食品衛生法
法令番号: 法律第二百三十三号
公布年月日: 昭和22年12月24日
法令の形式: 法律
食品衞生法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十四日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百三十三号
食品衞生法目次
第一章
総則
第二章
食品及び添加物
第三章
器具及び容器包裝
第四章
標示
第五章
檢査
第六章
営業
第七章
食品衞生委員会
第八章
雜則
第九章
罰則
附則
食品衞生法
第一章 総則
第一條 この法律は、飮食に起因する衞生上の危害の発生を防止し、公衆衞生の向上及び増進に寄與することを目的とする。
第二條 この法律で食品とは、すべての飮食物をいう。但し、医藥として攝取するものは、これを含まない。
この法律で添加物とは、食品の調味、著色、著香、保存、漂白又は膨脹その他食品の加工の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。
この法律で器具とは、飮食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯藏、運搬、陳列、授受又は攝取の用に供され、且つ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。但し、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は、これを含まない。
この法律で容器包裝とは、食品又は添加物を容れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
この法律で標示とは、食品、添加物、器具又は容器包裝に明示された文字又は図形をいう。
この法律で食品衞生とは、食品、添加物、器具及び容器包裝を対象とする飮食に関する衞生をいう。
この法律で営業とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、加工し、調理し、貯藏し、若しくは販賣すること又は器具若しくは容器包裝を製造し、若しくは販賣することをいう。但し、農業及び水産業における食品の採取業は、これを含まない。
この法律で営業者とは、営業を営む人又は法人をいう。
第二章 食品及び添加物
第三條 販賣(不特定又は多数の者に対する販賣以外の授與を含む。以下同じ。)の用に供する食品又は添加物の採取、製造、加工、使用、調理、貯藏、運搬、陳列及び授受は、清潔で衞生的に行われなければならない。
第四條 左に掲げる食品又は添加物は、これを販賣し(不特定又は多数の者に授與する販賣以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販賣の用に供するために、採取し、製造し、加工し、使用し、調理し、貯藏し、若しくは陳列してはならない。
一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し、一般に人の健康を害う虞がなく飮食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、又は有害な物質が含まれ、又は附著しているもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。
第五條 省令を以て定める疾病にかかり、若しくはその疑があり、又はへい死した獸畜(牛、馬、豚、めん羊及び山羊並びに命令を以て定めるその他の物をいう。)の肉、骨、乳、臟器及び血液は、これを食品として販賣し、又は食品として販賣の用に供するために、採取し、加工し、使用し、調理し、貯藏し、若しくは陳列してはならない。但し、へい死した獸畜の肉、骨及び臟器であつて、当該吏員が、人の健康を害う虞がなく飮食に適すると認めたものは、この限りでない。
第六條 人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が定める場合を除いては、食品の添加物として用いることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販賣し、又は販賣の用に供するために、製造し、加工し、使用し、貯藏し、若しくは陳列してはならない。
第七條 厚生大臣は、公衆衞生の見地から、販賣の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販賣の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。
前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販賣し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販賣してはならない。
第三章 器具及び容器包裝
第八條 営業上使用する器具及び容器包裝は、清潔で衞生的でなければならない。
第九條 有毒な、若しくは有害な物資が含まれ、若しくは附著して人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包裝又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を與えることにより人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包裝は、これを販賣し、販賣の用に供するために製造し、又は営業上使用してはならない。
第十條 厚生大臣は、公衆衞生の見地から、販賣の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包裝若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包裝を販賣し、販賣の用に供するために製造し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包裝を製造してはならない。
第四章 標示
第十一條 販賣の用に供する食器及び添加物並びに前條の規定により規格又は基準が定められた器具及び容器包裝で、公衆衞生の見地から必要なものには、一定の標示をしなければならない。
前項の規定により標示を行うべき食品、添加物、器具及び容器包裝並びに標示の要領に関しては、省令でこれを定める。
第十二條 食品、添加物、器具又は容器包裝に関しては、公衆衞生に危害を及ぼす虞がある虚僞の標示その他の標示はこれを行つてはならない。
第十三條 販賣の用に供する食品又は添加物につき、乳幼兒用、病者用その他特別の用途に適する旨の標示をしようとする者は、厚生大臣の許可を受けなければならない。
第五章 檢査
第十四條 厚生大臣又は都道府縣知事は、公衆衞生の見地から、販賣の用に供する食品、添加物、器具又は容器包裝の製品につき必要な檢査を行うことができる。
前項の規定による製品檢査を行うべき食品、添加物、器具及び容器包裝、製品檢査の方法、手続及び手数料その他製品檢査に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十五條 前條第一項の規定による製品檢査を行つた場合においては、省令の定めるところにより、その製品檢査に合格した食品、添加物、器具又は容器包裝にその旨の標示をしなければならない。
第十六條 第十四條第一項の規定による製品檢査を受けるべき食品、添加物、器具又は容器包裝は、その製品檢査に合格した旨の標示がなければ、これを販賣し、販賣の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
