(日雇労働者)
第三十八條の二 この法律で、日雇労働者とは、左の各号の一に該当する労働者をいう。但し、前二月の各月において十八日以上又は前六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用された者は、この限りでない。
二 一月において三十日以内の期間を定めて雇用される者
(日雇労働被保險者)
第三十八條の三 被保險者であつて、左の各号の一に該当する日雇労働者に関する特例については、本章の定めるところによる。
一 公共職業安定所の所在する市(東京都の区の存する区域を含む。)町村、又はこれに隣接する市町村であつて労働大臣が指定するものの区域(以下適用区域という。)に居住し、第六條第一項の事業主又は第八條第一項の認可を受けた事業主(以下單に事業主という。)に雇用される者
二 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある事業主の事務所に雇用される者
三 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある事業主の事務所であつて、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基いて労働大臣が指定したものに雇用される者
被保險者たる日雇労働者は、前項各号の一に該当することについて、その該当するに至つた日から起算して五日以内に公共職業安定所に届け出て、日雇労働被保險者手帳の交付を受けなければならない。
第三十八條の四 前條第一項の規定に該当しない日雇労働者が、事業主に雇用される場合は、公共職業安定所長の認可を受けて、失業保險の被保險者となることができる。
前項の認可を受けた者は、公共職業安定所において、日雇労働被保險者手帳の交付を受けなければならない。
第一項の規定によつて被保險者となつた者に関する特例については、本章の定めるところによる。
第三十八條の五 前二條の規定に該当する者(以下日雇労働被保險者という。)に関しては、第六條第二項、第九條、第十條、第十三條から第二十條まで、第二十一條第一項、第二十二條、第二十三條第一項、第二十四條、第二十七條、第三十條から第三十二條まで、第三十四條から第三十四條の四まで及び第四十九條第二項の規定は、これを適用しない。
日雇労働被保險者が二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用された場合は、その翌月の最初の日から、本章の規定は、これを適用しない。
(受給要件)
第三十八條の六 日雇労働被保險者が失業した場合において、失業の日の属する月の前二月間に、その者について、通算して三十二日分以上の保險料が納付されているときは、保險給付として、失業保險金を支給する。
日雇労働被保險者が、二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用され、その翌月に離職し、前項の規定に該当するときは、前條第二項の規定にかかわらず、第三十八條の八の失業保險金の支給を受けることができる。
第三十八條の七 第十七條の失業保險金の支給を受けることのできる者が前條の規定に該当する場合において、第十七條の失業保險金の支給を受けたときは、その支給を受けた期間は、前條の規定による失業保險金は、これを支給しない。
前項の場合において、その者が前條の規定による失業保險金の支給を受けたときは、その支給を受けた期間は、第十七條の失業保險金は、これを支給しない。
(失業保險金の日額)
第三十八條の八 失業保險金の日額は、第一級百四十円、第二級九十円とする。
(失業保險金の支給)
第三十八條の九 失業保險金は、日雇労働被保險者が失業した日の属する月の前二月間に、その者について通算して三十二日分の保險料が納付されているときは、その失業した日の属する月において、通算して十三日分を支給し、納付された保險料が三十二日分を超えるときは、三十二日分を超える四日分ごとに、十三日分の失業保險金に、一日分を加えて支給する。但し、通算して、十七日分を超えては支給しない。
前項の規定によつて支給すべき失業保險金の日額は、左の各号によるものとする。
一 納付された保險料の中、第一級の保險料が三十二日分以上である者については、第一級の失業保險金の日額
二 納付された保險料の中、第一級の保險料が三十二日分に満たない者については、第二級の失業保險金の日額
第三十八條の六の規定に該当する者が、失業保險金の支給を受けるには、命令の定めるところによつて、公共職業安定所に出頭し求職の申込をした上、失業の認定を受けなければならない。
