(飲食物其ノ他ノ物品取締ニ関スル法律)
法令番号: 法律第十五號
公布年月日: 明治33年2月24日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル飮食物其ノ他ノ物品取締ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年二月二十三日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
內務大臣 侯爵 西鄕從道
法律第十五號
第一條 販賣ノ用ニ供スル飮食物又ハ販賣ノ用ニ供シ若ハ營業上ニ使用スル飮食器、割烹具及其ノ他ノ物品ニシテ衞生上危害ヲ生スルノ虞アルモノハ法令ノ定ムル所ニ依リ行政廳ニ於テ其ノ製造、採取、販賣、授與若ハ使用ヲ禁止シ又ハ其ノ營業ヲ禁止シ若ハ停止スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ行政廳ハ物品ノ所有者若ハ所持者ヲシテ其ノ物品ヲ廢棄セシメ又ハ行政廳ニ於テ直接ニ之ヲ廢棄シ其ノ他必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得但シ所有者若ハ所持者ニ於テ衞生上危害ヲ生スルノ虞ナキ方法ニ依リ之ヲ處置セムコトヲ請フトキハ之ヲ許可スルコトヲ得
第二條 行政廳ハ吏員ヲシテ前條ノ物品ヲ檢査セシメ試驗ノ爲必要ナル分量ニ限リ無償ニテ收去セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ行政廳ハ吏員ヲシテ普通營業時間又ハ營業ノ爲開カルル間ニ限リ物品ヲ製造シ採取シ陳列シ貯藏シ若ハ携帶スル場所ニ立入ラシムルコトヲ得
第三條 本法ノ執行ニ關シ官吏又ハ公吏ノ命ヲ受ケテ指定ノ期間內ニ之ヲ履行セサル者ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
本法ノ執行ニ關シ官吏公吏又ハ行政廳ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者ニ抗拒シタル者ハ一月以下ノ重禁錮ニ處シ十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第四條 官吏公吏又ハ行政廳ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者本法ノ執行ニ關シ不正ノ所爲ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ重禁錮ニ處シ四十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
行政廳ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者本法ノ執行ニ關シ人ノ囑託ヲ受ケ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ聽許シタル者ハ刑法第二百八十四條ノ例ニ照シテ處斷ス
附 則
本法ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル飲食物其ノ他ノ物品取締ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年二月二十三日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
内務大臣 侯爵 西郷従道
法律第十五号
第一条 販売ノ用ニ供スル飲食物又ハ販売ノ用ニ供シ若ハ営業上ニ使用スル飲食器、割烹具及其ノ他ノ物品ニシテ衛生上危害ヲ生スルノ虞アルモノハ法令ノ定ムル所ニ依リ行政庁ニ於テ其ノ製造、採取、販売、授与若ハ使用ヲ禁止シ又ハ其ノ営業ヲ禁止シ若ハ停止スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ行政庁ハ物品ノ所有者若ハ所持者ヲシテ其ノ物品ヲ廃棄セシメ又ハ行政庁ニ於テ直接ニ之ヲ廃棄シ其ノ他必要ノ処分ヲ為スコトヲ得但シ所有者若ハ所持者ニ於テ衛生上危害ヲ生スルノ虞ナキ方法ニ依リ之ヲ処置セムコトヲ請フトキハ之ヲ許可スルコトヲ得
第二条 行政庁ハ吏員ヲシテ前条ノ物品ヲ検査セシメ試験ノ為必要ナル分量ニ限リ無償ニテ収去セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ行政庁ハ吏員ヲシテ普通営業時間又ハ営業ノ為開カルル間ニ限リ物品ヲ製造シ採取シ陳列シ貯蔵シ若ハ携帯スル場所ニ立入ラシムルコトヲ得
第三条 本法ノ執行ニ関シ官吏又ハ公吏ノ命ヲ受ケテ指定ノ期間内ニ之ヲ履行セサル者ハ二十円以下ノ罰金ニ処ス
本法ノ執行ニ関シ官吏公吏又ハ行政庁ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者ニ抗拒シタル者ハ一月以下ノ重禁錮ニ処シ十円以下ノ罰金ヲ附加ス
第四条 官吏公吏又ハ行政庁ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者本法ノ執行ニ関シ不正ノ所為ヲ為シタル者ハ一年以下ノ重禁錮ニ処シ四十円以下ノ罰金ヲ附加ス
行政庁ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ者本法ノ執行ニ関シ人ノ嘱託ヲ受ケ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ聴許シタル者ハ刑法第二百八十四条ノ例ニ照シテ処断ス
附 則
本法ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス