砂利採取法
法令番号: 法律第74号
公布年月日: 昭和43年5月30日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

土木建築工事の増加に伴い骨材需要が急増し、砂利採取による災害が頻発して社会問題化している。特に山砂利・陸砂利の採取による災害は規模が大きく深刻化している。現行の砂利採取法は昭和31年制定で事後届出制を採用しており、近年の災害に十分対処できない。そこで新法を制定し、砂利採取業の登録制度の確立、採取計画の認可制度の実施、業者への命令措置の強化等、規制を抜本的に強化することで災害防止を図る必要がある。

参照した発言:
第58回国会 衆議院 商工委員会 第18号

審議経過

第58回国会

衆議院
(昭和43年4月10日)
参議院
(昭和43年4月19日)
(昭和43年4月23日)
(昭和43年4月25日)
衆議院
(昭和43年5月14日)
(昭和43年5月15日)
(昭和43年5月16日)
参議院
(昭和43年5月16日)
(昭和43年5月21日)
(昭和43年5月23日)
(昭和43年5月24日)
(昭和43年6月3日)
砂利採取法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年五月三十日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十四号
砂利採取法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
砂利採取業者の登録(第三条―第十五条)
第三章
採取計画の認可等(第十六条―第二十八条)
第四章
雑則(第二十九条―第四十四条)
第五章
罰則(第四十五条―第四十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、砂利採取業について、その事業を行なう者の登録、砂利の採取計画の認可その他の規制を行なうこと等により、砂利の採取に伴う災害を防止し、あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「砂利採取業」とは、砂利(砂及び玉石を含む。以下同じ。)の採取(洗浄を含む。以下同じ。)を行なう事業をいう。
第二章 砂利採取業者の登録
(登録)
第三条 砂利採取業を行なおうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を行なおうとするときは通商産業大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を行なおうとするときは当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第四条 前条の登録を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 事務所の名称及び所在地並びにその事務所に置く砂利採取業務主任者(以下「業務主任者」という。)の氏名
三 法人にあつては、その業務を行なう役員の氏名
2 前項の申請書には、前条の登録を受けようとする者が第六条第一項第一号から第四号までに該当しない者であることを誓約する書面その他の通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。
(登録及びその通知)
第五条 通商産業大臣又は都道府県知事は、第三条の登録の申請があつたときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録の年月日及び登録番号を砂利採取業者登録簿に登録しなければならない。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、前項の規定により登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第六条 通商産業大臣又は都道府県知事は、第四条第一項の申請書を提出した者が次の各号の一に該当するとき、又は当該申請書若しくはその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第十二条第一項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三 第三条の登録を受けた者(以下「砂利採取業者」という。)であつて法人であるものが第十二条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその砂利採取業者の業務を行なう役員であつた者でその処分のあつた日から二年を経過しないもの
四 法人であつて、その業務を行なう役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの
五 その事務所ごとに、次に掲げる者であつて第一号から第三号までに該当しないものを業務主任者として置いていない者
イ 砂利採取業務主任者試験(以下「業務主任者試験」という。)に合格した者
ロ イに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると都道府県知事が認定した者
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録行政庁の変更の場合における経過措置等)
第七条 第三条の通商産業大臣の登録を受けた者がその登録を受けた後一の都道府県の区域内にのみ事務所を有することとなつて引き続き砂利採取業を行なおうとするときは、その日から三十日間は、当該登録は、なおその効力を有するものとする。その者がその期間内に同条の都道府県知事の登録を申請した場合において、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
2 前項に規定する者は、同項前段に規定する場合に該当して第三条の都道府県知事の登録を受けたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 第三条の都道府県知事の登録を受けた者は、その登録を受けた後次の各号の一に該当して引き続き砂利採取業を行なおうとする場合(次条第一項の規定により他の砂利採取業者の地位を承継したことにより次の各号の一に該当して引き続き砂利採取業を行なおうとする場合を除く。)において第三条の通商産業大臣の登録又は都道府県知事の登録を受けたときは、遅滞なく、その旨を従前の登録をした都道府県知事に届け出なければならない。
一 二以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなつたとき。
