたものとみなす。
(差押えの効力が及ぶ範囲)
第百二十六条 差押えの効力は、差押物から生ずる天然の産出物に及ぶ。
(差押物の引渡命令)
第百二十七条 差押物を第三者が占有することとなつたときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その第三者に対し、差押物を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。
2 前項の申立ては、差押物を第三者が占有していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。
3 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第五十五条第六項から第八項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。
(超過差押えの禁止等)
第百二十八条 動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。
2 差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。
(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第百二十九条 差し押さえるべき動産の売得金で手続費用を弁済して剰余を生ずる見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。
2 差押物の売得金で差押債権者の債権に優先する債権及び手続費用を弁済して剰余を生ずる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。
(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)
第百三十条 差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。
(差押禁止動産)
第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の生活に必要な二月間の食料及び燃料
三 標準的な世帯の一月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
四 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
五 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
六 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
七 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
八 仏像、位 牌その他礼拝又は祭 祀に直接供するため欠くことができない物
九 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
十 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
(差押禁止動産の範囲の変更)
第百三十二条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押えが取り消された動産の差押えを許し、又は同項の規定による差押えの全部若しくは一部の取消しを命ずることができる。
3 前二項の規定により差押えの取消しの命令を求める申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで強制執行の停止を命ずることができる。
4 第一項又は第二項の申立てを却下する決定及びこれらの規定により差押えを許す決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(先取持権者等の配当要求)
第百三十三条 先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。
(売却の方法)
第百三十四条 執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。
(売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)
第百三十五条 第六十五条及び第六十八条の規定は、差押物を売却する場合について準用する。
(手形等の提示義務)
第百三十六条 執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。
(執行停止中の売却)
第百三十七条 第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合において、差押物について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、その差押物を売却することができる。
2 執行官は、前項の規定により差押物を売却したときは、その売得金を供託しなければならない。
(有価証券の裏書等)
第百三十八条 執行官は、有価証券を売却したときは、買受人のために、債務者に代わつて裏書又は名義書換えに必要な行為をすることができる。
(執行官による配当等の実施)
第百三十九条 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売得金、差押金銭若しくは手形等の支払金(以下「売得金等」という。)で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
2 前項に規定する場合を除き、売得金等の配当について債権者間に協議が調つたときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する。
3 前項の協議が調わないときは、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
4 第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は、第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合について準用する。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百四十条 配当等を受けるべき債権者は、差押債権者のほか、売得金については執行官がその交付を受けるまで(第百三十七条又は第百七十七条第三項の規定により供託された売得金については、動産執行が続行されることとなるまで)に、差押金銭についてはその差押えをするまでに、手形等の支払金についてはその支払を受けるまでに配当要求をした債権者とする。
(執行官の供託)
第百四十一条 第百三十九条第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合において、配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、執行官は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
一 停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二 仮差押債権者の債権であるとき。
三 第三十九条第一項第七号に掲げる文書が提出されているとき。
四 その債権に係る先取特権又は質権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
2 執行官は、配当等の受領のために出頭しなかつた債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
(執行裁判所による配当等の実施)
第百四十二条 執行裁判所は、第百三十九条第三項の規定による届出があつた場合には直ちに、前条第一項の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
2 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
(債権執行の開始)
第百四十三条 金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(以下「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
(執行裁判所)
第百四十四条 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
3 差押えに係る債権について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(差押命令)
第百四十五条 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、及び第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
3 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
4 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
5 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの範囲)
第百四十六条 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
(第三債務者の陳述の催告)
第百四十七条 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(債権証書の引渡し)
第百四十八条 差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
2 差押債権者は、差押命令に基づいて、第百六十九条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。
(差押えが一部競合した場合の効力)
第百四十九条 債権の一部が差押さえられ、又は仮差し押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。
(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第百五十条 登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。
(継続的給付の差押え)
第百五十一条 給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。
(差押禁止債権)
第百五十二条 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
(差押禁止債権の範囲の変更)
第百五十三条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3 前二項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。
4 第一項又は第二項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(配当要求)
第百五十四条 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2 前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
3 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押債権者の金銭債権の取立て)
第百五十五条 金銭の支払を目的とする債権(以下「金銭債権」という。)を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
3 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
(第三債務者の供託)
第百五十六条 第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3 第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(取立訴訟)
第百五十七条 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
2 前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
4 前条第二項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
5 強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
(債権者の損害賠償)
第百五十八条 差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(転付命令)
第百五十九条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
(転付命令の効力)
第百六十条 差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
(譲渡命令等)
第百六十一条 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
2 執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5 執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
6 第百五十九条第二項及び第三項並びに前条の規定は譲渡命令について、第百五十九条第六項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第六十五条及び第六十八条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第百五十九条第二項の規定は管理命令について、第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十四条第二項、第九十五条第一項、第三項及び第四項、第九十八条から第百四条まで並びに第百六条から第百十条までの規定は管理命令に基づく管理について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百六十一条において準用する第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
(船舶の引渡請求権の執行)
第百六十二条 船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
2 前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
3 第一項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第百十六条第一項の規定により選任された保管人とみなす。
(動産の引渡請求権の差押命令の執行)
第百六十三条 動産の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができる。
2 執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならない。
(移転登記等の嘱託)
第百六十四条 第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が確定したとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の 抹消を嘱託しなければならない。
2 前項の規定による嘱託をするには、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
3 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
4 第百五十条の規定により登記等がされた場合において、差し押えられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
5 前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百六十五条 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。
一 第三債務者が第百五十六条第一項又は第二項の規定による供託をした時
二 取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
三 売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
四 動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時
(配当等の実施)
第百六十六条 執行裁判所は、第百六十一条第六項において準用する第百九条に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、配当等を実施しなければならない。
一 第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定による供託がされた場合
二 売却命令による売却がされた場合
三 第百六十三条第二項の規定により売得金が提出された場合
2 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
(その他の財産権に対する強制執行)
第百六十七条 不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。
2 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。
3 その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
4 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。
5 第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は、権利の移転について登記等を要すその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。
第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行
(不動産の引渡し等の強制執行)
第百六十八条 不動産又は人の居住する船舶等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の目的物に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 前項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
