司法書士法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月二十二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十七号
司法書士法
司法書士法(大正八年法律第四十八号)の全部を改正する。
(業務)
第一條 司法書士は、他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を代つて作成することを業とする。
2 司法書士は、前項の書類であつても他の法律において制限されているものについては、その業務を行うことができない。
(資格)
第二條 左の各号の一に該当する者は、第四條の認可を受けて司法書士となることができる。
一 裁判所事務官、裁判所書記官、裁判所書記官補、法務府事務官又は検察事務官の職の一又は二以上に在つてその年数を通算して三年以上になる者
二 前号に掲げる者と同等以上の教養及び学力を有する者
(欠格事由)
第三條 左に掲げる者は、司法書士となる資格を有しない。
一 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
四 第十二條の規定により認可の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
(認可)
第四條 司法書士となるには、事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の長の認可を受けなければならない。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の認可を與えない場合においては、あらかじめその認可を申請した者の請求により、その出頭を求めて公開による聽問を行わなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、前項の聽問を行う場合には、認可を與えない理由並びに聽問の期日及び場所を、その期日の一週間前までにその認可を申請した者に通知しなければならない。
4 法務局又は地方法務局の長は、認可を申請した者が正当な理由がなくて聽問の期日に出頭しないときは、聽問を行わないで認可を與えないことができる。
(事務所)
第五條 司法書士は、法務府令で定める基準に従い、事務所を設けなければならない。
(嘱託に応ずる義務)
第六條 司法書士は、正当な事由がある場合でなければ嘱託を拒むことができない。
(報酬)
第七條 司法書士が受けることのできる報酬の額は、法務総裁の定めるところによる。
2 司法書士は、その業務に関して、前項の額を超えて報酬を受けてはならない。
(業務を行い得ない場合)
第八條 司法書士は、当事者の一方から嘱託されて取り扱つた事件について、相手方のために書類を作成してはならない。
(業務範囲を越える行為の禁止)
第九條 司法書士は、その業務の範囲を越えて他人間の訴訟その他の事件に関與してはならない。
(秘密保持の義務)
第十條 司法書士は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた事実を他に漏らしてはならない。
(認可の取消)
第十一條 司法書士が左の各号の一に該当するときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、認可を取り消すことができる。
一 引き続き二年以上業務を行わないとき
二 身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき
(懲戒)
第十二條 司法書士がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 認可の取消
(聽問)
第十三條 法務局又は地方法務局の長は、第十一條又は前條第二号若しくは第三号の処分をしようとするときは、当該司法書士の請求により、その出頭を求めて公開による聽問を行わなければならない。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の聽問を行う場合には、その処分の原因と認められる事実並びに聽問の期日及び場所を、その期日の一週間前までに当該司法書士に通知しなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、当該司法書士が正当な理由がなくて聽問の期日に出頭しないときは、聽問を行わないで第十一條又は前條第二号若しくは第三号の処分をすることができる。
(司法書士会)
第十四條 司法書士は、法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、司法書士会を設立することができる。
2 司法書士会は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(司法書士会の会則)
第十五條 司法書士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 会の代表者その他役員に関する規定
三 会議に関する規定
四 司法書士の品位保持に関する規定
五 司法書士の執務に関する規定
(司法書士会の会員)
第十六條 司法書士会の区域内に事務所を有する司法書士は、その司法書士会の会員となることができる。
(司法書士会連合会)
第十七條 司法書士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を單位とする司法書士会連合会を設立することができる。
(法務府令への委任)
第十八條 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し司法書士の認可及び業務執行について必要な事項は、法務府令で定める。
(非司法書士の取締)
第十九條 司法書士でない者は、第一條に規定する業務を行つてはならない。但し、他の法律に別段の定がある場合又は正当の業務に附随して行う場合は、この限りでない。
2 司法書士でない者は、司法書士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(罰則)
第二十條 第六條又は第七條第二項の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。
第二十一條 第九條の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十二條 第十條の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罰は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第二十三條 第十九條第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 第十九條第二項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年七月一日から施行する。
2 この法律施行の際現に司法書士である者は、この法律の規定による司法書士とみなす。
3 第二條第一号の規定の適用については、裁判所書記の在職年数は、裁判所書記官補の在職年数とみなし、法務庁事務官、司法事務官又は司法属の在職年数は、法務府事務官の在職年数とみなす。
4 この法律施行の際現に設けられている司法書士の事務所は、この法律の規定により設けられたものとみなす。
5 従前の規定により定められた書記料は、第七條第一項の規定により法務総裁が報酬の額を定めるまでは、同項の規定により定められた報酬の額とみなす。
6 この法律施行前にした旧司法書士法第十一條第一項に該当する行為に対する処分については、なお従前の例による。
7 この法律施行の際現に存する司法書士会は、この法律の規定により設立されたものとみなす。
8 前項の司法書士会は、この法律施行の日から六箇月内に第十五條の規定により会則を定めなければならない。
9 民事訴訟費用法(明治二十三年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第二條第三項を次のように改める。
司法書士法ノ定ムル所ニ従ヒテ司法書士ニ支拂ヒタル報酬ノ金額カ前二項ニ定ムルモノト異ナルトキハ其額ニ依ル
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂
司法書士法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月二十二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十七号
司法書士法
司法書士法(大正八年法律第四十八号)の全部を改正する。
(業務)
第一条 司法書士は、他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を代つて作成することを業とする。
2 司法書士は、前項の書類であつても他の法律において制限されているものについては、その業務を行うことができない。
(資格)
第二条 左の各号の一に該当する者は、第四条の認可を受けて司法書士となることができる。
一 裁判所事務官、裁判所書記官、裁判所書記官補、法務府事務官又は検察事務官の職の一又は二以上に在つてその年数を通算して三年以上になる者
二 前号に掲げる者と同等以上の教養及び学力を有する者
(欠格事由)
第三条 左に掲げる者は、司法書士となる資格を有しない。
一 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
四 第十二条の規定により認可の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
(認可)
第四条 司法書士となるには、事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の長の認可を受けなければならない。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の認可を与えない場合においては、あらかじめその認可を申請した者の請求により、その出頭を求めて公開による聴問を行わなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、前項の聴問を行う場合には、認可を与えない理由並びに聴問の期日及び場所を、その期日の一週間前までにその認可を申請した者に通知しなければならない。
4 法務局又は地方法務局の長は、認可を申請した者が正当な理由がなくて聴問の期日に出頭しないときは、聴問を行わないで認可を与えないことができる。
(事務所)
第五条 司法書士は、法務府令で定める基準に従い、事務所を設けなければならない。
(嘱託に応ずる義務)
第六条 司法書士は、正当な事由がある場合でなければ嘱託を拒むことができない。
(報酬)
第七条 司法書士が受けることのできる報酬の額は、法務総裁の定めるところによる。
2 司法書士は、その業務に関して、前項の額を超えて報酬を受けてはならない。
(業務を行い得ない場合)
第八条 司法書士は、当事者の一方から嘱託されて取り扱つた事件について、相手方のために書類を作成してはならない。
(業務範囲を越える行為の禁止)
第九条 司法書士は、その業務の範囲を越えて他人間の訴訟その他の事件に関与してはならない。
(秘密保持の義務)
第十条 司法書士は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた事実を他に漏らしてはならない。
(認可の取消)
第十一条 司法書士が左の各号の一に該当するときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、認可を取り消すことができる。
一 引き続き二年以上業務を行わないとき
二 身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき
(懲戒)
第十二条 司法書士がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 認可の取消
(聴問)
第十三条 法務局又は地方法務局の長は、第十一条又は前条第二号若しくは第三号の処分をしようとするときは、当該司法書士の請求により、その出頭を求めて公開による聴問を行わなければならない。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の聴問を行う場合には、その処分の原因と認められる事実並びに聴問の期日及び場所を、その期日の一週間前までに当該司法書士に通知しなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、当該司法書士が正当な理由がなくて聴問の期日に出頭しないときは、聴問を行わないで第十一条又は前条第二号若しくは第三号の処分をすることができる。
(司法書士会)
第十四条 司法書士は、法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、司法書士会を設立することができる。
2 司法書士会は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(司法書士会の会則)
第十五条 司法書士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 会の代表者その他役員に関する規定
三 会議に関する規定
四 司法書士の品位保持に関する規定
五 司法書士の執務に関する規定
(司法書士会の会員)
第十六条 司法書士会の区域内に事務所を有する司法書士は、その司法書士会の会員となることができる。
(司法書士会連合会)
第十七条 司法書士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を単位とする司法書士会連合会を設立することができる。
(法務府令への委任)
第十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し司法書士の認可及び業務執行について必要な事項は、法務府令で定める。
(非司法書士の取締)
第十九条 司法書士でない者は、第一条に規定する業務を行つてはならない。但し、他の法律に別段の定がある場合又は正当の業務に附随して行う場合は、この限りでない。
2 司法書士でない者は、司法書士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(罰則)
第二十条 第六条又は第七条第二項の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。
第二十一条 第九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十二条 第十条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罰は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第二十三条 第十九条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 第十九条第二項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年七月一日から施行する。
2 この法律施行の際現に司法書士である者は、この法律の規定による司法書士とみなす。
3 第二条第一号の規定の適用については、裁判所書記の在職年数は、裁判所書記官補の在職年数とみなし、法務庁事務官、司法事務官又は司法属の在職年数は、法務府事務官の在職年数とみなす。
4 この法律施行の際現に設けられている司法書士の事務所は、この法律の規定により設けられたものとみなす。
5 従前の規定により定められた書記料は、第七条第一項の規定により法務総裁が報酬の額を定めるまでは、同項の規定により定められた報酬の額とみなす。
6 この法律施行前にした旧司法書士法第十一条第一項に該当する行為に対する処分については、なお従前の例による。
7 この法律施行の際現に存する司法書士会は、この法律の規定により設立されたものとみなす。
8 前項の司法書士会は、この法律施行の日から六箇月内に第十五条の規定により会則を定めなければならない。
9 民事訴訟費用法(明治二十三年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項を次のように改める。
司法書士法ノ定ムル所ニ従ヒテ司法書士ニ支払ヒタル報酬ノ金額カ前二項ニ定ムルモノト異ナルトキハ其額ニ依ル
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