(営業の免許)
第三条 外国証券業者は、証券取引法第二十八条第一項(証券業の免許)の規定にかかわらず、国内に設ける支店ごとに大蔵大臣の免許を受けた場合に限り、当該支店において当該免許に係る証券業を営むことができる。
2 前項の免許を受けない外国証券業者は、国内にある者を相手方として証券取引行為を行なつてはならない。ただし、証券会社を相手方とする場合その他の場合で政令で定める場合は、この限りでない。
3 第一項の免許は、次に掲げる四種類とする。
二 有価証券の売買の媒介、取次ぎ及び代理並びに有価証券市場(証券取引法第二条第十二項(定義)に規定する有価証券市場をいい、これに類する有価証券の市場で外国に所在するものを含む。)における売買取引の委託の媒介、取次ぎ及び代理を行なう業務の免許
四 有価証券の募集及び売出しの取扱いを行なう業務の免許
4 証券取引法第二十九条(免許の条件)の規定は、第一項の免許について準用する。
(免許の申請)
第四条 前条第一項の免許を受けようとする者は、当該免許を受けて業務を営もうとする支店につきその業務を担当する代表者(以下「支店の代表者」という。)を定め、次に掲げる事項を記載した免許申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。
三 役員(取締役及び監査役又はこれらに類する役職にある者をいう。以下同じ。)の役職名及び氏名
七 免許申請に係る業務と同種類の業務を開始した年月日
八 本店及び当該支店以外の営業所の名称及び所在の場所
2 前項の免許申請書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 定款及び会社登記簿の謄本(これらに準ずるものを含む。)並びに業務の内容及び方法を記載した書類
二 当該支店の会社登記簿の謄本及び当該支店における業務の方法を記載した書類
(免許の審査基準)
第五条 大蔵大臣は、第三条第一項の免許をしようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 免許申請者及びその申請に係る支店(以下次条までにおいて「予定支店」という。)がその営もうとする業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該免許申請者及び当該予定支店の業務の収支の見込みが良好なものであること。
二 免許申請者及びその予定支店が、その人的構成に照らして、その営もうとする業務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有するものであること。
三 免許申請に係る証券業が、その営まれる地域における有価証券の取引の状況、証券会社及びその営業所の数、外国証券会社の支店(第三条第一項の免許を受けた支店をいう。以下同じ。)の数その他その地域における経済の状況に照らして、必要かつ適当なものであること。
(免許の拒否要件)
第六条 大蔵大臣は、免許申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、第三条第一項の免許をしてはならない。
二 免許申請に係る業務と同種類の業務を三年以上継続して営んでいる外国証券業者でないとき(政令で定める場合に該当するときを除く。)。
三 法令上、すべての種類の有価証券に係る証券取引行為のいずれかを、その業務とともに営業として行なうことが認められない者の営む当該業務と同種類の業務を営んでいる者又はその者と密接な関係を有する者として政令で定める要件に該当する者(これらの者のうち政令で定める者を除く。)であるとき。
四 第十二条第三項に規定する政令で定めるところにより計算した資本の額が、免許の種類、業務の態様及び予定支店の所在地に応じ、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして、証券取引法第三十二条第一号(免許の拒否要件)に規定する政令で定めるところに準じて政令で定める金額以上の法人でないとき。
五 証券取引法若しくはこの法律(以下「国内証券法」と総称する。)の規定又はこれに相当する外国の法令の規定(以下「外国証券法令の規定」という。)により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。第七号ロにおいて同じ。)に処せられ、その刑の執行を終わつた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者であるとき。
六 その受けているすべての種類の免許若しくは申請に係る免許と同一種類の免許が第十二条第一項の規定により取り消され、又はその本店の所在する国において受けているすべての種類の証券業に係る免許(当該免許に類する許可、登録その他の行政処分を含む。以下「免許等」という。)若しくは申請に係る免許と同種類の免許等が外国証券法令の規定により取り消され、その取消しの日から五年を経過するまでの者であるとき。
七 役員(いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第十二条及び第十三条において同じ。)及び予定支店の代表者のうちに次のいずれかに該当する者のある法人であるとき。
イ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ロ 禁錮以上の刑若しくはこれに相当する外国の法令による刑又は国内証券法の規定若しくは外国証券法令の規定による罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わつた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者
