失業保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百六十二号
公布年月日: 昭和38年8月1日
法令の形式: 法律
失業保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年八月一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百六十二号
失業保険法の一部を改正する法律
失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項中「疾病又は負傷のために引き続き百八十日以上」を「疾病、負傷その他労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定める理由により引き続き三十日以上」に改める。
第十六条第二項中「二回」を「一回」に改め、同条第三項第三号中「公共職業訓練」を「公共職業訓練等(職業訓練法(昭和三十三年法律第百三十三号)第二条第三項の公共職業訓練その他法令の規定に基づき失業者に対して作業環境に適応することを容易にさせ、又は就職に必要な知識及び技能を習得させるために行なわれる訓練(講習を含む。)であつて政令で定めるものをいう。以下同じ。)」に改める。
第十七条ただし書中「七百円」を「八百六十円」に改め、同条に次の四項を加える。
失業保険金の日額は、受給資格者に扶養親族(主としてその者により生計を維持されている配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又は十八歳未満の子(十八歳以上の子のうち命令で定める廃疾の状態にあるものを含む。)をいう。以下同じ。)があるときは、前項の規定にかかわらず、同項の日額に相当する額に扶養親族一人につき二十円(子のうち一人を除いた子については、十円)を加算した額とする。
前項の規定による加算は、受給資格者が、命令の定めるところによつて、同項の規定に該当する旨を公共職業安定所に届け出た日以後最初に行なわれる失業の認定に係る失業保険金の支給の対象となる最初の日以降で同項の規定に該当する日分について行なう。
受給資格者が、天災その他やむを得ない理由により前項に規定する届出をすることができなかつた場合において、その理由がやんだ日から七日以内に届出をしたときは、同項の規定の適用については、その理由が生じた日に届出がされたものとみなす。
第二項の規定により加算された額の失業保険金の支給を受ける受給資格者は、その配偶者又は子が扶養親族の要件を欠くに至つたときは、命令の定めるところによつて、公共職業安定所にその旨を届け出なければならない。
第十七条の二に次の一項を加える。
前二項の規定によつて賃金日額を算定することが困難であるとき、又は前二項の規定によつて算定した賃金日額が著しく不当であるときは、労働大臣が定めるところにより算定する額を賃金日額とする。
第十七条の三中「第十七条但書」を「第十七条第一項ただし書」に改める。
第十七条の四第一項中「十円を控除した額と失業保険金の日額」を「百円を控除した額と失業保険金の日額(当該失業保険金の日額が第十七条第二項の規定による加算を行なつたものである場合には、その加算を行なう前の額)」に改める。
第十九条中「失業の日数」の下に「(疾病又は負傷のため職業につくことができない日数を含む。)」を加える。
第二十条の二を次のように改める。
第二十条の二 次の各号の一に掲げる期間が五年以上である者には、前条第一項の規定にかかわらず、第十八条に規定する一年の期間(以下受給期間という。)内において、通算して百八十日分をこえて失業保険金を支給することができる。ただし、その期間が十年以上である者については二百七十日分、五年以上十年未満である者については二百十日分をこえては支給しない。
一 第十五条第一項の規定に該当するに至つた後における最初の離職に係る被保険者の資格の取得の日前一年の期間内に被保険者であつたことがない場合には、その最初の離職に係る被保険者であつた期間
二 第十五条第一項の規定に該当するに至つた後における最初の離職に係る被保険者の資格の取得の日前一年の期間内に被保険者であつたことがある場合には、その最初の離職に係る被保険者であつた期間及びその前の被保険者であつたすべての期間(その前の被保険者であつた期間について当該被保険者の資格の取得の日がその直前の被保険者の資格の喪失の日以後一年の期間内にないときは、当該直前の被保険者であつた期間及びその前の被保険者であつたすべての期間を除くものとし、以下通算対象期間という。)を通算した期間
前項第二号の規定による通算は、最も古い通算対象期間から順次当該通算対象期間をその直後の通算対象期間に合算して行なうものとする。
前項の通算対象期間を合算する場合には、次の各号の定めるところによる。
一 通算対象期間が一箇月に満たないとき、又は通算対象期間に一箇月に満たない端数があるときは、これを切り捨てる。
