戸籍法
法令番号: 法律第二十六號
公布年月日: 大正3年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル戶籍法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年三月三十日
內閣總理大臣 伯爵 山本權兵衞
司法大臣 法學博士 奧田義人
法律第二十六號
戶籍法
第一章
戶籍事務ノ管掌
第二章
戶籍簿
第三章
戶籍ノ記載手續
第四章
屆出
第一節
通則
第二節
出生
第三節
認知
第四節
養子緣組
第五節
養子離緣
第六節
婚姻
第七節
離婚
第八節
親權及ヒ後見
第九節
隱居
第十節
死亡及ヒ失踪
第十一節
家督相續
第十二節
推定家督相續人ノ廢除
第十三節
家督相續人ノ指定
第十四節
入籍、離籍及ヒ復籍拒絕
第十五節
廢家及ヒ絕家
第十六節
分家及ヒ廢絕家再興
第十七節
國籍ノ得喪
第十八節
氏名、族稱ノ變更及ヒ襲爵
第十九節
轉籍及ヒ就籍
第五章
戶籍ノ訂正
第六章
抗吿
第七章
罰則
附則
戶籍法
第一章 戶籍事務ノ管掌
第一條 戶籍ニ關スル事務ハ市町村長之ヲ管掌ス
第二條 市町村長ハ自己又ハ自己ト家ヲ同シクスル者ニ關スル戶籍事件ニ付キ其職務ヲ行フコトヲ得ス
第三條 戶籍事務ハ市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ一人ノ判事又ハ監督判事之ヲ監督ス
戶籍事務ノ監督ニ付テハ司法行政ノ監督ニ關スル規定ヲ準用ス
第四條 市町村長カ其職務ノ執行ニ付キ屆出人其他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其損害カ市町村長ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第五條 市制第六條及ヒ第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ本法中市、市長及ヒ市役所ニ關スル規定ハ區、區長及ヒ區役所ニ之ヲ準用ス
第六條 市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ本法中市町村、市町村長及ヒ市役所竝ニ町村役場ニ關スル規定ハ之ニ相當スル地區、吏員及ヒ公署ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ノ事務ヲ代理スル吏員ナキ地ニ在リテハ其地ヲ管轄スル地方裁判所ノ長司法大臣ノ認可ヲ得テ豫メ其代理者ヲ定ム
第七條 第二條及ヒ第四條ノ規定ハ戶籍事務ヲ管掌スル吏員ノ代理者ニ之ヲ準用ス
第八條 本法ノ規定ニ依リテ納付スル手數料ハ之ヲ市町村ノ收入トス
手數料ノ額ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 戶籍簿
第九條 戶籍ハ市町村ノ區域內ニ本籍ヲ定メタル者ニ付キ戶主ヲ本トシテ一戶每ニ之ヲ編製ス
第十條 戶籍ハ地番號ノ順序ニ從ヒ之ヲ編綴シテ帳簿ト爲ス
一ノ市町村內ニ各別ニ地番號ヲ附シタル二個以上ノ區畫アル場合ニ於テハ其區畫ノ順序ハ市町村長之ヲ定ム
第十一條 戶籍ハ正副二本ヲ設ク
正本ハ之ヲ市役所又ハ町村役場ニ備ヘ副本ハ監督區裁判所之ヲ保存ス
第十二條 新ニ戶籍ヲ編製シタルトキハ市町村長ハ遲滯ナク其副本ヲ監督區裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第十三條 戶籍簿ハ事變ヲ避クル爲メニスル場合ヲ除ク外市役所又ハ町村役場外ニ之ヲ持出スコトヲ得ス
第十四條 戶籍簿ヲ閱覽シ又ハ戶籍ノ謄本若クハ抄本ノ交付ヲ受ケントスル者ハ手數料ヲ納付シテ之ヲ請求スルコトヲ得
手數料ノ外郵送料ヲ納付シテ謄本又ハ抄本ノ送付ヲ請求スルコトヲ得
市町村長ハ正當ノ理由アル場合ニ限リ前二項ノ請求ヲ拒ムコトヲ得此場合ニ於テハ書面ヲ以テ其旨ヲ請求者ニ吿知スルコトヲ要ス
謄本又ハ抄本ハ市町村長之ヲ作リ原本ト相違ナキ旨ヲ附記シ且之ニ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺スルコトヲ要ス
第十五條 戶籍簿ノ全部若クハ一部カ滅失シタルトキ又ハ滅失ノ虞アルトキハ司法大臣ハ其再製又ハ補完ニ付キ必要ナル處分ヲ命ス但滅失ノ場合ニ於テハ其旨ヲ吿示スルコトヲ要ス
第十六條 家督相續、廢絕家其他ノ事由ニ因リ戶籍ノ全部ヲ抹消シタルトキハ其戶籍ハ之ヲ戶籍簿ヨリ除キ別ニ編綴シ除籍簿トシテ之ヲ保存ス
除籍簿ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第十七條 第十三條乃至第十五條ノ規定ハ除籍簿及ヒ除カレタル戶籍ニ之ヲ準用ス
第三章 戶籍ノ記載手續
第十八條 戶籍ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 戶主、前戶主及ヒ家族ノ氏名
二 戶主ノ本籍
三 戶主カ華族又ハ士族ナルトキハ其族稱
四 家族カ戶主ト族稱ヲ異ニスルトキハ其族稱
五 戶主及ヒ家族ノ出生ノ年月日
六 戶主又ハ家族ト爲リタル原因及ヒ年月日
七 戶主竝ニ家族ノ實父母ノ氏名及ヒ戶主竝ニ家族ト實父母トノ續柄
八 戶主又ハ家族カ養子ナルトキハ其養親竝ニ實父母ノ氏名及ヒ養子ト養親竝ニ實父母トノ續柄
九 戶主ト前戶主及ヒ家族トノ續柄
十 家族ノ配偶者又ハ家族ヲ經テ戶主ト親族關係ヲ有スル者ニ付テハ其家族トノ續柄
十一 他家ヨリ入リテ家族ト爲リタル者カ他ノ家族トノミ親族關係ヲ有スルトキハ其續柄
十二 他家ヨリ入リテ戶主又ハ家族ト爲リタル者ニ付テハ其原籍、原籍ノ戶主ノ氏名及ヒ其戶主ト戶主又ハ家族ト爲リタル者トノ續柄
十三 後見人又ハ保佐人アル者ニ付テハ後見人又ハ保佐人ノ氏名、本籍及ヒ其就職竝ニ任務終了ノ年月日
十四 其他戶主又ハ家族ノ身分ニ關スル事項
第十九條 戶主及ヒ家族ノ氏名ノ記載ハ左ノ順序ニ依ル
第一 戶主
第二 戶主ノ直系尊屬
第三 戶主ノ配偶者
第四 戶主ノ直系卑屬及ヒ其配偶者
第五 戶主ノ傍系親及ヒ其配偶者
第六 戶主ノ親族ニ非サル者
直系尊屬ノ間ニ在リテハ親等ノ遠キ者ヲ先ニシ直系卑屬又ハ傍系親ノ間ニ在リテハ親等ノ近キ者ヲ先ニス
戶籍ヲ編製シタル後家族ト爲リタル者ニ付テハ戶籍ノ末尾ニ記載スルコトヲ要ス
第二十條 戶籍ノ記載ハ屆出、報吿、申請若クハ請求、證書若クハ航海日誌ノ謄本又ハ裁判ニ依リ之ヲ爲ス
第二十一條 戶籍ニハ第十八條ニ揭ケタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 屆出又ハ申請ノ受附ノ年月日、事件ノ本人ニ非サル者ノ屆出又ハ申請ニ係ル場合ニ於テハ屆出人又ハ申請人ノ資格及ヒ氏名、他ノ市町村長又ハ官廳ヨリ屆書又ハ申請書ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テハ其受附ノ年月日及ヒ發送者ノ職氏名
二 報吿又ハ請求ノ受附ノ年月日及ヒ報吿者又ハ請求者ノ職氏名
三 證書又ハ航海日誌ノ謄本ノ受附ノ年月日及ヒ證書又ハ航海日誌ノ作製者竝ニ謄本發送者ノ職氏名
四 戶籍ノ記載ヲ命シタル裁判ノ年月日及ヒ裁判所
第二十二條 市町村長カ屆書、報吿書其他ノ書類ヲ受理シタルトキハ其書類ニ受附ノ番號及ヒ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
本籍地ノ市町村長ハ前項ノ手續ヲ爲シタル後遲滯ナク戶籍ノ記載ヲ爲スコトヲ要ス
第二十三條 家督相續、家督相續囘復其他戶主ノ變更ヲ生スヘキ事項ニ付キ屆出、申請又ハ請求アリタルトキハ其屆出、申請又ハ請求及ヒ前戶主又ハ戶主ノ名義ヲ有セシ者ノ戶籍ニ依リテ新戶籍ヲ編製スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ前戶主又ハ戶主ノ名義ヲ有セシ者ノ戶籍ニ事由ヲ記載シテ之ヲ抹消スルコトヲ要ス
家督相續人カ胎兒ナルトキハ其出生ノ記載ヲ爲スマテハ前二項ノ手續ヲ爲スコトヲ要セス此場合ニ於テハ前戶主ノ戶籍中戶主ニ關スル部分ヲ抹消シ家督相續人カ胎兒ナル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十四條 復籍拒絕ノ屆出アリタルトキハ復籍拒絕者ノ戶籍ニ屆出ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手續ヲ爲シタル後新戶籍ヲ編製スルトキハ之ニ復籍拒絕ニ關スル事項ヲ移記スルコトヲ要ス
復籍ヲ拒絕セラレタル者カ死亡シ其他復籍スルコトナキニ至リタルトキハ復籍拒絕ニ關スル事項ヲ抹消スルコトヲ要ス
第二十五條 家督相續人指定ノ屆出アリタルトキハ其指定ヲ爲シタル者ノ戶籍ニ屆出ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十六條 離籍又ハ廢家ニ因ル除籍ノ手續ハ離籍セラレタル者ノ一家創立又ハ廢家ヲ爲ス者ノ入籍ノ手續アリタル後之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十七條 一戶ノ全員又ハ一戶內ノ一人若クハ數人ヲ戶籍ヨリ除クヘキトキハ事由ヲ記載シテ戶籍ノ全部又ハ一部ヲ抹消スルコトヲ要ス
除籍セラルヘキ者ノ本籍カ他ノ市町村ニ轉屬スル場合ニ於テハ前項ノ手續ハ入籍ノ通知ヲ受ケタル後之ヲ爲スコトヲ要ス但入籍地ノ市町村長カ屆出ヲ受理シタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ一家創立ノ屆出ニ因リ除籍ヲ爲スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第二十八條 戶籍ノ記載ヲ爲スニハ略字又ハ符號ヲ用井ス字畫明瞭ナルコトヲ要ス
年月日ヲ記載スルニハ壹貳參拾ノ文字ヲ用ウルコトヲ要ス
文字ハ之ヲ改竄スルコトヲ得ス若シ訂正、挿入又ハ削除ヲ爲シタルトキハ其字數ヲ欄外ニ記載シ又ハ文字ノ前後ニ括弧ヲ附シ市町村長之ニ認印シ其削除ニ係ル文字ハ尙ホ明カニ讀得ヘキ爲メ字體ヲ存スルコトヲ要ス
第二十九條 戶籍ノ記載ヲ爲ス每ニ市町村長ハ其文末ニ認印スルコトヲ要ス
第三十條 戶籍用紙中ノ一部分ヲ用井盡シタルトキハ掛紙ヲ爲スコトヲ得此場合ニ於テハ市町村長ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ爲スコトヲ要ス
第三十一條 屆出事件ノ本人ノ本籍カ一ノ市町村ヨリ他ノ市町村ニ轉屬スル場合ニ於テハ屆出ヲ受理シタル市町村長ハ戶籍ノ記載ヲ爲シタル後遲滯ナク屆書ノ一通ヲ他ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第三十二條 前條ノ場合ヲ除ク外他ノ市町村長カ戶籍ノ記載ヲ爲スヘキ必要アル場合ニ於テハ屆出ヲ受理シタル市町村長ハ遲滯ナク屆書ノ一通ヲ他ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第三十三條 本籍分明ナラサル者又ハ本籍ナキ者ニ付キ屆出ヲ受理シタル後其者ノ本籍カ分明ト爲リタル旨又ハ其者カ本籍ヲ有スルニ至リタル旨ノ屆出アリタル場合ニ於テハ前二條ノ規定ハ其屆書及ヒ前ニ受理シタル屆書ニ付キ之ヲ適用ス
第三十四條 前三條ノ規定ハ屆書ニ非サル書面ニ因リ戶籍ノ記載ヲ爲スヘキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ市町村長ハ其受附ケタル書面ノ謄本ヲ作リ其謄本ヲ送付スルコトヲ要ス
第三十五條 屆出事件ノ本人ノ本籍カ他ノ市町村ニ轉屬スル場合ニ於テハ入籍地ノ市町村長ハ戶籍ノ記載ヲ爲シタル後除籍地ノ市町村長ニ入籍ノ通知ヲ爲スコトヲ要ス但入籍地ノ市町村長カ屆出ヲ受理シタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ市町村長カ一家創立ノ屆出ニ因リ除籍ヲ爲スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第三十六條 戶籍ノ記載手續ヲ完了シタルトキハ屆書其他受理シタル書類ハ本籍人及ヒ非本籍人ニ區別シ本籍人ニ關スルモノハ戶籍編綴ノ順序ニ從ヒテ之ヲ編綴シ非本籍人ニ關スルモノハ事件ノ種類ニ依リ各別ニ之ヲ編綴シ且各目錄ヲ附スルコトヲ要ス
戶籍ノ記載ヲ要セサル事項ニ付キ受理シタル書類ハ之ヲ合綴シ且目錄ヲ附スルコトヲ要ス日本ノ國籍ヲ有セサル者ニ關スル事項ニ付キ受理シタル書類亦同シ
第三十七條 前條第一項ノ書類ハ一个月每ニ遲滯ナク之ヲ監督區裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第三十八條 第三十六條ノ書類ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第三十九條 戶籍ノ記載カ法律上許スヘカラサルモノナルコト又ハ其記載ニ錯誤若クハ遺漏アルコトヲ發見シタル場合ニ於テハ市町村長ハ遲滯ナク屆出人又ハ屆出事件ノ本人ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要ス但其錯誤又ハ遺漏カ市町村長ノ過誤ニ出テタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ通知ヲ爲スコト能ハサルトキ又ハ通知ヲ爲シタルモ戶籍訂正ノ申請ヲ爲ス者ナキトキハ市町村長ハ監督區裁判所ノ許可ヲ得テ戶籍ノ訂正ヲ爲スコトヲ得前項但書ノ場合亦同シ
裁判所其他ノ官廳、檢事又ハ吏員カ其職務上戶籍ノ記載ニ錯誤又ハ遺漏アルコトヲ知リタルトキハ遲滯ナク屆出事件ノ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要ス
第四十條 同一ノ事件ニ付キ數人ノ屆出義務者ヨリ各別ニ屆出アリタル場合ニ於テ後ニ受理シタル屆出ニ因リテ戶籍ノ記載ヲ爲シタルトキハ前ニ受理シタル屆出ニ基キ其戶籍ノ訂正ヲ爲スコトヲ要ス
第四十一條 行政區畫又ハ土地ノ名稱ノ變更アリタルトキハ戶籍ノ記載ハ訂正セラレタルモノト看做ス但其記載ヲ更正スルコトヲ妨ケス
地番號ノ變更アリタルトキハ戶籍ノ記載ヲ更正スルコトヲ要ス
第四十二條 市町村ノ區域ノ變更アリタルトキハ戶籍及ヒ之ニ關スル書類ハ之ヲ當該市町村ニ引繼クコトヲ要ス
第四章 屆出
第一節 通則
第四十三條 屆出ハ屆出事件ノ本人ノ本籍地又ハ屆出人ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第四十四條 日本ノ國籍ヲ有セサル者ニ關スル屆出ハ其寄留地又ハ屆出人ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
所在地ノ市町村長カ屆書ヲ受理シタルトキハ之ヲ寄留地ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第四十五條 本籍分明ナラサル者又ハ本籍ナキ者ニ付キ屆出アリタル後其者ノ本籍カ分明ト爲リタルトキ又ハ其者カ本籍ヲ有スルニ至リタルトキハ屆出人又ハ屆出事件ノ本人ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ屆出事件ヲ表示シテ屆出ヲ受理シタル市町村長ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第四十六條 屆出ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
第四十七條 屆書ニハ左ノ事項ヲ記載シ屆出人之ニ署名、捺印スルコトヲ要ス
一 屆出事件
二 屆出ノ年月日
三 屆出人ノ出生ノ年月日及ヒ本籍
屆出事件ニ因リ屆出事件ノ本人ニ隨ヒテ家ヲ去リ、他家ニ入リ其他身分ニ變更ヲ生スル者アル場合ニ於テハ屆書ニ其者ノ氏名、出生ノ年月日竝ニ本籍及ヒ身分變更ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十八條 屆出人ト屆出事件ノ本人ト異ナルトキハ屆書ニ其續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
屆出人カ家族ナルトキハ屆書ニ戶主ノ氏名及ヒ屆出人ト戶主トノ續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十九條 屆出ヲ爲スヘキ者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ親權ヲ行フ者又ハ後見人ヲ以テ屆出義務者トス但出生、死亡其他單純ノ事實ニ關スル屆出ハ未成年者又ハ禁治產者モ亦之ヲ爲スコトヲ得
親權ヲ行フ者又ハ後見人カ屆出ヲ爲ス場合ニ於テハ屆書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 屆出ヲ爲スヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 無能力ノ原因
三 屆出人カ親權ヲ行フ者又ハ後見人ナルコト
第五十條 無能力者カ其法定代理人ノ同意ヲ得スシテ爲スコトヲ得ヘキ行爲ニ付テハ無能力者之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
禁治產者カ屆出ヲ爲ス場合ニ於テハ屆書ニ屆出事件ノ性質及ヒ效果ヲ理會スルニ足ルヘキ能力ヲ有スルコトヲ證スヘキ診斷書ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十一條 證人ヲ要スル事件ノ屆出ニ付テハ證人ハ屆書ニ出生ノ年月日及ヒ本籍ヲ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
第五十二條 屆出人、屆出事件ノ本人又ハ證人カ本籍ニ在ラサルトキハ屆書ニ其所在ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十三條 屆書ニ記載スヘキ事項ニシテ存セサルモノ又ハ知レサルモノアルトキハ其旨ヲ記載スルコトヲ要ス但市町村長ハ特ニ重要ト認ムル事項ヲ記載セサル屆書ヲ受理スルコトヲ得ス
第五十四條 屆書ニハ本法其他ノ法令ニ定メタル事項ノ外戶籍ニ記載スヘキ事項ヲ明瞭ナラシムル爲メ必要ナルモノハ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十五條 第二十八條第一項及ヒ第三項ノ規定ハ屆書ニ之ヲ準用ス
第五十六條 二箇所以上ノ市役所又ハ町村役場ニ於テ戶籍ノ記載ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ市役所又ハ町村役場ノ數ト同數ノ屆書ヲ提出スルコトヲ要ス
本籍地外ニ於テ屆出ヲ爲ストキハ前項ノ規定ニ依ルモノノ外尙ホ一通ノ屆書ヲ提出スルコトヲ要ス
前二項ノ場合ニ於テ相當ト認ムルトキハ市町村長ハ屆書ノ謄本ヲ作リ之ヲ以テ屆書ニ代フルコトヲ得
第五十七條 口頭ヲ以テ屆出ヲ爲スニハ屆出人ハ市役所又ハ町村役場ニ出頭シ屆書ニ記載スヘキ事項ヲ陳述スルコトヲ要ス
市町村長ハ屆出人ノ陳述ヲ筆記シ屆出ノ年月日ヲ記載シテ屆出人ニ讀聞カセ且屆出人ヲシテ其書面ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
屆出人カ疾病其他ノ事故ニ因リ出頭スルコト能ハサルトキハ代理人ヲ以テ屆出ヲ爲スコトヲ得
第五十八條 屆出事件ニ付キ戶主、父母、後見人、親族會其他ノ者ノ同意、承諾又ハ承認ヲ要スルトキハ屆書ニ其同意、承諾又ハ承認ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス但同意、承諾又ハ承認ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ其旨ヲ附記シ署名、捺印セシムルヲ以テ足ル
屆出事件ニ付キ官廳ノ許可ヲ要スルトキハ屆書ニ許可書ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十九條 屆書ニ關スル規定ハ第五十七條第二項及ヒ前條第一項ノ書面ニ之ヲ準用ス
第六十條 外國ニ在ル日本人ハ本法ノ規定ニ從ヒ其國ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ屆出ヲ爲スコトヲ得
第六十一條 外國ニ在ル日本人カ其國ノ方式ニ從ヒ屆出事件ニ關スル證書ヲ作ラシメタルトキハ一个月內ニ其國ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ其證書ノ謄本ヲ提出スルコトヲ要ス
大使、公使又ハ領事カ其國ニ駐在セサルトキハ一个月內ニ本籍地ノ市町村長ニ證書ノ謄本ヲ發送スルコトヲ要ス
第六十二條 大使、公使又ハ領事ハ前二條ノ規定ニ依リ受理シタル書類ヲ一个月內ニ外務大臣ニ發送シ外務大臣ハ十日內ニ之ヲ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ發送スルコトヲ要ス
第六十三條 屆出期間ハ屆出事件發生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
裁判確定ノ日ヨリ期間ヲ起算スヘキ場合ニ於テ裁判カ送達又ハ交付前確定シタルトキハ其送達又ハ交付ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第六十四條 市町村長カ屆出ヲ怠リタル者アルコトヲ知リタルトキハ相當ノ期間ヲ定メ屆出義務者ニ對シ其期間內ニ屆出ヲ爲スヘキ旨ヲ催吿スルコトヲ要ス
屆出義務者カ前項ノ期間內ニ屆出ヲ爲ササルトキハ市町村長ハ更ニ相當ノ期間ヲ定メテ催吿ヲ爲スコトヲ得
第三十九條第二項ノ規定ハ前二項ノ催吿ヲ爲スコト能ハサル場合及ヒ催吿ヲ爲スモ屆出ヲ爲ササル場合ニ、同條第三項ノ規定ハ裁判所其他ノ官廳、檢事又ハ吏員カ屆出ヲ怠リタル者アルコトヲ知リタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十五條 市町村長カ屆出ヲ受理シタル場合ニ於テ屆書ニ欠缺アル爲メ戶籍ノ記載ヲ爲スコト能ハサルトキハ屆出義務者ヲシテ其追完ヲ爲サシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第六十六條 屆出期間經過後ノ屆出ト雖モ市町村長ハ之ヲ受理スルコトヲ要ス
第六十七條 屆出人ハ屆出ノ受理又ハ不受理ノ證明書ヲ請求スルコトヲ得但受理ノ證明書ヲ請求スル場合ニ於テハ手數料ヲ納付スルコトヲ要ス
利害關係人ハ手數料ヲ納付シテ第三十六條ノ書類ノ閱覽ヲ請求シ又ハ其書類ニ記載シタル事項ニ付キ證明書ヲ請求スルコトヲ得
第十四條第二項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
利害關係人ハ特別ノ理由アル場合ニ限リ第三十七條ノ書類ノ閱覽ヲ請求スルコトヲ得
第六十八條 屆出人其他ノ者カ署名、捺印スヘキ場合ニ於テ印ヲ有セサルトキハ署名スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハサルトキハ氏名ヲ代署セシメ捺印スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハス且印ヲ有セサルトキハ氏名ヲ代署セシメ拇印スルヲ以テ足ル
前項ノ場合ニ於テハ書面ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第二節 出生
第六十九條 出生ノ屆出ハ十四日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ氏名及ヒ男女ノ別
二 子カ私生子又ハ庶子ナルトキハ其旨
三 出生ノ年月日時及ヒ場所
四 父母ノ氏名、本籍及ヒ職業
五 子ノ入ルヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
六 子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因竝ニ場所
七 日本ノ國籍ヲ有セサル者ノ子ナルトキハ其旨
第七十條 出生ノ屆出ハ出生地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第七十一條 汽車又ハ航海日誌ヲ備ヘサル船舶中ニテ出生アリタル場合ニ於テハ到著地ニ於テ屆出ヲ爲スコトヲ得
第七十二條 嫡出子出生ノ屆出ハ父之ヲ爲シ父カ屆出ヲ爲スコト能ハサル場合又ハ民法第七百三十四條第一項、第二項但書ノ場合ニ於テハ母之ヲ爲スコトヲ要ス
庶子出生ノ屆出ハ父之ヲ爲シ私生子出生ノ屆出ハ母之ヲ爲スコトヲ要ス
前二項ノ規定ニ依リ屆出ヲ爲スヘキ者カ屆出ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ左ニ揭ケタル者ハ其順序ニ從ヒ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第一 戶主
第二 同居者
第三 分娩ニ立會ヒタル醫師又ハ產婆
第四 分娩ヲ介抱シタル者
第七十三條 嫡出子否認ノ訴ヲ提起シタルトキト雖モ出生ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十四條 民法第八百二十一條ノ規定ニ依リ裁判所カ父ヲ定ムヘキトキハ出生ノ屆出ハ母之ヲ爲スコトヲ要ス此場合ニ於テハ屆書ニ父ノ未定ナル事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第七十二條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七十五條 航海中ニ出生アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時內ニ第六十九條第二項ニ揭ケタル事項ヲ航海日誌ニ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
前項ノ手續ヲ爲シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遲滯ナク出生ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ市町村長ニ發送スルコトヲ要ス
艦船カ外國ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遲滯ナク出生ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其國ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ發送シ大使、公使又ハ領事ハ一个月內ニ之ヲ外務大臣ニ發送シ外務大臣ハ十日內ニ之ヲ本籍地ノ市町村長ニ發送スルコトヲ要ス
第七十六條 病院、監獄其他ノ公設所ニ於テ出生アリタル場合ニ於テ父母共ニ屆出ヲ爲スコト能ハサルトキハ公設所ノ長又ハ管理人屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十七條 出生ノ屆出前ニ子カ死亡シタルトキハ死亡ノ屆出ト共ニ出生ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十八條 棄兒ヲ發見シタル者又ハ棄兒發見ノ申吿ヲ受ケタル警察官ハ二十四時內ニ其旨ヲ市町村長ニ申出ツルコトヲ要ス
前項ノ申出アリタルトキハ市町村長ハ氏名ヲ命シ本籍ヲ定メ且附屬品、發見ノ場所、年月日時其他ノ狀況及ヒ氏名、男女ノ別、出生ノ推定年月日竝ニ本籍ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス其調書ハ之ヲ屆書ト看做ス
第七十九條 父又ハ母カ棄兒ヲ引取ルトキハ一个月內ニ第六十九條第二項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲シ且戶籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ要ス
第八十條 第七十八條第一項又ハ前條ノ手續ヲ爲ス前ニ棄兒カ死亡シタルトキハ死亡ノ屆出ト共ニ其手續ヲ爲スコトヲ要ス
第三節 認知
第八十一條 私生子認知ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ氏名、男女ノ別、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 死亡シタル子ヲ認知スル場合ニ於テハ死亡ノ年月日
三 父カ認知ヲ爲ス場合ニ於テハ母ノ氏名竝ニ本籍及ヒ父ノ職業
四 子カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、本籍及ヒ戶主ト子トノ續柄
第八十二條 胎內ニ在ル子ヲ認知スル場合ニ於テハ屆書ニ其旨、母ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載シ認知者ノ本籍地ニ於テ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第八十三條 父カ庶子出生ノ屆出ヲ爲シタルトキハ其屆出ハ認知屆出ノ效力ヲ有ス民法第八百三十六條第二項ノ規定ニ依リ嫡出子タルヘキ者ニ付キ父母カ嫡出子出生ノ屆出ヲ爲シタルトキ亦同シ
第八十四條 認知ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第八十一條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ要ス其屆書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十五條 遺言ニ依ル認知ノ場合ニ於テハ遺言執行者ハ其就職ノ日ヨリ十日內ニ認知ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添附シ第八十一條又ハ第八十二條ノ規定ニ從ヒテ其屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第八十六條 認知セラレタル胎兒カ死體ニテ生レタルトキハ出生屆出義務者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十四日內ニ認知ノ屆出地ニ於テ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス但遺言執行者カ前條ノ屆出ヲ爲シタル場合ニ於テハ遺言執行者其屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第八十七條 第五十七條第三項ノ規定ハ第八十一條及ヒ第八十二條ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第四節 養子緣組
第八十八條 緣組ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及ヒ職業
二 養子ノ實父母ノ氏名及ヒ本籍
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、本籍及ヒ戶主トノ續柄
