朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル日本銀行法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十三日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
法律第六十七號
日本銀行法
第一章 總則
第一條 日本銀行ハ國家經濟總力ノ適切ナル發揮ヲ圖ル爲國家ノ政策ニ卽シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス
日本銀行ハ法人トス
第二條 日本銀行ハ專ラ國家目的ノ達成ヲ使命トシテ運營セラルベシ
第三條 日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依リ通貨及金融ニ關スル國ノ事務ヲ取扱フモノトス
前項ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ハ法令ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ノ負擔トス
第四條 日本銀行ハ本店ヲ東京市ニ置ク
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ支店若ハ出張所ヲ設置シ又ハ主務大臣ノ指定スル者ヲシテ業務ノ一部ヲ代理セシムルコトヲ得
第五條 日本銀行ノ資本金ハ一億圓トシ之ヲ百萬口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百圓トス
政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ五千五百萬圓ヲ日本銀行ニ出資スベシ
第六條 外國人、外國法人又ハ勅令ヲ以テ定ムル帝國法人ハ日本銀行ノ出資者タルコトヲ得ズ
第七條 日本銀行ハ出資ニ對シ出資證券ヲ發行ス
前項ノ出資證券ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 出資者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第九條 日本銀行ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 本店、支店及出張所ノ所在地
四 資本金額、出資及資產ニ關スル事項
五 役員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 銀行券ノ發行ニ關スル事項
八 事業年度
九 經理ニ關スル事項
十 公吿ノ方法
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十條 日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十一條 日本銀行ニハ營業稅ヲ課セズ
第十二條 日本銀行ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行ノ解散シタル場合ニ於テ拂込資本金額ヲ超ユル殘餘財產ハ國庫ニ歸屬ス
第十三條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ日本銀行ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十四條 日本銀行ニ役員トシテ總裁副總裁各一人、理事三人以上、監事二人以上及參與若干人ヲ置ク
第十五條 總裁ハ日本銀行ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ日本銀行ノ業務ヲ監査ス
參與ハ日本銀行ノ業務ニ關スル重要事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ總裁ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十六條 總裁及副總裁ハ勅裁ヲ經テ政府之ヲ命ズ
理事ハ總裁ノ推薦シタル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
參與ハ金融業若ハ產業ニ從事スル者又ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
總裁及副總裁ノ任期ハ五年、理事ノ任期ハ四年、監事ノ任期ハ三年、參與ノ任期ハ二年トス
第十七條 總裁ハ日本銀行ノ本店、支店又ハ出張所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十八條 總裁、副總裁、理事及監事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十九條 日本銀行ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
前項ノ職員ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 業務
第二十條 日本銀行ハ左ノ業務ヲ行フモノトス
一 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形ノ割引
二 手形、國債其ノ他ノ有價證券、地金銀又ハ商品ヲ擔保トスル貸付
三 預リ金
四 內國爲替
五 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形、國債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券ノ賣買
六 地金銀ノ賣買
七 手形ノ取立、保護預リ其ノ他前各號ノ業務ニ附隨スル業務
第二十一條 日本銀行ハ前條第一號ノ割引ニ付基準ト爲ルベキ割引步合及同條第二號ノ貸付ニ付基準ト爲ルベキ貸付利子步合ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本銀行前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ其ノ旨ヲ公吿スベシ
第二十二條 日本銀行ハ政府ニ對シ擔保ヲ徵セズシテ貸付ヲ爲スコトヲ得
日本銀行ハ國債ノ應募又ハ引受ヲ爲スコトヲ得
第二十三條 日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ外國爲替ノ賣買ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 日本銀行ハ國際金融取引上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ外國金融機關ニ對シ出資ヲ爲シ若ハ資金ヲ融通シ又ハ外國金融機關ト爲替決濟ニ關スル取引ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ爲必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第二十六條 日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國庫金ノ取扱ヲ爲スベシ
第二十七條 日本銀行ハ本法ニ規定セザル業務ヲ行フコトヲ得ズ但シ日本銀行ノ目的達成上必要アル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十八條 主務大臣ハ日本銀行ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ銀行其ノ他ノ金融機關ニ對シ日本銀行ノ業務ニ協力セシムル爲必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第四章 銀行券
第二十九條 日本銀行ハ銀行券ヲ發行ス
前項ノ銀行券ハ公私一切ノ取引ニ無制限ニ通用ス
第三十條 主務大臣ハ前條第一項ノ銀行券ノ發行限度ヲ定ムベシ
主務大臣前項ノ發行限度ヲ定メタルトキハ之ヲ公示ス
第三十一條 日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前條第一項ノ發行限度ヲ超エテ銀行券ヲ發行スルコトヲ得
第三十二條 日本銀行ハ銀行券發行高ニ對シ同額ノ保證ヲ保有スルコトヲ要ス
前項ノ保證ハ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノナルコトヲ要ス
一 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形
二 第二十條第二號又ハ第二十二條第一項ノ規定ニ依ル貸付金
三 國債
四 第二十條第五號ノ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券
五 外國爲替
六 地金銀(金銀貨ヲ含ム)
前項第一號、第二號及第五號ノ手形、貸付金及外國爲替ハ三月以內ニ滿期ノ到來スルモノナルコトヲ要ス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條ノ規定ニ依リ外國金融機關ニ對シ出資ヲ爲シタル場合其ノ他特別ノ必要アル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ第二項各號ニ該當セザル有價證券又ハ債權ヲ以テ第一項ノ保證ニ充ツルコトヲ得
日本銀行ハ第二項各號及前項ノ保證ノ價格ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十三條 銀行券ノ種類及樣式ハ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ種類及樣式ヲ定メタルトキハ之ヲ公示ス
第三十四條 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ銀行券發行高ヲ公吿スベシ
第三十五條 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ本店、支店又ハ出張所ニ於テ染汚、毀損其ノ他ノ事由ニ因リ通用シ難キ銀行券ヲ無手數料ニテ引換フベシ
第三十六條 日本銀行ハ銀行券ノ製造及銷却ノ手續ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五章 經理
第三十七條 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ノ經費ノ豫算ヲ定メ事業年度開始迄ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第三十八條 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ニ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ每事業年度經過後二月以內ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ承認ヲ受クベシ
第三十九條 日本銀行ハ每事業年度ニ準備金トシテ損失塡補及配當準備ノ爲剩餘金ノ二十分ノ一ヲ積立ツベシ
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ準備金ノ外目的ヲ定メ積立ヲ爲スコトヲ得