二 当該都道府県の区域内における事務所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に事務所を設置することとなつたとき。
(承継)
第八条 砂利採取業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、その砂利採取業者の地位を承継する。ただし、当該相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人が第六条第一項第一号から第四号までの一に該当するときは、この限りでない。
2 前項の規定により砂利採取業者の地位を承継した者は、次の各号の一に該当するときは、その承継に係る事業であつて第三条の都道府県知事の登録を受けたもの又は自ら同条の都道府県知事の登録を受けた事業について、その承継の時に同条の通商産業大臣の登録を受けたものとみなす。
一 第三条の通商産業大臣の登録を受けた者が同条の都道府県知事の登録を受けた者の地位を承継したとき。
二 第三条の都道府県知事の登録を受けた者が同条の通商産業大臣の登録又は他の都道府県知事の登録を受けた者の地位を承継したとき。
三 第三条の登録を受けていない者が、同時に、同条の通商産業大臣の登録を受けた者の地位及び同条の都道府県知事の登録を受けた者の地位を承継したとき又は同条の都道府県知事の登録を受けた二以上の者の地位を承継したとき(その登録をした都道府県知事が同一であるときを除く。)。
3 第一項の規定により砂利採取業者の地位を承継した者は、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を通商産業大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
(変更の届出)
第九条 砂利採取業者は、第四条第一項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨をその登録をした通商産業大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 第四条第二項の規定は、前項の規定による届出に準用する。
(廃止の届出)
第十条 砂利採取業者は、砂利採取業を廃止したときは、遅滞なく、その旨をその登録をした通商産業大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
(登録の失効)
第十一条 第三条の都道府県知事の登録を受けた者が第七条第三項に規定する場合において第三条の通商産業大臣の登録又は都道府県知事の登録を受けたときは、その者に係る従前の都道府県知事の登録は、その効力を失う。
2 砂利採取業者が第八条第二項の規定により第三条の通商産業大臣の登録を受けたものとみなされたときは、その者に係る従前の都道府県知事の登録は、その効力を失う。
3 砂利採取業者がその砂利採取業を廃止したときは、その者に係る第三条の通商産業大臣の登録又は都道府県知事の登録は、その効力を失う。
(登録の取消し等)
第十二条 通商産業大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第六条第一項第一号、第三号又は第四号の規定に該当することとなつたとき。
二 第六条第一項第五号の規定に該当することとなつた場合において、その該当することとなつた日から二週間を経過してもなお同号の規定に該当しているとき。
三 第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
四 第十六条の規定に違反したとき。
五 第二十六条の規定による認可の取消しを受けたとき。
六 不正の手段により第三条の登録を受けたとき。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を当該処分に係る者に通知しなければならない。
(登録の消除)
第十三条 通商産業大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた砂利採取業者の登録がその効力を失つたときは、その登録を消除しなければならない。
(業務主任者の義務等)
第十四条 業務主任者は、砂利の採取に伴う災害の防止に関し通商産業省令で定める職務を誠実に行なわなければならない。
2 砂利の採取に従事する者は、業務主任者がその職務を行なうために必要があると認めてする指示に従わなければならない。
(業務主任者試験等)
第十五条 業務主任者試験は、砂利の採取に伴う災害の防止に関して必要な知識及び技能について都道府県知事が行なう。
2 業務主任者試験及び第六条第一項第五号ロの規定による認定の実施に関する細目は、通商産業省令で定める。
第三章 採取計画の認可等
(採取計画の認可)
第十六条 砂利採取業者は、砂利の採取を行なおうとするときは、当該採取に係る砂利採取場ごとに採取計画を定め、当該砂利採取場の所在地を管轄する都道府県知事(当該砂利採取場の区域の全部又は一部が河川区域等(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第六条第一項に規定する河川区域及び同法第五十四条第一項に規定する河川保全区域をいう。以下同じ。)の区域内にあるときは、当該河川区域等に係る同法第七条に規定する河川管理者(同法第九条第二項若しくは第九十八条又は第十一条第三項の規定により、同法第二十六条及び第二十七条第一項若しくは第五十五条第一項の規定に基づく権限の委任を受け又はその権限を代わつて行なう者があるときは、その者。以下「河川管理者」という。))の認可を受けなければならない。
(採取計画に定めるべき事項)
第十七条 前条の採取計画には、次の事項を定めなければならない。
一 砂利採取場の区域
二 採取をする砂利の種類及び数量並びにその採取の期間
三 砂利の採取の方法及び砂利の採取のための設備その他の施設に関する事項
四 砂利の採取に伴う災害の防止のための方法及び施設に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、通商産業省令、建設省令で定める事項
(認可の申請)
第十八条 第十六条の認可を受けようとする砂利採取業者は、次の事項を記載した申請書を都道府県知事又は河川管理者に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 登録の年月日及び登録番号
三 採取計画
2 前項の申請書には、砂利採取場及びその周辺の状況を示す図面その他の通商産業省令、建設省令で定める書類を添附しなければならない。
(認可の基準)