婚家又ハ養家ヨリ更ニ緣組ニ因リテ他家ニ入ル者ニ付テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外實家ノ戶主、前養親ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十九條 配偶者ノ一方カ雙方ノ名義ヲ以テ緣組ヲ爲ス場合ニ於テハ屆書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第九十條 民法第八百四十三條ノ規定ニ依リテ緣組ノ承諾ヲ爲シタル場合ニ於テハ屆出ハ其承諾ヲ爲シタル者之ヲ爲スコトヲ得
第九十一條 民法第八百四十八條ノ規定ニ依リ緣組ノ屆出ヲ爲ストキハ緣組ニ關スル遺言ノ謄本ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第九十二條 緣組ノ屆出ハ養親ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第九十三條 緣組取消ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名及ヒ本籍
二 養子ノ實父母ノ氏名及ヒ本籍
三 養子ノ入ルヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
四 養子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因竝ニ場所但實家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
五 裁判確定ノ日
第九十四條 第五十七條第三項ノ規定ハ緣組ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第五節 養子離緣
第九十五條 離緣ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 養子ノ實父母ノ氏名及ヒ本籍
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ本籍
四 養子ノ復籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
五 養子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因竝ニ場所但實家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
第九十六條 民法第八百六十二條第二項ノ規定ニ依リテ離緣ノ協議ヲ爲シタル場合ニ於テハ屆出ハ其協議ヲ爲シタル者之ヲ爲スコトヲ得
第九十七條 民法第八百六十二條第三項ノ規定ニ依リテ離緣ヲ爲ス場合ニ於テハ養子其屆出ヲ爲スコトヲ得
第九十八條 離緣ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第九十五條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ要ス其屆書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第九十九條 第五十七條第三項ノ規定ハ第九十五條乃至第九十七條ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第六節 婚姻
第百條 婚姻ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及ヒ職業
二 父母ノ氏名及ヒ本籍
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、本籍及ヒ戶主トノ續柄
四 入夫婚姻又ハ壻養子緣組ナルトキハ其旨
五 入夫婚姻ノ場合ニ於テ入夫カ戶主ト爲ルトキハ其旨
當事者ノ一方カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ婚姻ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外實家ノ戶主、養親ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百一條 婚姻ノ屆出ハ夫ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス但入夫婚姻又ハ壻養子緣組ノ場合ニ於テハ妻ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百二條 第九十三條ノ規定ハ婚姻取消ノ裁判カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
檢事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ裁判確定ノ後遲滯ナク戶籍記載ノ請求ヲ爲スコトヲ要ス
第百三條 第五十七條第三項ノ規定ハ婚姻ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第七節 離婚
第百四條 離婚ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 父母ノ氏名及ヒ本籍
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ本籍
四 婚家ヲ去ル者ノ復籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
五 婚家ヲ去ル者カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因竝ニ場所但實家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
第百五條 離婚ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ前條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ要ス其屆書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六條 第五十七條第三項ノ規定ハ第百四條ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第八節 親權及ヒ後見
第百七條 父カ親權又ハ管理權ノ喪失ノ宣吿ヲ受ケタル場合ニ於テ母其權利ヲ行フトキハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス其屆書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八條 第九十三條第一項ノ規定ハ失權宣吿取消ノ裁判カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ屆書ニ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九條 後見開始ノ屆出ハ後見人其就職ノ日ヨリ十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 後見人及ヒ被後見人ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 被後見人カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ本籍
三 後見開始ノ原因及ヒ年月日
四 後見人就職ノ年月日
第百十條 後見人更迭ノ場合ニ於テハ後任者ハ就職ノ日ヨリ十日內ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第百十一條 遺言ニ依ル後見人指定ノ場合ニ於テハ指定ニ關スル遺言ノ謄本ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
後見人選任ノ場合ニ於テハ選任ヲ證スル書面ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第百十二條 後見終了ノ屆出ハ後見人十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 被後見人ノ氏名及ヒ本籍
二 後見終了ノ原因及ヒ年月日
第百十三條 前四條ノ屆出ハ被後見人ノ本籍地又ハ後見人ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百十四條 後見人ニ關スル本節ノ規定ハ保佐人ニ之ヲ準用ス
第九節 隱居
第百十五條 隱居ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 隱居者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 家督相續人ノ氏名、出生ノ年月日竝ニ本籍及ヒ家督相續人ト隱居者トノ續柄
三 隱居ノ原因
第十節 死亡及ヒ失踪
第百十六條 死亡ノ屆出ハ屆出義務者カ死亡ノ事實ヲ知リタル日ヨリ七日內ニ診斷書若クハ檢案書又ハ檢視調書ノ謄本ヲ添附シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 死亡者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 死亡ノ年月日時及ヒ場所
三 死亡者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ戶主ト死亡者トノ續柄
第百十七條 左ニ揭ケタル者ハ其順序ニ從ヒ死亡ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス但順序ニ拘ハラス屆出ヲ爲スコトヲ得
第一 戶主
第二 同居者
第三 家主、地主又ハ家屋若クハ土地ノ管理人
第百十八條 死亡ノ屆出ハ死亡地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第百十九條 水難、火災其他ノ事變ニ因リ死亡シタル者アル場合ニ於テハ其取調ヲ爲シタル官廳又ハ公署ハ死亡者ノ本籍地ノ市町村長ニ死亡ノ報吿ヲ爲スコトヲ要ス
第百二十條 死刑ノ執行アリタルトキハ監獄ノ長ハ遲滯ナク監獄所在地ノ市町村長ニ死亡ノ報吿ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ在監中死亡シタル者ノ引取人ナキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ報吿書ニ診斷書又ハ檢案書ヲ添附スルコトヲ要ス
第百二十一條 前二條ノ報吿書ニハ第百十六條第二項ニ揭ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第百二十二條 死亡者ノ本籍分明ナラス又ハ死亡者ヲ認識スルコト能ハサル場合ニ於テハ警察官ハ檢視調書ヲ作リ之ヲ添附シテ遲滯ナク死亡地ノ市町村長ニ死亡ノ報吿ヲ爲スコトヲ要ス
死亡者ノ本籍分明ナルニ至リ又ハ死亡者ヲ認識スルコトヲ得ルニ至リタルトキハ警察官ハ遲滯ナク其旨ヲ報吿スルコトヲ要ス
第一項ノ報吿アリタル後第百十七條第一號及ヒ第二號ニ揭ケタル者カ死亡者ヲ認識シタルトキハ十日內ニ死亡ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百二十三條 第七十一條、第七十五條及ヒ第七十六條ノ規定ハ死亡ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第百二十四條 失踪宣吿ノ屆出ハ其宣吿ヲ請求シタル者裁判ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 失踪者ノ氏名及ヒ本籍
二 民法第三十條ニ定メタル期間滿了ノ日
三 失踪者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ戶主ト失踪者トノ續柄
第十一節 家督相續
第百二十五條 家督相續ノ屆出ハ戶主ト爲リタル者相續ノ事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス但入夫婚姻ニ因リテ戶主ト爲リタル者ハ此限ニ在ラス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 家督相續ノ原因及ヒ戶主ト爲リタル年月日
二 前戶主ノ氏名及ヒ前戶主ト戶主トノ續柄
戶主ト爲リタル者カ外國ニ在ル場合ニ於テハ三个月內ニ屆書ヲ發送スルヲ以テ足ル
第百二十六條 選定ニ因ル家督相續人カ屆出ヲ爲ス場合ニ於テハ選定ヲ證スル書面ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第百二十七條 家督相續人カ胎兒ナルトキハ母ハ相續ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ診斷書ヲ添附シ家督相續ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 家督相續ノ原因及ヒ相續開始ノ年月日
二 家督相續人カ胎兒ナルコト
三 前戶主ノ氏名及ヒ前戶主ト家督相續人トノ續柄
第百二十五條第三項ノ規定ハ前項ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第百二十八條 前條ノ屆出ヲ爲シタル後胎兒カ死體ニテ生レタルトキハ母ハ一个月內ニ醫師又ハ產婆ノ檢案書ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
母カ前項ノ屆出ヲ爲ササルトキハ家督相續人ハ分娩ノ事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百二十九條 家督相續囘復ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第百二十五條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百三十條 第百二十五條及ヒ前三條ノ屆出ハ被相續人ノ本籍地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十二節 推定家督相續人ノ廢除
第百三十一條 推定家督相續人廢除ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 廢除セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍
二 廢除ノ原因
三 裁判確定ノ日
第百三十二條 廢除取消ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 廢除セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍
二 裁判確定ノ日
第十三節 家督相續人ノ指定
第百三十三條 家督相續人指定ノ屆書ニハ指定セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十四條 家督相續人指定取消ノ屆書ニハ指定家督相續人ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十五條 遺言ニ依ル家督相續人ノ指定又ハ指定取消ノ場合ニ於テハ指定又ハ指定取消ニ關スル遺言ノ謄本ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第百三十六條 指定家督相續人カ死亡シタルトキハ指定者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第十四節 入籍、離籍及ヒ復籍拒絕
第百三十七條 民法第七百三十七條ノ規定ニ依リ家族ト爲ラント欲スル者ハ左ノ事項ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 入籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
二 入籍スヘキ家ノ戶主ト入籍スヘキ者トノ續柄
三 原籍ノ戶主ノ氏名、本籍及ヒ其戶主ト入籍スヘキ者トノ續柄
第百三十八條 民法第七百三十八條ノ規定ニ依リ自己ノ親族ヲ家族ト爲サント欲スル者ハ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ前條ニ揭ケタル事項ノ外入籍スヘキ者ノ氏名及ヒ出生ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十九條 戶主カ其家族ヲ離籍セント欲スルトキハ左ノ事項ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 離籍セラルヘキ者ノ氏名
二 離籍ノ原因
第百四十條 離籍ニ因リテ一家ヲ創立シタル者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 離籍者ノ氏名及ヒ本籍
二 離籍者ト離籍セラレタル者トノ續柄
三 離籍ノ原因及ヒ年月日
第百四十一條 戶主カ其家族タリシ者ノ復籍ヲ拒マント欲スルトキハ左ノ事項ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒マルヘキ者ノ氏名及ヒ本籍
二 復籍ヲ拒マルヘキ者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名
三 復籍拒絕ノ原因
第百四十二條 復籍拒絕又ハ復籍スヘキ家ノ廢絕ニ因リテ一家ヲ創立シタル者カ緣組若クハ婚姻ノ取消又ハ離緣若クハ離婚ノ屆書ニ其場所ヲ記載セサリシトキハ一家創立ノ事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ其屆出ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 復籍拒絕者又ハ廢絕家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
二 復籍拒絕ノ原因及ヒ年月日又ハ廢絕ノ年月日
第十五節 廢家及ヒ絕家
第百四十三條 廢家ヲ爲サント欲スル者ハ其者カ入ルヘキ家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス但家督相續ニ因リテ戶主ト爲リタル者ニ非サルトキハ其旨ヲ屆書ニ記載スルコトヲ要ス
第百四十四條 絕家ノ家族ハ絕家ノ事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ一家創立ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 絕家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
二 絕家ノ原因及ヒ年月日
第十六節 分家及ヒ廢絕家再興
第百四十五條 分家ヲ爲サント欲スル者ハ左ノ事項ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 本家ノ戶主ノ氏名、本籍及ヒ其戶主ト分家ノ戶主トノ續柄
二 民法第七百四十三條第二項ノ規定ニ依リ分家ノ家族ト爲ルヘキ者アルトキハ其氏名及ヒ出生ノ年月日
三 分家ノ戶主及ヒ家族ト爲ルヘキ者ノ父母ノ氏名及ヒ本籍
第百四十六條 廢絕家ヲ再興セント欲スル者ハ左ノ事項ヲ屆書ニ記載シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 廢絕家ノ戶主ノ氏名及ヒ本籍
二 廢絕ノ年月日
三 廢絕家ト再興ヲ爲ス者ノ家トノ續柄
四 再興ヲ爲ス者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名及ヒ本籍
第十七節 國籍ノ得喪
第百四十七條 外國人カ養子緣組又ハ婚姻ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得スヘキトキハ緣組又ハ婚姻ノ屆書ニ國籍取得者ノ原國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百四十八條 外國人カ認知ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得スヘキトキハ認知ノ屆書ニ子ノ原國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
認知者カ父ナルトキハ屆書ニ母ノ國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百四十九條 歸化ノ屆出ハ許可ノ日ヨリ十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 歸化ヲ爲シタル者ノ原國籍
二 父母ノ氏名及ヒ國籍
三 許可ノ年月日
四 歸化ヲ爲シタル者ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得シタル者アルトキハ其氏名、出生ノ年月日及ヒ其者ト歸化人トノ續柄
歸化ヲ爲シタル者ノ妻又ハ子カ歸化人ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得セサルトキハ屆書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十條 國籍喪失ノ屆出ハ戶主又ハ家督相續人其事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 國籍喪失者ノ氏名及ヒ本籍
二 國籍喪失ノ原因及ヒ年月日
三 新ニ國籍ヲ取得シタルトキハ其國籍
第百五十一條 國籍喪失者カ滿十七年以上ノ男子ナルトキハ其者カ陸海軍ノ現役ニ服シタルコト又ハ之ニ服スル義務ナキコトヲ證スヘキ書面ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
國籍喪失者カ日本ノ官職ヲ帶ヒタル者ナルトキハ其官職ヲ失ヒタルコトヲ證スヘキ書面ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第百五十二條 國籍囘復ノ屆出ハ許可ノ日ヨリ十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 日本ノ國籍ヲ失ヒタル原因及ヒ年月日
二 國籍囘復前ニ有セシ國籍
三 許可ノ年月日
四 國籍囘復者ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得シ又ハ之ヲ囘復シタル者アルトキハ其氏名、出生ノ年月日及ヒ其者ト國籍囘復者トノ續柄
第百四十九條第三項ノ規定ハ前項ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第十八節 氏名、族稱ノ變更及ヒ襲爵
第百五十三條 氏名變更ノ屆出ハ許可ノ日ヨリ十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 變更前ノ氏名
二 變更シタル氏名
三 許可ノ年月日
第百五十四條 新ニ華族ニ列セラレ又ハ士族ニ編入セラレタル者ハ十日內ニ辭令書又ハ許可書ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 新舊族稱
二 族稱變更ノ原因
三 辭令又ハ許可ノ年月日
第百五十五條 爵ヲ襲キタル者ハ辭令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ十日內ニ其謄本ヲ添附シ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ辭令ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十六條 華族又ハ士族ノ族稱ヲ喪失シタル場合ニ於テハ戶主ハ十日內ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
屆書ニハ族稱喪失ノ原因及ヒ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十七條 前條ノ規定ハ處刑ニ因リテ族稱ヲ喪失シタル場合ニハ之ヲ適用セス此場合ニ於テハ裁判所ハ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ其旨ヲ報吿スルコトヲ要ス
第十九節 轉籍及ヒ就籍
第百五十八條 轉籍セント欲スルトキハ新本籍ヲ屆書ニ記載シ戶主其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
他ノ市町村ニ轉籍スル場合ニ於テハ戶籍ノ謄本ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第百五十九條 轉籍ノ屆出ハ轉籍地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第百六十條 本籍ヲ有セサル者ハ其就籍セント欲スル地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ十日內ニ就籍ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
屆書ニハ第十八條ニ揭ケタル事項ノ外就籍許可ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六十一條 就籍ノ屆出ハ就籍地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第百六十二條 就籍許可ノ裁判ヲ得タル者カ就籍ノ屆出ヲ爲ササルトキハ戶主之ヲ爲スコトヲ要ス
第百六十三條 第百六十條ノ規定ハ確定判決ニ因リテ就籍ノ屆出ヲ爲スヘキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ判決ノ謄本ヲ屆書ニ添附スルコトヲ要ス
第五章 戶籍ノ訂正
第百六十四條 戶籍ノ記載カ法律上許スヘカラサルモノナルコト又ハ其記載ニ錯誤若クハ遺漏アルコトヲ發見シタル場合ニ於テハ利害關係人ハ其戶籍ノ存スル市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ戶籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ得
第百六十五條 屆出ニ因リ效力ヲ生スヘキ行爲ニ付キ戶籍ノ記載ヲ爲シタル後其行爲ノ無效ナルコトヲ發見シタルトキハ屆出人又ハ屆出事件ノ本人ハ前條ノ區裁判所ノ許可ヲ得テ戶籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ得
第百六十六條 前二條ノ許可ノ裁判アリタルトキハ一个月內ニ其謄本ヲ添附シ戶籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六十七條 確定判決ニ因リ戶籍ノ訂正ヲ爲スヘキトキハ訴ヲ提起シタル者ハ判決確定ノ日ヨリ一个月內ニ判決ノ謄本ヲ添附シ訂正ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス
檢事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ判決確定ノ後遲滯ナク戶籍ノ訂正ヲ請求スルコトヲ要ス
第百六十八條 第四十三條、第四十六條乃至第五十條、第五十二條乃至第五十九條及第六十三條乃至第六十八條ノ規定ハ戶籍訂正ノ申請ニ之ヲ準用ス
第六章 抗吿
第百六十九條 戶籍事件ニ付キ市町村長ノ處分ヲ不當トスル者ハ市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ニ抗吿ヲ爲スコトヲ得
第百七十條 抗吿ハ管轄區裁判所ニ抗吿狀ヲ提出シテ之ヲ爲ス
抗吿狀ニハ屆書又ハ申請書及ヒ關係書類ヲ添附スルコトヲ要ス
第百七十一條 抗吿ヲ受ケタル裁判所ハ抗吿ニ關スル書類ヲ市町村長ニ送付シテ其意見ヲ求ムルコトヲ要ス
第百七十二條 市町村長ハ抗吿ヲ理由アリト認ムルトキハ處分ヲ變更シテ其旨ヲ裁判所及ヒ抗吿人ニ通知スルコトヲ要ス
抗吿ヲ理由ナシト認ムルトキハ意見ヲ附シ送付ヲ受ケタル日ヨリ五日內ニ書類ヲ裁判所ニ返還スルコトヲ要ス
第百七十三條 裁判所ハ抗吿ヲ理由ナシトスルトキハ之ヲ却下シ理由アリトスルトキハ市町村長ニ相當ノ處分ヲ命スルコトヲ要ス
抗吿ヲ却下シ又ハ處分ヲ命スル裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ爲シ市町村長及ヒ抗吿人ニ送達スルコトヲ要ス
第百七十四條 裁判所ノ決定ニ對シテハ法律ニ違背シタル裁判ナルコトヲ理由トスルトキニ限リ非訟事件手續法ノ規定ニ從ヒテ抗吿ヲ爲スコトヲ得
抗吿裁判所ノ裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百七十五條 抗吿ノ費用ニ付テハ非訟事件手續法ノ規定ヲ準用ス
第七章 罰則
第百七十六條 正當ノ理由ナクシテ期間內ニ爲スヘキ屆出又ハ申請ヲ爲ササル者ハ十圓以下ノ過料ニ處ス
第百七十七條 第六十四條ノ規定ニ依リ市町村長カ期間ヲ定メテ屆出又ハ申請ノ催吿ヲ爲シタル場合ニ於テ正當ノ理由ナクシテ其期間內ニ屆出又ハ申請ヲ爲ササル者ハ二十圓以下ノ過料ニ處ス
第百七十八條 市町村長ハ左ノ場合ニ於テハ三十圓以下ノ過料ニ處ス
一 正當ノ理由ナクシテ屆出又ハ申請ヲ受理セサルトキ
二 戶籍ノ記載ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
三 正當ノ理由ナクシテ戶籍簿、除籍簿又ハ第三十六條ノ書類ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
四 正當ノ理由ナクシテ戶籍若クハ除カレタル戶籍ノ謄本、抄本又ハ第六十七條ノ證明書ヲ交付セサルトキ
五 其他戶籍事件ニ付キ職務ヲ怠リタルトキ
第百七十九條 過料ノ裁判ハ過料ニ處セラルヘキ者ノ住所又ハ居所ノ地ヲ管轄スル區裁判所之ヲ爲ス其裁判及ヒ裁判ノ執行ニ付テハ非訟事件手續法ノ規定ヲ準用ス
第百八十條 戶籍ノ記載ヲ要セサル事項ニ付キ虛僞ノ屆出ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス日本ノ國籍ヲ有セサル者ニ關スル事項ニ付キ虛僞ノ屆出ヲ爲シタル者亦同シ
附 則
第百八十一條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八十二條 本法ノ施行ニ關スル細則ハ司法大臣之ヲ定ム
第百八十三條 本法ノ規定ハ本法施行前ノ屆出其他ノ事由ニ因リテ戶籍ノ記載ヲ爲シ又ハ新ニ戶籍ヲ編製スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第百八十四條 舊法ノ規定ニ依ル戶籍ハ本法ノ規定ニ依ル戶籍トシテ其效力ヲ有ス但本法ノ規定ニ依リ戶籍ニ記載スヘキ事項ニシテ舊法ノ規定ニ依ル戶籍ニ記載ナキモノハ身分登記ニ依リ之ヲ記載スルコトヲ得