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ剩餘金中ヨリ政府以外ノ者ノ出資ニ付拂込金額ニ對シ年四分ヲ下ラザル割合ノ配當ヲ爲スベシ但シ其ノ配當ハ年五分ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ
政府ノ出資ニ付テハ剩餘金ノ配當ハ之ヲ爲サズ
日本銀行ハ剩餘金中ヨリ第一項及第二項ノ規定ニ依ル準備金竝ニ第三項ノ規定ニ依ル配當金ヲ控除シタル殘額ヲ事業年度經過後二月以內ニ政府ニ納付スベシ
前項ノ規定ニ依ル納付金額ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ法人稅法ニ依ル所得及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第四十條 前條第一項ノ準備金及同條第二項ノ規定ニ依ル準備金中損失ノ塡補又ハ配當ニ充ツベキ金額ヲ使用スルモ猶日本銀行ノ每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年四分ノ割合ニ達セザルトキ(剩餘金額ナキトキ及損失ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ
第四十一條 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ノ事業ノ槪況ヲ公吿スベシ
第六章 監督
第四十二條 日本銀行ハ主務大臣之ヲ監督ス
第四十三條 主務大臣ハ日本銀行ノ目的達成上特ニ必要アリト認ムルトキハ日本銀行ニ對シ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第四十四條 主務大臣ハ日本銀行ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十五條 主務大臣ハ特ニ日本銀行監理官ヲ置キ日本銀行ノ業務ヲ監視セシム
第四十六條 日本銀行監理官ハ何時ニテモ日本銀行ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
日本銀行監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ日本銀行ニ命ジ業務及財產ノ狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本銀行監理官ハ日本銀行ノ諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第四十七條 日本銀行ノ役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シタルトキ又ハ日本銀行ノ目的達成上特ニ必要アリト認ムルトキハ總裁及副總裁ニ付テハ政府、理事、監事及參與ニ付テハ主務大臣之ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第四十八條 日本銀行ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ總裁又ハ總裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副總裁又ハ理事ノ掌理スル業務ニ係ルトキハ副總裁又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
附 則
第四十九條 本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條 日本銀行條例ニ依ル日本銀行(以下舊日本銀行ト稱ス)ハ第五十一條乃至第六十條ノ規定ニ依リ本法ニ依ル日本銀行(以下日本銀行ト稱ス)ト爲ルモノトス
第五十一條 舊日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ株券ノ名義書換ヲ停止スベシ
第五十二條 主務大臣ハ改組委員ヲ命ジ舊日本銀行ヲ日本銀行ト爲ス爲ニ必要ナル事務ヲ處理セシム
第五十三條 改組委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四條 前條ノ認可アリタルトキハ改組委員ハ舊日本銀行ノ株式ニ對シ日本銀行ノ出資ヲ引當ツベシ
前項ノ出資ノ引當ハ舊日本銀行ノ全額拂込濟株式一株ニ付日本銀行ノ全額拂込濟出資二口、舊日本銀行ノ未拂込株式一株ニ付日本銀行ノ全額拂込濟出資一口ノ割合ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第五十五條 第五十三條ノ認可アリタルトキハ改組委員ハ遲滯ナク出資ノ引受ヲ政府ニ稟請スベシ
第五十六條 第五十四條第一項ノ引當及前條ノ引受ヲ了シタルトキハ其ノ際現ニ舊日本銀行ノ總裁、副總裁、理事及監事タル者ハ其ノ殘任期間ヲ限リ各日本銀行ノ總裁、副總裁、理事及監事トシテ就職シタルモノト看做ス
第五十七條 第五十四條第一項ノ引當及第五十五條ノ引受ヲ了シタルトキハ改組委員ハ其ノ事務ヲ日本銀行總裁ニ引渡スベシ
第五十八條 日本銀行總裁前條ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ本店ノ所在地ニ於テ成立ノ登記ヲ爲スベシ
日本銀行ハ前項ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第五十九條 日本銀行ノ成立ニ因リ舊日本銀行ハ之ニ吸收セラルルモノトシ舊日本銀行ノ一切ノ權利義務ハ日本銀行ニ於テ之ヲ承繼ス
第六十條 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外舊日本銀行ガ日本銀行ト爲ルニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條 日本銀行條例、昭和十六年法律第十四號其ノ他ノ法令ニ依リテ爲シタル許可、認可、處分其ノ他ノ行爲ハ本法中之ニ相當スル規定アル場合ニ於テハ本法ニ依リテ之ヲ爲シタルモノト看做ス
第六十二條 他ノ法令中舊日本銀行又ハ其ノ職員ニ關スル規定ハ日本銀行又ハ其ノ職員ニ關スル規定トス
第六十三條 舊日本銀行ノ發行シタル兌換銀行券ハ本法ニ依リ日本銀行ノ發行シタル銀行券ト看做ス
日本銀行ハ當分ノ內第三十三條第一項ノ規定ニ拘ラズ舊日本銀行ノ發行シタル兌換銀行券ト同一ノ種類及樣式ノ銀行券ヲ本法ニ依ル銀行券トシテ發行スルコトヲ得
第六十四條 舊日本銀行ガ日本銀行ト爲リタルトキハ舊日本銀行ノ全額拂込濟株券ハ一株ニ付二口ノ割合ヲ以テ計算シタル口數ノ日本銀行ノ全額拂込濟出資證券ト看做シ舊日本銀行ノ未拂込株券ハ一株ニ付一口ノ割合ヲ以テ計算シタル口數ノ日本銀行ノ全額拂込濟出資證券ト看做ス
第六十五條 舊日本銀行ノ株式ヲ目的トスル質權其ノ他ノ權利ハ其ノ株式ニ對シ引當テラレタル出資ノ持分ノ上ニ存在ス
第六十六條 舊日本銀行ガ日本銀行ト爲リタルトキハ日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ遲滯ナク其ノ旨ヲ公吿スベシ
第六十七條 日本銀行ガ第五十九條ノ規定ニ依リ舊日本銀行ヨリ不動產ニ關スル權利ヲ承繼スル場合ニ於ケル其ノ取得ニ付受クル登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第五十九條ノ規定ニ依ル舊日本銀行ヨリ日本銀行ヘノ有價證券ノ移轉ニ付テハ有價證券移轉稅ヲ課セズ
第六十八條 日本銀行ハ第五十四條第一項ノ規定ニ依リ日本銀行ノ出資者ト爲リタル者ニ對シ補償金ヲ交付スベシ
前項ノ補償金ノ額ノ算出ノ基準ハ舊日本銀行株式ノ昭和十五年及昭和十六年中ニ於ケル時價竝ニ日本銀行成立ノ日ニ於ケル出資者ノ持分ノ價格ヲ參酌シテ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ基準ヲ決定セントスルトキハ日本銀行株式補償審査委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
日本銀行株式補償審査委員會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ補償金ハ國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ主務大臣之ヲ定ム
日本銀行ハ第三十九條第一項ノ規定ニ拘ラズ第一項ノ補償金ヲ交付スル爲準備金ヲ使用スルコトヲ得
第六十九條 第六十五條ノ規定ニ依リ出資ノ持分ノ上ニ存在スル質權其ノ他ノ權利ノ效力ハ前條第一項ノ補償金ニ及ブ
第七十條 第六十八條第一項ノ補償金ニ付テハ所得稅ヲ課セズ
第七十一條 舊日本銀行ガ事業年度中ニ日本銀行ト爲リタル場合ニ於テハ舊日本銀行ノ最終ノ事業年度ニ於ケル利益ノ配當ハ之ヲ爲サズ但シ日本銀行ノ最初ノ事業年度ニ於ケル剩餘金ノ配當ヲ爲スニ當リテハ舊日本銀行ノ株式ニ引當テタル出資ニ付テハ舊日本銀行ノ最終ノ事業年度ノ初ヨリ日本銀行ニ其ノ出資存在シタルモノト看做シテ配當スベキ金額ヲ算定スベシ
第七十二條 舊日本銀行ガ事業年度中ニ日本銀行ト爲リタル場合ニ於テハ第三十八條乃至第四十一條ノ規定ノ適用ニ付テハ舊日本銀行ノ最終ノ事業年度ノ初ヨリ日本銀行ノ最初ノ事業年度ノ終ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ日本銀行ノ一事業年度ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ日本銀行條例第十條ノ規定及日本銀行納付金法ハ舊日本銀行ノ最終ノ事業年度分ニハ之ヲ適用セズ
舊日本銀行ガ日本銀行ト爲リタルトキハ日本銀行ハ遲滯ナク最初ノ事業年度ノ經費ノ豫算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第七十三條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「恩給金庫」ノ上ニ「日本銀行、」ヲ、「恩給金庫法」ノ上ニ「日本銀行法、」ヲ加フ
第七十四條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第四號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四ノ三 日本銀行ノ發スル出資證券
第七十五條 日本銀行ハ第三十二條第二項ノ規定ニ依リ保有スル金地金及金貨ノ價格ヲ定ムルニ付テハ當分ノ內貨幣法第二條ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
朝鮮銀行又ハ臺灣銀行ハ昭和十六年法律第十五號第二條第一項ノ規定ニ依リ保有スル金地金及金貨ヲ當分ノ內貨幣法第二條ノ規定ニ拘ラズ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル價格ヲ以テ評價スベシ
第七十六條 貨幣法第十四條ノ規定ハ當分ノ內之ヲ適用セズ
第七十七條 
朝鮮銀行法第二十一條第二項中「金貨又ハ日本銀行兌換券」ヲ「日本銀行券」ニ、同法第二十二條第一項中「日本銀行兌換券」ヲ「日本銀行券」ニ、臺灣銀行法第八條第二項中「金貨又ハ兌換銀行券」ヲ「日本銀行券」ニ、同法第九條第一項及昭和十六年法律第十五號第二條中「兌換銀行券」ヲ「日本銀行券」ニ改ム