3 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産又は船舶等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
4 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、これを保管しなければならない。
5 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
6 第四項に規定する者に同項の動産を引き渡すことができないときは、執行官は、動産執行の売却の手続によりこれを売却することができる。
7 前項の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
(動産の引渡しの強制執行)
第百六十九条 前条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
2 第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び前条第四項から第七項までの規定は、前項の強制執行について準用する。
(目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)
第百七十条 第三者が強制執行の目的物を占有している場合においてその物を債務者に引き渡すべき義務を負つているときは、物の引渡しの強制執行は、執行裁判所が、債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法により行う。
2 第百四十四条、第百四十五条、第百四十七条、第百四十八条、第百五十五条第一項及び第二項並びに第百五十八条の規定は、前項の強制執行について準用する。
(作為又は不作為の強制執行)
第百七十一条 民法第四百十四条第二項本文又は第三項に規定する請求に係る強制執行は、執行裁判所が民法の規定に従い決定をする方法により行う。
2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第二号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
3 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
4 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、申立てによリ、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。
5 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第六条第二項の規定は、第一項の決定を執行する場合について準用する。
第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
3 執行裁判所は、第二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
(意思表示の擬制)
第百七十三条 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾若しくは調停に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第二十七条第一項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第三項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
2 債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
3 債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。
第三章 仮差押え及び仮処分の執行
(仮差押えの執行の要件)
第百七十四条 仮差押えの執行は、仮差押命令の正本に基づいて実施する。ただし、仮差押命令に表示された当事者以外の者に対し、又はその者のためにする仮差押えの執行は、執行文の付与された仮差押命令の正本に基づいて実施する。
2 仮差押えは、仮差押命令が言い渡された日又は債権者に対して仮差押命令が送達された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。
3 仮差押えは、仮差押命令が債務者に送達される前であつても、執行することができる。
4 第二十三条第一項、第二十六条、第二十七条第二項、第二十八条、第三十条第二項、第三十二条から第三十四条まで、第三十六条から第三十八条まで、第三十九条第一項第一号から第四号まで、第六号及び第七号、第四十条並びに第四十一条の規定は、仮差押えの執行について準用する。
(不動産に対する仮差押えの執行)
第百七十五条 第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において「不動産」という。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。
4 強制管理の方法による仮差押えの執行においては、管理人は、次項において準用する第百七条第一項の規定により計算した配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
5 第四十五条第三項、第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条及び第五十四条の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、第四十四条、第四十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項、第四十七条第一項、第二項、第四項本文及び第五項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第九十三条から第百四条まで、第百六条並びに第百七条第一項の規定は強制管理の方法による仮差押えの執行について準用する。
(船舶に対する仮差押えの執行)
第百七十六条 第百十二条に規定する船舶(以下この章において「船舶」という。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は執行官に対し船舶国籍証書等を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命ずる方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行は仮差押命令を発した裁判所が、船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行は船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 第四十五条第三項、第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条、第五十四条及び前条第三項の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、第四十五条第三項、第五十三条、第百十六条及び第百十八条の規定は船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行について準用する。
(動産に対する仮差押えの執行)
第百七十七条 第百二十二条第一項に規定する動産(以下この条において「動産」という。)に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行う。
2 執行官は、仮差押えの執行に係る金銭を供託しなければならない。仮差押えの執行に係る手形等について執行官が支払を受けた金銭についても、同様とする。
3 仮差押えの執行に係る動産について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。
4 第百二十三条第二項から第五項まで、第百二十四条から第百二十九条まで、第百三十一条、第百三十二条及び第百三十六条の規定は、動産に対する仮差押えの執行について準用する。
(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)
第百七十八条 第百四十三条に規定する債権(以下この条において「債権」という。)に対する仮差押えの執行は、執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。
2 前項の仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭債権の額に相当する金銭を供託した場合には、債務者が民事訴訟法第七百四十三条の規定により仮差押命令に記載された金額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし、その金額を超える部分については、この限りでない。
4 第一項及び第二項の規定は、第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この章において「その他の財産権」という。)に対する仮差押えの執行について準用する。
5 第百四十五条第二項から第五項まで、第百四十六条から第百五十三条まで、第百五十六条、第百六十四条第四項及び第五項並びに第百六十七条の規定は、債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。
(仮差押えの執行の取消し)
第百七十九条 債務者が民事訴訟法第七百四十三条の規定により仮差押命令に記載された金額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。
2 第十二条第二項の規定は、前項の規定による決定については適用しない。
(仮処分の執行)
第百八十条 仮処分の執行については、この条に定めるもののほか、仮差押えの執行又は強制執行の例による。
2 物の給付その他の作為又は不作為を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令を債務名義とみなす。
3 第四十六条、第四十八条第二項、第五十三条、第五十四条並びに第百七十五条第二項及び第三項の規定は、不動産又は登記等をすることができる船舶若しくはその他の財産権の処分を禁止する仮処分の執行について準用する。
4 第百七十四条第一項から第三項までの規定は、仮処分の執行について準用する。
第四章 担保権の実行としての競売等
(不動産競売の要件等)
第百八十一条 第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下「不動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下この章において「不動産競売」という。)は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
一 担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
二 担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
三 担保権の登記(仮登記を除く。)のされている登記簿の謄本
四 一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
2 抵当証券の所持人が不動産競売の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
3 担保権について承継があつた後不動産競売の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
4 不動産競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産競売の申立てにおいて提出された前三項に規定する文書の目録及び第一項第四号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。
(開始決定に対する執行異議)
第百八十二条 不動産競売の開始決定に対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。
(不動産競売の手続の停止)
第百八十三条 不動産競売の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本
二 第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を 抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本
三 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本
四 担保権の登記の 抹消されている登記簿の謄本
五 担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本
2 前項第一号から第四号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
3 第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。
(代金の納付による不動産取得の効果)
第百八十四条 代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。
(増価競売の請求に基づく不動産競売の申立て)
第百八十五条 民法第三百八十四条第二項に規定する増価競売の請求に基づく不動産競売の申立ては、第三取得者に増価競売の請求を発した日から一週間以内にしなければならない。
2 債権者が、前項の申立てをした日から二週間以内に、民法第三百八十四条第一項に規定する期間内に増価競売の請求をしたことを証明しないときは、その申立ては、取り下げたものとみなす。
(増価競売の請求に基づく不動産競売における保証の提供)
第百八十六条 前条第一項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、申立人(申立人が数人あるときは、最初の申立人)に対し、期間を定めて、第三取得者が提供した金額にその十分の一の額を加えた額に相当する保証の提供を命じなければならない。ただし、申立人が不動産を取得する資格を有しないときは、第三取得者の提供した金額の十分の一の額に相当する保証の提供を命ずるものとする。
2 前項の保証の提供がないときは、執行裁判所は、不動産競売の申立てを却下しなければならない。
3 次条後段の場合において、他に増価競売の請求に基づく不動産競売の申立てがあるときは、執行裁判所は、申立ての順序により、申立人に対し、期間を定めて、第一項の保証の提供を命じなければならない。
4 第六十三条第四項の規定は第一項の保証の提供について、第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合について準用する。
(増価競売の請求の失効)
第百八十七条 増価競売の請求をした債権者が第百八十五条第一項に定める期間内に不動産競売の申立てをしないときは、増価競売の請求は、その効力を失う。その申立てを取り下げたとき、又は申立ての却下決定若しくは不動産競売の手続の取消決定が確定したときも、同様とする。
(不動産の強制競売の規定の準用)
第百八十八条 第四十四条及び第二章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は、不動産競売について準用する。
(船舶の競売)
第百八十九条 第二章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十七条までの規定は、第百十二条に規定する船舶を目的とする担保権の実行として競売について準用する。この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第百八十九条において準用する第百八十一条第一項から第三項までに規定する文書」と、第百八十一条第一項第四号中「一般の先取特権」とあるのは「一般の先取特権又は商法第八百四十二条に定める先取特権」と、第百八十五条第一項中「増価競売の請求を発した日」とあるのは「増価競売の請求を発した後船舶を目的とする担保権の実行としての競売の申立てをすることができることとなつた日」と読み替えるものとする。
(動産競売の要件)
第百九十条 第百二十二条第一項に規定する動産(以下「動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、債権者が執行官に対し、動産を提出したとき、又は動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出したときに限り、開始する。
(動産の差押えに対する執行異議)
第百九十一条 動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。
(動産執行の規定の準用)
第百九十二条 第二章第二節第三款(第百二十三条第二項、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条を除く。)及び第百八十三条の規定は動産競売について、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について準用する。
(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)
第百九十三条 第百四十三条に規定する債権及び第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第百八十一条第一項第一号から第三号まで、第二項又は第三項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。
2 第二章第二節第四款(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百五十二条及び第百五十三条の規定は同項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。
(担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)
第百九十四条 第三十八条、第四十一条及び第四十二条の規定は、担保権の実行としての競売並びに前条第一項に規定する担保権の実行及び行使について準用する。
(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)
第百九十五条 留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。
第五章 罰則
(過料)
第百九十六条 次の各号に掲げる場合においては、その行為をした民事執行の当事者(担保権の実行としての競売の場合の債務者を含む。)は、十万円以下の過料に処する。