司法大臣ハ前項ノ規定ニ拘ハラス本法ノ規定ニ依リ戶籍ヲ改製スヘキコトヲ命スルコトヲ得
第百八十五條 舊法ノ規定ニ依リテ改製セサリシ戶籍ハ司法大臣ノ命スル所ニ依リ本法ノ規定ニ依リテ之ヲ改製スルコトヲ要ス但記載ヲ要スル事項ニシテ從前ノ戶籍ニ依リ其事實ヲ知ルコト能ハサルモノハ其記載ヲ省クコトヲ得
第百八十六條 身分登記簿及ヒ舊法ニ保存期間ノ定アル帳簿竝ニ書類ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル戸籍法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年三月三十日
内閣総理大臣 伯爵 山本権兵衛
司法大臣 法学博士 奥田義人
法律第二十六号
戸籍法
第一章
戸籍事務ノ管掌
第二章
戸籍簿
第三章
戸籍ノ記載手続
第四章
届出
第一節
通則
第二節
出生
第三節
認知
第四節
養子縁組
第五節
養子離縁
第六節
婚姻
第七節
離婚
第八節
親権及ヒ後見
第九節
隠居
第十節
死亡及ヒ失踪
第十一節
家督相続
第十二節
推定家督相続人ノ廃除
第十三節
家督相続人ノ指定
第十四節
入籍、離籍及ヒ復籍拒絶
第十五節
廃家及ヒ絶家
第十六節
分家及ヒ廃絶家再興
第十七節
国籍ノ得喪
第十八節
氏名、族称ノ変更及ヒ襲爵
第十九節
転籍及ヒ就籍
第五章
戸籍ノ訂正
第六章
抗告
第七章
罰則
附則
戸籍法
第一章 戸籍事務ノ管掌
第一条 戸籍ニ関スル事務ハ市町村長之ヲ管掌ス
第二条 市町村長ハ自己又ハ自己ト家ヲ同シクスル者ニ関スル戸籍事件ニ付キ其職務ヲ行フコトヲ得ス
第三条 戸籍事務ハ市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ一人ノ判事又ハ監督判事之ヲ監督ス
戸籍事務ノ監督ニ付テハ司法行政ノ監督ニ関スル規定ヲ準用ス
第四条 市町村長カ其職務ノ執行ニ付キ届出人其他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其損害カ市町村長ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第五条 市制第六条及ヒ第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ本法中市、市長及ヒ市役所ニ関スル規定ハ区、区長及ヒ区役所ニ之ヲ準用ス
第六条 市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ本法中市町村、市町村長及ヒ市役所並ニ町村役場ニ関スル規定ハ之ニ相当スル地区、吏員及ヒ公署ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ノ事務ヲ代理スル吏員ナキ地ニ在リテハ其地ヲ管轄スル地方裁判所ノ長司法大臣ノ認可ヲ得テ予メ其代理者ヲ定ム
第七条 第二条及ヒ第四条ノ規定ハ戸籍事務ヲ管掌スル吏員ノ代理者ニ之ヲ準用ス
第八条 本法ノ規定ニ依リテ納付スル手数料ハ之ヲ市町村ノ収入トス
手数料ノ額ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 戸籍簿
第九条 戸籍ハ市町村ノ区域内ニ本籍ヲ定メタル者ニ付キ戸主ヲ本トシテ一戸毎ニ之ヲ編製ス
第十条 戸籍ハ地番号ノ順序ニ従ヒ之ヲ編綴シテ帳簿ト為ス
一ノ市町村内ニ各別ニ地番号ヲ附シタル二個以上ノ区画アル場合ニ於テハ其区画ノ順序ハ市町村長之ヲ定ム
第十一条 戸籍ハ正副二本ヲ設ク
正本ハ之ヲ市役所又ハ町村役場ニ備ヘ副本ハ監督区裁判所之ヲ保存ス
第十二条 新ニ戸籍ヲ編製シタルトキハ市町村長ハ遅滞ナク其副本ヲ監督区裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第十三条 戸籍簿ハ事変ヲ避クル為メニスル場合ヲ除ク外市役所又ハ町村役場外ニ之ヲ持出スコトヲ得ス
第十四条 戸籍簿ヲ閲覧シ又ハ戸籍ノ謄本若クハ抄本ノ交付ヲ受ケントスル者ハ手数料ヲ納付シテ之ヲ請求スルコトヲ得
手数料ノ外郵送料ヲ納付シテ謄本又ハ抄本ノ送付ヲ請求スルコトヲ得
市町村長ハ正当ノ理由アル場合ニ限リ前二項ノ請求ヲ拒ムコトヲ得此場合ニ於テハ書面ヲ以テ其旨ヲ請求者ニ告知スルコトヲ要ス
謄本又ハ抄本ハ市町村長之ヲ作リ原本ト相違ナキ旨ヲ附記シ且之ニ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺スルコトヲ要ス
第十五条 戸籍簿ノ全部若クハ一部カ滅失シタルトキ又ハ滅失ノ虞アルトキハ司法大臣ハ其再製又ハ補完ニ付キ必要ナル処分ヲ命ス但滅失ノ場合ニ於テハ其旨ヲ告示スルコトヲ要ス
第十六条 家督相続、廃絶家其他ノ事由ニ因リ戸籍ノ全部ヲ抹消シタルトキハ其戸籍ハ之ヲ戸籍簿ヨリ除キ別ニ編綴シ除籍簿トシテ之ヲ保存ス
除籍簿ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第十七条 第十三条乃至第十五条ノ規定ハ除籍簿及ヒ除カレタル戸籍ニ之ヲ準用ス
第三章 戸籍ノ記載手続
第十八条 戸籍ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 戸主、前戸主及ヒ家族ノ氏名
二 戸主ノ本籍
三 戸主カ華族又ハ士族ナルトキハ其族称
四 家族カ戸主ト族称ヲ異ニスルトキハ其族称
五 戸主及ヒ家族ノ出生ノ年月日
六 戸主又ハ家族ト為リタル原因及ヒ年月日
七 戸主並ニ家族ノ実父母ノ氏名及ヒ戸主並ニ家族ト実父母トノ続柄
八 戸主又ハ家族カ養子ナルトキハ其養親並ニ実父母ノ氏名及ヒ養子ト養親並ニ実父母トノ続柄
九 戸主ト前戸主及ヒ家族トノ続柄
十 家族ノ配偶者又ハ家族ヲ経テ戸主ト親族関係ヲ有スル者ニ付テハ其家族トノ続柄
十一 他家ヨリ入リテ家族ト為リタル者カ他ノ家族トノミ親族関係ヲ有スルトキハ其続柄
十二 他家ヨリ入リテ戸主又ハ家族ト為リタル者ニ付テハ其原籍、原籍ノ戸主ノ氏名及ヒ其戸主ト戸主又ハ家族ト為リタル者トノ続柄
十三 後見人又ハ保佐人アル者ニ付テハ後見人又ハ保佐人ノ氏名、本籍及ヒ其就職並ニ任務終了ノ年月日
十四 其他戸主又ハ家族ノ身分ニ関スル事項
第十九条 戸主及ヒ家族ノ氏名ノ記載ハ左ノ順序ニ依ル
第一 戸主
第二 戸主ノ直系尊属
第三 戸主ノ配偶者
第四 戸主ノ直系卑属及ヒ其配偶者
第五 戸主ノ傍系親及ヒ其配偶者
第六 戸主ノ親族ニ非サル者
直系尊属ノ間ニ在リテハ親等ノ遠キ者ヲ先ニシ直系卑属又ハ傍系親ノ間ニ在リテハ親等ノ近キ者ヲ先ニス
戸籍ヲ編製シタル後家族ト為リタル者ニ付テハ戸籍ノ末尾ニ記載スルコトヲ要ス
第二十条 戸籍ノ記載ハ届出、報告、申請若クハ請求、証書若クハ航海日誌ノ謄本又ハ裁判ニ依リ之ヲ為ス
第二十一条 戸籍ニハ第十八条ニ掲ケタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 届出又ハ申請ノ受附ノ年月日、事件ノ本人ニ非サル者ノ届出又ハ申請ニ係ル場合ニ於テハ届出人又ハ申請人ノ資格及ヒ氏名、他ノ市町村長又ハ官庁ヨリ届書又ハ申請書ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テハ其受附ノ年月日及ヒ発送者ノ職氏名
二 報告又ハ請求ノ受附ノ年月日及ヒ報告者又ハ請求者ノ職氏名
三 証書又ハ航海日誌ノ謄本ノ受附ノ年月日及ヒ証書又ハ航海日誌ノ作製者並ニ謄本発送者ノ職氏名
四 戸籍ノ記載ヲ命シタル裁判ノ年月日及ヒ裁判所
第二十二条 市町村長カ届書、報告書其他ノ書類ヲ受理シタルトキハ其書類ニ受附ノ番号及ヒ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
本籍地ノ市町村長ハ前項ノ手続ヲ為シタル後遅滞ナク戸籍ノ記載ヲ為スコトヲ要ス
第二十三条 家督相続、家督相続回復其他戸主ノ変更ヲ生スヘキ事項ニ付キ届出、申請又ハ請求アリタルトキハ其届出、申請又ハ請求及ヒ前戸主又ハ戸主ノ名義ヲ有セシ者ノ戸籍ニ依リテ新戸籍ヲ編製スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ前戸主又ハ戸主ノ名義ヲ有セシ者ノ戸籍ニ事由ヲ記載シテ之ヲ抹消スルコトヲ要ス
家督相続人カ胎児ナルトキハ其出生ノ記載ヲ為スマテハ前二項ノ手続ヲ為スコトヲ要セス此場合ニ於テハ前戸主ノ戸籍中戸主ニ関スル部分ヲ抹消シ家督相続人カ胎児ナル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十四条 復籍拒絶ノ届出アリタルトキハ復籍拒絶者ノ戸籍ニ届出ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタル後新戸籍ヲ編製スルトキハ之ニ復籍拒絶ニ関スル事項ヲ移記スルコトヲ要ス
復籍ヲ拒絶セラレタル者カ死亡シ其他復籍スルコトナキニ至リタルトキハ復籍拒絶ニ関スル事項ヲ抹消スルコトヲ要ス
第二十五条 家督相続人指定ノ届出アリタルトキハ其指定ヲ為シタル者ノ戸籍ニ届出ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十六条 離籍又ハ廃家ニ因ル除籍ノ手続ハ離籍セラレタル者ノ一家創立又ハ廃家ヲ為ス者ノ入籍ノ手続アリタル後之ヲ為スコトヲ要ス
第二十七条 一戸ノ全員又ハ一戸内ノ一人若クハ数人ヲ戸籍ヨリ除クヘキトキハ事由ヲ記載シテ戸籍ノ全部又ハ一部ヲ抹消スルコトヲ要ス
除籍セラルヘキ者ノ本籍カ他ノ市町村ニ転属スル場合ニ於テハ前項ノ手続ハ入籍ノ通知ヲ受ケタル後之ヲ為スコトヲ要ス但入籍地ノ市町村長カ届出ヲ受理シタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ一家創立ノ届出ニ因リ除籍ヲ為スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第二十八条 戸籍ノ記載ヲ為スニハ略字又ハ符号ヲ用井ス字画明瞭ナルコトヲ要ス
年月日ヲ記載スルニハ壱弐参拾ノ文字ヲ用ウルコトヲ要ス
文字ハ之ヲ改竄スルコトヲ得ス若シ訂正、挿入又ハ削除ヲ為シタルトキハ其字数ヲ欄外ニ記載シ又ハ文字ノ前後ニ括弧ヲ附シ市町村長之ニ認印シ其削除ニ係ル文字ハ尚ホ明カニ読得ヘキ為メ字体ヲ存スルコトヲ要ス
第二十九条 戸籍ノ記載ヲ為ス毎ニ市町村長ハ其文末ニ認印スルコトヲ要ス
第三十条 戸籍用紙中ノ一部分ヲ用井尽シタルトキハ掛紙ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ市町村長ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ為スコトヲ要ス
第三十一条 届出事件ノ本人ノ本籍カ一ノ市町村ヨリ他ノ市町村ニ転属スル場合ニ於テハ届出ヲ受理シタル市町村長ハ戸籍ノ記載ヲ為シタル後遅滞ナク届書ノ一通ヲ他ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第三十二条 前条ノ場合ヲ除ク外他ノ市町村長カ戸籍ノ記載ヲ為スヘキ必要アル場合ニ於テハ届出ヲ受理シタル市町村長ハ遅滞ナク届書ノ一通ヲ他ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第三十三条 本籍分明ナラサル者又ハ本籍ナキ者ニ付キ届出ヲ受理シタル後其者ノ本籍カ分明ト為リタル旨又ハ其者カ本籍ヲ有スルニ至リタル旨ノ届出アリタル場合ニ於テハ前二条ノ規定ハ其届書及ヒ前ニ受理シタル届書ニ付キ之ヲ適用ス
第三十四条 前三条ノ規定ハ届書ニ非サル書面ニ因リ戸籍ノ記載ヲ為スヘキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ市町村長ハ其受附ケタル書面ノ謄本ヲ作リ其謄本ヲ送付スルコトヲ要ス
第三十五条 届出事件ノ本人ノ本籍カ他ノ市町村ニ転属スル場合ニ於テハ入籍地ノ市町村長ハ戸籍ノ記載ヲ為シタル後除籍地ノ市町村長ニ入籍ノ通知ヲ為スコトヲ要ス但入籍地ノ市町村長カ届出ヲ受理シタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ市町村長カ一家創立ノ届出ニ因リ除籍ヲ為スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第三十六条 戸籍ノ記載手続ヲ完了シタルトキハ届書其他受理シタル書類ハ本籍人及ヒ非本籍人ニ区別シ本籍人ニ関スルモノハ戸籍編綴ノ順序ニ従ヒテ之ヲ編綴シ非本籍人ニ関スルモノハ事件ノ種類ニ依リ各別ニ之ヲ編綴シ且各目録ヲ附スルコトヲ要ス
戸籍ノ記載ヲ要セサル事項ニ付キ受理シタル書類ハ之ヲ合綴シ且目録ヲ附スルコトヲ要ス日本ノ国籍ヲ有セサル者ニ関スル事項ニ付キ受理シタル書類亦同シ
第三十七条 前条第一項ノ書類ハ一个月毎ニ遅滞ナク之ヲ監督区裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第三十八条 第三十六条ノ書類ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第三十九条 戸籍ノ記載カ法律上許スヘカラサルモノナルコト又ハ其記載ニ錯誤若クハ遺漏アルコトヲ発見シタル場合ニ於テハ市町村長ハ遅滞ナク届出人又ハ届出事件ノ本人ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要ス但其錯誤又ハ遺漏カ市町村長ノ過誤ニ出テタルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ通知ヲ為スコト能ハサルトキ又ハ通知ヲ為シタルモ戸籍訂正ノ申請ヲ為ス者ナキトキハ市町村長ハ監督区裁判所ノ許可ヲ得テ戸籍ノ訂正ヲ為スコトヲ得前項但書ノ場合亦同シ
裁判所其他ノ官庁、検事又ハ吏員カ其職務上戸籍ノ記載ニ錯誤又ハ遺漏アルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク届出事件ノ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要ス
第四十条 同一ノ事件ニ付キ数人ノ届出義務者ヨリ各別ニ届出アリタル場合ニ於テ後ニ受理シタル届出ニ因リテ戸籍ノ記載ヲ為シタルトキハ前ニ受理シタル届出ニ基キ其戸籍ノ訂正ヲ為スコトヲ要ス
第四十一条 行政区画又ハ土地ノ名称ノ変更アリタルトキハ戸籍ノ記載ハ訂正セラレタルモノト看做ス但其記載ヲ更正スルコトヲ妨ケス
地番号ノ変更アリタルトキハ戸籍ノ記載ヲ更正スルコトヲ要ス
第四十二条 市町村ノ区域ノ変更アリタルトキハ戸籍及ヒ之ニ関スル書類ハ之ヲ当該市町村ニ引継クコトヲ要ス
第四章 届出
第一節 通則
第四十三条 届出ハ届出事件ノ本人ノ本籍地又ハ届出人ノ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第四十四条 日本ノ国籍ヲ有セサル者ニ関スル届出ハ其寄留地又ハ届出人ノ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
所在地ノ市町村長カ届書ヲ受理シタルトキハ之ヲ寄留地ノ市町村長ニ送付スルコトヲ要ス
第四十五条 本籍分明ナラサル者又ハ本籍ナキ者ニ付キ届出アリタル後其者ノ本籍カ分明ト為リタルトキ又ハ其者カ本籍ヲ有スルニ至リタルトキハ届出人又ハ届出事件ノ本人ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ届出事件ヲ表示シテ届出ヲ受理シタル市町村長ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