第七十八條 日本銀行條例、兌換銀行券條例、日本銀行納付金法、昭和十六年法律第十四號及金準備評價法ハ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル日本銀行法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十三日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第六十七号
日本銀行法
第一章 総則
第一条 日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス
日本銀行ハ法人トス
第二条 日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ
第三条 日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依リ通貨及金融ニ関スル国ノ事務ヲ取扱フモノトス
前項ノ事務ノ取扱ニ要スル経費ハ法令ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ノ負担トス
第四条 日本銀行ハ本店ヲ東京市ニ置ク
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ支店若ハ出張所ヲ設置シ又ハ主務大臣ノ指定スル者ヲシテ業務ノ一部ヲ代理セシムルコトヲ得
第五条 日本銀行ノ資本金ハ一億円トシ之ヲ百万口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百円トス
政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ五千五百万円ヲ日本銀行ニ出資スベシ
第六条 外国人、外国法人又ハ勅令ヲ以テ定ムル帝国法人ハ日本銀行ノ出資者タルコトヲ得ズ
第七条 日本銀行ハ出資ニ対シ出資証券ヲ発行ス
前項ノ出資証券ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 出資者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ヲ譲渡スコトヲ得
第九条 日本銀行ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 本店、支店及出張所ノ所在地
四 資本金額、出資及資産ニ関スル事項
五 役員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 銀行券ノ発行ニ関スル事項
八 事業年度
九 経理ニ関スル事項
十 公告ノ方法
定款ノ変更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十条 日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十一条 日本銀行ニハ営業税ヲ課セズ
第十二条 日本銀行ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行ノ解散シタル場合ニ於テ払込資本金額ヲ超ユル残余財産ハ国庫ニ帰属ス
第十三条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ日本銀行ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十四条 日本銀行ニ役員トシテ総裁副総裁各一人、理事三人以上、監事二人以上及参与若干人ヲ置ク
第十五条 総裁ハ日本銀行ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副総裁ハ総裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副総裁及理事ハ総裁ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ日本銀行ノ業務ヲ監査ス
参与ハ日本銀行ノ業務ニ関スル重要事項ニ付総裁ノ諮問ニ応ジ又ハ総裁ニ対シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十六条 総裁及副総裁ハ勅裁ヲ経テ政府之ヲ命ズ
理事ハ総裁ノ推薦シタル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
参与ハ金融業若ハ産業ニ従事スル者又ハ学識経験アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
総裁及副総裁ノ任期ハ五年、理事ノ任期ハ四年、監事ノ任期ハ三年、参与ノ任期ハ二年トス
第十七条 総裁ハ日本銀行ノ本店、支店又ハ出張所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十八条 総裁、副総裁、理事及監事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十九条 日本銀行ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
前項ノ職員ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 業務
第二十条 日本銀行ハ左ノ業務ヲ行フモノトス
一 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形ノ割引
二 手形、国債其ノ他ノ有価証券、地金銀又ハ商品ヲ担保トスル貸付
三 預リ金
四 内国為替
五 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形、国債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券ノ売買
