(目的)
第一条 この法律は、治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進することにより、国土の保全と開発を図り、もつて国民生活の安定と向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「治山事業」とは、次の各号に掲げる事業で、国が施行するもの及び都道府県又は都道府県知事が施行し、かつ、これに要する費用の一部を国が負担し、又は補助するものをいう。
一 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条に規定する保安施設事業
二 地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第五十一条第一項第二号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第三条又は第四条の規定によつて指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における地すべり防止工事又はぼた山崩壊防止工事に関する事業
2 この法律で「治水事業」とは、次の各号に掲げる事業で、国が施行するもの及び都道府県知事が施行し、かつ、これに要する費用の一部を国が負担し、又は補助するものをいう。
一 河川法(明治二十九年法律第七十一号)第一条に規定する河川(同法第五条の規定によつて同法が準用される水流、水面若しくは河川を含む。)に関する事業(第四号に該当するものを除く。)
二 砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防設備に関する事業
三 地すべり等防止法第五十一条第一項第一号又は第三号ロに規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第三条又は第四条の規定によつて指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における地すべり防止工事又はぼた山崩壊防止工事に関する事業
四 特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第二条第一項に規定する多目的ダムの建設工事に関する事業
3 次の各号に掲げる事業は、前二項の規定にかかわらず、治山事業又は治水事業に含まれないものとする。
一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号)又は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)の規定の適用を受ける災害復旧事業
二 前号の事業の施行のみでは再度災害の防止に十分な効果が期待できないと認められるため、これと合併して行なう新設又は改良に関する事業
三 昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法(昭和三十四年法律第百七十二号)による伊勢湾等高潮対策事業
四 臨時石炭鉱害復旧法(昭和二十七年法律第二百九十五号)第二条第二項に規定する復旧工事に関する事業
五 地震による地盤の変動のため必要を生じた河川に関する事業で政令で定めるもの
(治山事業十箇年計画及び治水事業十箇年計画)
第三条 農林大臣は、中央森林審議会の意見をきいて、昭和三十五年度以降の五箇年間において実施すべき治山事業に関する計画(以下「治山事業前期五箇年計画」という。)の案及び昭和四十年度以降の五箇年間において実施すべき治山事業に関する計画(以下「治山事業後期五箇年計画」という。)の案を、建設大臣は、河川審議会の意見を聞いて、昭和三十五年度以降の五箇年間において実施すべき治水事業に関する計画(以下「治水事業前期五箇年計画」という。)の案及び昭和四十年度以降の五箇年間において実施すべき治水事業に関する計画(以下「治水事業後期五箇年計画」という。)の案を、それぞれ作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 治山事業前期五箇年計画及び治山事業後期五箇年計画(以下「治山事業十箇年計画」と総称する。)又は治水事業前期五箇年計画及び治水事業後期五箇年計画(以下「治水事業十箇年計画」と総称する。)には、治山事業又は治水事業につき、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
一 前期及び後期の各五箇年間に行なうべき事業の実施の目標
3 農林大臣及び建設大臣は、第一項の規定により治山事業十箇年計画又は治水事業十箇年計画の案を作成しようとするときは、治山治水事業の総合性を確保するため、あらかじめ相互に調整を図らなければならない。
4 農林大臣又は建設大臣は、第一項の規定により治山事業十箇年計画又は治水事業十箇年計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ経済企画庁長官に協議しなければならない。
5 農林大臣又は建設大臣は、第一項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、治山事業十箇年計画又は治水事業十箇年計画を都道府県知事に通知しなければならない。
6 前五項の規定は、治山事業十箇年計画又は治水事業十箇年計画を変更しようとする場合に準用する。
(治山事業十箇年計画及び治水事業十箇年計画の実施)
第四条 政府は、治山事業十箇年計画及び治水事業十箇年計画を実施するため必要な措置を講ずるものとする。