第四十六条 届出ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
第四十七条 届書ニハ左ノ事項ヲ記載シ届出人之ニ署名、捺印スルコトヲ要ス
一 届出事件
二 届出ノ年月日
三 届出人ノ出生ノ年月日及ヒ本籍
届出事件ニ因リ届出事件ノ本人ニ随ヒテ家ヲ去リ、他家ニ入リ其他身分ニ変更ヲ生スル者アル場合ニ於テハ届書ニ其者ノ氏名、出生ノ年月日並ニ本籍及ヒ身分変更ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十八条 届出人ト届出事件ノ本人ト異ナルトキハ届書ニ其続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
届出人カ家族ナルトキハ届書ニ戸主ノ氏名及ヒ届出人ト戸主トノ続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十九条 届出ヲ為スヘキ者カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ親権ヲ行フ者又ハ後見人ヲ以テ届出義務者トス但出生、死亡其他単純ノ事実ニ関スル届出ハ未成年者又ハ禁治産者モ亦之ヲ為スコトヲ得
親権ヲ行フ者又ハ後見人カ届出ヲ為ス場合ニ於テハ届書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 届出ヲ為スヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 無能力ノ原因
三 届出人カ親権ヲ行フ者又ハ後見人ナルコト
第五十条 無能力者カ其法定代理人ノ同意ヲ得スシテ為スコトヲ得ヘキ行為ニ付テハ無能力者之ヲ届出ツルコトヲ要ス
禁治産者カ届出ヲ為ス場合ニ於テハ届書ニ届出事件ノ性質及ヒ効果ヲ理会スルニ足ルヘキ能力ヲ有スルコトヲ証スヘキ診断書ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十一条 証人ヲ要スル事件ノ届出ニ付テハ証人ハ届書ニ出生ノ年月日及ヒ本籍ヲ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
第五十二条 届出人、届出事件ノ本人又ハ証人カ本籍ニ在ラサルトキハ届書ニ其所在ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十三条 届書ニ記載スヘキ事項ニシテ存セサルモノ又ハ知レサルモノアルトキハ其旨ヲ記載スルコトヲ要ス但市町村長ハ特ニ重要ト認ムル事項ヲ記載セサル届書ヲ受理スルコトヲ得ス
第五十四条 届書ニハ本法其他ノ法令ニ定メタル事項ノ外戸籍ニ記載スヘキ事項ヲ明瞭ナラシムル為メ必要ナルモノハ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十五条 第二十八条第一項及ヒ第三項ノ規定ハ届書ニ之ヲ準用ス
第五十六条 二箇所以上ノ市役所又ハ町村役場ニ於テ戸籍ノ記載ヲ為スヘキ場合ニ於テハ市役所又ハ町村役場ノ数ト同数ノ届書ヲ提出スルコトヲ要ス
本籍地外ニ於テ届出ヲ為ストキハ前項ノ規定ニ依ルモノノ外尚ホ一通ノ届書ヲ提出スルコトヲ要ス
前二項ノ場合ニ於テ相当ト認ムルトキハ市町村長ハ届書ノ謄本ヲ作リ之ヲ以テ届書ニ代フルコトヲ得
第五十七条 口頭ヲ以テ届出ヲ為スニハ届出人ハ市役所又ハ町村役場ニ出頭シ届書ニ記載スヘキ事項ヲ陳述スルコトヲ要ス
市町村長ハ届出人ノ陳述ヲ筆記シ届出ノ年月日ヲ記載シテ届出人ニ読聞カセ且届出人ヲシテ其書面ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
届出人カ疾病其他ノ事故ニ因リ出頭スルコト能ハサルトキハ代理人ヲ以テ届出ヲ為スコトヲ得
第五十八条 届出事件ニ付キ戸主、父母、後見人、親族会其他ノ者ノ同意、承諾又ハ承認ヲ要スルトキハ届書ニ其同意、承諾又ハ承認ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス但同意、承諾又ハ承認ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ其旨ヲ附記シ署名、捺印セシムルヲ以テ足ル
届出事件ニ付キ官庁ノ許可ヲ要スルトキハ届書ニ許可書ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十九条 届書ニ関スル規定ハ第五十七条第二項及ヒ前条第一項ノ書面ニ之ヲ準用ス
第六十条 外国ニ在ル日本人ハ本法ノ規定ニ従ヒ其国ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ届出ヲ為スコトヲ得
第六十一条 外国ニ在ル日本人カ其国ノ方式ニ従ヒ届出事件ニ関スル証書ヲ作ラシメタルトキハ一个月内ニ其国ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ其証書ノ謄本ヲ提出スルコトヲ要ス
大使、公使又ハ領事カ其国ニ駐在セサルトキハ一个月内ニ本籍地ノ市町村長ニ証書ノ謄本ヲ発送スルコトヲ要ス
第六十二条 大使、公使又ハ領事ハ前二条ノ規定ニ依リ受理シタル書類ヲ一个月内ニ外務大臣ニ発送シ外務大臣ハ十日内ニ之ヲ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ発送スルコトヲ要ス
第六十三条 届出期間ハ届出事件発生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
裁判確定ノ日ヨリ期間ヲ起算スヘキ場合ニ於テ裁判カ送達又ハ交付前確定シタルトキハ其送達又ハ交付ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第六十四条 市町村長カ届出ヲ怠リタル者アルコトヲ知リタルトキハ相当ノ期間ヲ定メ届出義務者ニ対シ其期間内ニ届出ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス
届出義務者カ前項ノ期間内ニ届出ヲ為ササルトキハ市町村長ハ更ニ相当ノ期間ヲ定メテ催告ヲ為スコトヲ得
第三十九条第二項ノ規定ハ前二項ノ催告ヲ為スコト能ハサル場合及ヒ催告ヲ為スモ届出ヲ為ササル場合ニ、同条第三項ノ規定ハ裁判所其他ノ官庁、検事又ハ吏員カ届出ヲ怠リタル者アルコトヲ知リタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十五条 市町村長カ届出ヲ受理シタル場合ニ於テ届書ニ欠欠アル為メ戸籍ノ記載ヲ為スコト能ハサルトキハ届出義務者ヲシテ其追完ヲ為サシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
第六十六条 届出期間経過後ノ届出ト雖モ市町村長ハ之ヲ受理スルコトヲ要ス
第六十七条 届出人ハ届出ノ受理又ハ不受理ノ証明書ヲ請求スルコトヲ得但受理ノ証明書ヲ請求スル場合ニ於テハ手数料ヲ納付スルコトヲ要ス
利害関係人ハ手数料ヲ納付シテ第三十六条ノ書類ノ閲覧ヲ請求シ又ハ其書類ニ記載シタル事項ニ付キ証明書ヲ請求スルコトヲ得
第十四条第二項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
利害関係人ハ特別ノ理由アル場合ニ限リ第三十七条ノ書類ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得
第六十八条 届出人其他ノ者カ署名、捺印スヘキ場合ニ於テ印ヲ有セサルトキハ署名スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハサルトキハ氏名ヲ代署セシメ捺印スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハス且印ヲ有セサルトキハ氏名ヲ代署セシメ拇印スルヲ以テ足ル
前項ノ場合ニ於テハ書面ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第二節 出生
第六十九条 出生ノ届出ハ十四日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ氏名及ヒ男女ノ別
二 子カ私生子又ハ庶子ナルトキハ其旨
三 出生ノ年月日時及ヒ場所
四 父母ノ氏名、本籍及ヒ職業
五 子ノ入ルヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
六 子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因並ニ場所
七 日本ノ国籍ヲ有セサル者ノ子ナルトキハ其旨
第七十条 出生ノ届出ハ出生地ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第七十一条 汽車又ハ航海日誌ヲ備ヘサル船舶中ニテ出生アリタル場合ニ於テハ到著地ニ於テ届出ヲ為スコトヲ得
第七十二条 嫡出子出生ノ届出ハ父之ヲ為シ父カ届出ヲ為スコト能ハサル場合又ハ民法第七百三十四条第一項、第二項但書ノ場合ニ於テハ母之ヲ為スコトヲ要ス
庶子出生ノ届出ハ父之ヲ為シ私生子出生ノ届出ハ母之ヲ為スコトヲ要ス
前二項ノ規定ニ依リ届出ヲ為スヘキ者カ届出ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ左ニ掲ケタル者ハ其順序ニ従ヒ届出ヲ為スコトヲ要ス
第一 戸主
第二 同居者
第三 分娩ニ立会ヒタル医師又ハ産婆
第四 分娩ヲ介抱シタル者
第七十三条 嫡出子否認ノ訴ヲ提起シタルトキト雖モ出生ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十四条 民法第八百二十一条ノ規定ニ依リ裁判所カ父ヲ定ムヘキトキハ出生ノ届出ハ母之ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ届書ニ父ノ未定ナル事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第七十二条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七十五条 航海中ニ出生アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時内ニ第六十九条第二項ニ掲ケタル事項ヲ航海日誌ニ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遅滞ナク出生ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ市町村長ニ発送スルコトヲ要ス
艦船カ外国ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遅滞ナク出生ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其国ニ駐在スル日本ノ大使、公使又ハ領事ニ発送シ大使、公使又ハ領事ハ一个月内ニ之ヲ外務大臣ニ発送シ外務大臣ハ十日内ニ之ヲ本籍地ノ市町村長ニ発送スルコトヲ要ス
第七十六条 病院、監獄其他ノ公設所ニ於テ出生アリタル場合ニ於テ父母共ニ届出ヲ為スコト能ハサルトキハ公設所ノ長又ハ管理人届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十七条 出生ノ届出前ニ子カ死亡シタルトキハ死亡ノ届出ト共ニ出生ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十八条 棄児ヲ発見シタル者又ハ棄児発見ノ申告ヲ受ケタル警察官ハ二十四時内ニ其旨ヲ市町村長ニ申出ツルコトヲ要ス
前項ノ申出アリタルトキハ市町村長ハ氏名ヲ命シ本籍ヲ定メ且附属品、発見ノ場所、年月日時其他ノ状況及ヒ氏名、男女ノ別、出生ノ推定年月日並ニ本籍ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス其調書ハ之ヲ届書ト看做ス
第七十九条 父又ハ母カ棄児ヲ引取ルトキハ一个月内ニ第六十九条第二項ノ規定ニ依ル届出ヲ為シ且戸籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ要ス
第八十条 第七十八条第一項又ハ前条ノ手続ヲ為ス前ニ棄児カ死亡シタルトキハ死亡ノ届出ト共ニ其手続ヲ為スコトヲ要ス
第三節 認知
第八十一条 私生子認知ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ氏名、男女ノ別、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 死亡シタル子ヲ認知スル場合ニ於テハ死亡ノ年月日
三 父カ認知ヲ為ス場合ニ於テハ母ノ氏名並ニ本籍及ヒ父ノ職業
四 子カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、本籍及ヒ戸主ト子トノ続柄
第八十二条 胎内ニ在ル子ヲ認知スル場合ニ於テハ届書ニ其旨、母ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載シ認知者ノ本籍地ニ於テ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
第八十三条 父カ庶子出生ノ届出ヲ為シタルトキハ其届出ハ認知届出ノ効力ヲ有ス民法第八百三十六条第二項ノ規定ニ依リ嫡出子タルヘキ者ニ付キ父母カ嫡出子出生ノ届出ヲ為シタルトキ亦同シ
第八十四条 認知ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第八十一条ノ規定ニ依ル届出ヲ為スコトヲ要ス其届書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十五条 遺言ニ依ル認知ノ場合ニ於テハ遺言執行者ハ其就職ノ日ヨリ十日内ニ認知ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添附シ第八十一条又ハ第八十二条ノ規定ニ従ヒテ其届出ヲ為スコトヲ要ス
第八十六条 認知セラレタル胎児カ死体ニテ生レタルトキハ出生届出義務者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十四日内ニ認知ノ届出地ニ於テ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス但遺言執行者カ前条ノ届出ヲ為シタル場合ニ於テハ遺言執行者其届出ヲ為スコトヲ要ス
第八十七条 第五十七条第三項ノ規定ハ第八十一条及ヒ第八十二条ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第四節 養子縁組
第八十八条 縁組ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及ヒ職業
二 養子ノ実父母ノ氏名及ヒ本籍
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、本籍及ヒ戸主トノ続柄