六 地金銀ノ売買
七 手形ノ取立、保護預リ其ノ他前各号ノ業務ニ附随スル業務
第二十一条 日本銀行ハ前条第一号ノ割引ニ付基準ト為ルベキ割引歩合及同条第二号ノ貸付ニ付基準ト為ルベキ貸付利子歩合ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本銀行前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ其ノ旨ヲ公告スベシ
第二十二条 日本銀行ハ政府ニ対シ担保ヲ徴セズシテ貸付ヲ為スコトヲ得
日本銀行ハ国債ノ応募又ハ引受ヲ為スコトヲ得
第二十三条 日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ外国為替ノ売買ヲ為スコトヲ得
第二十四条 日本銀行ハ国際金融取引上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ外国金融機関ニ対シ出資ヲ為シ若ハ資金ヲ融通シ又ハ外国金融機関ト為替決済ニ関スル取引ヲ為スコトヲ得
第二十五条 日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第二十六条 日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依リ国庫金ノ取扱ヲ為スベシ
第二十七条 日本銀行ハ本法ニ規定セザル業務ヲ行フコトヲ得ズ但シ日本銀行ノ目的達成上必要アル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十八条 主務大臣ハ日本銀行ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ銀行其ノ他ノ金融機関ニ対シ日本銀行ノ業務ニ協力セシムル為必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第四章 銀行券
第二十九条 日本銀行ハ銀行券ヲ発行ス
前項ノ銀行券ハ公私一切ノ取引ニ無制限ニ通用ス
第三十条 主務大臣ハ前条第一項ノ銀行券ノ発行限度ヲ定ムベシ
主務大臣前項ノ発行限度ヲ定メタルトキハ之ヲ公示ス
第三十一条 日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前条第一項ノ発行限度ヲ超エテ銀行券ヲ発行スルコトヲ得
第三十二条 日本銀行ハ銀行券発行高ニ対シ同額ノ保証ヲ保有スルコトヲ要ス
前項ノ保証ハ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノナルコトヲ要ス
一 商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形
二 第二十条第二号又ハ第二十二条第一項ノ規定ニ依ル貸付金
三 国債
四 第二十条第五号ノ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券
五 外国為替
六 地金銀(金銀貨ヲ含ム)
前項第一号、第二号及第五号ノ手形、貸付金及外国為替ハ三月以内ニ満期ノ到来スルモノナルコトヲ要ス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四条ノ規定ニ依リ外国金融機関ニ対シ出資ヲ為シタル場合其ノ他特別ノ必要アル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ第二項各号ニ該当セザル有価証券又ハ債権ヲ以テ第一項ノ保証ニ充ツルコトヲ得
日本銀行ハ第二項各号及前項ノ保証ノ価格ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十三条 銀行券ノ種類及様式ハ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ種類及様式ヲ定メタルトキハ之ヲ公示ス
第三十四条 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ銀行券発行高ヲ公告スベシ
第三十五条 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ本店、支店又ハ出張所ニ於テ染汚、毀損其ノ他ノ事由ニ因リ通用シ難キ銀行券ヲ無手数料ニテ引換フベシ
第三十六条 日本銀行ハ銀行券ノ製造及銷却ノ手続ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五章 経理
第三十七条 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ノ経費ノ予算ヲ定メ事業年度開始迄ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第三十八条 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ニ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ毎事業年度経過後二月以内ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ承認ヲ受クベシ
第三十九条 日本銀行ハ毎事業年度ニ準備金トシテ損失填補及配当準備ノ為剰余金ノ二十分ノ一ヲ積立ツベシ
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ準備金ノ外目的ヲ定メ積立ヲ為スコトヲ得