一 物件明細書の作成に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由がなくて、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしたとき。
二 現況の調査に関し、執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由がなくて、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示したとき。
第百九十七条 前条に掲げる者以外の者が、物件明細書の作成に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由がなくて、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしたときは、五万円以下の過料に処する。
(管轄等)
第百九十八条 前二条に規定する過料の事件は、執行裁判所の管轄とする。
2 過料の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十五年十月一日から施行する。
(競売法の廃止)
第二条 競売法(明治三十一年法律第十五号)は、廃止する。
(民事訴訟法の一部改正)
第三条 民事訴訟法の一部を次のように改正する。
民事訴訟法目録中
第六編
強制執行
第一章
総則
第二章
金銭ノ債権ニ付テノ強制執行
第一節
動産ニ対スル強制執行
第一款
通則
第二款
有体動産ニ対スル強制執行
第三款
債権及ビ他ノ財産権ニ対スル強制執行
第四款
配当手続
第二節
不動産ニ対スル強制執行
第一款
通則
第二款
強制競売
第三款
強制管理
第三節
船舶ニ対スル強制執行
第三章
金銭ノ支払ヲ目的トセザル債権ニ付テノ強制執行
第四章
仮差押及ビ仮処分
第五編ノ三
判決ノ確定及ビ執行停止
第六編
仮差押及ビ仮処分
に改める。
第六編中「第一章 総則」を削る。
第四百九十七条ノ二を削る。
第五百十三条第一項中「本編」を「本編及ビ次編」に改める。
第五百十四条から第五百六十三条まで並びに第六編第二章及び第三章を次のように改める。
第五百十四条乃至第七百三十六条 削除
「第四章 仮差押及ビ仮処分」を削る。
第七百四十八条から第七百五十四条までを次のように改める。
第七百四十八条乃至第七百五十四条 削除
第七百五十八条第三項を削る。
第七百六十二条及び第七百六十三条中「本章」を「本編」に改める。
第六編中第七百六十三条の次に次の一条を加える。
第七百六十三条ノ二 本編ニ定メタル裁判所ノ管轄ハ専属トス
「第六編 強制執行」を削る。
第四百六十四条から第四百九十七条までを次のように改める。
第四百六十四条乃至第四百九十七条 削除
第四百九十八条の前に次の編名を付する。
第五編ノ三 判決ノ確定及ビ執行停止
第七百三十七条の前に次の編名を付する。
第六編 仮差押及ビ仮処分
(経過措置)
第四条 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前にした前条の規定による改正前の民事訴訟法又は附則第二条の規定による廃止前の競売法の規定による執行処分その他の行為は、この法律の適用については、この法律の相当規定によつてした執行処分その他の行為とみなす。
3 前二項に規定するもののほか、この法律の施行の際、現に裁判所に係属し、又は執行官が取り扱つている事件の処理に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
法務大臣 古井喜實
内閣総理大臣 大平正芳
民事執行法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十四年三月三十日
内閣総理大臣 大平正芳
法律第四号
民事執行法
目次
第一章
総則(第一条―第二十一条)
第二章
強制執行
第一節
総則(第二十二条―第四十二条)
第二節
金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第一款
不動産に対する強制執行
第一目
通則(第四十三条・第四十四条)
第二目
強制競売(第四十五条―第九十二条)
第三目
強制管理(第九十三条―第百十一条)
第二款
船舶に対する強制執行(第百十二条―第百二十一条)
第三款
動産に対する強制執行(第百二十二条―第百四十二条)
第四款
債権及びその他の財産権に対する強制執行(第百四十三条―第百六十七条)
第三節
金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行(第百六十八条―第百七十三条)
第三章
仮差押え及び仮処分の執行(第百七十四条―第百八十条)
第四章
担保権の実行としての競売等(第百八十一条―第百九十五条)
第五章
罰則(第百九十六条―第百九十八条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 強制執行、仮差押え及び仮処分の執行、担保権の実行としての競売並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(執行機関)
第二条 民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。
(執行裁判所)
第三条 裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。
(任意的口頭弁論)
第四条 執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
(審尋)
第五条 執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。
(執行官等の職務の執行の確保)
第六条 執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。
2 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。
(立会人)
第七条 執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。執行官が前条第一項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。
(休日又は夜間の執行)
第八条 執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
2 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。
(身分証明書等の携帯)
第九条 執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
(執行抗告)
第十条 民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
2 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
3 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
4 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。
5 抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき、執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき、又は執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。
6 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
7 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。
8 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
9 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
10 民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)第四百二十九条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。
(執行異議)
第十一条 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
2 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。
(取消決定等に対する執行抗告)
第十二条 民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。
2 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。
(代理人)
第十三条 民事訴訟法第七十九条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。
2 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。
(費用の予納等)
第十四条 執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として執行裁判所の定める金額を予納しなければならない。予納した費用が不足する場合において、執行裁判所が不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。
2 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。
3 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(担保の提供)
第十五条 この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
2 民事訴訟法第百十三条、第百十五条及び第百十六条の規定は、前項の担保について準用する。
(送達の特例)
第十六条 民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、その住所、居所、営業所又は事務所を変更したときは、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をしない者に対する文書の送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所にあてて書留郵便に付して発送すれば足りる。
3 民事訴訟法第百七十条の規定は第一項に規定する者について、同法第百七十三条の規定は前項の規定による送達及びこの項において準用する同法第百七十条第二項の規定による送達について準用する。
(民事執行の事件の記録の閲覧等)
第十七条 執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、閲覧又は謄写については、執行裁判所の執務に支障があるときは、この限りでない。
(官庁等に対する援助請求等)
第十八条 民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。
2 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。
3 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。
(専属管轄)
第十九条 この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
(民事訴訟法の準用)
第二十条 特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。
(最高裁判所規則)
第二十一条 この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二章 強制執行
第一節 総則
(債務名義)
第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一 確定判決
二 仮執行の宣言を付した判決
三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
四 仮執行の宣言を付した支払命令
五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決又は仲裁判断
七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
一 債務名義に表示された当事者
二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人)
2 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
3 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。
(外国裁判所の判決の執行判決)
第二十四条 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
3 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第二百条各号に掲げる条件を具備しないときは、却下しなければならない。
4 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。
(強制執行の実施)
第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、仮執行の宣言を付した支払命令により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
(執行文の付与)
第二十六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
第二十七条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
(執行文の再度付与等)
第二十八条 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
2 前項の規定は、仮執行の宣言を付した支払命令の正本を更に交付する場合について準用する。
(債務名義等の送達)
第二十九条 強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。
(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第三十条 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。
2 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを公文書により証明したときに限り、開始することができる。
(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第三十一条 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。
2 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。
(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十二条 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
2 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
3 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
4 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による仮執行の宣言を付した支払命令の正本の交付について準用する。
(執行文付与の訴え)
第三十三条 第二十七条に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
一 第二十二条第一号から第三号まで又は第六号に掲げる債務名義及び同条第七号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの
第一審裁判所
二 第二十二条第四号に掲げる債務名義及び同条第七号に掲げる債務名義のうち和解又は調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)に係るもの
仮執行の宣言を付した支払命令を発した簡易裁判所又は和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(仮執行の宣言を付した支払命令又は簡易裁判所において成立した和解若しくは調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
三 第二十二条第五号に掲げる債務名義
債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
(執行文付与に対する異議の訴え)
第三十四条 第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
3 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
(請求異議の訴え)
第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名議による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2 確定判決についての異議の事由は口頭弁論の終結後に生じたものに限り、仮執行の宣言を付した支払命令についての異議の事由はその送達後に生じたものに限る。
3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十六条 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
2 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
4 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
5 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(終局判決における執行停止の裁判等)
第三十七条 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
2 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(第三者異議の訴え)
第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。
