新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法
法令番号: 法律第37号
公布年月日: 平成9年4月18日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

我が国は石油代替エネルギーの導入に努めてきたが、石油依存度は先進国の中で依然として高い。また、世界的なエネルギー消費量の増加や環境への影響が懸念される中、エネルギー供給構造が脆弱な我が国では、資源制約が少なく環境負荷の面で優れた新エネルギーの導入促進が不可欠となっている。そこで、太陽光発電や風力発電など、実用化段階に入ったものの経済性の面での制約により普及が十分でない新エネルギーについて、その利用等を促進するため本法案を提出した。

参照した発言:
第140回国会 衆議院 商工委員会 第5号

審議経過

第140回国会

衆議院
(平成9年3月18日)
(平成9年3月21日)
(平成9年3月25日)
参議院
(平成9年3月26日)
(平成9年4月3日)
(平成9年4月10日)
(平成9年4月11日)
新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
平成九年四月十八日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第三十七号
新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
基本方針等(第三条―第七条)
第三章
事業者が行う新エネルギー利用等の促進(第八条―第十三条)
第四章
雑則(第十四条―第十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、新エネルギー利用等についての国民の努力を促すとともに、新エネルギー利用等を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新エネルギー利用等」とは、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和五十五年法律第七十一号。以下「石油代替エネルギー法」という。)第二条に規定する石油代替エネルギー(以下この条において「石油代替エネルギー」という。)を製造し、若しくは発生させ、又は利用すること及び電気を変換して得られる動力を利用すること(石油に対する依存度の軽減に特に寄与するものに限る。)のうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが石油代替エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして政令で定めるものをいう。
第二章 基本方針等
(基本方針)
第三条 通商産業大臣は、新エネルギー利用等の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、これを公表しなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について、エネルギー需給の長期見通し、新エネルギー利用等の特性、新エネルギー利用等に関する技術水準その他の事情を勘案し、環境の保全に留意しつつ定めるものとする。
一 新エネルギー利用等に関してエネルギーを使用する者(以下「エネルギー使用者」という。)が講ずべき措置に関する基本的な事項
二 新エネルギー利用等の促進のために、エネルギーを供給する事業を行う者(次条第二項において「エネルギー供給事業者」という。)及び新エネルギー利用等を行うための機械器具の製造又は輸入の事業を行う者(同項において「製造事業者等」という。)が講ずべき措置に関する基本的な事項
三 新エネルギー利用等の促進のための施策に関する基本的な事項
四 その他新エネルギー利用等に関する事項
3 通商産業大臣が基本方針を定めるには、閣議の決定を経なければならない。
4 通商産業大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 通商産業大臣は、第二項の事情の変動のため必要があるときは、基本方針を改定するものとする。
6 第一項から第四項までの規定は、前項の規定による基本方針の改定に準用する。
(エネルギー使用者等の努力)
第四条 エネルギー使用者は、基本方針の定めるところに留意して、新エネルギー利用等に努めなければならない。
2 エネルギー供給事業者及び製造事業者等は、基本方針の定めるところに留意して、新エネルギー利用等の促進に努めなければならない。
(新エネルギー利用指針)
第五条 通商産業大臣は、新エネルギー利用等の特性、新エネルギー利用等に関する技術水準その他の事情からみて新エネルギー利用等を行うことが適切であると認められるエネルギー使用者における新エネルギー利用等を促進するため、これらの事情を勘案し、環境の保全に留意しつつ、推進すべき新エネルギー利用等の種類及び方法に関し、エネルギー使用者に対する新エネルギー利用等に関する指針(以下「新エネルギー利用指針」という。)を定め、これを公表するものとする。
2 通商産業大臣は、前項の事情の変動のため必要があるときは、新エネルギー利用指針を改定するものとする。
3 通商産業大臣は、新エネルギー利用指針を定め、又はこれを改定しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(指導及び助言)
第六条 主務大臣は、新エネルギー利用等を促進するため必要があると認めるときは、エネルギー使用者に対し、新エネルギー利用指針に定める事項について指導及び助言を行うものとする。
(地方公共団体の施策における配慮)
第七条 地方公共団体は、地域における新エネルギー利用等の促進に資する施策の策定及び実施に当たっては、できる限り、基本方針の定めるところに配慮するものとする。
第三章 事業者が行う新エネルギー利用等の促進
(利用計画の認定)
第八条 事業活動において新エネルギー利用等を行おうとする者(当該新エネルギー利用等を行う法人を設立しようとする者を含む。)は、当該新エネルギー利用等に関する計画(以下「利用計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その利用計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 利用計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 新エネルギー利用等の目標