婚家又ハ養家ヨリ更ニ縁組ニ因リテ他家ニ入ル者ニ付テハ前項ニ掲ケタル事項ノ外実家ノ戸主、前養親ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十九条 配偶者ノ一方カ双方ノ名義ヲ以テ縁組ヲ為ス場合ニ於テハ届書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第九十条 民法第八百四十三条ノ規定ニ依リテ縁組ノ承諾ヲ為シタル場合ニ於テハ届出ハ其承諾ヲ為シタル者之ヲ為スコトヲ得
第九十一条 民法第八百四十八条ノ規定ニ依リ縁組ノ届出ヲ為ストキハ縁組ニ関スル遺言ノ謄本ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第九十二条 縁組ノ届出ハ養親ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第九十三条 縁組取消ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名及ヒ本籍
二 養子ノ実父母ノ氏名及ヒ本籍
三 養子ノ入ルヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
四 養子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因並ニ場所但実家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
五 裁判確定ノ日
第九十四条 第五十七条第三項ノ規定ハ縁組ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第五節 養子離縁
第九十五条 離縁ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 養子ノ実父母ノ氏名及ヒ本籍
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ本籍
四 養子ノ復籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
五 養子カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因並ニ場所但実家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
第九十六条 民法第八百六十二条第二項ノ規定ニ依リテ離縁ノ協議ヲ為シタル場合ニ於テハ届出ハ其協議ヲ為シタル者之ヲ為スコトヲ得
第九十七条 民法第八百六十二条第三項ノ規定ニ依リテ離縁ヲ為ス場合ニ於テハ養子其届出ヲ為スコトヲ得
第九十八条 離縁ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第九十五条ノ規定ニ依ル届出ヲ為スコトヲ要ス其届書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第九十九条 第五十七条第三項ノ規定ハ第九十五条乃至第九十七条ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第六節 婚姻
第百条 婚姻ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及ヒ職業
二 父母ノ氏名及ヒ本籍
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、本籍及ヒ戸主トノ続柄
四 入夫婚姻又ハ婿養子縁組ナルトキハ其旨
五 入夫婚姻ノ場合ニ於テ入夫カ戸主ト為ルトキハ其旨
当事者ノ一方カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ婚姻ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ掲ケタル事項ノ外実家ノ戸主、養親ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百一条 婚姻ノ届出ハ夫ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス但入夫婚姻又ハ婿養子縁組ノ場合ニ於テハ妻ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ届出ヲ為スコトヲ要ス
第百二条 第九十三条ノ規定ハ婚姻取消ノ裁判カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
検事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ裁判確定ノ後遅滞ナク戸籍記載ノ請求ヲ為スコトヲ要ス
第百三条 第五十七条第三項ノ規定ハ婚姻ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第七節 離婚
第百四条 離婚ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 父母ノ氏名及ヒ本籍
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ本籍
四 婚家ヲ去ル者ノ復籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
五 婚家ヲ去ル者カ一家ヲ創立スルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因並ニ場所但実家ヲ再興スルトキハ其旨及ヒ再興ノ場所
第百五条 離婚ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ前条ノ規定ニ依ル届出ヲ為スコトヲ要ス其届書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六条 第五十七条第三項ノ規定ハ第百四条ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第八節 親権及ヒ後見
第百七条 父カ親権又ハ管理権ノ喪失ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ母其権利ヲ行フトキハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス其届書ニハ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八条 第九十三条第一項ノ規定ハ失権宣告取消ノ裁判カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ届書ニ裁判確定ノ日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九条 後見開始ノ届出ハ後見人其就職ノ日ヨリ十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 後見人及ヒ被後見人ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 被後見人カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ本籍
三 後見開始ノ原因及ヒ年月日
四 後見人就職ノ年月日
第百十条 後見人更迭ノ場合ニ於テハ後任者ハ就職ノ日ヨリ十日内ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
第百十一条 遺言ニ依ル後見人指定ノ場合ニ於テハ指定ニ関スル遺言ノ謄本ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
後見人選任ノ場合ニ於テハ選任ヲ証スル書面ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第百十二条 後見終了ノ届出ハ後見人十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 被後見人ノ氏名及ヒ本籍
二 後見終了ノ原因及ヒ年月日
第百十三条 前四条ノ届出ハ被後見人ノ本籍地又ハ後見人ノ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第百十四条 後見人ニ関スル本節ノ規定ハ保佐人ニ之ヲ準用ス
第九節 隠居
第百十五条 隠居ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 隠居者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍
二 家督相続人ノ氏名、出生ノ年月日並ニ本籍及ヒ家督相続人ト隠居者トノ続柄
三 隠居ノ原因
第十節 死亡及ヒ失踪
第百十六条 死亡ノ届出ハ届出義務者カ死亡ノ事実ヲ知リタル日ヨリ七日内ニ診断書若クハ検案書又ハ検視調書ノ謄本ヲ添附シテ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 死亡者ノ氏名、本籍及ヒ職業
二 死亡ノ年月日時及ヒ場所
三 死亡者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ戸主ト死亡者トノ続柄
第百十七条 左ニ掲ケタル者ハ其順序ニ従ヒ死亡ノ届出ヲ為スコトヲ要ス但順序ニ拘ハラス届出ヲ為スコトヲ得
第一 戸主
第二 同居者
第三 家主、地主又ハ家屋若クハ土地ノ管理人
第百十八条 死亡ノ届出ハ死亡地ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第百十九条 水難、火災其他ノ事変ニ因リ死亡シタル者アル場合ニ於テハ其取調ヲ為シタル官庁又ハ公署ハ死亡者ノ本籍地ノ市町村長ニ死亡ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
第百二十条 死刑ノ執行アリタルトキハ監獄ノ長ハ遅滞ナク監獄所在地ノ市町村長ニ死亡ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ在監中死亡シタル者ノ引取人ナキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ報告書ニ診断書又ハ検案書ヲ添附スルコトヲ要ス
第百二十一条 前二条ノ報告書ニハ第百十六条第二項ニ掲ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第百二十二条 死亡者ノ本籍分明ナラス又ハ死亡者ヲ認識スルコト能ハサル場合ニ於テハ警察官ハ検視調書ヲ作リ之ヲ添附シテ遅滞ナク死亡地ノ市町村長ニ死亡ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
死亡者ノ本籍分明ナルニ至リ又ハ死亡者ヲ認識スルコトヲ得ルニ至リタルトキハ警察官ハ遅滞ナク其旨ヲ報告スルコトヲ要ス
第一項ノ報告アリタル後第百十七条第一号及ヒ第二号ニ掲ケタル者カ死亡者ヲ認識シタルトキハ十日内ニ死亡ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第百二十三条 第七十一条、第七十五条及ヒ第七十六条ノ規定ハ死亡ノ届出ニ之ヲ準用ス
第百二十四条 失踪宣告ノ届出ハ其宣告ヲ請求シタル者裁判ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シテ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 失踪者ノ氏名及ヒ本籍
二 民法第三十条ニ定メタル期間満了ノ日
三 失踪者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ戸主ト失踪者トノ続柄
第十一節 家督相続
第百二十五条 家督相続ノ届出ハ戸主ト為リタル者相続ノ事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ之ヲ為スコトヲ要ス但入夫婚姻ニ因リテ戸主ト為リタル者ハ此限ニ在ラス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 家督相続ノ原因及ヒ戸主ト為リタル年月日
二 前戸主ノ氏名及ヒ前戸主ト戸主トノ続柄
戸主ト為リタル者カ外国ニ在ル場合ニ於テハ三个月内ニ届書ヲ発送スルヲ以テ足ル
第百二十六条 選定ニ因ル家督相続人カ届出ヲ為ス場合ニ於テハ選定ヲ証スル書面ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第百二十七条 家督相続人カ胎児ナルトキハ母ハ相続ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ診断書ヲ添附シ家督相続ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 家督相続ノ原因及ヒ相続開始ノ年月日
二 家督相続人カ胎児ナルコト
三 前戸主ノ氏名及ヒ前戸主ト家督相続人トノ続柄
第百二十五条第三項ノ規定ハ前項ノ届出ニ之ヲ準用ス
第百二十八条 前条ノ届出ヲ為シタル後胎児カ死体ニテ生レタルトキハ母ハ一个月内ニ医師又ハ産婆ノ検案書ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
母カ前項ノ届出ヲ為ササルトキハ家督相続人ハ分娩ノ事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ届出ヲ為スコトヲ要ス
第百二十九条 家督相続回復ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ第百二十五条ノ規定ニ依ル届出ヲ為スコトヲ要ス
第百三十条 第百二十五条及ヒ前三条ノ届出ハ被相続人ノ本籍地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第十二節 推定家督相続人ノ廃除
第百三十一条 推定家督相続人廃除ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 廃除セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍
二 廃除ノ原因
三 裁判確定ノ日
第百三十二条 廃除取消ノ裁判カ確定シタルトキハ訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 廃除セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍
二 裁判確定ノ日
第十三節 家督相続人ノ指定
第百三十三条 家督相続人指定ノ届書ニハ指定セラレタル者ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十四条 家督相続人指定取消ノ届書ニハ指定家督相続人ノ氏名及ヒ本籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十五条 遺言ニ依ル家督相続人ノ指定又ハ指定取消ノ場合ニ於テハ指定又ハ指定取消ニ関スル遺言ノ謄本ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第百三十六条 指定家督相続人カ死亡シタルトキハ指定者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
第十四節 入籍、離籍及ヒ復籍拒絶