第十七條 厚生大臣又は都道府縣知事は、必要があると認めるときは、営業を行う者その他の関係者から必要な報告を求め、当該官吏吏員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨檢し、販賣の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包裝、営業の施設、帳簿書類その他の物件を檢査させ、又は試驗の用に供するのに必要な程度において、販賣の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包裝を無償で收去させることができる。
前項の規定により当該官吏吏員に臨檢檢査又は收去をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帶させなければならない。
第十八條 國及び都道府縣は、第十四條第一項の規定による製品檢査及び前條第一項の規定により收去した食品、添加物、器具又は用具包裝の試驗に関する事務を行わさせるために、必要な檢査施設を設けなければならない。
食品衞生檢査施設に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十九條 第十七條第一項に規定する当該官吏吏員の職権及び食品衞生に関する指導の職務を行わせるために、國及び都道府縣に食品衞生監視員を置く。
食品衞生監視員は、官吏又は都道府縣の吏員の中から、厚生大臣又は都道府縣知事が、これを命ずる。
食品衞生監視員は、職務上知り得た祕密を漏らしてはならない。食品衞生監視員を退職した後においても、同樣とする。
前三項に定めるものの外、食品衞生監視員の定員及び資格その他食品衞生監視員に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第六章 営業
第二十條 都道縣知事は、飮食店営業その他公衆衞生に與える影響が著しい営業であつて、厚生大臣の指定するものの施設につき、業種別に、公衆衞生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第二十一條 前條に規定する営業を営もうとする者は、省令の定めるところにより、都道府縣知事の許可を受けなければならない。
前項の場合において、都道府縣知事は、その営業の施設が前條の規定による基準に合うと認めるときは、許可をしなければならない。
都道府縣知事は、第一項の許可に二年を下らない有効期間その他の必要な條件を附けることができる。
第二十二條 都道府縣知事は、営業者が第四條乃至第六條、第七條第二項、第九條、第十條第二項又は第十二條の規定を違反した場合においては、営業者若しくは当該吏員にその食品、添加物、器具若しくは容器包裝を廃棄させ、その他営業者に対し食品衞生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命じ、又は前條第一項の許可を取り消し、若しくは営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第二十三條 都道府縣知事は、営業者が第十一條第一項、第十三條若しくは第十六條の規定又は第二十一條第三項の規定による條件に違反した場合においては、同條第一項の許可を取り消し、又は営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第二十四條 都道府縣知事は、営業者がその営業の施設につき第二十條の規定による基準に違反した場合においては、その施設の整備改善を命じ、又は第二十一條第一項の許可を取り消し、若しくはその営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第七章 食品衞生委員会
第二十五條 厚生大臣又は都道府縣知事の諮問に應じ、食品衞生及び食品衞生に関する行政に関し調査審議させるため、食品衞生委員会を置く。
食品衞生委員会は、中央食品衞生委員会及び地方食品衞生委員会とし、中央食品衞生委員会は厚生省に、地方食品衞生委員会は都道府縣ごとに、これを置く。
中央食品衞生委員会は、厚生大臣、地方食品衞生委員会は、都道府縣知事の監督に属する。
中央食品衞生委員会は、委員五十人以内で、地方食品衞生委員会は、委員三十人以内でこれを組織する。
特別の事項を調査審議するため必要があるときは、食品衞生委員会に臨時委員を置くことができる。
中央食品衞生委員会又は地方食品衞生委員会の委員及び臨時委員は、関係行政廳の官吏又は吏員、食品、添加物、器具又は容器包裝に関する事業に從事する者及び学識経驗のある者の中から、厚生大臣又は都道府縣知事が、夫々これを命ずる。
食品衞生委員会に、委員の互選による委員長一人を置く。
食品衞生委員会の委員及び臨時委員は、予算に定める金額の範囲内において、手当及び旅費を受けるものとする。
前八項に定めるものの外、食品衞生委員会に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第八章 雜則
第二十六條 國庫は、政令の定めるところにより、左に掲げる都道府縣の費用に対して、その二分の一を補助する。
一 第十七條第一項(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による收去に要する費用
二 第十九條第一項(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による食品衞生監視員の設置に要する費用
三 二十一條第一項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定による営業の許可に要する費用
四 第二十二條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による廃棄に要する費用
五 第二十八條第一項又は第二項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定による死体の解剖に要する費用
六 この法律の施行に関する訴訟事件に要する費用及びその結果支拂う賠償の費用
第二十七條 食品、添加物、器具若しくは容器包裝に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し、又はその死体を檢案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。
第二十八條 都道府縣知事は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包裝に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に附することができる。
前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衞生に重大な危害を及ぼす虞があると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。
前二項の規定は、刑事訴訟に関する規定による強制の処分を妨げない。
第一項又は第二項の規定により死体を解剖する場合においては、礼意を失わないように注意しなければならない。
第二十九條 第四條、第六條、第七條、第九條乃至第十二條、第十四條乃至第二十五條、第二十七條及び前條の規定は、乳幼兒が接触することによりその健康を害う虞があるものとして厚生大臣の指定するおもちやについて、これを準用する。
第八條乃至第十條、第十六條乃至第二十條及び第二十二條乃至第二十四條の規定は、営業以外の場合で寄宿舍、学校、病院等の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供與する場合に、これを準用する。
第九章 罰則