ハ 証券会社若しくは外国証券会社が、国内証券法の規定によりその受けているすベての種類の免許を取り消された場合において、その取消しの日以前三十日内にその証券会社若しくは外国証券会社の役員(監査役及びこれに類する役職にある者を除く。以下このハにおいて同じ。)若しくはその外国証券会社の支店の代表者であつた者でその取消しの日から五年を経過するまでのもの又は外国証券業者が、その本店の所在する国の外国証券法令の規定によりその受けているすべての種類の免許等を取り消された場合において、その証券業を営んでいた個人若しくはその取消しの日以前三十日内にその外国証券業者の役員であつた者でその取消しの日から五年を経過するまでのもの
ニ 国内証券法の規定により解任若しくは解職を命ぜられた証券会社若しくは外国証券会社の役員若しくは外国証券会社の支店の代表者又はその本店の所在する国の外国証券法令の規定により解任を命ぜられた外国証券業者の役員で、その処分を受けた日から五年を経過するまでのもの
(支店の名称の制限)
第七条 証券取引法第四十一条第一項(商号の制限)の規定は、外国証券会社の支店の名称について準用する。
2 証券取引法第四十一条第二項の規定は、外国証券会社には適用しない。
(営業保証金)
第八条 外国証券会社は、第六条第四号に規定する政令で定める金額で当該外国証券会社につき適用されるものの十分の一に相当する金額(その金額が千万円に満たないときは、千万円)以下において、免許の種類、営業の態様及び支店の所在地に応じて政令で定める額の営業保証金を、支店ごとにそのもよりの供託所に供託しなければならない。
2 外国証券会社は、政令で定めるところにより、当該外国証券会社のために所要の営業保証金が大蔵大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を大蔵大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなつている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前項の営業保証金の一部の供託をしないことができる。
3 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、外国証券会社と前項の契約を締結した者又は当該外国証券会社に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
4 外国証券会社は、第一項の営業保証金につき供託(第二項の契約の締結を含む。)を行ない、その旨を大蔵大臣に届け出た後でなければ、その免許に係る業務(第十条第二号又は第三号に係る認可を受けたことにより供託すべき営業保証金の額が増加することとなる場合にあつては、その認可に係る業務)を開始してはならない。
5 外国証券会社の支店がした証券取引行為の相手方となつた者(証券会社及び外国証券会社並びにその取引をした時において国内に住所及び居所を有しない個人並びに国内に営業所及び事務所を有しない法人を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該支店に係る営業保証金について、他の債権者に先だち弁済を受ける権利を有する。
6 前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。
7 外国証券会社は、第五項の権利の実行その他の理由により、営業保証金の額(契約金額を含む。第九項において同じ。)が第一項の規定により供託すべき金額に不足することとなつたときは、大蔵省令で定める日から三週間以内にその不足額につき供託(第二項の契約の締結を含む。第三十五条第三号において同じ。)を行ない、その旨を遅滞なく大蔵大臣に届け出なければならない。
8 第一項又は前項の規定により供託する営業保証金は、国債証券、地方債証券その他大蔵省令で定める有価証券をもつてこれに充てることができる。
9 第一項、第三項又は第七項の規定により供託した営業保証金は、第十一条の規定によりその支店におけるすべての証券業の廃止につき認可を受けた場合、第十二条第一項の規定によりその支店に係るすべての種類の免許を取り消された場合又は営業保証金の額が第一項の規定により供託すべき金額をこえることとなつた場合には、政令で定めるところにより、その全部又は一部を取り戻すことができる。
10 前各項に規定するもののほか、営業保証金に関し必要な事項は、法務省令、大蔵省令で定める。
(職務代行者)
第九条 大蔵大臣は、外国証券会社の支店の代表者が欠けた場合において必要があると認めるときは、一時その職務を行なうべき者(次項において「職務代行者」という。)を選任することができる。この場合には、当該外国証券会社は、支店の所在地においてその登記をしなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により職務代行者を選任したときは、外国証券会社に対し、当該職務代行者に相当額の報酬を支払うべき旨を命ずることができる。
(基本事項の変更の認可)
第十条 外国証券会社は、次に掲げる場合には、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
二 支店における業務の方法を変更しようとするとき。
(営業の譲渡等の認可)
第十一条 次に掲げる事項は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
一 外国証券会社の支店についての営業の全部若しくは一部の譲渡又は営業の譲受け
二 外国証券会社の支店における証券業の廃止(二種類以上の免許を受けている場合における一部の種類の免許に係る業務の廃止を含む。)
