(水産動植物の採捕制限等に関する命令)
第四條 農林大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、左に掲げる事項に関して、省令又は規則を定めることができる。
四 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止
五 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止
2 前項の規定による省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
3 前項の罰則に規定することができる罰は、省令にあつては二年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科、規則にあつては六箇月以下の懲役、一万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科とする。
4 第一項の規定による省令又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船、漁具及び同項第六号の水産動植物の没收並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没收することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。
5 農林大臣は、第一項の省令を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
6 都道府県知事は、第一項の規則を定めようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
7 都道府県知事は、第一項の規則を定めようとするときは、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第八十四條第一項(海区漁業調整委員会の設置)に規定する海面に係るものにあつては、当該都道府県の区域に沿う海面につき定められたすべての海区の区域を合した海区に設置した連合海区漁業調整委員会(当該都道府県の区域に沿う海面につき定められた海区の数が一である場合にあつては、当該海区の海区漁業調整委員会)の意見を、同法第百二十七條(内水面における第五種共同漁業の免許)に規定する内水面に係るものにあつては、内水面漁場管理委員会の意見をきかなければならない。
8 農林大臣は、第一項第四号又は第五号に掲げる事項に関する省令又は規則であつて、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第一條(適用河川)に規定する河川(同法第五條(準用河川)の規定により同法が準用される水流、水面又は河川を含む。以下「河川等」という。)又は砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二條(指定土地)の規定により主務大臣が指定した土地(以下「指定土地」という。)に係るものを定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、建設大臣に協議しなければならない。
9 農林大臣は、第一項第四号に掲げる事項に関する省令又は規則を定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。
(漁法の制限)
第五條 爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない。但し、海獸捕獲のためにする場合は、この限りでない。
第六條 水産動植物をまひさせ、又は死なせる有毒物を使用して、水産動植物を採捕してはならない。但し、農林大臣の許可を受けて、調査研究のため、漁業法第百二十七條に規定する内水面において採捕する場合は、この限りでない。
第七條 前二條の規定に違反して採捕した水産動植物は、所持し、又は販売してはならない。
(公共の用に供しない水面)
第八條 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面又は第三條の水面に通ずるものには、政令で、第四條から前條までの規定及びこれらに係る罰則を適用することができる。
(許可漁船の定数)
第九條 農林大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第五十二條(指定遠洋漁業)の指定遠洋漁業又は同法第六十五條第一項(漁業調整に関する命令)及びこの法律の第四條の規定に基く省令の規定により農林大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類及び水域別に、省令で、当該漁業に従事することができる漁船の隻数の最高限度(以下「定数」という。)を定めることができる。
2 農林大臣は、前項の定数を定める場合には、水産資源の現状及び現に当該漁業を営む者の数その他自然的及び社会的條件を総合的に勘案しなければならない。
3 農林大臣は、定数を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
(定数超過による許可の取消及び変更)
第十條 前條の規定により定数が定められた時に当該漁業の種類及び水域につき現に漁業の許可(漁業に関する起業の認可を含む。以下同じ。)を受けている漁船の隻数が定数をこえているときは、農林大臣は、左に掲げる事項を勘案して省令で定める基準に従い、そのこえる数の漁船につき、当該漁業に係る許可の取消の期日又は変更すべき当該漁業の操業区域及び変更の期日を指定しなければならない。
一 各漁業者が当該漁業の種類及び水域につき許可を受けている漁船の隻数
二 当該漁業に従事する漁船の航海度数、主たる操業の場所、操業日数、網入数、漁獲数量その他の操業状況
2 農林大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
3 第一項の規定による指定をする場合において必要があると認めるときは、農林大臣は、当該漁業の種類及び水域につき漁業の許可を受けている漁船であつて同項の指定を受けなかつたものにつき、変更すべき当該漁船の操業区域及び変更の期日を指定することができる。
4 第一項又は前項の規定による指定は、告示をもつてする。
5 前項の告示をしたときは、当該漁業に係る許可は、その有効期間にかかわらず、その指定された期日に取り消され、又は操業区域の変更があつたものとする。
6 第一項又は第三項の規定による指定は、これによつて必要となる次條の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。
(損失補償)
第十一條 政府は、前條第五項の規定による許可の取消又は操業区域の変更によつて生じた損失を当該処分を受けた者に対し補償しなければならない。
2 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。
3 前項の補償金額は、農林大臣が中央漁業調整審議会の意見をきいて定め、これを告示する。
5 第三項の規定により告示された補償金額に不服がある者は、告示の日から九十日以内に、訴をもつて、その増額を請求することができる。
(漁業従事者に対する措置)
第十二條 第十條第五項の規定により許可の取消を受けた者は、同條第四項の告示の日現在において、許可を受けた漁船に乘り組んでいる者及び当該漁船のために陸上作業をしている者に対し、交付を受けた補償金のうち省令で定める金額を支給しなければならない。
(漁獲限度)
第十三條 農林大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第五十二條の指定遠洋漁業又は同法第六十五條第一項及びこの法律の第四條の規定に基く省令の規定により農林大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類又は漁獲物の種類及び水域別に、当該漁業により漁獲すべき年間の数量の最高限度(以下「漁獲限度」という。)を定め、関係業者又はその団体に対し、この限度をこえて漁獲しないよう措置すべきことを勧告することができる。
2 農林大臣は、前項の漁獲限度を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。