(前払式割賦販売業者の登録)
第十一条 指定商品を引き渡すに先だつて購入者から二回以上にわたりその代金の全部又は一部を受領する割賦販売(以下「前払式割賦販売」という。)は、通商産業省に備える前払式割賦販売業者登録簿に登録を受けた法人(以下「登録割賦販売業者」という。)でなければ、業として営んではならない。ただし、次の場合は、この限りでない。
一 指定商品の前払式割賦販売の方法による年間の販売額が政令で定める金額に満たない場合
二 指定商品が新たに定められた場合において、現に当該指定商品を前払式割賦販売の方法により販売することを業として営んでいる者が、その定められた日から六月間(その期間内に次条の申請書を提出した場合には、その申請につき登録又は登録拒否の処分があるまでの間を含む。)当該商品を販売するとき。
三 前号の期間が経過した後において、その期間の末日までに締結した同号の指定商品の前払式割賦販売の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で営む場合
(登録の申請)
第十二条 前条の登録を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
2 前項の申請書には、定款、登記簿の謄本その他通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。
(手数料)
第十三条 前条第一項の規定による登録の申請をしようとする者は、手数料として三千円を納付しなければならない。
(登録及びその通知)
第十四条 通商産業大臣は、第十二条第一項の規定による登録の申請があつたときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、第十二条第一項各号に掲げる事項及び登録年月日を前払式割賦販売業者登録簿に登録しなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第十五条 通商産業大臣は、第十二条第一項の申請書を提出した者が次の各号の一に該当するとき、又は当該申請書若しくはその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
二 資本又は出資の額が購入者を保護するため必要かつ適当であると認められる金額で政令で定めるものに満たない法人
三 資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額の百分の九十に相当する額に満たない法人
四 第二十三条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない法人
五 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない法人
六 役員のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
ロ 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
ハ 登録割賦販売業者が第二十三条第一項又は第二項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその登録割賦販売業者の役員であつた者で、その処分のあつた日から二年を経過しないもの
2 前項第三号の資産の合計額及び負債の合計額は、政令で定めるところにより計算しなければならない。
3 通商産業大臣は、百貨店業者(百貨店法(昭和三十一年法律第百十六号)第三条の許可を受けた者をいう。)又は指定商品の製造業者が第十二条第一項の申請書を提出した場合において、その申請に係る前払式割賦販売の事業活動が、中小商業者の前払式割賦販売の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、その登録を拒否することができる。
4 通商産業大臣は、第一項又は前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(営業保証金の供託)
第十六条 登録割賦販売業者は、営業保証金を主たる営業所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 登録割賦販売業者は、営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 登録割賦販売業者は、前項の届出をした後でなければ、その営業を開始してはならない。
(営業保証金の額等)
第十七条 前条第一項の営業保証金の額は、主たる営業所につき十万円、その他の営業所又は代理店につき営業所又は代理店ごとに五万円の割合による金額の合計額とする。ただし、その額は、百万円をこえないものとする。
2 前項の営業保証金は、通商産業省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他通商産業省令で定める有価証券をもつて、これに充てることができる。
(営業所等の新設の場合の営業保証金)
第十八条 登録割賦販売業者は、営業の開始後新たに営業所又は代理店を設置したときは、当該営業所又は代理店につき前条第一項に規定する割合による金額の営業保証金を供託しなければならない。ただし、その者が供託する営業保証金の総額が百万円をこえることとなるときは、その超過分については、この限りでない。
2 第十六条及び前条第二項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(変更登録の申請)
第十九条 登録割賦販売業者は、第十二条第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、その日から三十日以内に、その変更に係る事項を記載した変更登録の申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
2 第十二条第二項、第十四条及び第十五条の規定は、前項の規定による変更登録の申請に準用する。
(契約の締結の禁止)