第十九条 都道府県知事又は河川管理者は、第十六条の認可の申請があつた場合において、当該申請に係る採取計画に基づいて行なう砂利の採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、又は他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、同条の認可をしてはならない。
(変更の認可等)
第二十条 第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る採取計画を変更しようとするときは、その認可をした都道府県知事又は河川管理者の認可を受けなければならない。ただし、通商産業省令、建設省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る採取計画について前項ただし書の通商産業省令、建設省令で定める軽微な変更をしようとするときは、その旨をその認可をした都道府県知事又は河川管理者に届け出なければならない。
3 第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、第十八条第一項第一号又は第二号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨をその認可をした都道府県知事又は河川管理者に届け出なければならない。
4 前条の規定は、第一項の規定による変更の認可に準用する。
(遵守義務)
第二十一条 第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る採取計画(前条第一項又は第二項の規定による変更の認可又は届出があつたときは、その変更後のもの。以下「認可採取計画」という。)に従つて砂利の採取を行なわなければならない。
(認可採取計画の変更命令)
第二十二条 都道府県知事又は河川管理者は、認可採取計画に基づいて行なわれている砂利の採取が第十九条に規定する要件に該当することとなり、又は該当することとなるおそれがあると認めるときは、その認可を受けた砂利採取業者に対し、当該認可採取計画を変更すべきことを命ずることができる。
(緊急措置命令等)
第二十三条 都道府県知事又は河川管理者は、砂利の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは、採取計画についてその認可を受けた砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきこと又は砂利の採取を停止すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事又は河川管理者は、政令で定めるところにより、第三条の規定に違反して砂利採取業を行なつた者又は第十六条若しくは第二十一条の規定に違反して砂利の採取を行なつた者に対し、採取跡の埋めもどしその他砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(廃止の届出)
第二十四条 第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る砂利採取場における砂利の採取を廃止したときは、遅滞なく、その旨をその認可をした都道府県知事又は河川管理者に届け出なければならない。
(認可の失効)
第二十五条 第十六条の認可を受けた砂利採取業者が当該認可に係る砂利採取場における砂利の採取を廃止したとき又は第十二条第一項の規定によりその登録を取り消されたときは、その者に係る第十六条の認可は、その効力を失う。
(認可の取消し等)
第二十六条 都道府県知事又は河川管理者は、第十六条の認可を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその認可に係る砂利採取場における砂利の採取の停止を命ずることができる。
一 第二十一条の規定に違反したとき。
二 第二十二条又は第二十三条第一項の規定による命令に違反したとき。
三 第三十一条第一項の条件に違反したとき。
四 不正の手段により第十六条の認可を受けたとき。
(河川法との関係)
第二十七条 その区域の全部又は一部が河川区域等の区域内にある砂利採取場に係る採取計画について第十六条の認可又は第二十条第一項若しくは第二項の規定による変更の認可若しくは届出があつたときは、当該認可採取計画に基づいて行なう工作物の新築、土地の掘さくその他の行為であつて河川法第二十六条、第二十七条第一項又は第五十五条第一項の許可を要するものについて、これらの許可があつたものとみなす。
2 前項の規定により認可採取計画に基づいて行なう行為についてあつたものとみなされた河川法第二十六条、第二十七条第一項又は第五十五条第一項の許可に基づく地位は、同法第三十三条第一項又は第二項(同法第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第八条の規定により当該認可採取計画に係る砂利採取業者の地位が承継される場合に限り、当該承継者が承継する。
3 第十六条の認可がその効力を失つたときは、第一項の規定により当該認可採取計画に基づいて行なう行為についてあつたものとみなされた河川法第二十六条、第二十七条第一項又は第五十五条第一項の許可は、その効力を失う。
(河川法の準用)
第二十八条 河川法第十五条の規定は、河川管理者がその区域の全部又は一部が同法第五条第一項の二級河川の河川区域内にある砂利採取場に係る採取計画について第十六条の認可又は第二十条第一項の規定による変更の認可をする場合に準用する。
2 河川法第三十五条第二項及び第三十六条第三項の規定は、河川管理者(都道府県知事を除く。)が第十六条の認可又は第二十条第一項の規定による変更の認可をする場合に準用する。
第四章 雑則
(標識の掲示)
第二十九条 砂利採取業者は、第十六条の認可に係る砂利採取場の見やすい場所に、通商産業省令、建設省令で定めるところより、氏名又は名称、登録番号その他の通商産業省令、建設省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
(鉱業権者との協議)
第三十条 砂利採取業を行なう土地の区域と鉱区とが重複するときは、砂利採取業者又は鉱業権者(租鉱区については、租鉱権者。以下同じ。)は、事業の実施について、鉱業権者又は砂利採取業者に対し協議することができる。
2 採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)第三十四条第二項から第七項までの規定は、前項の規定による協議に準用する。
3 鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第百七十一条から第百七十七条までの規定は、前項において準用する採石法第三十四条第二項の決定についての審査請求に、鉱業法第百八十条の規定は、当該決定の取消しの訴えに準用する。
