(目的)
第一条 この法律は、国民金融公庫が恩給等を担保として貸付をする場合におけるその担保の効力に関する規定を設けるとともに、その業務の範囲を拡張することにより、恩給等を担保とする金融の円滑化を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「恩給等」とは、左に掲げるものをいう。
一 恩給法(大正十二年法律第四十八号)その他の法令に規定する恩給で年金として給されるもの
二 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)第五条(援護の種類)に規定する障害年金及び遺族年金
三 条例により地方公共団体から給される年金で前二号に掲げるものに準ずるもの
2 この法律において「受給証書」とは、恩給等が給されることを証する書面をいう。
(担保に供された恩給等の支払)
第三条 国民金融公庫(以下「公庫」という。)に担保に供された恩給等については、その担保に供されている間は、公庫だけがこれに係る恩給等の支払を受けることができる。
2 公庫は、担保に供された恩給等について支払を受ける金銭をもつて当該担保に係る貸付金の弁済に充当するものとする。
(受給権の放棄の禁止)
第四条 恩給等を担保に供して公庫から貸付を受けた者は、その債務の全部の弁済が終るまでは、その担保に係る恩給等を受ける権利を放棄することができない。
(担保の範囲)
第五条 公庫が、恩給等について担保権を有する場合において、その担保に供された恩給等の受給額が改定されたときは、改定後の恩給等の上に担保権を有する。
2 恩給等を担保に供した場合においては、その担保の効力は、当該恩給等を担保に供した者の遺族(その担保に供した者が遺族であるときは、その後順位者)が受ける恩給等の上には及ばない。
(証書の引渡し)
第六条 恩給等を担保に供する者は、その受給証書を公庫に引き渡さなければならない。但し、裁定前の恩給等を担保に供する場合その他受給証書の発行がない場合においては、この限りでない。
(裁定庁への通知)
第七条 恩給等を担保として貸付をしたとき、又はその担保権が消滅したときは、公庫は、遅滞なく、その旨を当該恩給等の裁定をする機関(以下「裁定庁」という。)及びその支払をする機関に通知しなければならない。但し、裁定前の恩給等を担保として貸付をした場合においてその支払をする機関に対してする通知は、当該恩給等について裁定があつた後にすればよい。
(証書の公庫への交付)
第八条 裁定庁は、公庫に担保に供された恩給等について受給証書を発行し、又は再発行する場合においては、当該証書を公庫に交付しなければならない。
(公庫の代位)
第九条 公庫は、恩給等を担保に供した者に代つて、恩給等に関する請求、裁定庁に対する書類の提出その他恩給等の保全に必要な行為をすることができる。
(公庫の業務の特例)
第十条 公庫は、国民金融公庫法(昭和二十四年法律第四十九号)第一条(目的)及び第十八条(業務の範囲)の規定にかかわらず恩給等を担保とする場合に限り、生業資金以外の資金の小口貸付の業務を行うことができる。
2 前項の業務は、国民金融公庫法第五条第三項(政府の出資金の使用)又は第三十二条第三号(罰則)の規定の適用については、同法第十八条第一項に規定する業務とみなす。