第三十條 第四條(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)、第五條又は第六條(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第三十一條 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第七條第二項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)、第九條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十條第二項(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十二條(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)、第十六條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十九條第三項(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第二十一條第一項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)又は第二十七條(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による基準又は第二十一條第三項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定による條件に違反した者
三 第二十二條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは第二十四條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による都道府縣知事の命令に從わない営業者(同項に規定する食品を供與する者を含む。)又は第二十二條、第二十三條(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。)若しくは第二十四條の規定による処分に違反して営業を行つた者
第三十二條 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第十一條第一項(第二十九條第一項において準用する場合を含む。)又は第十三條の規定に違反した者
二 第十七條第一項(第二十九條第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による当該官吏吏員の臨檢檢査又は收去を拒み、妨げ、又は忌避した者
三 第十七條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
第三十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関し、前三條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金刑を科する。
附 則
第三十四條 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第三十五條 左に掲げる法令は、これを廃止する。
飮食物その他の物品取締に関する法律(明治三十三年法律第十五号)
飮食物その他の物品取締に関する法律及び有毒飮食物等取締令の施行に関する件(昭和二十二年厚生省令第十号)
飮食物営業取締規則(昭和二十二年厚生省令第十五号)
牛乳営業取締規則(昭和八年内務省令第三十七号)
清涼飮料水営業取締規則(明治三十三年内務省令第三十号)
氷雪営業取締規則(明治三十三年内務省令第三十七号)
人工甘味質取締規則(明治三十四年内務省令第三十一号)
メチールアルコホル(木精)取締規則(明治四十五年内務省令第八号)
有害性著色料取締規則(明治三十三年内務省令第十七号)
飮食物防腐剤、漂白剤取締規則(昭和三年内務省令第二十二号)
飮食物用器具取締規則(明治三十三年内務省令第五十号)
第三十六條 この法律施行の際現に旧法に基いて発せられた命令の規定による営業の許可を受けて当該営業を営んでいる者は、当該営業が第二十一條第一項の規定により許可を必要とする営業である場合においては、これを同項の規定による許可を受けた者とみなす。
大藏大臣 栗栖赳夫
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲
食品衛生法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十四日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百三十三号
食品衛生法目次
第一章
総則
第二章
食品及び添加物
第三章
器具及び容器包装
第四章
標示
第五章
検査
第六章
営業
第七章
食品衛生委員会
第八章
雑則
第九章
罰則
附則
食品衛生法
第一章 総則
第一条 この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。
第二条 この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。但し、医薬として摂取するものは、これを含まない。
この法律で添加物とは、食品の調味、著色、著香、保存、漂白又は膨脹その他食品の加工の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。
この法律で器具とは、飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、且つ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。但し、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は、これを含まない。
この法律で容器包装とは、食品又は添加物を容れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
この法律で標示とは、食品、添加物、器具又は容器包装に明示された文字又は図形をいう。
この法律で食品衛生とは、食品、添加物、器具及び容器包装を対象とする飲食に関する衛生をいう。
この法律で営業とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、加工し、調理し、貯蔵し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、若しくは販売することをいう。但し、農業及び水産業における食品の採取業は、これを含まない。
この法律で営業者とは、営業を営む人又は法人をいう。
第二章 食品及び添加物
第三条 販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)の用に供する食品又は添加物の採取、製造、加工、使用、調理、貯蔵、運搬、陳列及び授受は、清潔で衛生的に行われなければならない。
第四条 左に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し、一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、又は有害な物質が含まれ、又は附著しているもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。
