後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律
法令番号: 法律第112号
公布年月日: 昭和36年6月2日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

全国的な経済発展と住民福祉向上のため、地方開発の必要性が強調されている。特に後進地域の産業立地条件整備と体質改善は、地域格差是正と経済の均衡的発展に不可欠である。しかし、後進地域は財政力が不十分で公共事業の実施が困難なため、国の負担割合を高めて地域の負担を軽減する必要がある。現行の東北、九州、四国の各開発法や地方財政再建促進特別措置法による制度は、後進地域を網羅せず、地方団体間の均衡も欠いている。そこで、これらを統合し、全国的な後進地域開発推進のための統一的な財政援助制度を設けることとした。

参照した発言:
第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号

審議経過

第38回国会

衆議院
(昭和36年3月9日)
参議院
(昭和36年3月9日)
衆議院
(昭和36年4月11日)
(昭和36年4月14日)
(昭和36年4月18日)
(昭和36年4月20日)
(昭和36年4月20日)
参議院
(昭和36年5月11日)
(昭和36年5月16日)
(昭和36年5月23日)
(昭和36年5月26日)
衆議院
(昭和36年6月28日)
後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年六月二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百十二号
後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、後進地域の開発に関する公共事業に係る経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)を当分の間引き上げることにより、後進地域の開発に関する公共事業の実施を推進し、もつて後進地域の経済基盤の強化と住民の福祉の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「適用団体」とは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定により算定した基準財政収入額を同法第十一条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値(以下「財政力指数」という。)が、〇・四六に満たない都道府県をいう。
2 この法律において「開発指定事業」とは、適用団体が国の負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、又は国が適用団体に負担金を課して行なう次に掲げる施設に係る事業のうち、災害復旧に係るもの、当該事業に要する経費の全額を国が負担するもの及び当該事業に要する経費を当該適用団体が負担しないもの並びに北海道及び奄美群島の区域における事業で当該事業に係る経費に対する国の負担割合がこれらの区域以外の区域におけるこれに相当する事業に係る経費に対する通常の国の負担割合と異なるものを除いたもので、政令で定めるものをいう。
一 河川
二 海岸
三 砂防設備
四 林地荒廃防止施設
五 地すべり防止施設
六 林道
七 道路
八 港湾
九 漁港
十 農業用施設
(国の負担割合の算定方法等)
第三条 開発指定事業に係る経費に対する国の負担割合は、当分の間、適用団体ごとに当該開発指定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合に次の式により算定した数(小数点以下二位未満は、切り上げるものとする。以下「引上率」という。)を乗じて算定するものとする。
1+0.25×
0.46-当該適用団体の財政力指数
0.46-財政力指数が最少の適用団体の当該財政力指数
2 前項の規定を適用した場合において、適用団体の負担割合が百分の十未満となるときは、同項の規定にかかわらず、当該開発指定事業に係る経費に対する適用団体の負担割合が百分の十となるように国の負担割合を定める。
3 開発指定事業について適用団体が法令の規定により分担金、負担金その他これらに準ずるものを徴収することとしている場合におけるその適正な徴収の確保に関し必要な事項は、政令で定める。
4 自治大臣は、第一項に規定する引上率を算定し、経済企画庁長官並びに開発指定事業に係る事務を所掌する各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)及び適用団体の長に通知するものとする。
(政令への委任)
第四条 前条第一項及び第二項の規定により開発指定事業に係る経費に対して国が通常の負担割合をこえて負担することとなる額の交付その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十六年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和三十五年度分の予算に係る国の負担金又は補助金で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(経過措置)
2 適用団体であつて、この法律による改正前の地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)第十七条、東北開発促進法(昭和三十二年法律第百十号)第十二条第二項及び第三項、九州地方開発促進法(昭和三十四年法律第六十号)第十二条第二項、四国地方開発促進法(昭和三十五年法律第六十三号)第十二条第三項並びに四国地方開発促進法の一部を改正する法律(昭和三十五年法律第百七十号)附則第二項及び附則第三項並びにこれらに基づく政令(以下「国の負担割合の特例に関する法令」という。)の規定を適用して算定した場合の国の負担総額が通常の国の負担割合による国の負担総額をこえる部分の額の昭和三十六年度においては十分の十の額、昭和三十七年度においては二分の一の額、昭和三十八年度においては四分の一の額が、それぞれこの法律の規定により算定した国の負担総額が通常の国の負担割合による国の負担総額をこえる部分の額をこえるもの又は適用団体以外の都府県であつて、地方財政再建促進特別措置法第三条第四項に規定する財政再建団体であるもの若しくはこの法律の施行の際現に同法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行なうものについては、この法律又はこの法律による改正後の国の負担割合の特例に関する法令の規定にかかわらず、この法律による改正前の国の負担割合の特例に関する法令の規定を適用する。この場合において、この法律による改正前の地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基づく政令の規定により通常の国の負担割合に乗ずる数、この法律による改正前の東北開発促進法第十二条第二項本文に規定する通常の国の負担割合に対する率、この法律による改正前の九州地方開発促進法第十二条第二項本文に規定する通常の国の負担割合に対する率及びこの法律による改正前の四国地方開発促進法第十二条第三項本文(四国地方開発促進法の一部を改正する法律附則第二項において準用する場合を含む。)に規定する通常の国の負担割合に対する率は、当該数又は率から一を減じた数又は率の昭和三十六年度にあつては十分の十、昭和三十七年度にあつては二分の一、昭和三十八年度にあつては四分の一にそれぞれ一を加えた数又は率とする。
3 第三条第四項の規定は、前項後段の規定による通常の国の負担割合に乗ずる数又はこれに対する率の算定及び通知について準用する。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
4 地方財政再建促進特別措置法の一部を次のように改正する。
第十七条各号列記以外の部分中「財政再建団体の」を「財政再建団体(都道府県を除く。)の」に改める。
(東北開発促進法の一部改正)
5 東北開発促進法の一部を次のように改正する。
第十二条の見出しを「(地方財政再建促進特別措置法との関係)」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基づく政令、第二十条並びに第二十一条第一項及び第二項並びに前二項の規定は」を「前項の規定は」に、「同法」を「地方財政再建促進特別措置法」に改め、同項を同条第二項とする。
(九州地方開発促進法の一部改正)
6 九州地方開発促進法の一部を次のように改正する。
第十二条の見出しを「(地方財政再建促進特別措置法との関係)」に改め、同条第二項を削る。
第十三条を削る。
(四国地方開発促進法の一部改正)
7 四国地方開発促進法の一部を次のように改正する。
第十二条の見出しを「(地方財政再建促進特別措置法との関係)」に改め、同条第三項を削る。
第十三条を削る。
8 四国地方開発促進法の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
附則第二項及び附則第三項を削る。
(北陸地方開発促進法の一部改正)
9 北陸地方開発促進法(昭和三十五年法律第百七十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二項を削る。
(中国地方開発促進法の一部改正)
10 中国地方開発促進法(昭和三十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
附則第三項を削る。
(自治省設置法の一部改正)
11 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第十二条第十三号を同条第十四号とし、同条第十二号の次に次の一号を加える。
十三 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和三十六年法律第百十二号)の規定により開発指定事業に係る経費に対する国の負担割合の引上率を算定し、及び通知すること。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 水田三喜男
自治大臣 安井謙