失業保險金は、公共職業安定所において、失業の認定を行つた日について、その日分を支給する。
失業保險金は、日雇労働被保險者が失業した日の属する月における失業の日数が、通算して七日又は継続して五日に満たない間は、これを支給しない。
この法律施行の日から六箇月を経過した日以後において、過去四箇月間に徴收した保險料総額が当該期間内に支給した保險給付総額の百分の百二十を超えるに至つた場合は、労働大臣は、前項に規定する七日又は五日の期間を、六日又は四日に、過去四箇月間に支給した保險給付総額が当該期間内に徴收した保險料総額の百分の百二十を超えるに至つた場合は、九日又は六日に改めるものとする。
(給付制限)
第三十八條の十 失業保險金の支給を受けることのできる者が公共職業安定所の紹介する業務に就くことを拒んだときは、その日から、通算して七日間は、失業の認定及び失業保險金の支給は、これを行わない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当と認められるとき。
二 紹介された業務に対する賃金が、同一地域における同種の業務及び技能について行われる一般の賃金水準に比べて不当に低いとき。
三 職業安定法第二十條の規定に違反して、労働爭議の発生している事業所に紹介されたとき。
失業保險金の支給を受けることのできる者が、詐欺その他不正の行爲によつて失業保險金の支給を受け又は受けようとしたときは、その月及びその翌月から三箇月間は、失業保險金を支給しない。
第二十一條第二項の規定は、第一項の場合に、第二十三條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
(保險料額及び保險料の負担)
第三十八條の十一 保險料額は、一日につき、第一級六円、第二級五円とし、日雇労働保險者に支拂われた賃金の日額が百六十円以上の場合は、第一級、百六十円未満の場合は、第二級とする。
日雇労働被保險者の負担すべき保險料額は、第一級については三円、第二級については二円とし、事業主の負担すべき保險料額は、第一級及び第二級につき各々三円とする。
毎月末日において、すでに徴收した保險料総額と支給した保險給付総額との差額が、当該月の翌月から六箇月間に支給されるべき保險給付額の二分の一に相当する額に満たないと認められるに至つた場合において、國会の閉会又は衆議院の解散のために、保險料額変更の手続をすることができない場合であつて、緊急の必要があるときは、労働大臣は、中央職業安定審議会の意見を聞いて、第一項の保險料額を変更することができる。この場合には、第三十條第四項の規定を準用する。
(保險料の納付義務及び納付の方法)
第三十八條の十二 事業主は、その雇用する日雇労働被保險者に賃金を支拂うつど、その者及び自己の負担する保險料を、失業保險印紙をもつて納付しなければならない。
事業主は、保險料を納付するには、日雇労働被保險者が所持する日雇労働被保險者手帳に失業保險印紙を貼付し、これに消印しなければならない。
事業主は、日雇労働被保險者を雇用する場合は、その所持する日雇労働被保險者手帳を提出させなければならない。その提出を受けた日雇労働被保險者手帳は、その者から請求があつたときは、これを返還しなければならない。
日雇労働被保險者手帳、失業保險印紙その他保險料の納付の手続に関して必要な事項は、命令でこれを定める。
(保險料の決定及び追徴金)
第三十八條の十三 事業主が、前條の規定による保險料の納付を怠つたときは、政府は、その調査に基いて、その納付すべき保險料額を決定する。
事業主が正当な事由がないと認められるにもかかわらず前條の規定による保險料の納付を怠つたときは、政府は、命令の定めるところによつて、前項の規定によつて決定された保險料額の百分の二十五の額の追徴金を徴收する。
前項の追徴金の徴收又は計算については、第三十六條第一項但書又は同條第二項の規定を、その納付については、第三十四條の二第三項の規定を準用する。
(帳簿の備付及び報告)
第三十八條の十四 事業主は、日雇労働被保險者を雇用した場合は、命令の定めるところによつて、その事業所ごとに、失業保險印紙の受拂に関する帳簿を備え付け、その受拂状況を、翌月末日までに政府に報告しなければならない。
(受給資格の調整)
第三十八條の十五 日雇労働被保險者が二月の各月において十八日以上同一事業主に雇用され、その翌月において離職した場合は、離職の日の属する月の前二月を第十四條に規定する被保險者期間として計算することができる。但し、その者が第三十八條の六第二項の規定によつて失業保險金の支給を受けた場合は、この限りでない。