(認可の条件)
第三十一条 第十六条の認可(第二十条第一項の規定による変更の認可を含む。)には、条件を附することができる。
2 前項の条件は、認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(帳簿の記載)
第三十二条 砂利採取業者は、通商産業省令、建設省令で定めるところにより、帳簿を備え、その業務に関し通商産業省令、建設省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(報告の徴収)
第三十三条 通商産業大臣、都道府県知事又は建設大臣若しくは河川管理者は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、砂利採取業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
(立入検査等)
第三十四条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、砂利採取業を行なう者の事務所、砂利採取場その他その業務を行なう場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、当該都道府県の区域内に事務所を設置して砂利採取業を行なう者又は河川区域等以外の区域において砂利の採取を業として行なう者の事務所、砂利採取場その他その業務を行なう場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
3 建設大臣又は河川管理者は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、河川区域等の区域において砂利の採取を業として行なう者の事務所、砂利採取場その他その業務を行なう場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
4 前三項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録免許税及び手数料)
第三十五条 第三条の通商産業大臣の登録を受けようとする者は、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の定めるところにより、登録免許税を納付しなければならない。
2 次の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
納付しなければならない者
金額
 一 第三条の都道府県知事の登録を受けようとする者
三千円
 二 業務主任者試験を受けようとする者
千五百円
 三 第六条第一項第五号ロの規定による認定を受けようとする者
千五百円
 四 第十六条の認可を受けようとする者
三千円
 五 第二十条第一項の規定による変更の認可を受けようとする者
千五百円
 六 第三十条第二項において準用する採石法第三十四条第二項の規定による決定の申請をする者
千円
3 前項の手数料は、河川管理者(都道府県知事を除く。)が行なう第十六条の認可又は第二十条第一項の規定による変更の認可を受けようとする者及び第三十条第二項において準用する採石法第三十四条第二項の規定による決定の申請をする者の納付するものについては国庫の、その他の者の納付するものについては当該都道府県の収入とする。
(通商産業大臣への通報等)
第三十六条 都道府県知事又は河川管理者は、政令で定めるところにより、砂利採取業者が第十六条の規定に違反していると認めたとき又は第二十六条の規定による認可の取消しをしたときは、その旨を通商産業大臣又は都道府県知事に通報しなければならない。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、第十二条第一項の規定による処分をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を都道府県知事又は河川管理者に通報しなければならない。
3 都道府県知事又は河川管理者は、第十六条の認可の申請又は第二十条第一項の規定による変更の認可の申請(通商産業省令、建設省令で定めるものに限る。)があつたときは、通商産業省令、建設省令で定めるところにより、その旨を関係市町村長に通報しなければならない。これらの申請について認可又は不認可の処分をしたときも、同様とする。
(市町村長の要請)
第三十七条 市町村長は、砂利の採取に伴う災害が発生するおそれがあると認めるときは、都道府県知事又は河川管理者に対し、必要な措置を講ずべきことを要請することができる。
2 都道府県知事又は河川管理者は、前項の規定による要請があつたときは、必要な調査を行ない、その結果必要があると認めるときは、第二十二条の規定による措置その他の必要な措置を講じなければならない。
(聴聞)
第三十八条 通商産業大臣、都道府県知事又は河川管理者は、第十二条第一項又は第二十六条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(不服申立ての手続における聴聞)
第三十九条 この法律の規定による処分(第三十条第二項において準用する採石法第三十四条第二項の決定を除く。)についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定(却下の裁決又は決定を除く。)は、前条の例により公開による聴聞をした後にしなければならない。
(裁定の申請)
第四十条 第十六条、第二十条第一項又は第二十二条の規定による処分(河川管理者が行なつたものを除く。)に不服がある者は、土地調整委員会に対して裁定の申請をすることができる。この場合には、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項の処分につき、処分庁が誤つて審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。
(砂利採取業者に対する指導等)
第四十一条 国及び地方公共団体の関係行政機関は、砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害を防止し、又は砂利採取業の健全な発達を図るために必要な指導及び助言に努めるものとする。
2 河川法その他の法令(条例及び規則を含む。)の規定により砂利の採取に係る許可をし、その許可を取り消し、その許可の効力を停止し、又はその許可の条件を変更するに当たつては、当該行政庁は、河川等の管理その他公益の保持に支障がある場合を除き、砂利採取業の運営を考慮してこれをするものとする。
