(特定賃金月額の決定)
第三十八条の十六 労働大臣は、第八条第一項の認可を受けた事業主であつて五人未満の労働者を雇用するもの(以下本章において小規模事業主という。)の申請により、その者に雇用される被保険者(日雇労働被保険者を除く。以下本章において同じ。)について特定賃金月額を決定する。
小規模事業主は、前項の申請をするには、その雇用する被保険者の二分の一以上の同意を得なければならない。
労働大臣は、第一項の規定による決定に係る小規模事業主に当該申請の日以後に雇用された被保険者について第十三条の二の規定により被保険者の資格の取得の確認をしたときは、その者について特定賃金月額を決定する。
労働大臣は、第一項及び前項の決定に係る被保険者について、命令の定めるところにより、毎年一回、特定賃金月額をあらたに決定するものとする。
第一項及び前項の規定による特定賃金月額は、決定のあつた日の属する月から適用する。
第三項の規定による特定賃金月額は、当該被保険者の資格の取得のあつた月以後の月であつて命令の定めるものから適用する。
(特定賃金月額の基準)
第三十八条の十七 前条第一項又は第四項の規定による特定賃金月額は、各被保険者について、同条第一項の申請をした日の属する月前の六月間又は同条第四項の規定による決定をすべき月の前月前の六月間に、当該小規模事業主が当該被保険者に支払つた賃金(賃金の支払の基礎となつた日数が二十日未満である月に係る賃金を除く。)の総額を六(当該賃金の総額の支払の基礎となつた月数が六未満であるときは、その月数)で除して得た額とする。この場合において、五百円未満の端数があるときはこれを切り捨て、五百円以上千円未満の端数があるときはこれを千円に切り上げるものとする。
前条第三項の規定による特定賃金月額は、左に掲げる額とする。
一 月、週その他一定の期間によつて定められる賃金が支払われる場合には、雇用された日現在の賃金の額をその期間の総日数(月の場合は、一箇月を三十日として計算する。)で除して得た額に三十を乗じて得た額
二 労働した日若しくは時間によつて定められる賃金又は出来高払制その他の請負制によつて定められる賃金が支払われる場合には、雇用された日の属する月前の一月間に、当該事業所で、同種の労働に従事し、かつ、同様の賃金を受ける者が受けた賃金の額を平均した額
三 前二号に規定する賃金以外の賃金が支払われる場合には、命令の定めるところにより計算したその賃金の月額に相当する額
四 前三号に規定する賃金の二以上が支払われる場合には、それぞれについて当該各号の規定により計算して得た額の合算額
第一項後段の規定は、前項の規定による特定賃金月額の計算について準用する。
労働大臣は、第一項若しくは第二項の規定により特定賃金月額を計算することができない場合又はこれらの規定により計算して得た額が特定賃金月額として著しく不適当であると認める場合は、これらの規定にかかわらず、命令の定めるところにより、特定賃金月額を決定することができる。
(特定賃金月額の改定)
第三十八条の十八 労働大臣は、特定賃金月額に係る被保険者が当該小規模事業主から継続した六月間に支払われた賃金の総額を六で除して得た額がその者の詩定賃金月額にくらべて著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額により、特定賃金月額を改定することができる。但し、当該賃金の総額の支払の基礎となつた月のうち、賃金の支払の基礎となつた日数が二十日未満である月がある場合は、この限りでない。
特定賃金月額の改定は、当該小規模事業主の申請又は当該被保険者の請求により行う。
第三十八条の十六第五項及び前条第一項後段の規定は、特定賃金月額の改定について準用する。
(特定賃金月額の廃止)
第三十八条の十九 労働大臣は、特定賃金月額に係る被保険者を雇用する小規模事業主がその雇用する被保険者の二分の一以上の同意を得て申請した場合は、当該被保険者の全部について特定賃金月額の廃止を決定する。当該小規模事業主が五人以上の労働者を雇用するに至つた場合も、同様とする。
特定賃金月額は、廃止の決定があつた日の属する月の末日限り、効力を失う。
(被保険者期間の特例)
第三十八条の二十 特定賃金月額に係る被保険者については、第十四条第一項の規定にかかわらず、賃金の支払の基礎となつた日数が一日以上十一日未満の月についても、その月を一月として計算し、被保険者期間に算入する。但し、被保険者の資格の得喪のあつた月については、この限りでない。