(免許の取消し等)
第十二条 大蔵大臣は、外国証券会社が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国証券会社の支店に係る免許を取り消し、又は六月以内の期間を定めて当該支店の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第六条第一号から第五号まで又は第六号(外国証券法令の規定に係る部分に限る。)に該当することとなつたとき。
二 法令(外国の法令を含む。)、当該法令に基づく行政庁の処分又は当該免許若しくはその本店の所在する国において受けている免許等に附された条件に違反した場合において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認められるとき。
三 純財産額が資本の額に満たなくなつた場合その他業務又は財産の状況に照らし支払不能におちいるおそれがある場合において、投資者の受ける損害を防止するためやむを得ないと認められるとき。
四 役員(次項に規定するものを除く。)が第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつた場合又は第二号の行為をした場合において、その役員が在任することにより当該支店における業務の公正な運営が阻害されるおそれがあると認められるとき。
五 免許申請書又はその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり又は重要な事実の記載が欠けていることが判明したとき。
2 大蔵大臣は、外国証券会社の支店の代表者又は当該支店に駐在する役員が第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつたとき、又は前項第二号の行為をしたときは、当該外国証券会社に対して、当該支店の代表者の解任又は当該役員の解職を命ずることができる。
3 第一項第三号に規定する純財産額及び資本の額の計算については、政令で定める。
(引受業務の一部の許可)
第十三条 外国証券業者(第三条第三項第三号の免許を受けた外国証券会社を除く。)は、同条第二項の規定にかかわらず、大蔵省令で定めるところにより大蔵大臣の許可を受けて、その行なう有価証券の引受けの業務のうち、元引受契約への参加その他の行為で政令で定めるものを国内において行なうことができる。
2 第三条第四項、第五条第一号及び第二号並びに第六条第五号から第七号までの規定は、前項の許可について準用する。
3 大蔵大臣は、第一項の許可を受けた外国証券業者(以下「許可業者」という。)が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該許可を取り消すことができる。
一 第六条第五号又は第六号に該当することとなつたとき。
二 法令(外国の法令を含む。)、当該法令に基づく行政庁の処分又は当該許可若しくはその本店の所在する国において受けている免許等に附された条件に違反した場合において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認められるとき。
四 許可業者の役員(許可業者が外国証券会社である場合にはその支店の代表者を含むものとし、許可業者が個人である場合には当該個人とする。)が、第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつた場合又は第二号の行為をした場合において、当該許可に係る行為が公正に行なわれないこととなるおそれがあると認められるとき。
(行政処分の手続)
第十四条 証券取引法第三十六条第一項(行政処分の手続)の規定は、大蔵大臣が第三条第一項の免許若しくは前条第一項の許可をしないこととし、又は第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第三項の規定に基づく処分をしようとするときについて、同法第三十六条第二項の規定は、大蔵大臣が第三条第一項の免許、前条第一項の許可若しくは第十条若しくは第十一条の認可をし若しくはしないこととしたとき、第三条第四項(前条第二項において準用する場合を含む。)において準用する同法第二十九条第一項(免許の条件)の規定により条件を附することとしたとき、又は第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第三項の規定に基づいて処分をすることとしたときについて準用する。
(変更等の届出)
第十五条 外国証券会社は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく(第三号及び第四号の場合にあつては、あらかじめ)、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
一 第四条第一項第一号から第三号まで、第五号又は第八号に掲げる事項に変更があつたとき。
二 定款又は業務の方法(支店に係るものを除く。)を変更したとき。
三 合併し、又は営業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け(支店のみに係るものを除く。)をしようとするとき。
四 解散し、又はその証券業の全部若しくは一部の廃止(支店のみに係るものを除く。)をしようとするとき。
五 第六条第五号、第六号又は第七号に該当することとなつたとき。
六 本店又は支店において営業を休止し、又は再開したとき。
(残務の結了)
第十六条 証券取引法第三十八条(残務の結了)の規定は、外国証券会社がその支店における証券業を廃止した場合について準用する。