二 前後の通算対象期間の間において失業保険金の支給を受けたことがあるときは、当該失業保険金に係る離職の日前の通算対象期間(前項の規定によつて合算されたものを含む。)については、これを当該失業保険金の所定給付日数(前条第一項又はこの条第一項若しくは次項の規定により受給期間内において受給資格者に失業保険金を支給することができる日数をいう。以下同じ。)の決定の基礎とされた期間から当該失業保険金の支給を受けた日数の所定給付日数に対する割合(当該割合が一をこえるときは、一とする。)を当該期間に乗じて得た期間を減じた期間として計算する。
三 前号の規定によつて計算した期間が一箇月に満たないとき、又はその期間に一箇月に満たない端数があるときは、これを切り捨てる。
第一項第一号又は第二号に掲げる期間が一年未満であつて、離職の日以前一年間に被保険者期間が通算して九箇月以下である者には、前条第一項の規定にかかわらず、受給期間内において、通算して九十日分をこえては失業保険金を支給しない。
第十三条の二の規定による被保険者の資格の取得の確認があつた場合において、確認に係る被保険者の資格の取得の日が、確認があつた日の二年前の日より前であるときは、第一項の規定の適用については、確認があつた日の二年前の日において当該確認に係る被保険者の資格の取得があつたものとみなす。
第二十条の三(見出しを含む。)中「公共職業訓練」を「公共職業訓練等」に改め、同条第一項中「訓練期間」を「その期間」に、「第二十条第一項及び前条第一項から第三項までの規定により失業保険金を支給することができる日数」を「所定給付日数」に改める。
第二十条の四第一項中「第二十条第一項及び第二十条の二第一項から第三項までの規定により失業保険金を支給することができる日数(以下この章において所定給付日数という。)」を「所定給付日数」に改め、同条第二項中「前項の規定による措置を決定しようとするとき」を「第一項の規定による措置を決定しようとするとき、又は前項の規定による地域を指定しようとするとき」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
前項の規定による措置に基づき所定給付日数をこえて失業保険金の支給を受けることができる者が、労働大臣が指定する地域に住所又は居所を変更した場合には、引き続き同項の規定による措置に基づき所定給付日数をこえて失業保険金を支給することができる。
第二十条の五第一項中「又はその指示した公共職業訓練を受けること」を「、その指示した公共職業訓練等を受けること又は労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定めた基準に従つて公共職業安定所が行なうその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けること」に改める。
第二十一条第一項本文中「公共職業訓練」を「公共職業訓練等」に改め、同項第一号中「訓練を受けることを指示された職業」を「公共職業訓練等を受けることを指示された職種」に改め、同項第二号中「就職するため」の下に「又は公共職業訓練等を受けるため」を加え、同条第二項中「前項各号の一に該当するかしないか」を「第一項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするとき、又は前項の正当な理由があるかないか」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
受給資格者(第二十条の五第一項本文に規定する者を除く。)が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定めた基準に従つて公共職業安定所が行なうその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月をこえない範囲内において公共職業安定所の定める期間は、失業保険金を支給しない。
第二十三条第一項中「失業保険金の支給」を「保険給付」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
受給資格者が前項の規定による給付の制限を受けたためその日以後において当該受給資格に基づき失業保険金の支給を受けることができる日数の全部又は一部につき失業保険金の支給を受けることができなくなつたときは、第二十条の二第三項第二号、第二十六条第四項及び第二十六条の二第一項の規定の適用については、その支給を受けることができないこととされた日数分の失業保険金の支給があつたものとみなす。
第二十五条及び第二十六条を次のように改める。
(技能習得手当及び寄宿手当)
第二十五条 受給資格者が、公共職業安定所の指示した公共職業訓練等(その期間が一年をこえるものを除く。以下同じ。)を受ける場合には、政府は、技能習得手当を支給することができる。
受給資格者が、公共職業安定所の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と別居して寄宿する場合には、政府は、寄宿手当を支給することができる。
前二項の手当の額その他手当の支給に関し必要な事項は、労働大臣が、中央職業安定審議会の意見を聞いて定める。
第二十三条第一項及び第三項並びに第二十三条の二の規定は、第一項及び第二項の手当の支給について準用する。
(傷病給付金)