(賃金日額の特例)
第三十八条の二十一 被保険者が離職した場合において、離職した日の属する月前の被保険者期間として計算された最後の六月(離職した日が月の末日である場合は、その月及びその前五月)の全部又は一部の月が特定賃金月額に係る月であるときは、第十七条の二の規定の適用については、当該特定賃金月額をその月にその者に支払われた賃金の総額とみなす。但し、その月が被保険者の資格の得喪のあつた月であるときは、左に掲げる額をその月にその者に支払われた賃金の総額とみなす。
一 一の特定賃金月額の適用を受けた場合は、当該特定賃金月額を三十で除して得た額にその月に当該小規模事業主に被保険者として雇用された日数を乗じて得た額
二 二以上の特定賃金月額の適用を受けた場合は、それぞれについて前号の規定により計算して得た額の合算額
三 その月に第六条各号の事業主又は第八条第一項の認可を受けた事業主であつて、特定賃金月額に係る小規模事業主以外のものにも、被保険者として雇用され、かつ、賃金が支払われた場合は、その賃金の総額と前二号に掲げる額との合算額
前項の規定の適用を受ける者についての第十七条の二第二項の規定の適用については、当該特定賃金月額は、月、週その他一定の期間によつて定められた賃金の額とみなす。
(保険料額の特例)
第三十八条の二十二 第三十一条及び第三十四条第一項の規定の適用については、各月につき、小規模事業主が賃金を支払つたすべての被保険者に係る特定賃金月額(支払われた賃金が被保険者の資格の得喪のあつた月に係るものであるときは、当該特定賃金月額を三十で除して得た額に当該月においてその者が被保険者として雇用された日数を乗じて得た額)の合計額を当該小規模事業主がその雇用する被保険者のすべてに支払つた賃金の総額とみなす。
(保険料の納期の特例)
第三十八条の二十三 小規模事業主は、第三十四条第一項に規定する納期限にかかわらず、命令の定めるところにより政府の承認を受けて、一月、四月、七月及び十月の各月の末日までにその各月の前三月間(以下四半期という。)の保険料(日雇労働被保険者に係る保険料を除く。以下本条において同じ。)を政府に納付することができる。
政府は、前項の承認の申請をした小規模事業主について現に保険料の滞納があり、若しくはその他の事由により保険料の徴収に支障が生ずるおそれがあると認めるとき、又は当該申請が次項前段の規定による取消のあつた日から一箇年以内に提出されたのであるときは、前項の承認をしないことができる。
政府は、第一項の承認を受けた小規模事業主について保険料の滞納又はその他の事由により保険料の徴収に著しい支障が生ずるおそれがあると認めるときは、当該承認を取り消すことができる。第一項の承認を受けた小規模事業主が五人以上の労働者を雇用するに至つたときも、同様とする。
前項前段の規定による承認の取消があつた場合には、取消があつた日の属する四半期の保険料であつて、その取消の日の属する月以前の月に係るものについては、その取消の日の属する月の翌月末日を納期限とする。
第三項後段の規定による承認の取消があつた場合には、当該事業主は、取消があつた日の属する四半期の保険料の納付については、第一項の承認を受けた小規模事業主とみなす。
(読替規定)
第三十八条の二十四 前条第一項又は第四項の規定による保険料の納付については、第三十四条第一項中「その月」とあるのは「納付すべき保険料に係る期間」と、同条第三項中「第一項に規定する」とあるのは「第三十八条の二十三第一項又は第四項の規定による」と、第三十四条の二第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十八条の二十三第一項若しくは第四項」と読み替えるものとする。
第三十四条の二第二項の規定により決定される保険料を納付すべき事業主が前条第一項の承認を受けた小規模事業主である場合は、第三十四条の二第二項中「確認があつた日の属する月の前前月以前」とあるのは、確認があつた日の属する四半期(確認があつた月が一月、四月、七月又は十月であるときは、当該月の前月の属する四半期)の前月以前」と読み替えるものとする。
前条第一項又は第四項の規定により納付する保険料に係る追徴金については、第三十四条の四第二項第二号中「第三十四条第一項」とあるのは、「第三十八条の二十三第一項若しくは第四項」と読み替えるものとする。