二 新エネルギー利用等の内容及び実施時期
三 新エネルギー利用等に必要な資金の額及びその調達方法
3 主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その利用計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一 前項第一号及び第二号に掲げる事項が基本方針に照らして適切なものであり、かつ、我が国全体の新エネルギー利用等の普及にとって特に有効なものであること。
二 前項第二号及び第三号に掲げる事項が新エネルギー利用等を確実に行うために適切なものであること。
(利用計画の変更等)
第九条 前条第一項の認定を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該認定に係る利用計画を変更しようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならない。
2 主務大臣は、前条第一項の認定を受けた利用計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定利用計画」という。)に係る新エネルギー利用等を行う者(以下「認定事業者」という。)が当該認定利用計画に従って新エネルギー利用等を行っていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の認定について準用する。
(新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務)
第十条 新エネルギー・産業技術総合開発機構(次条において「機構」という。)は、石油代替エネルギー法第三十九条第一項及び第二項に規定する業務のほか、新エネルギー利用等を促進するため、次の業務を行う。
一 認定事業者が認定利用計画に従って行う新エネルギー利用等に必要な資金に係る債務の保証を行うこと。
二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(石油代替エネルギー法の特例)
第十一条 前条の規定により機構の業務が行われる場合には、石油代替エネルギー法第四十条第二項中「前条第一項第二号、第四号及び第五号」とあるのは「前条第一項第二号、第四号及び第五号並びに新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(以下「新エネルギー法」という。)第十条第一号」と、石油代替エネルギー法第四十一条第一項中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び新エネルギー法第十条」と、石油代替エネルギー法第五十三条第二項及び第五十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は新エネルギー法」と、石油代替エネルギー法第五十九条第三号中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び新エネルギー法第十条」とする。
(中小企業近代化資金等助成法の特例)
第十二条 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する中小企業設備近代化資金の貸付事業に係る貸付金であって、認定利用計画に従って設置する設備に係るものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間は、七年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。
(中小企業投資育成株式会社法の特例)
第十三条 中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
一 中小企業者又は事業を営んでいない個人が認定利用計画に従って新エネルギー利用等を行うために資本の額が一億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有
二 中小企業者のうち資本の額が一億円を超える株式会社が認定利用計画に従って新エネルギー利用等を行うために必要とする資金の調達を図るために発行する新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有
2 前項第一号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第二号の規定による新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号及び第二号の事業とみなす。
3 第一項各号の「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの並びに資本の額又は出資の総額が三千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
四 企業組合
五 協業組合
六 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの
第四章 雑則
(報告の徴収)
第十四条 主務大臣は、認定事業者に対し、認定利用計画の実施状況について報告を求めることができる。
(主務大臣)
第十五条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第六条に規定する指導及び助言に関する事項については、通商産業大臣及びエネルギー使用者の行う事業を所管する大臣とする。
二 第八条第一項に規定する認定、第九条第一項に規定する変更の認定、同条第二項に規定する認定の取消し及び前条に規定する報告の徴収に関する事項については、通商産業大臣及び当該新エネルギー利用等を行う者の行う事業を所管する大臣とする。
(罰則)
第十六条 第十四条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(通商産業省設置法の一部改正)
2 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第八十一号の次に次の一号を加える。
八十一の二 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(平成九年法律第三十七号)の施行に関すること。
大蔵大臣 三塚博
厚生大臣 小泉純一郎
農林水産大臣 藤本孝雄
通商産業大臣 佐藤信二
運輸大臣 古賀誠
建設大臣 亀井静香
内閣総理大臣 橋本龍太郎