第百三十七条 民法第七百三十七条ノ規定ニ依リ家族ト為ラント欲スル者ハ左ノ事項ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 入籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
二 入籍スヘキ家ノ戸主ト入籍スヘキ者トノ続柄
三 原籍ノ戸主ノ氏名、本籍及ヒ其戸主ト入籍スヘキ者トノ続柄
第百三十八条 民法第七百三十八条ノ規定ニ依リ自己ノ親族ヲ家族ト為サント欲スル者ハ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ前条ニ掲ケタル事項ノ外入籍スヘキ者ノ氏名及ヒ出生ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十九条 戸主カ其家族ヲ離籍セント欲スルトキハ左ノ事項ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 離籍セラルヘキ者ノ氏名
二 離籍ノ原因
第百四十条 離籍ニ因リテ一家ヲ創立シタル者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 離籍者ノ氏名及ヒ本籍
二 離籍者ト離籍セラレタル者トノ続柄
三 離籍ノ原因及ヒ年月日
第百四十一条 戸主カ其家族タリシ者ノ復籍ヲ拒マント欲スルトキハ左ノ事項ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒マルヘキ者ノ氏名及ヒ本籍
二 復籍ヲ拒マルヘキ者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名
三 復籍拒絶ノ原因
第百四十二条 復籍拒絶又ハ復籍スヘキ家ノ廃絶ニ因リテ一家ヲ創立シタル者カ縁組若クハ婚姻ノ取消又ハ離縁若クハ離婚ノ届書ニ其場所ヲ記載セサリシトキハ一家創立ノ事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ其届出ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 復籍拒絶者又ハ廃絶家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
二 復籍拒絶ノ原因及ヒ年月日又ハ廃絶ノ年月日
第十五節 廃家及ヒ絶家
第百四十三条 廃家ヲ為サント欲スル者ハ其者カ入ルヘキ家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス但家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ニ非サルトキハ其旨ヲ届書ニ記載スルコトヲ要ス
第百四十四条 絶家ノ家族ハ絶家ノ事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ一家創立ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 絶家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
二 絶家ノ原因及ヒ年月日
第十六節 分家及ヒ廃絶家再興
第百四十五条 分家ヲ為サント欲スル者ハ左ノ事項ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 本家ノ戸主ノ氏名、本籍及ヒ其戸主ト分家ノ戸主トノ続柄
二 民法第七百四十三条第二項ノ規定ニ依リ分家ノ家族ト為ルヘキ者アルトキハ其氏名及ヒ出生ノ年月日
三 分家ノ戸主及ヒ家族ト為ルヘキ者ノ父母ノ氏名及ヒ本籍
第百四十六条 廃絶家ヲ再興セント欲スル者ハ左ノ事項ヲ届書ニ記載シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 廃絶家ノ戸主ノ氏名及ヒ本籍
二 廃絶ノ年月日
三 廃絶家ト再興ヲ為ス者ノ家トノ続柄
四 再興ヲ為ス者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名及ヒ本籍
第十七節 国籍ノ得喪
第百四十七条 外国人カ養子縁組又ハ婚姻ニ因リテ日本ノ国籍ヲ取得スヘキトキハ縁組又ハ婚姻ノ届書ニ国籍取得者ノ原国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百四十八条 外国人カ認知ニ因リテ日本ノ国籍ヲ取得スヘキトキハ認知ノ届書ニ子ノ原国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
認知者カ父ナルトキハ届書ニ母ノ国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百四十九条 帰化ノ届出ハ許可ノ日ヨリ十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 帰化ヲ為シタル者ノ原国籍
二 父母ノ氏名及ヒ国籍
三 許可ノ年月日
四 帰化ヲ為シタル者ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得シタル者アルトキハ其氏名、出生ノ年月日及ヒ其者ト帰化人トノ続柄
帰化ヲ為シタル者ノ妻又ハ子カ帰化人ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得セサルトキハ届書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十条 国籍喪失ノ届出ハ戸主又ハ家督相続人其事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 国籍喪失者ノ氏名及ヒ本籍
二 国籍喪失ノ原因及ヒ年月日
三 新ニ国籍ヲ取得シタルトキハ其国籍
第百五十一条 国籍喪失者カ満十七年以上ノ男子ナルトキハ其者カ陸海軍ノ現役ニ服シタルコト又ハ之ニ服スル義務ナキコトヲ証スヘキ書面ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
国籍喪失者カ日本ノ官職ヲ帯ヒタル者ナルトキハ其官職ヲ失ヒタルコトヲ証スヘキ書面ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第百五十二条 国籍回復ノ届出ハ許可ノ日ヨリ十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 日本ノ国籍ヲ失ヒタル原因及ヒ年月日
二 国籍回復前ニ有セシ国籍
三 許可ノ年月日
四 国籍回復者ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得シ又ハ之ヲ回復シタル者アルトキハ其氏名、出生ノ年月日及ヒ其者ト国籍回復者トノ続柄
第百四十九条第三項ノ規定ハ前項ノ届出ニ之ヲ準用ス
第十八節 氏名、族称ノ変更及ヒ襲爵
第百五十三条 氏名変更ノ届出ハ許可ノ日ヨリ十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 変更前ノ氏名
二 変更シタル氏名
三 許可ノ年月日
第百五十四条 新ニ華族ニ列セラレ又ハ士族ニ編入セラレタル者ハ十日内ニ辞令書又ハ許可書ノ謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 新旧族称
二 族称変更ノ原因
三 辞令又ハ許可ノ年月日
第百五十五条 爵ヲ襲キタル者ハ辞令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ十日内ニ其謄本ヲ添附シ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ辞令ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十六条 華族又ハ士族ノ族称ヲ喪失シタル場合ニ於テハ戸主ハ十日内ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
届書ニハ族称喪失ノ原因及ヒ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十七条 前条ノ規定ハ処刑ニ因リテ族称ヲ喪失シタル場合ニハ之ヲ適用セス此場合ニ於テハ裁判所ハ本人ノ本籍地ノ市町村長ニ其旨ヲ報告スルコトヲ要ス
第十九節 転籍及ヒ就籍
第百五十八条 転籍セント欲スルトキハ新本籍ヲ届書ニ記載シ戸主其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
他ノ市町村ニ転籍スル場合ニ於テハ戸籍ノ謄本ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第百五十九条 転籍ノ届出ハ転籍地ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第百六十条 本籍ヲ有セサル者ハ其就籍セント欲スル地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ十日内ニ就籍ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
届書ニハ第十八条ニ掲ケタル事項ノ外就籍許可ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六十一条 就籍ノ届出ハ就籍地ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第百六十二条 就籍許可ノ裁判ヲ得タル者カ就籍ノ届出ヲ為ササルトキハ戸主之ヲ為スコトヲ要ス
第百六十三条 第百六十条ノ規定ハ確定判決ニ因リテ就籍ノ届出ヲ為スヘキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ判決ノ謄本ヲ届書ニ添附スルコトヲ要ス
第五章 戸籍ノ訂正
第百六十四条 戸籍ノ記載カ法律上許スヘカラサルモノナルコト又ハ其記載ニ錯誤若クハ遺漏アルコトヲ発見シタル場合ニ於テハ利害関係人ハ其戸籍ノ存スル市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ戸籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ得
第百六十五条 届出ニ因リ効力ヲ生スヘキ行為ニ付キ戸籍ノ記載ヲ為シタル後其行為ノ無効ナルコトヲ発見シタルトキハ届出人又ハ届出事件ノ本人ハ前条ノ区裁判所ノ許可ヲ得テ戸籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ得
第百六十六条 前二条ノ許可ノ裁判アリタルトキハ一个月内ニ其謄本ヲ添附シ戸籍ノ訂正ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六十七条 確定判決ニ因リ戸籍ノ訂正ヲ為スヘキトキハ訴ヲ提起シタル者ハ判決確定ノ日ヨリ一个月内ニ判決ノ謄本ヲ添附シ訂正ノ申請ヲ為スコトヲ要ス
検事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ判決確定ノ後遅滞ナク戸籍ノ訂正ヲ請求スルコトヲ要ス
第百六十八条 第四十三条、第四十六条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十九条及第六十三条乃至第六十八条ノ規定ハ戸籍訂正ノ申請ニ之ヲ準用ス
第六章 抗告
第百六十九条 戸籍事件ニ付キ市町村長ノ処分ヲ不当トスル者ハ市役所又ハ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ニ抗告ヲ為スコトヲ得
第百七十条 抗告ハ管轄区裁判所ニ抗告状ヲ提出シテ之ヲ為ス
抗告状ニハ届書又ハ申請書及ヒ関係書類ヲ添附スルコトヲ要ス
第百七十一条 抗告ヲ受ケタル裁判所ハ抗告ニ関スル書類ヲ市町村長ニ送付シテ其意見ヲ求ムルコトヲ要ス
第百七十二条 市町村長ハ抗告ヲ理由アリト認ムルトキハ処分ヲ変更シテ其旨ヲ裁判所及ヒ抗告人ニ通知スルコトヲ要ス
抗告ヲ理由ナシト認ムルトキハ意見ヲ附シ送付ヲ受ケタル日ヨリ五日内ニ書類ヲ裁判所ニ返還スルコトヲ要ス
第百七十三条 裁判所ハ抗告ヲ理由ナシトスルトキハ之ヲ却下シ理由アリトスルトキハ市町村長ニ相当ノ処分ヲ命スルコトヲ要ス
抗告ヲ却下シ又ハ処分ヲ命スル裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ為シ市町村長及ヒ抗告人ニ送達スルコトヲ要ス
第百七十四条 裁判所ノ決定ニ対シテハ法律ニ違背シタル裁判ナルコトヲ理由トスルトキニ限リ非訟事件手続法ノ規定ニ従ヒテ抗告ヲ為スコトヲ得
抗告裁判所ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百七十五条 抗告ノ費用ニ付テハ非訟事件手続法ノ規定ヲ準用ス
第七章 罰則
第百七十六条 正当ノ理由ナクシテ期間内ニ為スヘキ届出又ハ申請ヲ為ササル者ハ十円以下ノ過料ニ処ス
第百七十七条 第六十四条ノ規定ニ依リ市町村長カ期間ヲ定メテ届出又ハ申請ノ催告ヲ為シタル場合ニ於テ正当ノ理由ナクシテ其期間内ニ届出又ハ申請ヲ為ササル者ハ二十円以下ノ過料ニ処ス
第百七十八条 市町村長ハ左ノ場合ニ於テハ三十円以下ノ過料ニ処ス
一 正当ノ理由ナクシテ届出又ハ申請ヲ受理セサルトキ
二 戸籍ノ記載ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
三 正当ノ理由ナクシテ戸籍簿、除籍簿又ハ第三十六条ノ書類ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
四 正当ノ理由ナクシテ戸籍若クハ除カレタル戸籍ノ謄本、抄本又ハ第六十七条ノ証明書ヲ交付セサルトキ
五 其他戸籍事件ニ付キ職務ヲ怠リタルトキ
第百七十九条 過料ノ裁判ハ過料ニ処セラルヘキ者ノ住所又ハ居所ノ地ヲ管轄スル区裁判所之ヲ為ス其裁判及ヒ裁判ノ執行ニ付テハ非訟事件手続法ノ規定ヲ準用ス
第百八十条 戸籍ノ記載ヲ要セサル事項ニ付キ虚偽ノ届出ヲ為シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス日本ノ国籍ヲ有セサル者ニ関スル事項ニ付キ虚偽ノ届出ヲ為シタル者亦同シ
附 則
第百八十一条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八十二条 本法ノ施行ニ関スル細則ハ司法大臣之ヲ定ム
第百八十三条 本法ノ規定ハ本法施行前ノ届出其他ノ事由ニ因リテ戸籍ノ記載ヲ為シ又ハ新ニ戸籍ヲ編製スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第百八十四条 旧法ノ規定ニ依ル戸籍ハ本法ノ規定ニ依ル戸籍トシテ其効力ヲ有ス但本法ノ規定ニ依リ戸籍ニ記載スヘキ事項ニシテ旧法ノ規定ニ依ル戸籍ニ記載ナキモノハ身分登記ニ依リ之ヲ記載スルコトヲ得
司法大臣ハ前項ノ規定ニ拘ハラス本法ノ規定ニ依リ戸籍ヲ改製スヘキコトヲ命スルコトヲ得
第百八十五条 旧法ノ規定ニ依リテ改製セサリシ戸籍ハ司法大臣ノ命スル所ニ依リ本法ノ規定ニ依リテ之ヲ改製スルコトヲ要ス但記載ヲ要スル事項ニシテ従前ノ戸籍ニ依リ其事実ヲ知ルコト能ハサルモノハ其記載ヲ省クコトヲ得
第百八十六条 身分登記簿及ヒ旧法ニ保存期間ノ定アル帳簿並ニ書類ノ保存期間ハ司法大臣之ヲ定ム