第二十六条 受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業につくことができない場合には、政府は、当該疾病又は負傷のために失業保険金の支給を受けることができない日について、傷病給付金を支給することができる。
前項の規定に該当する者が、傷病給付金の支給を受けるには、命令の定めるところによつて、同項の規定に該当することについて公共職業安定所の認定を受けなければならない。
傷病給付金の日額は、第十七条第一項又は第二項の規定による失業保険金の日額に相当する額とする。
傷病給付金は、第一項の規定に該当する者の所定給付日数から当該受給資格に基づきすでに失業保険金を支給した日数を差し引いた日数をこえては支給しない。
第二十一条第一項若しくは第二項又は第二十二条第一項の規定により失業保険金を支給しないこととされた期間は、傷病給付金を支給しない。
傷病給付金の支給があつたときは、この法律の規定(第二十三条及び第二十三条の二の規定を除く。)の適用については、当該傷病給付金を支給した日数に相当する日数分の失業保険金の支給があつたものとみなす。
傷病給付金は、公共職業安定所において、第二項の規定により公共職業安定所の認定を受けた日分を当該職業につくことができない理由がやんだ後における最初に失業保険金を支給すべき日(当該職業につくことができない理由がやんだ後において失業保険金を支給すべき日がない場合には、公共職業安定所の定める日)に支給する。ただし、当該職業につくことができない期間が引き続き一箇月をこえるに至つた者については、その期間中において公共職業安定所の定める日に支給することができる。
傷病給付金は、第一項の規定に該当する者が、当該疾病又は負傷の日について、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十五条の規定による傷病手当金、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十六条の規定による休業補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第十二条の規定による休業補償費その他これらに相当する給付であつて法令(法令の規定に基づく条例又は規約を含む。)により行なわれるもののうち政令で定めるものを受けることができる場合には、支給しない。
傷病給付金の支給に関し必要な事項は、労働大臣が、中央職業安定審議会の意見を聞いて定める。
第十七条第三項から第五項まで、第十七条の四から第十九条まで、第二十三条第一項及び第三項並びに第二十三条の二の規定は、傷病給付金の支給について準用する。この場合において、第十七条第三項中「失業の認定」とあるのは、「第二十六条第二項の認定」と、第十七条の四第一項中「第十六条の規定によつて公共職業安定所において認定を受けた失業の期間」とあり、同条第二項中「失業の認定を受けた期間」とあるのは、「第二十六条第二項の認定を受けた期間」と読み替えるものとする。
第二十六条の二第三項中「、第二十三条の二及び第四十七条第一項」を「及び第二十三条の二」に改め、同条第五項中「第二十三条及び」を「第二十三条第一項及び第三項並びに」に改める。
第二十七条の見出しを「(移転費)」に改め、同条第一項中「(届出をしないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)」を削り、「費用」の下に「(以下移転費という。)」を加え、同条第二項中「前項の費用」を「移転費」に改め、同条第三項中「第二十三条及び」を「第二十三条第一項及び第三項並びに」に、「第一項の規定による移転に要する費用」を「移転費」に改める。
第二十八条を次のように改める。
(国庫の負担)
第二十八条 国庫は、次の区別によつて保険給付に要する費用の一部を負担する。
一 第三十八条の五の日雇労働被保険者以外の被保険者に係る失業保険事業については、保険給付に要する費用の四分の一
二 第三十八条の五の日雇労働被保険者に係る失業保険事業については、保険給付に要する費用の三分の一
第三十八条の五の日雇労働被保険者以外の被保険者に係る失業保険事業について、国庫は、毎会計年度において、支給した保険給付総額の四分の三に相当する額が徴収した保険料総額をこえる場合には、当該超過額について、前項第一号の規定による国庫の負担額を加えて国庫の負担が当該会計年度において支給した保険給付総額の三分の一に相当する額に達する額までを負担する。
第三十八条の五の日雇労働被保険者に係る失業保険事業について、国庫は、毎会計年度において、徴収した保険料総額が支給した保険給付総額の三分の二に相当する額をこえる場合には、第一項第二号の規定にかかわらず、同号の規定による国庫の負担額から当該超過額に相当する額を減じた額(その額が当該会計年度において支給した保険給付総額の四分の一に相当する額を下る場合には、当該会計年度において支給した保険給付総額の四分の一に相当する額)を負担する。
国庫は、前三項の費用のほか、毎年度予算の範囲内において、失業保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。
第二十八条の二第一項中「前条第一項」の下に「第一号」を加える。
第三十条第二項を次のように改め、同条第三項を削る。
労働大臣は、毎会計年度において、徴収した保険料総額と国庫の負担額(第二十八条第四項の規定に基づくものを除く。)との合計額と支給した保険給付総額と福祉施設に要した費用(翌年度への繰越額を含む。)との合計額との差額を当該会計年度末における失業保険特別会計の積立金に加減した額が、当該会計年度において徴収した保険料総額の二倍に相当する額をこえ、又は当該保険料総額に相当する額を下るに至つた場合において、必要があると認めるときは、中央職業安定審議会の意見を聞いて、千分の十二から千分の十六までの範囲内において前項に規定する保険料率を変更することができる。
第三十五条第三項中「民法」の下に「(明治二十九年法律第八十九号)」を加える。
第三十八条の五第一項中「第二十条の六まで、第二十一条第一項、第二十二条、第二十三条」を「第二十三条まで」に、「第二十四条、第二十六条の二、第二十七条」を「第二十四条から第二十七条まで」に、「第三十条から第三十二条まで、第三十四条から第三十四条の五まで」を「第三十条から第三十四条の五まで」に改める。
第三十八条の九第三項中「第三十八条の六の規定に該当する者」の下に「又は次条第一項の申出をした者」を加え、同条第五項を次のように改める。
失業保険金は、各週(日曜日から土曜日までの七日をいう。)につき日雇労働被保険者が職業につかなかつた最初の日については、支給しない。
第三十八条の九の次に次の三条を加える。
(受給要件の特例)
第三十八条の九の二 日雇労働被保険者が失業した場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、公共職業安定所にその旨を申し出て、次条に定める失業保険金の支給を受けることができる。
一 継続する六月間に保険料が各月十一日分以上、かつ、通算して八十四日分以上納付されていること。
二 前号の六月のうち後の五月間に第三十八条の六の規定による失業保険金の支給を受けていないこと。
三 第一号の六月の最後の月の翌月以後二月間(申出をした日が当該二月の期間内にあるときは、申出をした日までの間)に第三十八条の六の規定による失業保険金の支給を受けていないこと。
前項の申出は、同項第一号の六月の最後の月の翌月以後四月の期間内に行なわなければならない。
日雇労働被保険者が、二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用された場合(第三十八条の五第二項ただし書の認可を受けた場合を除く。)において、その翌月に離職し、第一項の規定に該当するときは、第三十八条の五第二項本文の規定にかかわらず、第一項の規定により失業保険金の支給を受けることができる。
(支給の特例)
第三十八条の九の三 前条第一項の申出をした者の失業保険金は、第三十八条の九第一項及び第二項の規定にかかわらず、次に定めるところによる。
一 失業保険金の支給を受けることができる期間及び日数は、前条第一項第一号の六月の最後の月の翌月以後四月の期間内において、通算して六十日分を限度とする。
二 支給を受けることができる失業保険金の日額は、次に定めるところによる。
イ 前条第一項第一号の六月間に納付された保険料のうち、第一級の保険料が八十四日分以上であるときは、第一級の失業保険金の日額
ロ 前号の六月間に納付された保険料のうち、第一級の保険料が八十四日分に満たないときは、第二級の失業保険金の日額
第三十八条の九の四 第三十八条の九の二第一項の申出をした者については、その申出をした日が同項第一号の六月の最後の月の翌月以後二月の期間内にあるときは、当該二月を経過する日までは、第三十八条の六の規定による失業保険金を支給しない。
第三十八条の九の二第一項の申出をした者が同項第一号の六月の最後の月の翌月から起算して第三月目又は第四月目に当たる月において第三十八条の六の規定による失業保険金の支給を受けたときは、当該失業保険金を受けた日については、前条の失業保険金を支給しない。
第三十八条の九の二第一項の申出をした者が同項第一号の六月の最後の月の翌月から起算して第三月目又は第四月目に当たる月において前条の失業保険金の支給を受けたときは、当該失業保険金を受けた日については、第三十八条の六の規定による失業保険金を支給しない。
前条の失業保険金の支給を受けた者は、第三十八条の九の二第一項第二号の規定の適用については、第三十八条の六の規定による失業保険金の支給を受けたものとみなす。
労働大臣は、前条の失業保険金の支給について、必要があると認めるときは、第三十八条の九第四項の規定にかかわらず、中央職業安定審議会の意見を聞いて、特別の定めをすることができる。
第三十八条の七の規定は、前条の失業保険金の支給について準用する。
第三十八条の十第一項中「、通算して七日間は、失業の認定及び失業保険金の支給は、これを行わない」を「起算して七日間は、失業保険金を支給しない」に改め、同条第三項中「第二十一条第二項」を「第二十一条第三項」に改める。
第三十八条の十一第三項中「第一項」を「前二項」に改め、同項後段を削り、同項の次に次の一項を加える。