(強制執行の停止)
第三十九条 強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
二 債務名義に係る和解、認諾又は調停の効力がないことを宣言する確定判決の正本
三 第二十二条第二号から第四号までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解又は調停の調書の正本
五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。
3 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。
(執行処分の取消し)
第四十条 前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
2 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。
(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第四十一条 強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。
2 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。
3 民事訴訟法第五十六条第二項から第四項までの規定は、前項の特別代理人について準用する。
(執行費用の負担)
第四十二条 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
3 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾若しくは調停の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
4 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所が定める。
5 前項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第四項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
7 民事訴訟法第百条第二項、第百一条第一項及び第百五条の規定は、第四項の申立てについて準用する。
第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第一款 不動産に対する強制執行
第一目 通則
(不動産執行の方法)
第四十三条 不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「不動産執行」という。)は、強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行については、不動産の共有持分、登記された地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有持分は、不動産とみなす。
(執行裁判所)
第四十四条 不動産執行については、その所在地(前条第二項の規定により不動産とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがつて存在する場合には、その建物に対する強制執行については建物の存する土地の所在地を管轄する各地方裁判所が、その土地に対する強制執行については土地の所在地を管轄する地方裁判所又は建物に対する強制執行の申立てを受けた地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 前項の場合において、執行裁判所は、必要があると認めるときは、事件を他の管轄裁判所に移送することができる。
4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第二目 強制競売
(開始決定等)
第四十五条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
2 前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。
3 強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの効力)
第四十六条 差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
2 差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。
(二重開始決定)
第四十七条 強制競売又は担保権の実行としての競売(以下この節において「競売」という。)の開始決定がされた不動産について強制競売の申立てがあつたときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする。
2 先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の申立てが取リ下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の手続が取り消されたときは、執行裁判所は、後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行しなければならない。
3 前項の場合において、後の強制競売の開始決定が配当要求の終期後の申立てに係るものであるときは、執行裁判所は、新たに配当要求の終期を定めなければならない。この場合において、既に第五十条第一項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の届出をした者に対しては、第四十九条第二項の規定による催告は、要しない。
4 先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が停止されたときは、執行裁判所は、申立てにより、後の強制競売の開始決定(配当要求の終期までにされた申立てに係るものに限る。)に基づいて手続を続行する旨の裁判をすることができる。ただし、先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が取り消されたとすれば、第六十二条第二号に掲げる事項について変更が生ずるときは、この限りでない。
5 前項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの登記の嘱託等)
第四十八条 強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。
2 登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記簿の謄本を執行裁判所に送付しなければならない。
(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第四十九条 強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、執行裁判所は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。
2 配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。
一 第八十七条第一項第三号に掲げる債権者
二 第八十七条第一項第四号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)
三 租税その他の公課を所管する官庁又は公署
3 執行裁判所は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。
4 前項の規定により配当要求の終期が延期されたときは、裁判所書記官は、延期後の終期を公告しなければならない。
(催告を受けた者の債権の届出義務)
第五十条 前条第二項の規定による催告を受けた同項第一号又は第二号に掲げる者は、配当要求の終期までに、その催告に係る事項について届出をしなければならない。
2 前項の届出をした者は、その届出に係る債権の元本の額に変更があつたときは、その旨の届出をしなければならない。
3 前二項の規定により届出をすべき者は、故意又は過失により、その届出をしなかつたとき、又は不実の届出をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(配当要求)
第五十一条 第二十五条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び第百八十一条第一項各号に掲げる文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(配当要求の終期の変更)
第五十二条 配当要求の終期から、三月以内に売却許可決定がされないとき、又は三月以内にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたときは、配当要求の終期は、その終期から三月を経過した日に変更されたものとみなす。ただし、配当要求の終期から三月以内にされた売却許可決定が効力を失つた場合において、第六十七条の規定による次順位買受けの申出について売却許可決定がされたとき(その決定が取り消され、又は効力を失つたときを除く。)は、この限りでない。
(不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)
第五十三条 不動産の滅失その他売却による不動産の移転を妨げる事情が明らかとなつたときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
(差押えの登記の 抹消の嘱託)
第五十四条 強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その開始決定に係る差押えの登記の 抹消を嘱託しなければならない。
2 前項の規定による嘱託に要する登記免許税その他の費用は、その取下げ又は取消決定に係る差押債権者の負担とする。
(売却のための保全処分)
第五十五条 債務者が、不動産の価格を著しく減少する行為をするとき、又はそのおそれがある行為をするときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を限く。次条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、又は一定の行為を命ずることができる。
2 債務者が前項の規定による命令に違反したときは、執行裁判所は、同項の命令を申し立てた者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、債務者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
3 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前二項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
4 前三項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
6 第二項の規定による決定は、申立人に告知された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。
7 第二項の規定による決定は、相手方に送達される前であつても、執行することができる。
8 第一項若しくは第二項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用は、その不動産に対する強制競売の手続においては、共益費用とする。
(地代等の代払の許可)
第五十六条 建物に対し強制競売の開始決定がされた場合において、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権について債務者が地代又は借賃を支払わないときは、執行裁判所は、申立てにより、差押債権者がその不払の地代又は借賃を債務者に代わつて弁済することを許可することができる。
2 前条第八項の規定は、前項の申立てに要した費用及び同項の許可を得て支払つた地代又は借賃について準用する。
(現況調査)
第五十七条 執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。
2 執行官は、前項の調査をするに際し、不動産に立ち入り、又は債務者若しくはその不動産を占有する第三者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。
3 執行官は、前項の規定により不動産に立ち入る場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
(評価)
第五十八条 執行裁判所は、評価人を選任し、不動産の評価を命じなければならない。
2 評価人は、第六条第二項の規定により執行官に対し援助を求めるには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
3 前条第二項の規定は、評価人が評価をする場合について準用する。
(売却に伴う権利の消滅等)
第五十九条 不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。
2 前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。
3 不動産に係る差押え、仮差押えの執行及び第一項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。
4 不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第二項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによつて担保される債権を弁済する責めに任ずる。
5 利害関係を有する者が最低売却価額が定められる時までに第一項、第二項又は前項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による不動産の上の権利の変動は、その合意に従う。
(最低売却価額の決定等)
第六十条 執行裁判所は、評価人の評価に基づいて最低売却価額を定めなければならない。
2 執行裁判所は、必要があると認めるときは、最低売却価額を変更することができる。
(一括売却)
第六十一条 執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産を一括して売却することを定めることができる。ただし、一個の申立てにより強制競売の開始決定がされた数個の不動産のうち、あるものの最低売却価額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある場合には、債務者の同意があるときに限る。
(物件明細書)
第六十二条 執行裁判所は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成し、一般の閲覧に供するために、その写しを執行裁判所に備え置かなければならない。
一 不動産の表示
二 不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの
三 売却により設定されたものとみなされる地上権の概要
(剰余を生ずる見込みのない場合の措置)
第六十三条 執行裁判所は、不動産の最低売却価額で執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)及び差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第四項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)を弁済して剰余を生ずる見込みがないと認めるときは、その旨を差押債権者に通知しなければならない。
2 差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、手続費用及び優先債権の見込額を超える額(以下この条において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者がその期間内に同項の剰余を生ずる見込みがあることを証明したときは、この限りでない。
一 差押債権者が不動産の買受人になることができる場合
申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
二 差押債権者が不動産の買受人になることができない場合
買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と最低売却価額との差額に相当する保証の提供
3 前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、最低売却価額を超える価額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
4 第二項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。
(売却の方法及び公告)
第六十四条 不動産の売却は、執行裁判所の定める売却の方法により行う。
2 不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。
3 執行裁判所は、入札又は競り売りの方法により売却をするときは、売却の日時及び場所を定め、執行官に売却を実施させなければならない。
4 前項の場合においては、裁判所書記官は、売却すべき不動産の表示、最低売却価額並びに売却の日時及び場所を公告しなければならない。
(売却の場所の秩序維持)
第六十五条 執行官は、次に掲げる者に対し、売却の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は買受けの申出をさせないことができる。
一 他の者の買受けの申出を妨げ、若しくは不当に価額を引き下げる目的をもつて連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし、又はその行為をさせた者
二 他の民事執行の手続の売却不許可決定において前号に該当する者と認定され、その売却不許可決定の確定の日から二年を経過しない者
三 民事執行の手続における売却に関し刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十五条から第九十六条ノ三まで、第百九十七条から第百九十七条ノ四まで又は第百九十八条の規定により刑に処せられ、その裁判の確定の日から二年を経過しない者
(買受けの申出の保証)
第六十六条 不動産の買受けの申出をしようとする者は、最高裁判所規則で定めるところにより、執行裁判所が定める額及び方法による保証を提供しなければならない。
(次順位買受けの申出)