第二十条 通商産業大臣は、登録割賦販売業者が第十五条第一項第三号の規定に該当することとなつた場合において、購入者の保護のため必要があると認めるときは、当該登録割賦販売業者に対し、前払式割賦販売の契約を締結してはならない旨を命ずることができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定による命令をした場合において、その登録割賦販売業者が六月以内にその命令の要件に該当しなくなつたときは、その命令を取り消さなければならない。
(営業保証金の還付)
第二十一条 登録割賦販売業者と前払式割賦販売の契約を締結した者は、その契約によつて生じた債権に関し、当該登録割賦販売業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令、通商産業省令で定める。
(営業保証金の不足額の供託)
第二十二条 登録割賦販売業者は、前条第一項の権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金が第十七条第一項に規定する額に不足することとなつたときは、その不足額を供託しなければならない。
2 第十六条第二項及び第十七条第二項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(登録の取消し)
第二十三条 通商産業大臣は、登録割賦販売業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
一 第十五条第一項第二号、第五号又は第六号の規定に該当することとなつたとき。
二 第二十条第一項の規定による命令があつた場合において、その命令の日から六月以内に同条第二項の規定による取消しがされないとき。
三 第二十条第一項の規定による命令に違反したとき。
四 不正の手段により第十四条第一項の規定による登録を受けたとき。
2 通商産業大臣は、登録割賦販売業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一 第十六条第三項(第十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して営業を開始したとき。
二 第十九条第一項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をしたとき。
3 通商産業大臣は、前二項の規定により登録を取り消したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を当該登録割賦販売業者であつた者に通知しなければならない。
(処分の公示)
第二十四条 通商産業大臣は、第二十条第一項の規定による命令をし、若しくは同条第二項の規定によりこれを取り消したとき、又は前条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消したときは、通商産業省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(登録の消除の申請)
第二十五条 登録割賦販売業者が次の各号の一に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に掲げる者は、その日から三十日以内に、通商産業大臣に登録の消除の申請をしなければならない。
一 前払式割賦販売の営業を廃止した場合 その法人を代表する役員
二 合併により解散した場合 その法人を代表する役員であつた者
四 合併又は破産以外の理由により解散した場合その清算人
(登録の消除)
第二十六条 通商産業大臣は、次の各号の一に該当するときは、前払式割賦販売業者登録簿につき、その登録割賦販売業者に関する登録を消除しなければならない。
一 第二十三条第一項又は第二項の規定により登録を取り消したとき。
三 前号に該当する場合のほか、前条各号の一に掲げる場合に該当する事実が判明したとき。
2 第二十三条第三項及び第二十四条の規定は、前項第二号又は第三号の規定により登録を消除した場合に準用する。
(契約の解除)
第二十七条 登録割賦販売業者が第二十条第一項の規定による命令を受け、第二十三条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消され、又は前条第一項第二号若しくは第三号の規定により登録を消除されたときは、当該登録割賦販売業者と前払式割賦販売の契約を締結している者でその契約に係る商品の引渡しを受けていないものは、その契約を解除することができる。
(登録の取消し等に伴う取引の結了)
第二十八条 登録割賦販売業者が第二十三条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消され、又は第二十六条第一項第二号若しくは第三号の規定により登録を消除されたときは、当該登録割賦販売業者であつた者又はその一般承継人は、当該登録割賦販売業者が締結した前払式割賦販売の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお登録割賦販売業者とみなす。
(営業保証金の取戻し)
第二十九条 第二十六条第一項の規定による登録の消除があつたときは、登録割賦販売業者であつた者又はその承継人(前条の規定により登録割賦販売業者とみなされる者を除く。)は、当該登録割賦販売業者であつた者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。登録割賦販売業者が一部の営業所又は代理店を廃止した場合において、営業保証金の額が第十七条第一項に規定する額をこえることとなつたときにおけるその超過額についても、同様とする。
2 前項の営業保証金の取戻しは、当該営業保証金につき第二十一条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、することができない。ただし、営業保証金を取り戻すことができる理由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の公告その他営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令、通商産業省令で定める。