(意匠登録の要件)
第三条 工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。
一 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
二 意匠登録出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠
2 意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において広く知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基いて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠(前項各号に掲げるものを除く。)については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
(意匠の新規性の喪失の例外)
第四条 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して前条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠について、その該当するに至つた日から六月以内にその者が意匠登録出願をしたときは、その意匠は、同項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して前条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠について、その該当するに至つた日から六月以内にその者が意匠登録出願をしたときも、前項と同様とする。
3 意匠登録出願に係る意匠について前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、その意匠登録出願に係る意匠が同項に規定する意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から十四日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
(意匠登録を受けることができない意匠)
第五条 次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
一 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
二 他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠
(意匠登録出願)
第六条 意匠登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添附して特許庁長官に提出しなければならない。
一 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては代表者の氏名
2 通商産業省令で定める場合は、前項の図面に代えて、意匠登録を受けようとする意匠を現わした写真、ひな形又は見本を提出することができる。この場合は、写真、ひな形又は見本の別を願書に記載しなければならない。
3 自己の登録意匠又は意匠登録出願をしている意匠に類似する意匠について意匠登録を受けようとするときは、その意匠登録又は意匠登録出願の番号を願書に記載しなければならない。
4 第一項第四号の意匠に係る物品の記載又は願書に添附した図面、写真若しくはひな形によつてはその意匠の属する分野における通常の知識を有する者がその意匠に係る物品の材質又は大きさを理解することができないためその意匠を認識することができないときは、その意匠に係る物品の材質又は大きさを願書に記載しなければならない。
5 意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基いて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。
6 第一項又は第二項の規定により提出する図面、写真又はひな形にその意匠の色彩を附するときは、白色又は黒色のうち一色については、彩色を省略することができる。
7 前項の規定により彩色を省略するときは、その旨を願書に記載しなければならない。
8 第一項の規定により提出する図面に意匠を記載し、又は第二項の規定により提出する写真若しくはひな形に意匠を現わす場合において、その意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならない。
(一意匠一出願)
第七条 意匠登録出願は、通商産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。
(組物の意匠)
第八条 慣習上組物として販売され同時に使用される二種以上の物品であつて通商産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品の意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として意匠登録出願をすることができる。
2 前項の場合は、その組物を構成する物品の意匠が第三条、第五条及び次条第一項又は第二項の規定により意匠登録を受けることができる場合に限り、意匠登録を受けることができる。
(先願)
第九条 同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
2 同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
3 意匠登録出願が取り下げられ、又は無効にされたときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
4 意匠の創作をした者でない者であつて意匠登録を受ける権利を承継しないものがした意匠登録出願は、第一項又は第二項の規定の適用については、意匠登録出願でないものとみなす。
5 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を意匠登録出願人に命じなければならない。
6 特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。
(類似意匠)
第十条 意匠権者は、自己の登録意匠にのみ類似する意匠(以下「類似意匠」という。)について類似意匠の意匠登録を受けることができる。
2 前項の規定により意匠登録を受けた類似意匠にのみ類似する意匠については、同項の規定は、適用しない。
(意匠登録出願の分割)
第十一条 意匠登録出願人は、第八条第一項の規定による意匠登録出願を分割してその組物を構成する物品の意匠についての意匠登録出願とすることができる。
2 前項の規定による意匠登録出願の分割は、意匠登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。
3 第一項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、組物を構成する物品についての意匠登録出願は、第八条第一項の規定による意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第四条第三項並びに第十五条第一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項及び第二項の規定の適用については、この限りでない。
4 第一項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、第八条第一項の査定による意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。
(出願の変更)
第十二条 意匠登録出願人は、類似意匠の意匠登録出願を独立の意匠登録出願(類似意匠の意匠登録出願以外の意匠登録出願をいう。以下同じ。)に変更することができる。この場合は、独立の意匠登録出願は、類似意匠の意匠登録出願の時にしたものとみなす。
2 意匠登録出願人は、独立の意匠登録出願を類似意匠の意匠登録出願に変更することができる。この場合は、類似意匠の意匠登録出願は、独立の意匠登録出願の時にしたものとみなす。
3 前二項の規定による意匠登録出願の変更は、意匠登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。
4 第一項又は第二項の規定による意匠登録出願の変更があつたときは、もとの意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。
第十三条 特許出願人は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、この限りでない。
2 実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、この限りでない。
3 前二項の規定による出願の変更があつたときは、その意匠登録出願は、その特許出願又は実用新案登録出願の時にしたものとみなす。
4 第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、取り下げたものとみなす。
5 第一項ただし書に規定する期間は、特許法第四条第一項の規定により同法第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6 第二項ただし書に規定する期間は、実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第五十五条第一項において準用する特許法第四条第一項の規定により実用新案法第三十五条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
(秘密意匠)
第十四条 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。
2 前項の規定による請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
3 意匠登録出願人又は意匠権者は、第一項の規定により秘密にすることを請求した期間を延長し又は短縮することを請求することができる。
4 特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければならない。
二 その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。
四 利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他通商産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したとき。
(特許法の準用)
第十五条 特許法第三十七条(共同出願)、第四十条(明細書等の補正と要旨変更)、第四十三条(優先権主張の手続)及び第四十四条(特許出願の分割)の規定は、意匠登録出願に準用する。
2 特許法第三十三条並びに第三十四条第一項、第二項及び第四項から第七項まで(特許を受ける権利)の規定は、意匠登録を受ける権利に準用する。
3 特許法第三十五条(職務発明)の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした意匠の創作に準用する。