食品衛生法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第175号
公布年月日: 昭和32年6月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

食品衛生法の改正案の提案理由は、以下の5点に集約されます。第一に、食品工業の発展に伴い増加している添加物の概念を明確化し、森永ドライミルク事件も踏まえ、食品製造過程で使用される物質を添加物として取り締まることで、食品の危害を未然に防止する。第二に、乳製品や化学的合成品たる添加物等の製造・加工には高度な技術を要し、取扱いを誤ると広範な被害が予想されるため、特に危険性の大きい施設ごとに専任の食品衛生管理者の設置を義務付ける。第三に、食品・添加物等の製造時期・場所、使用目的等を明確にするため、公衆衛生の見地から必要な表示基準を定める。第四に、化学的合成品の定義を法律上明確に規定する。第五に、食品衛生法の罰則規定における不均衡を是正し、整備を行う。

参照した発言:
第24回国会 参議院 社会労働委員会 第24号

審議経過

第24回国会

参議院
(昭和31年3月15日)
(昭和31年4月17日)
(昭和31年4月19日)
(昭和31年5月2日)
(昭和31年5月14日)

第25回国会

参議院
(昭和31年12月13日)

第26回国会

参議院
(昭和32年3月5日)
(昭和32年3月7日)
(昭和32年3月9日)
(昭和32年3月11日)
衆議院
(昭和32年3月15日)
(昭和32年5月18日)
(昭和32年5月18日)
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
食品衛生法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年六月十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七十五号
食品衛生法の一部を改正する法律
食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 標示」を
第四章
標示
第四章の二
食品添加物公定書
に改める。
第二条第二項中「調味、著色、著香、保存、漂白又は膨脹その他食品の加工の目的で」を「製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で」に改める。
第二条第二項の次に次の一項を加える。
この法律で化学的合成品とは、化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学反応を起させてえられた物質をいう。
第五条第二項中「と殺年月日」を「とさつ年月」に改める。
第九条中「物資」を「物質」に改める。
第十一条を次のように改める。
第十一条 厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第一項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装の標示につき、必要な基準を定めることができる。
前項の規定により標示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う標示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
第十三条を次のように改める。
第四章の二 食品添加物公定書
第十三条 厚生大臣は、食品添加物公定書を作成し、第七条第一項の規定により基準又は規格が定められた添加物及び第十一条第一項の規定により基準が定められた添加物につき当該基準及び規格を収載するものとする。
第十六条の次に次の一条を加える。
第十六条の二 販売の用に供し、又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装を輸入しようとする者は、厚生省令の定めるところにより、そのつど厚生大臣に届け出なければならない。
第十八条第一項中「容具包装」を「容器包装」に改める。
第十九条第五項中「前四項」を「前三項」に改め、同条第四項を削る。
第六章中第二十条の前に次の一条を加える。
第十九条の二 乳製品、化学的合成品たる添加物その他製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品又は添加物であつて政令で定めるものの製造又は加工を行う営業者は、その製造又は加工を衛生的に管理させるため、その施設ごとに、専任の食品衛生管理者を置かなければならない。ただし、営業者が自ら食品衛生管理者となつて管理する施設については、この限りでない。
営業者が、前項の規定により食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業を二以上の施設で行う場合において、その施設が隣接しているときは、食品衛生管理者は、同項の規定にかかわらず、その二以上の施設を通じて一人で足りる。
食品衛生管理者は、当該施設においてその管理に係る食品又は添加物に関してこの法律又はこの法律に基く命令若しくは処分の違反が行われないように、その食品又は添加物の製造又は加工に従事する者を監督しなければならない。
次の各号の一に該当する者でなければ、食品衛生管理者となることができない。
一 医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師
二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基く大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基く大学又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基く専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者
三 厚生大臣の指定した食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
四 学校教育法に基く高等学校若しくは旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)に基く中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、第一項の規定により食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に三年以上従事し、かつ、厚生大臣の指定した講習会の課程を修了した者
前項第四号に該当することにより食品衛生管理者たる資格を有する者は、衛生管理の業務に三年以上従事した製造業又は加工業と同種の製造業又は加工業の施設においてのみ、食品衛生管理者となることができる。
第一項に規定する営業者は、食品衛生管理者を置き、又は自ら食品衛生管理者となつたときは、十五日以内に、その施設の所在地の都道府県知事に、その食品衛生管理者の氏名又は自ら食品衛生管理者となつた旨その他省令で定める事項を届け出なければならない。食品衛生管理者を変更したときも、同様とする。
第二十三条中「第十一条第一項若しくは第十六条」を「第十一条第二項、第十六条若しくは第十九条の二第一項」に改める。
第二十五条第一項中「厚生大臣の諮問に応じ、」の下に「食中毒の防止に関する事項、食品添加物公定書の作成に関する事項その他」を加える。
第二十八条第一項中「附する」を「付する」に改める。
第二十九条第二項中「第十六条乃至第二十条」を「第十六条、第十七条乃至第十九条、第二十条」に改める。
第二十九条の二中「第二十一条」の上に「第十九条の二及び」を加える。
第三十条の次に次の一条を加える。
第三十条の二 第七条第二項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)、第九条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)又は第二十一条第一項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第三十一条第一号中「、第七条第二項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)、第九条(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)」を削り、「第十条第二項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)」の下に「、第十一条第二項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)」を加え、「、第十九条第四項(第二十九条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)、第二十一条第一項(第二十九条第一項において準用する場合を含む。)」を削り、「第二十七条」を「第二十七条第一項」に改める。
第三十二条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号を第二号とし、同号の次に次の一号を加える。
三 第十六条の二又は第十九条の二第六項(それぞれ第二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第三十二条の次に次の一条を加える。
第三十二条の二 食品衛生管理者が第十九条の二第三項に規定する職務を怠つたときは、当該施設においてその管理に係る食品又は添加物に関し第三十条から第三十一条までの違反に該当する行為があつた場合において、その行為の態様に応じ各本条の罰金刑を科する。ただし、その食品衛生管理者がその行為を行つた者であるときは、この限りでない。
第三十三条中「前三条」を「第三十条から第三十二条まで」に改め、同条に次のただし書を加える。
ただし、その人が食品衛生管理者として、前条の規定により罰金刑を科せられるべきときは、その人については、この限りでない。
第三十六条に次の一項を加える。
第二十一条第三項の規定は、前項の規定による許可について準用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、目次及び第十三条の改正規定は、昭和三十四年四月一日から施行する。
(厚生省設置法の一部改正)
2 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号中「調味、著色、著香、保存、漂白又は膨脹その他食品の加工の目的で」を「製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で」に改める。
厚生大臣臨時代理 国務大臣 鹿島守之助
内閣総理大臣 岸信介