前項の場合には、労働大臣は、次の国会において、保険料額を変更する手続をとらなければならない。この場合において、その変更のあつた日から一年以内に、その変更に関して、国会の議決がなかつた場合には、同項の規定によつて変更された保険料額は、その変更のあつた日から一年を経過した日から、第一項及び第二項に規定する保険料額に変更されたものとみなす。
第三十八条の十二第三項の次に次の一項を加える。
事業主は、日雇労働被保険者に賃金を支払うつど、その者の負担すべき保険料額に相当する額を、その者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、日雇労働被保険者にその旨を告げなければならない。
第三十八条の十五第一項中「第三十八条の六第二項」の下に「若しくは第三十八条の九の二第三項」を加える。
第三十八条の二十七第四項中「第二十六条の二第五項」を「第二十五条第四項、第二十六条第十項、第二十六条の二第五項」に改める。
第四十七条第一項中「、失業保険金の支給を受け、又はその返還を受ける権利、就職支度金の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第二十七条の規定による移転に要する費用の支給」を「及び保険給付」に改め、同条の次に次の二条を加える。
(受給権の譲渡及び差押えの禁止)
第四十七条の二 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第四十七条の三 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
第四十八条の次に次の一条を加える。
(戸籍事項の無料証明)
第四十八条の二 市町村長(特別区及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、行政庁又は保険給付を受ける者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、保険給付を受ける者又は扶養親族の戸籍に関し、無料で証明を行なうことができる。
第五十条中「第三十八条の六」の下に「又は第三十八条の九の二第一項若しくは第三項」を加える。
第五十条の次に次の一条を加える。
(診断)
第五十条の二 行政庁は、保険給付を行なうにつき必要があると認めるときは、第十六条第三項第一号の規定により失業の認定を受け、若しくは受けようとする者、傷病給付金の支給を受け、若しくは受けようとする者又は廃疾の状態にあることを理由として第十七条第二項の規定による加算の対象となり、若しくはなろうとする者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
第五十三条第九号中「文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合」を「又は文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二十条の二の改正規定、第二十条の四第一項の改正規定及び附則第五条の規定は、昭和四十年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の日前の失業の日に係る失業保険金の日額及び失業保険金の減額については、なお従前の例による。
第三条 この法律の施行の際現にこの法律による改正後の失業保険法(以下「新法」という。)第十七条第二項の規定に該当する者が、この法律の施行の日から起算して三十日以内に同項の規定に該当する旨を公共職業安定所に届け出たときは、その届出に係る扶養親族についての同項の規定による加算は、新法第十七条第三項の規定にかかわらず、この法律の施行の日分から行なう。
第四条 この法律の施行の日前において疾病又は負傷のために職業につくことができなかつた日は、新法第十九条の規定にかかわらず、同条に規定する七日の期間に含まれないものとする。
第五条 第二十条の二の改正規定の施行の日前の被保険者の資格の喪失に係る被保険者であつた期間は、新法第二十条の二の規定にかかわらず、同条第一項に規定する通算対象期間に含まれないものとする。
2 第二十条の二の改正規定の施行の日前の被保険者の資格の喪失に係る被保険者であつた期間で、附則第十三条第一項又は昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八月及び九月の風水害に関する失業保険特例法(昭和三十四年法律第百九十五号)第九条若しくは第十条の規定により、第二十条の二の改正規定の施行の日以後の被保険者の資格の喪失に係る被保険者であつた期間と通算されるものについては、前項の規定を適用しない。
第六条 第二十条の二の改正規定が施行されるまでの間は、新法第二十条の三第一項中「所定給付日数」とあるのは、「第二十条第一項及び前条第一項から第三項までの規定により失業保険金を支給することができる日数」と読み替えるものとする。
第七条 新法第二十三条第一項(同法第二十五条第四項、第二十六条第十項、第二十六条の二第五項及び第二十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日以後の詐欺その他不正の行為に係る保険給付の制限について適用し、この法律の施行の目前の詐欺その他不正の行為に係る保険給付の制限については、なお従前の例による。
