第一條 檢察廳は、檢察官の行う事務を統括するところとする。
檢察廳は、最高檢察廳、高等檢察廳、地方檢察廳及び区檢察廳とする。
第二條 最高檢察廳は、最高裁判所に、高等檢察廳は、各高等裁判所に、地方檢察廳は、各地方裁判所に、区檢察廳は、各簡易裁判所に、それぞれ対應してこれを置く。
最高檢察廳の位置並びに最高檢察廳以外の檢察廳の名称及び位置は、政令でこれを定める。
司法大臣は、必要と認めるときは、高等裁判所又は地方裁判所の支部にそれぞれ対應して高等檢察廳又は地方檢察廳の支部を設け、当該檢察廳の事務の一部を取り扱わせることができる。
第三條 檢察官は、檢事総長、次長檢事、檢事長、檢事及び副檢事とする。
第四條 檢察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判所の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。
第五條 檢察官は、いずれかの檢察廳に属し、他の法令に特別の定のある場合を除いて、その属する檢察廳の対應する裁判所の管轄区域内において、その裁判所の管轄に属する事項について前條に規定する職務を行う。
第六條 檢察官は、いかなる犯罪についても搜査をすることができる。
檢察官と他の法令により搜査の職権を有する者との関係は、刑事訴訟法の定めるところによる。
第七條 檢事総長は、最高檢察廳の長として、廳務を掌理し、且つ、すべての檢察廳の職員を指揮監督する。
次長檢事は、最高檢察廳に属し、檢事総長を補佐し、又、檢事総長に事故のあるとき、又は檢事総長が欠けたときは、その職務を行う。
第八條 檢事長は、高等檢察廳の長として、廳務を掌理し、且つ、その廳並びにその廳の対應する裁判所の管轄区域内に在る地方檢察廳及び区檢察廳の職員を指揮監督する。
第九條 各地方檢察廳に檢事正各一人を置き、一級の檢事を以てこれに充てる。
檢事正は、廳務を掌理し、且つ、その廳及びその廳の対應する裁判所の管轄区域内に在る区檢察廳の職員を指揮監督する。
第十條 二人以上の檢事又は檢事及び副檢事の属する各区檢察廳に上席檢察官各一人を置き、檢事を以てこれに充てる。
上席檢察官の置かれた各区檢察廳においては、その廳の上席檢察官が、その他の各区檢察廳においては、その廳に属する檢事又は副檢事(副檢事が二人以上あるときは、檢事正の指定する副檢事)が廳務を掌理し、且つ、その廳の職員を指揮監督する。
第十一條 檢事総長、檢事長又は檢事正は、その指揮監督する檢察官に、第七條第一項、第八條又は第九條第二項に規定する事務の一部を取り扱わせることができる。
第十二條 檢事総長、檢事長又は檢事正は、その指揮監督する檢察官の事務を、自ら取り扱い、又はその指揮監督する他の檢察官に取り扱わせることができる。
第十三條 檢事総長及び次長檢事、檢事長若しくは檢事正に事故のあるとき、又は檢事総長及び次長檢事、檢事長若しくは檢事正が欠けたときは、その廳の他の檢察官が、司法大臣の定める順序により、臨時に檢事総長、檢事長又は檢事正の職務を行う。
区檢察廳の廳務を掌理する檢察官に事故のあるとき、又はその檢察官が欠けたときは、檢事正の指定する他の檢察官が、臨時にその職務を行う。
第十四條 司法大臣は、第四條及び第六條に規定する檢察官の事務に関し、檢察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、檢事総長のみを指揮することができる。
第十五條 檢事総長、次長檢事及び各檢事長は一級とし、その任免は、天皇が、これを認証する。
一級の檢察官は、内閣が、二級の檢察官は、内閣総理大臣が、これを任免する。
第十六條 檢事長、檢事及び副檢事の職は、司法大臣が、これを補する。
副檢事は、区檢察廳の檢察官の職のみにこれを補するものとする。
第十七條 司法大臣は、高等檢察廳又は地方檢察廳の檢事の中から、高等檢察廳又は地方檢察廳の支部に勤務すべき者を命ずる。
第十八條 二級の檢察官の任命及び敍級は、左の資格の一を有する者に就いてこれを行う。
三 三年以上政令で定める大学において法律学の教授又は助教授の職に在つた者
副檢事は、前項の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する者で副檢事選考委員会の選考を経たものの中からもこれを任命することができる。
二 三年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職に在つた者
三年以上副檢事の職に在つて政令で定める考試を経た者は、第一項の規定にかかわらず、これを二級の檢事に任命及び敍級することができる。
副檢事選考委員会に関する規程は、政令でこれを定める。
第十九條 一級の檢察官の任命及び敍級は、左の資格の一を有する者に就いてこれを行う。
一 八年以上二級の檢事、判事補、簡易裁判所判事又は弁護士の職に在つた者
二 最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官又は判事の職に在つた者
三 前條第一項第一号又は第三号の資格を得た後八年以上司法次官、少年審判官、最高裁判所事務総長若しくは裁判所調査官又は二級以上の司法事務官、司法教官、裁判所事務官若しくは司法研修所教官の職に在つた者
四 前條第一項第一号又は第三号の資格を有し一年以上一級官吏の職に在つた者
五 前條第一項の資格を有し一級の檢察官の職務に必要な学識経驗のある者で一級官吏選考委員会の選考を経たもの
前項第一号及び第三号に規定する各職の在職年数は、これを通算する。
前條第三項の規定により檢事に任命された者は、第一項第三号乃至第五号の規定の適用については、これを同條第一項第一号の資格を有する者とみなす。
第二十條 他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号の一に該当する者は、これを檢察官に任命することができない。
第二十一條 檢察官の受ける俸給については、別に法律でこれを定める。
第二十二條 檢事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の檢察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。
第二十三條 檢察官が心身の故障その他の事由に因りその職務を執るに堪えないときは、檢察官適格審査委員会の議決を経てその官を免ずることができる。
檢察官適格審査委員会は、檢察官、裁判官及び弁護士の中から選任された委員を以てこれを組織する。
前二項に規定するものの外、檢察官適格審査委員会に関する事項は、政令でこれを定める。
第二十四條 檢事長、檢事又は副檢事が檢察廳の廃止その他の事由に因り剩員となつたときは、司法大臣は、その檢事長、檢事又は副檢事に俸給の半額を給して欠位を待たせることができる。
第二十五條 檢察官は、前三條の場合を除いては、その意思に反して、その官を失い、職務を停止され、又は俸給を減額されることはない。但し、懲戒処分による場合は、この限りでない。
檢事総長祕書官は、檢事総長の命を受けて機密に関する事務を掌る。
檢察事務官は、上官の命を受けて檢察廳の事務を掌り、又、檢察官を補佐し、又はその指揮を受けて搜査を行う。
第二十九條 檢察廳の職員の定員は、予算の範囲内において政令でこれを定める。
第三十條 司法大臣は、檢事総長若しくは檢事長又は檢事正にその廳又はその廳及びその廳の対應する裁判所の管轄区域内に在る区檢察廳の三級官吏の進退に関する権限を委任することができる。
檢事長又は檢事正は、その廳の檢察事務官及び檢察技官の中から、その廳の支部に勤務すべき者を命ずる。
第三十一條 檢察廳の職員は、他の檢察廳の職員と各自の取り扱うべき事務について互に必要な補助をする。
第三十二條 檢察廳の事務章程は、司法大臣が、これを定める。