第六十七条 最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をした者は、その買受けの申出の額が、最低売却価額を超え、かつ、最高価買受申出人の申出の額から買受けの申出の保証の額を控除した額を超える場合に限り、売却の実施の終了までに、執行官に対し、最高価買受申出人に係る売却許可決定が第八十条第一項の規定により効力を失うときは、自己の買受けの申出について売却を許可すべき旨の申出(以下「次順位買受けの申出」という。)をすることができる。
(債務者の買受けの申出の禁止)
第六十八条 債務者は、買受けの申出をすることができない。
(売却決定期日)
第六十九条 執行裁判所は、売却決定期日を開き、売却の許可又は不許可を言い渡さなければならない。
(売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)
第七十条 不動産の売却の許可又は不許可に関し利害関係を有する者は、次条各号に掲げる事由で自己の権利に影響のあるものについて、売却決定期日において意見を陳述することができる。
(売却不許可事由)
第七十一条 執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。
一 強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
二 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
三 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
四 最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
イ その強制競売の手続において第六十五条第一号に規定する行為をした者
ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
ハ 第六十五条第二号又は第三号に掲げる者
五 第七十五条第一項の規定による売却の不許可の申出があること。
六 最低売却価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
七 売却の手続に重大な誤りがあること。
(売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)
第七十二条 売却の実施の終了から売却決定期日の終了までの間に第三十九条第一項第七号に掲げる文書の提出があつた場合には、執行裁判所は、他の事由により売却不許可決定をするときを除き、売却決定期日を開くことができない。この場合においては、最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
2 売却決定期日の終了後に前項に規定する文書の提出があつた場合には、その期日にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその期日にされた売却不許可決定が確定したときに限り、第三十九条の規定を適用する。
3 売却の実施の終了後に第三十九条第一項第八号に掲げる文書の提出があつた場合には、その売却に係る売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその売却に係る売却不許可決定が確定したときに限り、同条の規定を適用する。
(超過売却となる場合の措置)
第七十三条 数個の不動産を売却した場合において、あるものの買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがあるときは、執行裁判所は、他の不動産についての売却許可決定を留保しなければならない。
2 前項の場合において、その買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある不動産が数個あるときは、執行裁判所は、売却の許可をすべき不動産について、あらかじめ、債務者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により売却許可決定が留保された不動産の最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
4 売却許可決定のあつた不動産について代金が納付されたときは、執行裁判所は、前項の不動産に係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第七十四条 売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。
2 売却許可決定に対する執行抗告は、第七十一条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。
3 民事訴訟法第四百二十条第一項各号に掲げる事由は、前二項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。
4 抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。
5 売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
第七十五条 最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
2 前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
3 前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
第七十六条 買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がある場合において、取下げにより第六十二条第二号に掲げる事項について変更が生じないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、買受けの申出があつた後に第三十九条第一項第四号又は第五号に掲げる文書を提出する場合について準用する。
(最高価買受申出人又は買受人のための保全処分)
第七十七条 債務者が、不動産の価格を減少させ、若しくは引渡しを困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、最高価買受申出人又は買受人の申立てにより、引渡命令の執行までの間、代金又はその額(買受けの申出の際に提供した保証が金銭でされているときは、その額を控除した残額)に相当する金銭を納付させ、かつ、担保を立てさせ、又は立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、一定の行為を命じ、又は不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
2 第五十五条第三項から第七項までの規定は前項の規定による決定について、同条第四項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する第五十五条第三項の申立てについての裁判について準用する。
(代金の納付)
第七十八条 売却許可決定が確定したときは、買受人は、執行裁判所の定める期限までに代金を執行裁判所に納付しなければならない。
2 買受人が買受けの申出の保証として提供した金銭及び前条第一項の規定により納付した金銭は、代金に充てる。
3 買受人が第六十三条第二項第一号の保証を金銭の納付以外の方法で提供しているときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところによりこれを換価し、その換価代金から換価に要した費用を控除したものを代金に充てる。この場合において、換価に要した費用は、買受人の負担とする。
4 買受人は、売却代金から配当又は弁済を受けるべき債権者であるときは、売却決定期日の終了までに執行裁判所に申し出て、配当又は弁済を受けるべき額を差し引いて代金を配当期日又は弁済金の交付の日に納付することができる。この場合において、買受人の受けるべき配当の額について異議の陳述又は申出があつたときは、買受人は、直ちに、異議に係る部分に相当する金銭を納付しなければならない。
(不動産の取得の時期)
第七十九条 買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。
(代金不納付の効果)
第八十条 買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。この場合においては、買受人は、第六十六条の規定により提供した保証の返還を請求することができない。
2 前項前段の場合において、次順位買受けの申出があるときは、執行裁判所は、その申出について売却の許可又は不許可の決定をしなければならない。
(法定地上権)
第八十一条 土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至つたときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
(代金納付による登記の嘱託)
第八十二条 買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、次に掲げる登記及び登記の 抹消を嘱託しなければならない。
一 買受人の取得した権利の移転の登記
二 売却により消滅した権利又は売却により効力を失つた権利の取得若しくは仮処分に係る登記の 抹消
三 差押え又は仮差押えの登記の 抹消
2 前項の規定による嘱託をするには、嘱託書に売却許可決定の正本を添付しなければならない。
3 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、買受人の負担とする。
(引渡命令)
第八十三条 執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は事件の記録上差押えの効力発生前から権原により占有している者でないと認められる不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上差押えの効力発生後に占有した者で買受人に対抗することができる権原により占有していると認められるものに対しては、この限りでない。
2 買受人は、代金を納付した日から六月を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
3 執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
4 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
(売却代金の配当等の実施)
第八十四条 執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行裁判所は、売却代金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 代金の納付後に第三十九条第一項第一号から第六号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4 代金の納付後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。
(配当表の作成)
第八十五条 執行裁判所は、配当期日において、配当表を作成する。
2 配当期日には、第八十七条第一項各号に掲げる債権者及び債務者を呼び出さなければならない。
3 執行裁判所は、配当期日において、配当表の作成に関し、出頭した債権者及び債務者を審尋し、並びに即時に取り調べることができる書証の取調べをすることができる。
4 配当表には、売却代金の額のほか、各債権者について、債権の元本、利息その他の附帯の債権、執行費用の額並びに配当の順位及び額を記載しなければならない。
5 前項に規定する配当の順位及び額は、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合にはその合意により、その他の場合には民法、商法その他の法律の定めるところにより記載しなければならない。
(売却代金)
第八十六条 売却代金は、次に掲げるものとする。
一 不動産の代金
二 第六十三条第二項第二号の規定により提供した保証のうち申出額から代金の額を控除した残額に相当するもの
三 第八十条第一項後段の規定により買受人が返還を請求することができない保証
2 第六十一条の規定により不動産が一括して売却された場合において、各不動産ごとに売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各不動産の最低売却価額に応じて案分して得た額とする。各不動産ごとの執行費用の負担についても、同様とする。
3 第七十八条第三項の規定は、第一項第二号又は第三号に規定する保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に提げる者とする。
一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者
三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
四 差押えの登記前に登記された先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
2 前項第四号に掲げる債権者の権利が仮差押えの登記後に登記されたものである場合には、その債権者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押えがその効力を失つたときに限り、配当等を受けることができる。
3 差押えに係る強制競売の手続が停止され、第四十七条第四項の規定による手続を続行する旨の裁判がある場合において、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等において敗訴したときは、差押えの登記後続行の裁判に係る差押えの登記前に登記された第一項第四号に規定する権利を有する債権者は、配当等を受けることができる。
(期限付債権の配当等)
第八十八条 確定期限の到来していない債権は、配当等については、弁済期が到来したものとみなす。
2 前項の債権が無利息であるときは、配当等の日から期限までの法定利率による利息との合算額がその債権の額となるべき元本額をその債権の額とみなして、配当等の額を計算しなければならない。
(配当異議の申出)
第八十九条 配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。
2 執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。
(配当異議の訴え等)
第九十条 配当異議の申出をした債権者及び執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。
2 前項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
3 第一項の訴えは、原告が最初の口頭弁論期日に出頭しない場合には、その責めに帰することができない事由により出頭しないときを除き、却下しなければならない。
4 第一項の訴えの判決においては、配当表を変更し、又は新たな配当表の調製のために、配当表を取り消さなければならない。
5 執行力のある債務名義の正本を有する債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、請求異議の訴えを提起しなければならない。
6 配当異議の申出をした債権者又は債務者が、配当期日(知れていない抵当証券の所持人に対する配当異議の申出にあつては、その所持人を知つた日)から一週間以内に、執行裁判所に対し、第一項の訴えを提起したことの証明をしないとき、又は前項の訴えを提起したことの証明及びその訴えに係る執行停止の裁判の正本の提出をしないときは、配当異議の申出は、取り下げたものとみなす。
(配当等の額の供託)
第九十一条 配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
一 停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二 仮差押債権者の債権であるとき。
三 第三十九条第一項第七号に掲げる文書が提出されているとき。
四 その債権に係る先取特権、質権又は抵当権(以下この項において「先取特権等」という。)の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
五 その債権に係る先取特権等が仮登記されたものであるとき。
六 仮差押え又は執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき。
七 配当異議の訴えが提起されたとき。
2 裁判所書記官は、配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかつた債権者(知れていない抵当証券の所持人を含む。)に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
(権利確定等に伴う配当等の実施)
第九十二条 前条第一項の規定による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施しなければならない。
2 前項の規定により配当を実施すべき場合において、前条第一項第一号から第五号までに掲げる事由による供託に係る債権者若しくは同項第六号に掲げる事由による供託に係る仮差押債権者若しくは執行を停止された差押債権者に対して配当を実施することができなくなつたとき、又は同項第七号に掲げる事由による供託に係る債権者が債務者の提起した配当異議の訴えにおいて敗訴したときは、執行裁判所は、配当異議の申出をしなかつた債権者のためにも配当表を変更しなければならない。
第三目 強制管理
(開始決定等)
第九十三条 執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び収益の給付義務を負う第三者があるときは、その第三者に対し収益を管理人に給付すべき旨を命じなければならない。
2 前項の収益は、既に収穫し、又は後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。
3 第一項に規定する第三者に対する同項の開始決定の効力は、開始決定がその第三者に送達された時に生ずる。
4 第一項の開始決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(管理人の選任)
第九十四条 執行裁判所は、強制管理の開始決定と同時に、管理人を選任しなければならない。
2 信託会社、銀行その他の法人は、管理人となることができる。
(管理人の権限)
第九十五条 管理人は、強制管理の開始決定がされた不動産について、管理並びに収益の収取及び換価をすることができる。
2 管理人は、民法第六百二条に定める期間を超えて不動産を賃貸するには、債務者の同意を得なければならない。
3 管理人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、執行裁判所の許可を受けて、職務を分掌することができる。
4 管理人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(強制管理のための不動産の占有等)