(失業保険特別会計法の一部改正)
第八条 失業保険特別会計法(昭和二十二年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三条及び第四条中「保険金」を「保険給付費」に改める。
(国家公務員等退職手当法の一部改正)
第九条 国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項中「(その者が失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第二十条の三第一項に規定する場合の公共職業訓練に相当する公共職業訓練を受ける場合において、当該公共職業訓練を受け終わるべき日がその一年の期間を経過した日以後の日であるときは、その日までの期間)」を削り、「失業している場合においては、」の下に「当該退職の日において、」を加え、「その者を同法」を「その者を失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)」に改め、同条第五項を次のように改める。
5 第一項又は第三項の規定による退職手当の支給を受ける者が失業保険法第二十条の三第一項に規定する場合の公共職業訓練等に相当する公共職業訓練等を受ける場合において、当該公共職業訓練等を受け終わる日が、退職の日の翌日から起算して一年の期間を経過した日以後の日であるときには、当該日まで第一項又は第三項に規定する退職手当を支給する。
第十条第七項を同条第八項とし、同条第六項中「前項の規定による」を「前項第三号又は第四号に掲げる」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。
6 第一項、第三項及び前項に定めるもののほか、第一項又は第三項の規定による退職手当の支給を受けることができる者で次の各号の規定に該当するものに対しては、必要に応じ、失業保険法第二十五条から第二十七条までの規定に準じて政令で定めるところにより、それぞれ当該各号に掲げる給付を、退職手当として支給することができる。
一 失業保険法第二十五条に規定する公共職業訓練等に相当する公共職業訓練等を受けている者については、技能習得手当
二 前号に規定する公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)と別居して寄宿する者については、寄宿手当
三 退職後公共職業安定所に出頭し求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業につくことができない者については、傷病給付金
四 就職するに至つた者については、就職支度金
五 公共職業安定所の紹介した職業につくためその住所又は居所を変更する者については、移転費
(炭鉱離職者臨時措置法の一部改正)
第十条 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)の一部を次のように改正する。
第十七条第二項から第四項までを次のように改める。
2 手帳の発給を受けた者に扶養親族(主としてその者により生計を維持されている配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又は十八歳未満の子(十八歳以上の子のうち労働省令で定める廃疾の状態にあるものを含む。)をいう。以下同じ。)があるときは、その者の手当の日額は、同項の規定にかかわらず、前項の日額に相当する額に扶養親族一人につき二十円(子のうち一人を除いた子については、十円)を加算した額とする。
3 前項の規定による加算は、手帳の発給を受けた者が、労働省令の定めるところによつて、同項の規定に該当する旨を公共職業安定所長に届け出た日以後最初に第十四条の規定により出頭した日(同条ただし書の規定に該当するときは、前条第三項の規定により出頭したものとみなされた日)の直前の出頭すべき日の翌日(当該出頭日が最初の出頭すべき日であるときは、手帳の発給の申請の日から起算して八日目に当たる日)以降で前項の規定に該当する日分について行なう。
4 手帳の発給を受けた者が、天災その他やむを得ない理由により前項に規定する届出をすることができなかつた場合において、その理由がやんだ日から七日以内に届出をしたときは、同項の規定の適用については、その理由が生じた日に届出がされたものとみなす。
第十七条の次に次の一条を加える。
(賃金日額)
第十七条の二 前条第一項の賃金日額は、手帳の発給を受けた者が第八条第一項第一号の離職の日の属する月前十二月(月の末日において離職したときは、その月及びその前十一月)において賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上である各月(その月数が六をこえるときは、最後の六月)に支払を受けた賃金の総額を、三十にその月数を乗じて得た数で除して得た額とする。