第五条 省令を以て定める疾病にかかり、若しくはその疑があり、又はへい死した獣畜(牛、馬、豚、めん羊及び山羊並びに命令を以て定めるその他の物をいう。)の肉、骨、乳、臓器及び血液は、これを食品として販売し、又は食品として販売の用に供するために、採取し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。但し、へい死した獣畜の肉、骨及び臓器であつて、当該吏員が、人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認めたものは、この限りでない。
第六条 人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が定める場合を除いては、食品の添加物として用いることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
第七条 厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。
前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。
第三章 器具及び容器包装
第八条 営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならない。
第九条 有毒な、若しくは有害な物資が含まれ、若しくは附著して人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包装又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包装は、これを販売し、販売の用に供するために製造し、又は営業上使用してはならない。
第十条 厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない。
第四章 標示
第十一条 販売の用に供する食器及び添加物並びに前条の規定により規格又は基準が定められた器具及び容器包装で、公衆衛生の見地から必要なものには、一定の標示をしなければならない。
前項の規定により標示を行うべき食品、添加物、器具及び容器包装並びに標示の要領に関しては、省令でこれを定める。
第十二条 食品、添加物、器具又は容器包装に関しては、公衆衛生に危害を及ぼす虞がある虚偽の標示その他の標示はこれを行つてはならない。
第十三条 販売の用に供する食品又は添加物につき、乳幼児用、病者用その他特別の用途に適する旨の標示をしようとする者は、厚生大臣の許可を受けなければならない。
第五章 検査
第十四条 厚生大臣又は都道府県知事は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品、添加物、器具又は容器包装の製品につき必要な検査を行うことができる。
前項の規定による製品検査を行うべき食品、添加物、器具及び容器包装、製品検査の方法、手続及び手数料その他製品検査に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十五条 前条第一項の規定による製品検査を行つた場合においては、省令の定めるところにより、その製品検査に合格した食品、添加物、器具又は容器包装にその旨の標示をしなければならない。
第十六条 第十四条第一項の規定による製品検査を受けるべき食品、添加物、器具又は容器包装は、その製品検査に合格した旨の標示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
第十七条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業を行う者その他の関係者から必要な報告を求め、当該官吏吏員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な程度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
前項の規定により当該官吏吏員に臨検検査又は収去をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帯させなければならない。
第十八条 国及び都道府県は、第十四条第一項の規定による製品検査及び前条第一項の規定により収去した食品、添加物、器具又は用具包装の試験に関する事務を行わさせるために、必要な検査施設を設けなければならない。
食品衛生検査施設に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十九条 第十七条第一項に規定する当該官吏吏員の職権及び食品衛生に関する指導の職務を行わせるために、国及び都道府県に食品衛生監視員を置く。
食品衛生監視員は、官吏又は都道府県の吏員の中から、厚生大臣又は都道府県知事が、これを命ずる。
食品衛生監視員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。食品衛生監視員を退職した後においても、同様とする。
前三項に定めるものの外、食品衛生監視員の定員及び資格その他食品衛生監視員に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第六章 営業
第二十条 都道県知事は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業であつて、厚生大臣の指定するものの施設につき、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第二十一条 前条に規定する営業を営もうとする者は、省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
前項の場合において、都道府県知事は、その営業の施設が前条の規定による基準に合うと認めるときは、許可をしなければならない。
都道府県知事は、第一項の許可に二年を下らない有効期間その他の必要な条件を附けることができる。
第二十二条 都道府県知事は、営業者が第四条乃至第六条、第七条第二項、第九条、第十条第二項又は第十二条の規定を違反した場合においては、営業者若しくは当該吏員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、その他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命じ、又は前条第一項の許可を取り消し、若しくは営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第二十三条 都道府県知事は、営業者が第十一条第一項、第十三条若しくは第十六条の規定又は第二十一条第三項の規定による条件に違反した場合においては、同条第一項の許可を取り消し、又は営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第二十四条 都道府県知事は、営業者がその営業の施設につき第二十条の規定による基準に違反した場合においては、その施設の整備改善を命じ、又は第二十一条第一項の許可を取り消し、若しくはその営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
第七章 食品衛生委員会
第二十五条 厚生大臣又は都道府県知事の諮問に応じ、食品衛生及び食品衛生に関する行政に関し調査審議させるため、食品衛生委員会を置く。
食品衛生委員会は、中央食品衛生委員会及び地方食品衛生委員会とし、中央食品衛生委員会は厚生省に、地方食品衛生委員会は都道府県ごとに、これを置く。
中央食品衛生委員会は、厚生大臣、地方食品衛生委員会は、都道府県知事の監督に属する。
中央食品衛生委員会は、委員五十人以内で、地方食品衛生委員会は、委員三十人以内でこれを組織する。
