(国際出願による実用新案登録出願)
第四十八条の三 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)第十一条(1)若しくは(2)(b)又は第十四条(2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約第四条(1)(ⅱ)の指定国に日本国を含むもの(実用新案登録出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた実用新案登録出願とみなす。
2 特許法第百八十四条の三第二項(国際出願による特許出願)の規定は、前項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願(以下「国際実用新案登録出願」という。)に準用する。
(外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文)
第四十八条の四 外国語でされた国際実用新案登録出願(以下「外国語実用新案登録出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から一年八月以内(条約第十七条(2)(a)の規定により国際調査報告を作成しない旨の宣言がされた国際実用新案登録出願であつて優先日から一年六月以内に同条(2)(a)の規定による通知があつたものにあつては、その通知の日から二月以内)に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する願書、明細書、請求の範囲及び図面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項に規定する期間内に同項に規定する願書、明細書及び請求の範囲の翻訳文の提出がなかつたときは、その国際実用新案登録出願は、取り下げられたものとみなす。
3 第一項の規定により翻訳文を提出した出願人は、同項に規定する期間内に限り、その翻訳文に代えて、新たな翻訳文を提出することができる。ただし、出願人が出願審査の請求をした後は、この限りでない。
4 国際出願日における外国語実用新案登録出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された事項であつて、第一項に規定する期間が満了した時(その期間内に出願人が出願審査の請求をしたときは、その請求の時。以下「基準時」という。)における同項又は前項に規定する翻訳文(以下「出願翻訳文」という。)に記載されていないものは、国際出願日における外国語実用新案登録出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されていなかつたものとみなす。
(書面の提出及び補正命令)
第四十八条の五 日本語でされた国際実用新案登録出願(以下「日本語実用新案登録出願」という。)の出願人は前条第一項に規定する期間内(優先日から一年七月以内に条約第三十三条に規定する国際予備審査の請求をし、かつ、条約第三十一条(4)(a)の規定に基づき日本国を選択国として選択した国際実用新案登録出願にあつては、優先日から二年一月以内)に、外国語実用新案登録出願の出願人は前条第一項の規定による翻訳文の提出の際に、次に掲げる事項を記載した書面を、特許庁長官に提出しなければならない。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては代表者の氏名
2 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 前項の規定により提出すべき書面を、同項に規定する期間内又は同項に規定する時に提出しないとき。
二 前項の規定による手続が第五十五条第二項において準用する特許法第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
三 前項の規定による手続が通商産業省令で定める方式に違反しているとき。
四 第五十四条第一項の規定により納付すべき手数料を前項に規定する期間内に納付しないとき。
3 特許法第百八十四条の五第三項及び第四項(書面の提出及び補正命令)の規定は、前項の規定による命令に基づく補正に準用する。
(国際出願に係る願書、明細書等の効力等)
第四十八条の六 日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における願書及び外国語実用新案登録出願に係る願書の出願翻訳文は、第五条第一項の規定により提出した願書とみなす。
2 日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における明細書及び請求の範囲並びに外国語実用新案登録出願に係る明細書及び請求の範囲の出願翻訳文は第五条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語実用新案登録出願に係る請求の範囲の出願翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した明細書に記載した実用新案登録請求の範囲と、日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における図面及び外国語実用新案登録出願に係る図面の出願翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面とみなす。
(図面の提出)
第四十八条の七 国際実用新案登録出願の出願人は、国際出願が国際出願日において図面を含んでいないものであるときは、基準時の属する日までに、図面を特許庁長官に提出しなければならない。
2 特許庁長官は、基準時の属する日までに前項の規定による図面の提出がないときは、国際実用新案登録出願の出願人に対し、相当の期間を指定して、図面の提出をすべきことを命ずることができる。国際実用新案登録出願が国際出願日において図面を含んでいるものである場合において、基準時の属する日までに第四十八条の四第一項又は第三項の規定による図面の翻訳文の提出がないときも、同様とする。
3 特許庁長官は、前項の規定により図面の提出をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその提出をしないときは、当該国際実用新案登録出願を無効にすることができる。
4 第一項の規定により又は第二項の規定による命令に基づいてされた図面の提出(図面に添えて当該図面の簡単な説明を提出したときは、当該図面及び当該説明の提出)は、第五十五条第二項において準用する特許法第十七条第一項の規定による手続の補正とみなす。この場合において、第五十五条第二項において準用する同法第十七条第一項ただし書の規定は、適用しない。
(国内公表等)
第四十八条の八 特許庁長官は、第四十八条の四第一項の規定により翻訳文が提出された外国語実用新案登録出願について、出願公告をしたものを除き、優先日から一年八月を経過した後(条約第二十一条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされた国際実用新案登録出願であつて優先日から一年八月以内に出願人から出願審査の請求があつたものについては優先日から一年六月を経過した時又は出願審査の請求の時のいずれか遅い時の後、国際公開がされた国際実用新案登録出願であつて優先日から一年六月以内に第四十八条の四第一項に規定する通知があつたものについては優先日から一年六月を経過した時又は当該通知があつた日から二月を経過した時のいずれか遅い時の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。