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ剰余金中ヨリ政府以外ノ者ノ出資ニ付払込金額ニ対シ年四分ヲ下ラザル割合ノ配当ヲ為スベシ但シ其ノ配当ハ年五分ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ
政府ノ出資ニ付テハ剰余金ノ配当ハ之ヲ為サズ
日本銀行ハ剰余金中ヨリ第一項及第二項ノ規定ニ依ル準備金並ニ第三項ノ規定ニ依ル配当金ヲ控除シタル残額ヲ事業年度経過後二月以内ニ政府ニ納付スベシ
前項ノ規定ニ依ル納付金額ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ法人税法ニ依ル所得及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第四十条 前条第一項ノ準備金及同条第二項ノ規定ニ依ル準備金中損失ノ填補又ハ配当ニ充ツベキ金額ヲ使用スルモ猶日本銀行ノ毎事業年度ニ於ケル配当シ得ベキ剰余金額ガ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年四分ノ割合ニ達セザルトキ(剰余金額ナキトキ及損失ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ
第四十一条 日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ノ事業ノ概況ヲ公告スベシ
第六章 監督
第四十二条 日本銀行ハ主務大臣之ヲ監督ス
第四十三条 主務大臣ハ日本銀行ノ目的達成上特ニ必要アリト認ムルトキハ日本銀行ニ対シ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第四十四条 主務大臣ハ日本銀行ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四十五条 主務大臣ハ特ニ日本銀行監理官ヲ置キ日本銀行ノ業務ヲ監視セシム
第四十六条 日本銀行監理官ハ何時ニテモ日本銀行ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
日本銀行監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ日本銀行ニ命ジ業務及財産ノ状況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本銀行監理官ハ日本銀行ノ諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第四十七条 日本銀行ノ役員ノ行為ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シタルトキ又ハ日本銀行ノ目的達成上特ニ必要アリト認ムルトキハ総裁及副総裁ニ付テハ政府、理事、監事及参与ニ付テハ主務大臣之ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第四十八条 日本銀行ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ総裁又ハ総裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副総裁ヲ五千円以下ノ過料ニ処ス副総裁又ハ理事ノ掌理スル業務ニ係ルトキハ副総裁又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
附 則
第四十九条 本法施行ノ期日ハ各条ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十条 日本銀行条例ニ依ル日本銀行(以下旧日本銀行ト称ス)ハ第五十一条乃至第六十条ノ規定ニ依リ本法ニ依ル日本銀行(以下日本銀行ト称ス)ト為ルモノトス
第五十一条 旧日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ株券ノ名義書換ヲ停止スベシ
第五十二条 主務大臣ハ改組委員ヲ命ジ旧日本銀行ヲ日本銀行ト為ス為ニ必要ナル事務ヲ処理セシム
第五十三条 改組委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四条 前条ノ認可アリタルトキハ改組委員ハ旧日本銀行ノ株式ニ対シ日本銀行ノ出資ヲ引当ツベシ
前項ノ出資ノ引当ハ旧日本銀行ノ全額払込済株式一株ニ付日本銀行ノ全額払込済出資二口、旧日本銀行ノ未払込株式一株ニ付日本銀行ノ全額払込済出資一口ノ割合ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第五十五条 第五十三条ノ認可アリタルトキハ改組委員ハ遅滞ナク出資ノ引受ヲ政府ニ稟請スベシ
第五十六条 第五十四条第一項ノ引当及前条ノ引受ヲ了シタルトキハ其ノ際現ニ旧日本銀行ノ総裁、副総裁、理事及監事タル者ハ其ノ残任期間ヲ限リ各日本銀行ノ総裁、副総裁、理事及監事トシテ就職シタルモノト看做ス
第五十七条 第五十四条第一項ノ引当及第五十五条ノ引受ヲ了シタルトキハ改組委員ハ其ノ事務ヲ日本銀行総裁ニ引渡スベシ
第五十八条 日本銀行総裁前条ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ本店ノ所在地ニ於テ成立ノ登記ヲ為スベシ
日本銀行ハ前項ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第五十九条 日本銀行ノ成立ニ因リ旧日本銀行ハ之ニ吸収セラルルモノトシ旧日本銀行ノ一切ノ権利義務ハ日本銀行ニ於テ之ヲ承継ス
