(保管振替機関の地位)
第二十九条 保管振替機関は、預託株券の保管に際し、自己を株主とする名義書換の請求をすることができる。この場合においては、預託後相当の時期にその請求をしなければならない。
2 保管振替機関は、会社の株主名簿に自己が株主として記載されている株式(以下「保管振替機関名義株式」という。)につき、商法第二百二十六条ノ二第一項の規定による申出をすることができる。
3 保管振替機関は、保管振替機関名義株式につき、株主名簿の記載及び株券に関してのみ、株主として権利を行使することができる。
(実質株主)
第三十条 預託株券の共有者(以下「実質株主」という。)は、株主の権利の行使については、各自その預託株券の株式の数に応じた株式を有するものとみなす。
2 実質株主は、前条第二項の申出及び同条第三項に規定する権利の行使をすることができない。ただし、会社が株主に対してする通知及び商法第二百六十三条第二項の規定による株主名簿の閲覧又は謄写については、この限りでない。
(実質株主の通知)
第三十一条 保管振替機関は、会社が商法第二百二十四条ノ三第一項の規定により一定の期間又は一定の日を定めたときは、会社に対し、その期間が始まる時又はその日の実質株主につき、次に掲げる事項又はその変更(株式の発行によるものを除く。)を速やかに通知しなければならない。会社が同法第二百八十条ノ四第二項(同法第三百四十一条ノ二ノ四第二項(同法第三百四十一条ノ十八において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により一定の日を定めた場合のその日の実質株主についても、同様とする。
二 前条第一項の規定により有するものとみなされる株式の種類及び数
2 保管振替機関は、第二十条若しくは第二十一条の規定による転換の請求又は第二十二条の規定による新株の引受権の行使をするときは、会社に対し、新たに発行される株式の実質株主となるべき者の氏名及び住所を通知しなければならない。
3 前二項の場合において、保管振替機関は、参加者が自己分として預託し、又は預託することとなるべき株券の株式については当該参加者(主務省令で定める場合において、当該参加者から他の者が実質株主である旨の申出があつたときは、その者)を、参加者が顧客預託分として預託し、又は預託することとなるべき株券の株式については当該参加者が報告した者を実質株主として通知しなければならない。この場合においては、参加者は、顧客(主務省令で定める場合において、当該顧客から他の者が実質株主である旨の申出があつたときは、その者)を実質株主として報告しなければならない。
4 保管振替機関は、前条第一項の規定により単位未満株式のみを有するものとみなされる実質株主については、第一項の規定による通知をすることができない。ただし、既に同項又は第二項の規定による通知をした者(その一般承継人を含み、実質株主でなくなつた旨の通知をした者を除く。)については、この限りでない。
5 保管振替機関は、実質株主による株主の権利の行使があるときその他会社に必要があるときは、会社の請求により、参加者口座簿の記載又は参加者の報告に基づき、速やかに、第一項又は第二項の規定により実質株主として通知をした者が実質株主でなくなつた旨又は第一項第二号の株式の数の減少を通知しなければならない。ただし、商法第二百二十四条ノ三第一項の期間内は、この限りでない。
(実質株主名簿)
第三十二条 会社は、実質株主名簿を本店に備え置かなければならない。
2 保管振替機関名義株式につき、前条第一項の規定による通知を受けたときは、会社は、実質株主名簿に、同項各号に掲げる事項のほか、各実質株主が有するものとみなされる各株式につき同項の規定による通知の年月日を記載をしなければならない。
3 会社は、第十九条又は前条第二項に規定する場合には、株主名簿に新たに発行された株式の株主として保管振替機関を、実質株主名簿にその株式の実質株主に関する同条第一項各号に掲げる事項及び株式取得の年月日を記載し、実質株主名簿に記載した事項を保管振替機関に通知しなければならない。
4 保管振替機関名義株式につき、前条第五項の規定による通知を受けたときは、会社は、同条第一項各号に掲げる事項の変更を実質株主名簿に記載しなければならない。
5 会社は、定款をもつて実質株主名簿について名義書換代理人を置く旨を定めることができる。当該名義書換代理人を置いた場合においては、実質株主名簿を当該名義書換代理人の営業所に備え置くことができる。
6 実質株主、株主、保管振替機関及び会社の債権者は、営業時間内は、いつでも、実質株主名簿の閲覧又は謄写を請求することができる。
(実質株主名簿の記載の効力)
第三十三条 預託株券の株式に関しては、実質株主名簿の記載は、株主名簿の記載と同一の効力を有する。
2 会社は、株主名簿に株主として記載された者と実質株主名簿に実質株主として記載された者とが同一の者であると認められるときは、株主の権利の行使に関しては、株主名簿の株式の数と実質株主名簿の株式の数とを合算しなければならない。
(単位未満株式の買取請求)
第三十四条 実質株主は、その実質株主名簿に記載のある単位未満株式につき、商法等の一部を改正する法律附則第十九条第一項の規定による請求をすることができる。参加者が第十四条第一項の規定により単位未満株式のみに係る株券を預託した場合(第十九条の規定により預託がされたものとみなされる場合を除く。)にあつては、当該参加者に当該株券を預託した顧客たる実質株主で実質株主名簿に記載のないものについても、同様とする。
2 前項の請求は、参加者及び保管振替機関(実質株主が参加者であるときは、保管振替機関)を経由してしなければならない。
3 第一項の請求がされた場合において、保管振替機関は、株式の数が当該単位未満株式の数に相当する株券を会社に提出しなければならない。ただし、保管振替機関名義株式で株券が発行されていないものの数が当該単位未満株式の数以上であるときは、この限りでない。
(実質株主名簿の株式の数を超える保管振替機関名義株式に関する取扱い)
第三十五条 発行済株式の総数の百分の一、百分の三又は十分の一以上に当たる株式を有する株主の権利の行使についての規定の適用及び総会の決議については、実質株主名簿に記載された株式の合計数を超える保管振替機関名義株式の数は、発行済株式の総数に算入しない。
2 実質株主名簿に記載された株式の合計数を超える数の保管振替機関名義株式で預託株券に係るものに関しては、保管振替機関は、株式の併合、分割若しくは転換、会社の合併又は商法第二百九十三条ノ三第二項若しくは第二百九十三条ノ三ノ二第一項の規定による株式の発行について、株主として権利を行使することができる。