2 国内公表は、次に掲げる事項を実用新案公報に掲載することにより行う。
五 明細書の出願翻訳文に記載した事項のうち考案の名称及び図面の簡単な説明に相当する部分、請求の範囲の出願翻訳文に記載した事項並びに図面の出願翻訳文の内容(実用新案公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)
3 特許庁長官は、国内公表がされた外国語実用新案登録出願の明細書、請求の範囲及び図面の出願翻訳文の内容(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)を記載した書面を特許庁において公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、当該外国語実用新案登録出願が出願公告されたとき又は特許庁に係属しなくなつたときは、この限りでない。
4 第十三条の二の規定は、国際実用新案登録出願には、適用しない。
5 特許法第百八十四条の九第四項から第六項まで(国内公表等)の規定は、国際実用新案登録出願に準用する。
(出願の変更の特例)
第四十八条の九 特許法第百八十四条の三第一項又は第百八十四条の十六第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願の実用新案登録出願への変更については、同法第百八十四条の五第一項の日本語特許出願にあつては同項、同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願にあつては同項及び同法第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、同法第百九十五条第一項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法第百八十四条の十六第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。
(出願審査の請求の時期の制限)
第四十八条の十 国際実用新案登録出願の出願人は、日本語実用新案登録出願にあつては第四十八条の五第一項、外国語実用新案登録出願にあつては第四十八条の四第一項及び第四十八条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第五十四条第一項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際実用新案登録出願の出願人以外の者は、優先日から一年八月(優先日から一年七月以内に条約第三十三条に規定する国際予備審査の請求をし、かつ、条約第三十一条(4)(a)の規定に基づき日本国を選択国として選択した国際実用新案登録出願にあつては、優先日から二年一月)を経過した後でなければ、国際実用新案登録出願についての出願審査の請求をすることができない。
(拒絶理由の特例)
第四十八条の十一 外国語実用新案登録出願の拒絶の査定については、第十一条中「次の各号の一に該当するとき」とあるのは、「第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面及びこれらの書類の同条第四項の出願翻訳文に記載されている考案以外の考案についてされているとき(これを理由とする登録異議の申立てがあつた場合に限る。)又は実用新案登録出願が次の各号の一に該当するとき」とする。
(国際実用新案登録出願固有の理由に基づく実用新案登録の無効の審判)
第四十八条の十二 日本語実用新案登録出願に係る実用新案登録が国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲若しくは図面に記載されている考案以外の考案についてされたとき又は外国語実用新案登録出願に係る実用新案登録が国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲若しくは図面及びこれらの書類の出願翻訳文に記載されている考案以外の考案についてされたときは、その実用新案登録を無効にすることについて審判を請求することができる。
2 国際実用新案登録出願に係る訂正の審判については、第三十九条第四項中「第三十七条第一項」とあるのは、「第三十七条第一項又は第四十八条の十二第一項」とする。
3 第三十七条第二項及び第三項の規定並びに特許法第百八十四条の十五第二項及び第四項(国際特許出願固有の理由に基づく特許の無効の審判)の規定は、第一項の審判に準用する。
(特許法の準用)
第四十八条の十三 特許法第百八十四条の七(条約第十九条に基づく補正)及び第百八十四条の八(条約第三十四条に基づく補正)の規定は、国際実用新案登録出願の条約に基づく補正に準用する。
2 特許法第百八十四条の十(国際公開及び国内公表の効果等)の規定は、国際実用新案登録出願についての国際公開及び国内公表に準用する。
3 特許法第百八十四条の十一(補正の特例)の規定は、国際実用新案登録出願の補正に準用する。
(決定により実用新案登録出願とみなされる国際出願)
第四十八条の十四 条約第二条(ⅶ)の国際出願の出願人は、条約第四条(1)(ⅱ)の指定国に日本国を含む国際出願(実用新案登録出願に係るものに限る。)につき条約第二条(XV)の受理官庁により条約第二十五条(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約第二条(xix)の国際事務局により条約第二十五条(1)(a)に規定する認定がされたときは、通商産業省令で定める期間内に、通商産業省令で定めるところにより、特許庁長官に同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。
2 外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、願書、明細書、請求の範囲、図面その他の通商産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。
3 特許庁長官は、第一項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。
4 前項の規定により特許庁長官が同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた実用新案登録出願とみなす。
5 第四十八条の七及び特許法第百八十四条の十六第五項(決定により特許出願とみなされる国際出願)の規定は、前項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願に準用する。この場合において、第四十八条の七第一項及び第二項中「国際出願日」とあるのは「第四十八条の十四第四項に規定する国際出願日となつたものと認められる日」と、「基準時の属する日まで」とあるのは「通商産業省令で定める期間内」と、同条第二項中「第四十八条の四第一項又は第三項」とあるのは「第四十八条の十四第二項」と読み替えるものとする。
6 第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願についての出願公開については、第十三条の二第一項中「実用新案登録出願の日(第九条第一項において準用する特許法第四十三条第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日)」とあるのは、「第四十八条の四第一項の優先日」とする。