2 前項の賃金日額については、失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第十七条の二第二項及び第三項の規定を準用する。
第十八条第一項を次のように改める。
第十八条 手帳の発給を受けた者が失業保険法の規定による失業保険金の受給資格者である場合には、その者が当該資格に基づく所定給付日数(同法第二十条第一項、第二十条の二第一項若しくは第四項若しくは第二十条の三第一項の規定により又は同法第二十条の四第一項の規定による措置に基づき失業保険金の支給を受けることができる日数をいう。以下この項において同じ。)分の失業保険金の支給を受け終わるか、又は受けることができなくなるまでの間は、手当を支給しない。その者が同法第二十条の五第一項又は第二十三条第一項(同法第二十六条第十項において準用する場合を含む。)の規定による給付の制限を受けたため失業保険金又は傷病給付金の支給を受けることができなくなつた場合においては、失業保険金又は傷病給付金の支給を受けることができなくなつた日の前日における失業保険金の支給残日数(当該失業保険金の受給資格に基づく所定給付日数からすでに失業保険金又は傷病給付金の支給を受けた日数を差し引いた日数(その日数が、失業保険金又は傷病給付金が支給されないこととなつた日から当該受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数をこえるときは、その日から当該受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数)をいう。)が経過するまでの間も、同様とする。
第十八条第二項中「第三十八条の六」の下に「又は第三十八条の九の二」を、「第三十八条の九」の下に「若しくは第三十八条の九の三」を加え、同条第三項を削り、同条第四項ただし書を削り、同項に後段として次のように加え、同項を同条第三項とする。
その者が正当な理由がなく当該職業訓練を受けなかつたため職業訓練手当の支給を受けることができなくなつた場合においては、そのためにその支給を受けることができない間も、同様とする。
第十八条第三項の次に次の一項を加える。
4 第一項前段、第二項前段及び前項前段の場合において、当該失業保険金、傷病給付金又は職業訓練手当の日額が第十七条の規定による手当の日額に満たないときは、第一項前段、第二項前段及び前項前段の規定にかかわらず、当該手当の日額から当該失業保険金、傷病給付金又は職業訓練手当の日額を控除した残りの額を、その者に支給する。
第十八条第五項を次のように改める。
5 手帳の発給を受けた者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十五条の規定による傷病手当金、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十六条の規定による休業補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第十二条の規定による休業補償費その他これらに相当する給付であつて法令(法令の規定に基づく条例又は規約を含む。)により行なわれるもののうち政令で定めるものを受けることができる間は、手当を支給しない。
第十八条第六項中「十円を控除した残りの額とその者に支給される手当の日額」を「百円を控除した残りの額とその者に支給される手当の日額(当該手当の日額が第十七条第二項の規定による加算を行なつたものである場合には、その加算を行なう前の額)」に、「前条」を「同条」に改める。
第二十条第二項中「十四日」を「九十日」に改める。
第四十条中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第十七条第二項の規定により加算された額の就職促進手当の支給を受ける場合において、その配偶者又は子が扶養親族の要件を欠くに至つたとき。
第四十条の次に次の二条を加える。
(戸籍事項の無料証明)
第四十条の二 市町村長(特別区及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、公共職業安定所長又は就職促進手当の支給を受ける者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、就職促進手当の支給を受ける者又は扶養親族の戸籍に関し、無料で証明を行なうことができる。
(診断)
第四十条の三 公共職業安定所長は、就職促進手当を支給するにつき必要があると認めるときは、就職促進手当の支給を受けることができる者で疾病若しくは負傷により就職指導を受けるために公共職業安定所に出頭することができないもの又は廃疾の状態にあることを理由として第十七条第二項の規定による加算の対象となり、若しくはなろうとする者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
第四十四条に次のただし書を加える。
ただし、移住資金又は第二十三条第一項第二号の手当の支給を受ける権利については、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押えるときは、この限りでない。
第四十四条の次に次の一条を加える。
(公課の禁止)