特別の事項を調査審議するため必要があるときは、食品衛生委員会に臨時委員を置くことができる。
中央食品衛生委員会又は地方食品衛生委員会の委員及び臨時委員は、関係行政庁の官吏又は吏員、食品、添加物、器具又は容器包装に関する事業に従事する者及び学識経験のある者の中から、厚生大臣又は都道府県知事が、夫々これを命ずる。
食品衛生委員会に、委員の互選による委員長一人を置く。
食品衛生委員会の委員及び臨時委員は、予算に定める金額の範囲内において、手当及び旅費を受けるものとする。
前八項に定めるものの外、食品衛生委員会に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第八章 雑則
第二十六条 国庫は、政令の定めるところにより、左に掲げる都道府県の費用に対して、その二分の一を補助する。
一 第十七条第一項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による収去に要する費用
二 第十九条第一項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による食品衛生監視員の設置に要する費用
三 二十一条第一項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による営業の許可に要する費用
四 第二十二条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による廃棄に要する費用
五 第二十八条第一項又は第二項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による死体の解剖に要する費用
六 この法律の施行に関する訴訟事件に要する費用及びその結果支払う賠償の費用
第二十七条 食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑のある者を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。
第二十八条 都道府県知事は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に附することができる。
前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼす虞があると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。
前二項の規定は、刑事訴訟に関する規定による強制の処分を妨げない。
第一項又は第二項の規定により死体を解剖する場合においては、礼意を失わないように注意しなければならない。
第二十九条 第四条、第六条、第七条、第九条乃至第十二条、第十四条乃至第二十五条、第二十七条及び前条の規定は、乳幼児が接触することによりその健康を害う虞があるものとして厚生大臣の指定するおもちやについて、これを準用する。
第八条乃至第十条、第十六条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十四条の規定は、営業以外の場合で寄宿舎、学校、病院等の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供与する場合に、これを準用する。
第九章 罰則
第三十条 第四条(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)、第五条又は第六条(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第三十一条 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第七条第二項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)、第九条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十条第二項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十二条(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)、第十六条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第十九条第三項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第二十一条第一項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)又は第二十七条(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による基準又は第二十一条第三項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反した者
三 第二十二条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは第二十四条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による都道府県知事の命令に従わない営業者(同項に規定する食品を供与する者を含む。)又は第二十二条、第二十三条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の規定による処分に違反して営業を行つた者
第三十二条 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)又は第十三条の規定に違反した者
二 第十七条第一項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による当該官吏吏員の臨検検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
三 第十七条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第三十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
第三十四条 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第三十五条 左に掲げる法令は、これを廃止する。
飲食物その他の物品取締に関する法律(明治三十三年法律第十五号)
飲食物その他の物品取締に関する法律及び有毒飲食物等取締令の施行に関する件(昭和二十二年厚生省令第十号)
飲食物営業取締規則(昭和二十二年厚生省令第十五号)
牛乳営業取締規則(昭和八年内務省令第三十七号)
清涼飲料水営業取締規則(明治三十三年内務省令第三十号)
氷雪営業取締規則(明治三十三年内務省令第三十七号)
人工甘味質取締規則(明治三十四年内務省令第三十一号)
メチールアルコホル(木精)取締規則(明治四十五年内務省令第八号)
有害性著色料取締規則(明治三十三年内務省令第十七号)
飲食物防腐剤、漂白剤取締規則(昭和三年内務省令第二十二号)
飲食物用器具取締規則(明治三十三年内務省令第五十号)
第三十六条 この法律施行の際現に旧法に基いて発せられた命令の規定による営業の許可を受けて当該営業を営んでいる者は、当該営業が第二十一条第一項の規定により許可を必要とする営業である場合においては、これを同項の規定による許可を受けた者とみなす。
大蔵大臣 栗栖赳夫
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