(適用除外)
第四十二条 この法律の規定は、砂利の採取に伴う災害の発生するおそれがない業態の砂利採取業であつて政令で定めるものを行なう者については、適用しない。
2 前項の政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令の制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(国等に対する適用)
第四十三条 この法律の規定は、第二章、第三十五条及び次章の規定を除き、国及び地方公共団体に適用があるものとする。この場合においては、砂利採取業を行なう国又は地方公共団体と都道府県知事又は河川管理者との協議が成立することをもつて第十六条の認可又は第二十条第一項の規定による変更の認可があつたものとみなす。
(権限の委任)
第四十四条 この法律の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、通商産業局長に行なわせることができる。
第五章 罰則
第四十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の規定に違反して砂利採取業を行なつた者
二 第十二条第一項、第二十三条第一項若しくは第二項又は第二十六条の規定による命令に違反した者
三 第十六条又は第二十一条の規定に違反して砂利の採取を行なつた者
第四十六条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第三十二条の規定に違反して同条に規定する事項を記載せず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
三 第三十三条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第三十四条第一項から第三項までの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第四十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本案の罰金刑を科する。
第四十八条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第七条第二項若しくは第三項、第八条第三項、第十条、第二十条第三項又は第二十四条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第二十九条の規定に違反した者
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十五条及び次条の規定は、公布の日から施行する。
第二条 第六条第一項第五号ロの規定による認定は、この法律の施行の日前においても行なうことができる。
(砂利採取法の廃止)
第三条 砂利採取法(昭和三十一年法律第一号)は、廃止する。
(経過規定)
第四条 この法律の施行の際現に砂利採取業を行なつている者は、この法律の施行の日から六十日間は、第三条の登録を受けないで、従前の例により砂利採取業を行なうことができる。その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
2 前項の規定により第三条の登録の申請をして登録を受けた者は、当該登録を受けた日から三十日間は、第十六条の規定にかかわらず、従前の例により砂利の採取を行なうことができる。その者がその期間内に同条の認可の申請をした場合において、認可又は不認可の処分があるまでの間も、同様とする。
第五条 この法律の施行の際現に砂利採取業を行なつている国又は地方公共団体は、この法律の施行の日から六十日間は、第十六条の規定にかかわらず、砂利の採取を行なうことができる。
第六条 この法律の施行前にした行為及び附則第四条第一項又は第二項の規定により従前の例によることとされる砂利採取業に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(採石法の一部改正)
第七条 採石法の一部を次のように改正する。
第十条第一項第三号中「砂利採取法(昭和三十一年法律第一号)」を「砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)」に改める。
(水産資源保護法の一部改正)
第八条 水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)の一部を次のように改正する。
第十八条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)第十六条(採取計画の認可)に規定する河川管理者は、同条の採取計画又は変更後の採取計画に基づいて行なう工事が第一項に掲げる工事に該当し、かつ、保護水面の区域内においてされるものである場合において、当該採取計画又は採取計画の変更について同条又は同法第二十条第一項(変更の認可)の規定による認可をしようとするときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣に協議しなければならない。
(登録免許税法の一部改正)
第九条 登録免許税法の一部を次のように改正する。
別表第一中第三十四号の次に次のように加える。
三十四の二 砂利採取業者の登録
砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)第三条(登録)の通商産業大臣がする砂利採取業者の登録
登録件数
一件につき三万円
(土地調整委員会設置法の一部改正)
第十条 土地調整委員会設置法(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第二十四号を第二十五号とし、第二十三号の次に次の一号を加える。
二十四 砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)第四十条第一項の規定による異議を裁定すること。
第二十五条第一項中「又は近畿圏の保全区域の整備に関する法律第二十条第一項」を「、近畿圏の保全区域の整備に関する法律第二十条第一項又は砂利採取法第四十条第一項」に改める。
(通商産業省設置法の一部改正)
第十一条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第三十八号の二の次に次の一号を加える。
三十八の三 砂利採取業者を登録すること。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 赤間文三
大蔵大臣 水田三喜男
農林大臣 西村直己
通商産業大臣 椎名悦三郎
建設大臣 保利茂