第四十四条の二 租税その他の公課は、就職促進手当を標準として課することができない。
(炭鉱離職者臨時措置法の一部改正に伴う経過措置)
第十一条 この法律の施行の日前の日に係る就職促進手当の日額及びその減額については、前条の規定による改正後の炭鉱離職者臨時措置法第十七条第二項又は第十八条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 この法律の施行の際現に前条の規定による改正後の炭鉱離職者臨時措置法第十七条第二項の規定に該当する者が、この法律の施行の日から起算して三十日以内に同項の規定に該当する旨を公共職業安定所長に届け出たときは、その届出に係る扶養親族についての同項の規定による加算は、同条第三項の規定にかかわらず、この法律の施行の日分から行なう。
3 失業保険法第二十条の二の改正規定が施行されるまでの間は、前条の規定による改正後の炭鉱離職者臨時措置法第十八条第一項中「第二十条の二第一項若しくは第四項」とあるのは、「第二十条の二第一項から第三項まで」と読み替えるものとする。
(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正)
第十二条 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二十四条」を「第二十五条」に改める。
第五章中第二十四条の次に次の一条を加える。
(失業保険法による失業保険金の支給に関する特例)
第二十五条 激甚災害を受けた政令で定める地域にある失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の適用を受ける事業所に失業保険の被保険者(同法第三十八条の五の日雇労働被保険者を除く。)として雇用されている者が、当該事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより休業するに至り、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、就労することができず、かつ、賃金を受けることができない状態にあるときは、同法の規定の適用については、失業しているものとみなして失業保険金を支給することができる。ただし、災害の状況を考慮して、地域ごとに政令で定める日(以下この条において「指定期日」という。)までの間に限る。
2 前項の規定による失業保険金の支給を受けるには、当該休業について労働省令の定めるところにより労働大臣の確認を受けなければならない。
3 前項の確認があつた場合における失業保険法の規定の適用については、その者は、当該休業の最初の日の前日において離職したものとみなし、その確認による被保険者の資格の喪失については、同法第十三条の二第一項の確認があつたものとみなす。この場合において、同法第十三条の三の規定は、適用しない。
4 第一項の規定による失業保険金の支給については、失業保険法第十六条、第十九条及び第二十四条の規定の適用について労働省令で特別の定めをすることができる。
5 第二項の確認を受けた者(指定期日までの間において従前の事業主との雇用関係が終了した者を除く。)は、失業保険法の規定の適用については、指定期日の翌日に従前の事業所に雇用されたものとみなす。ただし、指定期日までに従前の事業所に再び就業し、又は従前の事業主の他の事業所に就業するに至つた者は、就業の最初の日に雇用されたものとみなす。
6 第二項の確認に関する処分については、失業保険法第四十条から第四十二条まで及び第五十二条の規定を準用する。
(激甚災害時における特例に関する暫定措置)
第十三条 この法律の施行の日から第二十条の二の改正規定が施行されるまでの間において激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二十五条第二項の確認を受けた後、同条第五項の規定により従前の事業主に雇用されたものとみなされるに至つた者に対する失業保険法の規定の適用については、新法第二十条の二第二項及び第三項の規定の例によりその者の当該災害に伴う休業の直前の被保険者として雇用された期間及びその者の当該休業に引き続く被保険者として雇用された期間を通算した期間、その者は、引き続き従前の事業主に被保険者として雇用されたものとみなす。激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二十五条第一項の激甚災害を受けた政令で定める地域において被保険者として雇用されていた事業所が、災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより離職した者であつて、当該離職について命令の定めるところにより公共職業安定所の確認を受けた後、同項ただし書の指定期日までに従前の事業主に雇用されるに至つたものについても、同様とする。
2 前項後段の確認に関する処分については、失業保険法第四十条から第四十二条までの規定を準用する。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 田中角栄
労働大臣 大橋武夫
自治大臣 早川崇