第六十条 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外旧日本銀行ガ日本銀行ト為ルニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一条 日本銀行条例、昭和十六年法律第十四号其ノ他ノ法令ニ依リテ為シタル許可、認可、処分其ノ他ノ行為ハ本法中之ニ相当スル規定アル場合ニ於テハ本法ニ依リテ之ヲ為シタルモノト看做ス
第六十二条 他ノ法令中旧日本銀行又ハ其ノ職員ニ関スル規定ハ日本銀行又ハ其ノ職員ニ関スル規定トス
第六十三条 旧日本銀行ノ発行シタル兌換銀行券ハ本法ニ依リ日本銀行ノ発行シタル銀行券ト看做ス
日本銀行ハ当分ノ内第三十三条第一項ノ規定ニ拘ラズ旧日本銀行ノ発行シタル兌換銀行券ト同一ノ種類及様式ノ銀行券ヲ本法ニ依ル銀行券トシテ発行スルコトヲ得
第六十四条 旧日本銀行ガ日本銀行ト為リタルトキハ旧日本銀行ノ全額払込済株券ハ一株ニ付二口ノ割合ヲ以テ計算シタル口数ノ日本銀行ノ全額払込済出資証券ト看做シ旧日本銀行ノ未払込株券ハ一株ニ付一口ノ割合ヲ以テ計算シタル口数ノ日本銀行ノ全額払込済出資証券ト看做ス
第六十五条 旧日本銀行ノ株式ヲ目的トスル質権其ノ他ノ権利ハ其ノ株式ニ対シ引当テラレタル出資ノ持分ノ上ニ存在ス
第六十六条 旧日本銀行ガ日本銀行ト為リタルトキハ日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告スベシ
第六十七条 日本銀行ガ第五十九条ノ規定ニ依リ旧日本銀行ヨリ不動産ニ関スル権利ヲ承継スル場合ニ於ケル其ノ取得ニ付受クル登記ニ付テハ登録税ヲ課セズ
第五十九条ノ規定ニ依ル旧日本銀行ヨリ日本銀行ヘノ有価証券ノ移転ニ付テハ有価証券移転税ヲ課セズ
第六十八条 日本銀行ハ第五十四条第一項ノ規定ニ依リ日本銀行ノ出資者ト為リタル者ニ対シ補償金ヲ交付スベシ
前項ノ補償金ノ額ノ算出ノ基準ハ旧日本銀行株式ノ昭和十五年及昭和十六年中ニ於ケル時価並ニ日本銀行成立ノ日ニ於ケル出資者ノ持分ノ価格ヲ参酌シテ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ基準ヲ決定セントスルトキハ日本銀行株式補償審査委員会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
日本銀行株式補償審査委員会ノ組織及権限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ補償金ハ国債証券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ主務大臣之ヲ定ム
日本銀行ハ第三十九条第一項ノ規定ニ拘ラズ第一項ノ補償金ヲ交付スル為準備金ヲ使用スルコトヲ得
第六十九条 第六十五条ノ規定ニ依リ出資ノ持分ノ上ニ存在スル質権其ノ他ノ権利ノ効力ハ前条第一項ノ補償金ニ及ブ
第七十条 第六十八条第一項ノ補償金ニ付テハ所得税ヲ課セズ
第七十一条 旧日本銀行ガ事業年度中ニ日本銀行ト為リタル場合ニ於テハ旧日本銀行ノ最終ノ事業年度ニ於ケル利益ノ配当ハ之ヲ為サズ但シ日本銀行ノ最初ノ事業年度ニ於ケル剰余金ノ配当ヲ為スニ当リテハ旧日本銀行ノ株式ニ引当テタル出資ニ付テハ旧日本銀行ノ最終ノ事業年度ノ初ヨリ日本銀行ニ其ノ出資存在シタルモノト看做シテ配当スベキ金額ヲ算定スベシ
第七十二条 旧日本銀行ガ事業年度中ニ日本銀行ト為リタル場合ニ於テハ第三十八条乃至第四十一条ノ規定ノ適用ニ付テハ旧日本銀行ノ最終ノ事業年度ノ初ヨリ日本銀行ノ最初ノ事業年度ノ終ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ日本銀行ノ一事業年度ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ日本銀行条例第十条ノ規定及日本銀行納付金法ハ旧日本銀行ノ最終ノ事業年度分ニハ之ヲ適用セズ
旧日本銀行ガ日本銀行ト為リタルトキハ日本銀行ハ遅滞ナク最初ノ事業年度ノ経費ノ予算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第七十三条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「恩給金庫」ノ上ニ「日本銀行、」ヲ、「恩給金庫法」ノ上ニ「日本銀行法、」ヲ加フ
第七十四条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第四号ノ二ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
四ノ三 日本銀行ノ発スル出資証券
第七十五条 日本銀行ハ第三十二条第二項ノ規定ニ依リ保有スル金地金及金貨ノ価格ヲ定ムルニ付テハ当分ノ内貨幣法第二条ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
朝鮮銀行又ハ台湾銀行ハ昭和十六年法律第十五号第二条第一項ノ規定ニ依リ保有スル金地金及金貨ヲ当分ノ内貨幣法第二条ノ規定ニ拘ラズ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル価格ヲ以テ評価スベシ
第七十六条 貨幣法第十四条ノ規定ハ当分ノ内之ヲ適用セズ
第七十七条 
朝鮮銀行法第二十一条第二項中「金貨又ハ日本銀行兌換券」ヲ「日本銀行券」ニ、同法第二十二条第一項中「日本銀行兌換券」ヲ「日本銀行券」ニ、台湾銀行法第八条第二項中「金貨又ハ兌換銀行券」ヲ「日本銀行券」ニ、同法第九条第一項及昭和十六年法律第十五号第二条中「兌換銀行券」ヲ「日本銀行券」ニ改ム
第七十八条 日本銀行条例、兌換銀行券条例、日本銀行納付金法、昭和十六年法律第十四号及金準備評価法ハ之ヲ廃止ス