国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第86号
公布年月日: 昭和29年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

国有林野事業特別会計における決算上の利益処理方法を改めるもの。従来は森林資源維持のための積立金を積み立てた後、残額を一般会計に納付し、例外的に損失補填のための積立金を保有できたが、今後は積立金を森林基金とし、剰余金の範囲内で基金への組入れまたは一般会計への繰入れを可能とする。また、損失補填のための積立金の積立てを原則化する。さらに、保安林整備臨時措置法に基づき買い入れる森林等について、国有林野事業特別会計で経営・買入れを可能とし、必要に応じて一般会計からの繰入れを認めることとする。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年3月30日)
衆議院
(昭和29年4月2日)
参議院
(昭和29年4月6日)
衆議院
(昭和29年4月14日)
(昭和29年4月15日)
(昭和29年4月15日)
参議院
(昭和29年4月27日)
(昭和29年4月28日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年五月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十六号
国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律
国有林野事業特別会計法(昭和二十二年法律第三十八号)の一部を次のように改正する。
第十二条及び第十三条を次のように改める。
第十二条 この会計において、毎会計年度の損益計算上利益を生じ、且つ、当該年度の歳入歳出の決算上剰余金があるときは、当該剰余金に相当する金額の範囲内で、予算の定めるところにより、当該剰余金を生じた年度の翌年度において、森林資源の維持増強のための基金(以下「森林基金」という。)への組入又は一般会計への繰入をすることができる。
森林基金は、予算の定めるところにより、これを使用しなければならない。
第十三条 この会計において、毎会計年度の損益計算上利益を生じたときは、当該利益の額から前条第一項の規定により森林基金に組み入れる額及び一般会計に繰り入れる額の合計額を控除した額に相当する金額は、これを損失補てんのための積立金として積み立てるものとする。
この会計において、毎会計年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の積立金の額から当該損失の額に相当する額を減額してこれを整理するものとする。但し、当該損失の額が前項の積立金の額を超過するときは、その超過額を、前項の積立金の額がないときは、当該損失の額をそれぞれ損失の繰越として整理するものとする。
第十七条第一項中「積立金」を「森林基金」に改め、同条に次の二項を加える。
この会計において、運転資金に充てるため必要があるときは、農林大臣は、大蔵大臣の承認を経て、第六条第一項の規定による一時借入金の借入又は融通証券の発行に代え、森林基金に属する現金の繰替使用をすることができる。
前項の規定により繰替使用をした金額は、当該年度内に、これを森林基金に返還しなければならない。
第十七条の二第二項の項番号を削る。
附則第五条を次のように改める。
第五条 この会計においては、当分の間、この会計の負担において、保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)第二条の規定による保安林整備計画に基き、同法第四条に規定する森林等(同法第六条に規定する森林の土地の上の権利及び立木竹を含む。以下同じ。)を買い入れることができる。
前項の規定による買入及びその買入に係る森林等についての治山事業に要する経費の財源に不足するときに限り、予算の定めるところにより、一般会計は、この会計に繰入金をすることができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。但し、附則第五条の改正規定は、保安林整備臨時措置法施行の日から施行する。
2 改正前の国有林野事業特別会計法附則第五条第二項の規定により損失補てんのため積み立てられた積立金は、改正後の同法第十三条の規定により積み立てられた積立金とみなす。
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