第九十六条 管理人は、不動産について、債務者の占有を解いて自らこれを占有することができる。
2 管理人は、前項の場合において、閉鎖した戸を開く必要があると認めるときは、執行官に対し援助を求めることができる。
3 第五十七条第三項の規定は、前項の規定により援助を求められた執行官について準用する。
(建物使用の許可)
第九十七条 債務者の居住する建物について強制管理の開始決定がされた場合において、債務者が他に居住すべき場所を得ることができないときは、執行裁判所は、申立てにより、債務者及びその者と生計を一にする同居の親族(婚姻又は縁組の届出をしていないが債務者と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にある者を含む。以下「債務者等」という。)の居住に必要な限度において、期間を定めて、その建物の使用を許可することができる。
2 債務者が管理人の管理を妨げたとき、又は事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
3 前二項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(収益等の分与)
第九十八条 強制管理により債務者の生活が著しく困窮することとなるときは、執行裁判所は、申立てにより、管理人に対し、収益又はその換価代金からその困窮の程度に応じ必要な金銭又は収益を債務者に分与すべき旨を命ずることができる。
2 前条第二項の規定は前項の規定による決定について、同条第三項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する前条第二項の申立てについての決定について準用する。
(管理人の監督)
第九十九条 管理人は、執行裁判所が監督する。
(管理人の注意義務)
第百条 管理人は、善良な管理者の注意をもつてその職務を行わなければならない。
2 管理人が前項の注意を怠つたときは、その管理人は、利害関係を有する者に対し、連帯して損害を賠償する責めに任ずる。
(管理人の報酬等)
第百一条 管理人は、強制管理のため必要な費用の前払及び執行裁判所の定める報酬を受けることができる。
2 前項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(管理人の解任)
第百二条 重要な事由があるときは、執行裁判所は、利害関係を有する者の申立てにより、又は職権で、管理人を解任することができる。この場合においては、その管理人を審尋しなければならない。
(計算の報告義務)
第百三条 管理人の任務が終了した場合においては、管理人又はその承継人は、遅滞なく、執行裁判所に計算の報告をしなければならない。
(強制管理の停止)
第百四条 第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合においては、強制管理は、配当等の手続を除き、その時の態様で継続することができる。この場合においては、管理人は、配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
2 前項の規定により供託された金銭の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、執行裁判所は、配当等の手続を除き、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(配当要求)
第百五条 執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、執行裁判所に対し、配当要求をすることができる。
2 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(配当等に充てるべき金銭等)
第百六条 配当等に充てるべき金銭は、第九十八条第一項の規定による分与をした後の収益又はその換価代金から、不動産に対して課される租税その他の公課及び管理人の報酬その他の必要な費用を控除したものとする。
2 配当等に充てるべき金銭を生ずる見込みがないときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(管理人による配当等の実施)
第百七条 管理人は、前条第一項に規定する費用を支払い、執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 前項に規定する場合を除き、配当等に充てるべき金銭の配当について債権者間に協議が調つたときは、管理人は、その協議に従い配当を実施する。
4 配当等を受けるべき債権者は、第一項の期間の満了までに、強制管理の申立てをした差押債権者及び仮差押債権者並びに配当要求をした債権者とする。
5 第三項の協議が調わないときは、管理人は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(管理人による配当等の額の供託)
第百八条 配当等を受けるべき債権者の債権が、仮差押債権者の債権であるとき、又は第三十九条第一項第七号に掲げる文書の提出されている債権であるときは、管理人は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。債権者が配当等の受領のために出頭しなかつたときも、同様とする。
(執行裁判所による配当等の実施)
第百九条 執行裁判所は、第百七条第五項の規定による届出があつた場合には直ちに、第百四条第一項又は前条の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
(弁済による強制管理の手続の取消し)
第百十条 各債権者が配当等によりその債権及び執行費用の全部の弁済を受けたときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(強制競売の規定の準用)
第百十一条 第四十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項、第四十七条第一項、第二項、第四項本文及び第五項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は強制管理について、第八十四条第一項及び第二項、第八十五条並びに第八十九条から第九十二条までの規定は第百九条の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
第二款 船舶に対する強制執行
(船舶執行の方法)
第百十二条 総トン数二十トン以上の船舶(端舟その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。以下この節において「船舶」という。)に対する強制執行(以下「船舶執行」という。)は、強制競売の方法により行う。
(執行裁判所)
第百十三条 船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
(開始決定等)
第百十四条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、かつ、執行官に対し、船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命じなければならない。ただし、その開始決定前にされた開始決定により船舶国籍証書等が取り上げられているときは、執行官に対する命令を要しない。
2 強制競売の開始決定においては、債権者のために船舶を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し船舶の出航を禁止しなければならない。
3 強制競売の開始決定の送達又は差押えの登記前に執行官が船舶国籍証書等を取り上げたときは、差押えの効力は、その取上げの時に生ずる。
(船舶執行の申立て前の船舶国籍証書等の引渡命令)
第百十五条 船舶執行の申立て前に船舶国籍証書等を取り上げなければ船舶執行が著しく困難となるおそれがあるときは、その船舶の船籍の所在地(船籍のない船舶にあつては、最高裁判所の指定する地)を管轄する地方裁判所は、申立てにより、債務者に対し、船舶国籍証書等を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。急迫の事情があるときは、船舶の所在地を管轄する地方裁判所も、この命令を発することができる。
2 前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 第一項の申立てをするには、執行力のある債務名義の正本を提示し、かつ、同項に規定する事由を疎明しなければならない。
4 執行官は、船舶国籍証書等の引渡しを受けた日から五日以内に債権者が船舶執行の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、その船舶国籍証書等を債務者に返還しなければならない。
5 第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7 第五十五条第六項から第八項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。
(保管人の選任等)
第百十六条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。
2 前項の保管人が船舶の保管のために要した費用(第四項において準用する第百一条第一項の報酬を含む。)は、手続費用とする。
3 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第九十四条第二項、第九十六条及び第九十九条から第百三条までの規定は、第一項の保管人について準用する。
(保証の提供による強制競売の手続の取消し)
第百十七条 差押債権者の債権について、第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書が提出されている場合において、債務者が差押債権者及び保証の提供の時(配当要求の終期後にあつては、その終期)までに配当要求をした債権者の債権及び執行費用の総額に相当する保証を買受けの申出前に提供したときは、執行裁判所は、申立てにより、配当等の手続を除き、強制競売の手続を取り消さなければならない。
2 前項に規定する文書の提出による執行停止がその効力を失つたときは、執行裁判所は、同項の規定により提供された保証について、同項の債権者のために配当等を実施しなければならない。この場合において、執行裁判所は、保証の提供として供託された有価証券を取り戻すことができる。
3 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第十二条の規定は、第一項の規定による決定については適用しない。
5 第十五条の規定は第一項の保証の提供について、第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の供託以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
(航行許可)
第百十八条 執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立てにより、船舶の航行を許可することができる。
2 前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
3 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
(事件の移送)
第百十九条 執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。
2 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)
第百二十条 執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
(不動産に対する強制競売の規定の準用)
第百二十一条 前款第二目(第四十五条第一項、第四十六条第二項、第四十八条、第五十四条、第五十五条第二項、第六項及び第七項、第五十六条、第八十一条並びに第八十二条を除く。)の規定は船舶執行について、第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶に対する強制執行について準用する。
第三款 動産に対する強制執行
(動産執行の開始等)
第百二十二条 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。
2 動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。
(債務者の占有する動産の差押え)
第百二十三条 債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。
2 執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。
3 執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。
4 執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。
5 執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。
(債務者以外の者の占有する動産の差押え)
第百二十四条 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、債権者又は提出を拒まない第三者の占有する動産の差押えについて準用する。
(二重差押えの禁止及び事件の併合)
第百二十五条 執行官は、差押物又は仮差押えの執行をした動産を更に差し押さえることができない。
2 差押えを受けた債務者に対しその差押えの場所について更に動産執行の申立てがあつた場合においては、執行官は、まだ差し押さえていない動産があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その動産執行事件と先の動産執行事件とを併合しなければならない。仮差押えの執行を受けた債務者に対しその執行の場所について更に動産執行の申立てがあつたときも、同様とする。
3 前項前段の規定により二個の動産執行事件が併合されたときは、後の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、先の事件において差し押さえられたものとみなし、後の事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。先の差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、後の事件のために差し押さえられたものとみなす。
4 第二項後段の規定により仮差押執行事件と動産執行事件とが併合されたときは、仮差押えの執行がされた動産は、併合の時に、動産執行事件において差し押さえられたものとみなし、仮差押執行事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が取り消されたときは、動産執行事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、仮差押執行事件において仮差押えの執行がされたものとみなす。
(差押えの効力が及ぶ範囲)
第百二十六条 差押えの効力は、差押物から生ずる天然の産出物に及ぶ。
(差押物の引渡命令)
第百二十七条 差押物を第三者が占有することとなつたときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その第三者に対し、差押物を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。
2 前項の申立ては、差押物を第三者が占有していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。
3 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第五十五条第六項から第八項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。
(超過差押えの禁止等)
第百二十八条 動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。
2 差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。
(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第百二十九条 差し押さえるべき動産の売得金で手続費用を弁済して剰余を生ずる見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。
2 差押物の売得金で差押債権者の債権に優先する債権及び手続費用を弁済して剰余を生ずる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。
(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)
第百三十条 差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。
(差押禁止動産)
第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の生活に必要な二月間の食料及び燃料
三 標準的な世帯の一月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
四 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
五 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
六 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
七 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
八 仏像、位 牌その他礼拝又は祭 祀に直接供するため欠くことができない物
九 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
十 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
(差押禁止動産の範囲の変更)
第百三十二条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押えが取り消された動産の差押えを許し、又は同項の規定による差押えの全部若しくは一部の取消しを命ずることができる。
3 前二項の規定により差押えの取消しの命令を求める申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで強制執行の停止を命ずることができる。
4 第一項又は第二項の申立てを却下する決定及びこれらの規定により差押えを許す決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(先取持権者等の配当要求)
第百三十三条 先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。
(売却の方法)
第百三十四条 執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。
(売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)
第百三十五条 第六十五条及び第六十八条の規定は、差押物を売却する場合について準用する。
(手形等の提示義務)
第百三十六条 執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。
(執行停止中の売却)
第百三十七条 第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合において、差押物について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、その差押物を売却することができる。
2 執行官は、前項の規定により差押物を売却したときは、その売得金を供託しなければならない。
(有価証券の裏書等)
第百三十八条 執行官は、有価証券を売却したときは、買受人のために、債務者に代わつて裏書又は名義書換えに必要な行為をすることができる。
(執行官による配当等の実施)
第百三十九条 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売得金、差押金銭若しくは手形等の支払金(以下「売得金等」という。)で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
2 前項に規定する場合を除き、売得金等の配当について債権者間に協議が調つたときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する。
3 前項の協議が調わないときは、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
4 第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は、第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合について準用する。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百四十条 配当等を受けるべき債権者は、差押債権者のほか、売得金については執行官がその交付を受けるまで(第百三十七条又は第百七十七条第三項の規定により供託された売得金については、動産執行が続行されることとなるまで)に、差押金銭についてはその差押えをするまでに、手形等の支払金についてはその支払を受けるまでに配当要求をした債権者とする。
(執行官の供託)
第百四十一条 第百三十九条第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合において、配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、執行官は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
一 停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二 仮差押債権者の債権であるとき。
三 第三十九条第一項第七号に掲げる文書が提出されているとき。
四 その債権に係る先取特権又は質権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
2 執行官は、配当等の受領のために出頭しなかつた債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
(執行裁判所による配当等の実施)
第百四十二条 執行裁判所は、第百三十九条第三項の規定による届出があつた場合には直ちに、前条第一項の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
2 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
(債権執行の開始)
第百四十三条 金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(以下「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
(執行裁判所)
第百四十四条 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
3 差押えに係る債権について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(差押命令)
第百四十五条 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、及び第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
3 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
4 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
5 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの範囲)
第百四十六条 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
(第三債務者の陳述の催告)
第百四十七条 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(債権証書の引渡し)
第百四十八条 差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
2 差押債権者は、差押命令に基づいて、第百六十九条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。
(差押えが一部競合した場合の効力)
第百四十九条 債権の一部が差押さえられ、又は仮差し押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。
(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第百五十条 登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。
(継続的給付の差押え)
第百五十一条 給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。
(差押禁止債権)
第百五十二条 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
(差押禁止債権の範囲の変更)
第百五十三条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3 前二項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。
4 第一項又は第二項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(配当要求)
第百五十四条 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2 前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
3 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押債権者の金銭債権の取立て)
第百五十五条 金銭の支払を目的とする債権(以下「金銭債権」という。)を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
3 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
(第三債務者の供託)
第百五十六条 第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3 第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(取立訴訟)
第百五十七条 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
2 前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
4 前条第二項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
5 強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
(債権者の損害賠償)
第百五十八条 差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(転付命令)
第百五十九条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
(転付命令の効力)
第百六十条 差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
(譲渡命令等)
第百六十一条 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
2 執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5 執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
6 第百五十九条第二項及び第三項並びに前条の規定は譲渡命令について、第百五十九条第六項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第六十五条及び第六十八条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第百五十九条第二項の規定は管理命令について、第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十四条第二項、第九十五条第一項、第三項及び第四項、第九十八条から第百四条まで並びに第百六条から第百十条までの規定は管理命令に基づく管理について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百六十一条において準用する第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
(船舶の引渡請求権の執行)
第百六十二条 船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
2 前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
3 第一項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第百十六条第一項の規定により選任された保管人とみなす。
(動産の引渡請求権の差押命令の執行)
第百六十三条 動産の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができる。
2 執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならない。
(移転登記等の嘱託)
第百六十四条 第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が確定したとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の 抹消を嘱託しなければならない。
2 前項の規定による嘱託をするには、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
3 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
4 第百五十条の規定により登記等がされた場合において、差し押えられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
5 前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百六十五条 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。
一 第三債務者が第百五十六条第一項又は第二項の規定による供託をした時
二 取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
三 売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
四 動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時
(配当等の実施)
第百六十六条 執行裁判所は、第百六十一条第六項において準用する第百九条に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、配当等を実施しなければならない。
一 第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定による供託がされた場合
二 売却命令による売却がされた場合
三 第百六十三条第二項の規定により売得金が提出された場合
2 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
(その他の財産権に対する強制執行)
第百六十七条 不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。
2 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。
3 その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
4 その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。
5 第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は、権利の移転について登記等を要すその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。
第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行
(不動産の引渡し等の強制執行)
第百六十八条 不動産又は人の居住する船舶等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の目的物に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 前項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
3 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産又は船舶等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
4 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、これを保管しなければならない。
5 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
6 第四項に規定する者に同項の動産を引き渡すことができないときは、執行官は、動産執行の売却の手続によりこれを売却することができる。
7 前項の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
(動産の引渡しの強制執行)
第百六十九条 前条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
2 第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び前条第四項から第七項までの規定は、前項の強制執行について準用する。
(目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)
第百七十条 第三者が強制執行の目的物を占有している場合においてその物を債務者に引き渡すべき義務を負つているときは、物の引渡しの強制執行は、執行裁判所が、債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法により行う。
2 第百四十四条、第百四十五条、第百四十七条、第百四十八条、第百五十五条第一項及び第二項並びに第百五十八条の規定は、前項の強制執行について準用する。
(作為又は不作為の強制執行)
第百七十一条 民法第四百十四条第二項本文又は第三項に規定する請求に係る強制執行は、執行裁判所が民法の規定に従い決定をする方法により行う。
2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第二号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
3 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
4 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、申立てによリ、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。
5 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第六条第二項の規定は、第一項の決定を執行する場合について準用する。
第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
3 執行裁判所は、第二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
(意思表示の擬制)
第百七十三条 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾若しくは調停に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第二十七条第一項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第三項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
