(出資金の受入の制限)
第一条 何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。
(預り金の禁止)
第二条 業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。
2 前項の「預り金」とは、不特定且つ多数の者からの金銭の受入で、預金、貯金又は定期積金の受入及び、借入金その他何らの名義をもつてするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいう。
3 主として金銭の貸付の業務を営む株式会社(銀行を除く。)が、社債の発行により、不特定且つ多数の者から貸付資金を受け入れるときは、業として預り金をするものとみなす。
(浮貸し等の禁止)
第三条 金融機関(銀行、信託会社、保険会社、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、農林中央金庫、商工組合中央金庫並びに信用協同組合及び農業協同組合、水産業協同組合、塩業組合その他の貯金の受入を行う組合をいう。)の役員、職員その他の従業者は、その地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、金銭の貸付、金銭の貸借の媒介又は債務の保証をしてはならない。
(金銭貸借の媒介手数料の制限)
第四条 金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借の金額の百分の五に相当する金額をこえる手数料の契約をし、又はこれをこえる手数料を受領してはならない。
2 金銭の貸借の媒介を行う者がその媒介に関し受ける金銭は、礼金、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、手数料とみなして前項の規定を適用する。
(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付を行う者が、百円につき一日三十銭をこえる割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をし、又はこれをこえる割合による利息を受領したときは、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の規定の適用については、貸付の期間が十五日未満であるときは、これを十五日として利息を計算するものとする。
3 第一項の規定の適用については、利息を天引する方法による金銭の貸付にあつては、その交付額を元本額として利息を計算するものとする。
4 一年分に満たない利息を元本に組み入れる契約がある場合においては、元利金のうち当初の元本をこえる金額を利息とみなして第一項の規定を適用する。
5 金銭の貸付を行う者がその貸付に関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなして第一項の規定を適用する。
(物価統制令との関係)
第六条 金銭の貸付についての利息及び金銭の貸借の媒介についての手数料に関しては、物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第九条ノ二(不当高価契約等の禁止)の規定は、適用しない。
(貸金業の届出)
第七条 業としての金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介(その業を行うにつき他の法律に特別の規定のある者の行うもの並びに物品の売買、運送、保管及び売買の媒介を業とする者がその取引に附随して行うものを除く。以下「貸金業」という。)を行う者は、その業を開始したときは、遅滞なく、政令で定める事項を記載した書面を添えて、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない、届け出た事項に変更があつたときも、その変更があつた部分について、また同様とする。
2 貸金業を行う者は、左の各号の一に該当するときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
二 貸金業を三月以上の期間にわたつて休止した後貸金業を再開したとき
(報告及び調査)
第八条 大蔵大臣は、貸金業の実態の調査のため必要があるときは、貸金業を行う者からその業務に関し報告を徴し、又は当該職員をして貸金業を行う者の営業所又は事務所に立ち入り、その業務に関し調査をさせることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
(金銭の貸付等とみなす場合)
第九条 第二条第三項及び第三条から第七条までの規定の適用については、手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は授受は、金銭の貸付又は金銭の貸借とみなす。
(権限の委任)
第十条 大蔵大臣は、政令で定めるところにより、この法律の規定に基く権限の全部又は一部を都道府県知事に委任することができる。
(その他の罰則)
第十一条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第一条、第二条第一項、第三条又は第四条第一項の規定に違反した者
二 何らの名義をもつてするを問わず、また、いかなる方法をもつてするを問わず、第一条、第二条第一項、第三条、第四条第一項又は第五条第一項の規定に係る禁止を免かれる行為をした者
2 前項の規定中第一条及び第三条に係る部分は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、適用しない。
第十二条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第七条の規定による届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
二 第八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第十三条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が法人又は人の業務又は財産に関して第五条又は前二条(第三条に係る部分を除く。)の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表する外、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。