2 債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
3 債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。
第三章 仮差押え及び仮処分の執行
(仮差押えの執行の要件)
第百七十四条 仮差押えの執行は、仮差押命令の正本に基づいて実施する。ただし、仮差押命令に表示された当事者以外の者に対し、又はその者のためにする仮差押えの執行は、執行文の付与された仮差押命令の正本に基づいて実施する。
2 仮差押えは、仮差押命令が言い渡された日又は債権者に対して仮差押命令が送達された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。
3 仮差押えは、仮差押命令が債務者に送達される前であつても、執行することができる。
4 第二十三条第一項、第二十六条、第二十七条第二項、第二十八条、第三十条第二項、第三十二条から第三十四条まで、第三十六条から第三十八条まで、第三十九条第一項第一号から第四号まで、第六号及び第七号、第四十条並びに第四十一条の規定は、仮差押えの執行について準用する。
(不動産に対する仮差押えの執行)
第百七十五条 第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において「不動産」という。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。
4 強制管理の方法による仮差押えの執行においては、管理人は、次項において準用する第百七条第一項の規定により計算した配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
5 第四十五条第三項、第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条及び第五十四条の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、第四十四条、第四十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項、第四十七条第一項、第二項、第四項本文及び第五項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第九十三条から第百四条まで、第百六条並びに第百七条第一項の規定は強制管理の方法による仮差押えの執行について準用する。
(船舶に対する仮差押えの執行)
第百七十六条 第百十二条に規定する船舶(以下この章において「船舶」という。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は執行官に対し船舶国籍証書等を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命ずる方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2 仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行は仮差押命令を発した裁判所が、船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行は船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 第四十五条第三項、第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条、第五十四条及び前条第三項の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、第四十五条第三項、第五十三条、第百十六条及び第百十八条の規定は船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行について準用する。
(動産に対する仮差押えの執行)
第百七十七条 第百二十二条第一項に規定する動産(以下この条において「動産」という。)に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行う。
2 執行官は、仮差押えの執行に係る金銭を供託しなければならない。仮差押えの執行に係る手形等について執行官が支払を受けた金銭についても、同様とする。
3 仮差押えの執行に係る動産について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。
4 第百二十三条第二項から第五項まで、第百二十四条から第百二十九条まで、第百三十一条、第百三十二条及び第百三十六条の規定は、動産に対する仮差押えの執行について準用する。
(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)
第百七十八条 第百四十三条に規定する債権(以下この条において「債権」という。)に対する仮差押えの執行は、執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。
2 前項の仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、執行裁判所として管轄する。
3 第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭債権の額に相当する金銭を供託した場合には、債務者が民事訴訟法第七百四十三条の規定により仮差押命令に記載された金額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし、その金額を超える部分については、この限りでない。
4 第一項及び第二項の規定は、第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この章において「その他の財産権」という。)に対する仮差押えの執行について準用する。
5 第百四十五条第二項から第五項まで、第百四十六条から第百五十三条まで、第百五十六条、第百六十四条第四項及び第五項並びに第百六十七条の規定は、債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。
(仮差押えの執行の取消し)
第百七十九条 債務者が民事訴訟法第七百四十三条の規定により仮差押命令に記載された金額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。
2 第十二条第二項の規定は、前項の規定による決定については適用しない。
(仮処分の執行)
第百八十条 仮処分の執行については、この条に定めるもののほか、仮差押えの執行又は強制執行の例による。
2 物の給付その他の作為又は不作為を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令を債務名義とみなす。
3 第四十六条、第四十八条第二項、第五十三条、第五十四条並びに第百七十五条第二項及び第三項の規定は、不動産又は登記等をすることができる船舶若しくはその他の財産権の処分を禁止する仮処分の執行について準用する。
4 第百七十四条第一項から第三項までの規定は、仮処分の執行について準用する。
第四章 担保権の実行としての競売等
(不動産競売の要件等)
第百八十一条 第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下「不動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下この章において「不動産競売」という。)は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
一 担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
二 担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
三 担保権の登記(仮登記を除く。)のされている登記簿の謄本
四 一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
2 抵当証券の所持人が不動産競売の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
3 担保権について承継があつた後不動産競売の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
4 不動産競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産競売の申立てにおいて提出された前三項に規定する文書の目録及び第一項第四号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。
(開始決定に対する執行異議)
第百八十二条 不動産競売の開始決定に対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。
(不動産競売の手続の停止)
第百八十三条 不動産競売の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本
二 第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を 抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本
三 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本
四 担保権の登記の 抹消されている登記簿の謄本
五 担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本
2 前項第一号から第四号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
3 第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。
(代金の納付による不動産取得の効果)
第百八十四条 代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。
(増価競売の請求に基づく不動産競売の申立て)
第百八十五条 民法第三百八十四条第二項に規定する増価競売の請求に基づく不動産競売の申立ては、第三取得者に増価競売の請求を発した日から一週間以内にしなければならない。
2 債権者が、前項の申立てをした日から二週間以内に、民法第三百八十四条第一項に規定する期間内に増価競売の請求をしたことを証明しないときは、その申立ては、取り下げたものとみなす。
(増価競売の請求に基づく不動産競売における保証の提供)
第百八十六条 前条第一項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、申立人(申立人が数人あるときは、最初の申立人)に対し、期間を定めて、第三取得者が提供した金額にその十分の一の額を加えた額に相当する保証の提供を命じなければならない。ただし、申立人が不動産を取得する資格を有しないときは、第三取得者の提供した金額の十分の一の額に相当する保証の提供を命ずるものとする。
2 前項の保証の提供がないときは、執行裁判所は、不動産競売の申立てを却下しなければならない。
3 次条後段の場合において、他に増価競売の請求に基づく不動産競売の申立てがあるときは、執行裁判所は、申立ての順序により、申立人に対し、期間を定めて、第一項の保証の提供を命じなければならない。
4 第六十三条第四項の規定は第一項の保証の提供について、第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合について準用する。
(増価競売の請求の失効)
第百八十七条 増価競売の請求をした債権者が第百八十五条第一項に定める期間内に不動産競売の申立てをしないときは、増価競売の請求は、その効力を失う。その申立てを取り下げたとき、又は申立ての却下決定若しくは不動産競売の手続の取消決定が確定したときも、同様とする。
(不動産の強制競売の規定の準用)
第百八十八条 第四十四条及び第二章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は、不動産競売について準用する。
(船舶の競売)
第百八十九条 第二章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十七条までの規定は、第百十二条に規定する船舶を目的とする担保権の実行として競売について準用する。この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第百八十九条において準用する第百八十一条第一項から第三項までに規定する文書」と、第百八十一条第一項第四号中「一般の先取特権」とあるのは「一般の先取特権又は商法第八百四十二条に定める先取特権」と、第百八十五条第一項中「増価競売の請求を発した日」とあるのは「増価競売の請求を発した後船舶を目的とする担保権の実行としての競売の申立てをすることができることとなつた日」と読み替えるものとする。
(動産競売の要件)
第百九十条 第百二十二条第一項に規定する動産(以下「動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、債権者が執行官に対し、動産を提出したとき、又は動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出したときに限り、開始する。
(動産の差押えに対する執行異議)
第百九十一条 動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。
(動産執行の規定の準用)
第百九十二条 第二章第二節第三款(第百二十三条第二項、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条を除く。)及び第百八十三条の規定は動産競売について、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について準用する。
(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)
第百九十三条 第百四十三条に規定する債権及び第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第百八十一条第一項第一号から第三号まで、第二項又は第三項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。
2 第二章第二節第四款(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百五十二条及び第百五十三条の規定は同項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。
(担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)
第百九十四条 第三十八条、第四十一条及び第四十二条の規定は、担保権の実行としての競売並びに前条第一項に規定する担保権の実行及び行使について準用する。
(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)
第百九十五条 留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。
第五章 罰則
(過料)
第百九十六条 次の各号に掲げる場合においては、その行為をした民事執行の当事者(担保権の実行としての競売の場合の債務者を含む。)は、十万円以下の過料に処する。
一 物件明細書の作成に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由がなくて、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしたとき。
二 現況の調査に関し、執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由がなくて、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示したとき。
第百九十七条 前条に掲げる者以外の者が、物件明細書の作成に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由がなくて、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしたときは、五万円以下の過料に処する。
(管轄等)
第百九十八条 前二条に規定する過料の事件は、執行裁判所の管轄とする。
2 過料の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十五年十月一日から施行する。
(競売法の廃止)
第二条 競売法(明治三十一年法律第十五号)は、廃止する。
(民事訴訟法の一部改正)
第三条 民事訴訟法の一部を次のように改正する。
民事訴訟法目録中
第六編
強制執行
第一章
総則
第二章
金銭ノ債権ニ付テノ強制執行
第一節
動産ニ対スル強制執行
第一款
通則
第二款
有体動産ニ対スル強制執行
第三款
債権及ビ他ノ財産権ニ対スル強制執行
第四款
配当手続
第二節
不動産ニ対スル強制執行
第一款
通則
第二款
強制競売
第三款
強制管理
第三節
船舶ニ対スル強制執行
第三章
金銭ノ支払ヲ目的トセザル債権ニ付テノ強制執行
第四章
仮差押及ビ仮処分
第五編ノ三
判決ノ確定及ビ執行停止
第六編
仮差押及ビ仮処分
に改める。
第六編中「第一章 総則」を削る。
第四百九十七条ノ二を削る。
第五百十三条第一項中「本編」を「本編及ビ次編」に改める。
第五百十四条から第五百六十三条まで並びに第六編第二章及び第三章を次のように改める。
第五百十四条乃至第七百三十六条 削除
「第四章 仮差押及ビ仮処分」を削る。
第七百四十八条から第七百五十四条までを次のように改める。
第七百四十八条乃至第七百五十四条 削除
第七百五十八条第三項を削る。
第七百六十二条及び第七百六十三条中「本章」を「本編」に改める。
第六編中第七百六十三条の次に次の一条を加える。
第七百六十三条ノ二 本編ニ定メタル裁判所ノ管轄ハ専属トス
「第六編 強制執行」を削る。
第四百六十四条から第四百九十七条までを次のように改める。
第四百六十四条乃至第四百九十七条 削除
第四百九十八条の前に次の編名を付する。
第五編ノ三 判決ノ確定及ビ執行停止
第七百三十七条の前に次の編名を付する。
第六編 仮差押及ビ仮処分
(経過措置)
第四条 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前にした前条の規定による改正前の民事訴訟法又は附則第二条の規定による廃止前の競売法の規定による執行処分その他の行為は、この法律の適用については、この法律の相当規定によつてした執行処分その他の行為とみなす。
3 前二項に規定するもののほか、この法律の施行の際、現に裁判所に係属し、又は執行官が取り扱つている事件の処理に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
法務大臣 古井喜実
内閣総理大臣 大平正芳