株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十九号
公布年月日: 平成13年6月27日
法令の形式: 法律
株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十三年六月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第六十九号
株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律
株券等の保管及び振替に関する法律(昭和五十九年法律第三十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二章 保管振替機関等(第三条―第十三条)」を
第二章
保管振替機関
第一節
通則(第三条―第三条の五)
第二節
業務(第四条―第六条の三)
第三節
監督(第七条―第九条の五)
第四節
合併、分割及び営業の譲渡(第十条―第十二条の三)
第五節
解散等(第十三条―第十三条の四)
に、「第四十六条」を「第五十条」に改める。
第二条を次のように改める。
(定義)
第二条 この法律において「株券等」とは、株券その他の有価証券で、その保管及び受渡しの合理化を図るべきものとして主務大臣が指定したものをいう。
2 この法律において「保管振替機関」とは、次条第一項の規定により主務大臣の指定を受けた株式会社をいう。
3 この法律において「参加者」とは、保管振替機関が第六条第一項の規定により株券等の保管及び振替を行うための口座を開設した者をいう。
第二章を次のように改める。
第二章 保管振替機関
第一節 通則
(保管振替業を営む者の指定)
第三条 主務大臣は、次に掲げる要件を備える株式会社を、その申請により、この法律の定めるところにより第四条各号に掲げる業務の全部(以下「保管振替業」という。)を営む者として、指定することができる。
一 第九条の二第一項の規定によりこの項の指定を取り消された日から五年を経過しない者でないこと。
二 この法律又はこの法律に相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者でないこと。
三 取締役又は監査役のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。
イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ニ 第九条の二第一項の規定によりこの項の指定を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けているこの項の指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその会社の取締役又は監査役(外国の法令上これらと同様に取り扱われている者を含む。ホにおいて同じ。)であつた者でその取消しの日から五年を経過しない者
ホ 第九条の二第一項の規定又はこの法律に相当する外国の法令の規定により解任を命ぜられた取締役又は監査役でその処分を受けた日から五年を経過しない者
ヘ 前号に規定する法律、商法、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第四十六条、第四十七条、第四十九条若しくは第五十条の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
四 定款及び保管振替業の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)が、法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより保管振替業を適正かつ確実に遂行するために十分であると認められること。
五 保管振替業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、保管振替業に係る収支の見込みが良好であると認められること。
六 その人的構成に照らして、保管振替業を適正かつ確実に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すると認められること。
2 主務大臣は、前項の指定をしたときは、その指定した保管振替機関の商号及び本店の所在地を官報で公示しなければならない。
(指定の申請)
第三条の二 前条第一項の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した指定申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 商号
二 資本の額及び純資産額
三 本店その他の営業所の名称及び所在地
四 取締役及び監査役の氏名
五 保管振替業以外の業務を営むときは、その業務の内容
2 指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 前条第一項第二号及び第三号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面
二 定款
三 会社登記簿の謄本
四 業務規程
五 貸借対照表及び損益計算書
六 収支の見込みを記載した書類
七 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める書類
(資本の額等)
第三条の三 保管振替機関の資本の額は、政令で定める金額以上でなければならない。
2 前項の政令で定める金額は、五億円を下回つてはならない。
3 保管振替機関の純資産額は、第一項の政令で定める金額以上でなければならない。
(資本の額の変更)
第三条の四 保管振替機関は、その資本の額を減少しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。
2 保管振替機関は、その資本の額を増加しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
3 保管振替機関が第九条の規定による主務大臣の命令を実施するために資本の減少が必要である場合における商法第三百七十六条第二項の規定の適用については、同項中「第百条」とあるのは、「第百条第一項及第二項」とする。
4 保管振替機関が預託を受けた株券等並びに第十六条第四項、第十九条(第二十条第三項及び第二十一条第四項(第二十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及びこれらの規定を準用する第三十九条の規定により保管振替機関が預託を受けたとみなされる株券等の預託に係る債権者(以下「預託債権者」という。)であつて参加者以外の者に対する前項の規定により読み替えて適用する商法第三百七十六条第二項において準用する同法第百条第一項の催告は、することを要しない。
5 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第三項の資本の減少が必要である場合における預託債権者の異議について準用する。
(秘密保持義務)
第三条の五 保管振替機関の取締役、監査役若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、保管振替業に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第二節 業務
(業務の範囲)
第四条 保管振替機関は、この法律の定めるところにより、次に掲げる業務を行うものとする。
一 株券等の保管に関する業務
二 株券等の振替に関する業務
三 その他この法律により保管振替機関が行うこととされている業務
(兼業の制限)
第四条の二 保管振替機関は、保管振替業のほか、他の業務を営むことができない。ただし、保管振替業に関連する業務で、当該保管振替機関が保管振替業を適正かつ確実に営むにつき支障を生ずるおそれがないと認められるものについて、主務省令で定めるところにより、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 保管振替機関は、前項ただし書の承認を受けた業務を廃止したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(保管振替業の一部の委託)
第四条の三 保管振替機関は、主務省令で定めるところにより、保管振替業の一部を、主務大臣の承認を受けて、他の者に委託することができる。
2 保管振替機関は、前項の規定による保管振替業の一部の委託に関する契約には、業務を委託する相手方が当該業務を他の者に委託しない旨の条件を付さなければならない。
(業務規程)
第五条 保管振替機関は、業務規程において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 取り扱う株券等に関する事項
二 参加者の口座に関する事項
三 参加者の顧客の口座に関する事項
四 株券等の預託及び保管に関する事項
五 預託を受けた株券等に不足が生じた場合の補てんに関する事項
六 株券等の振替に関する事項
七 株券等の交付に関する事項
八 預託を受けた株券等に係る権利の行使に関する事項
九 第三十一条(第三十九条第二項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)の通知に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、保管振替業の実施に必要な事項として主務省令で定める事項
(口座の開設)
第六条 保管振替機関は、業務規程の定めるところにより、次に掲げる者のために、その申出により株券等の保管及び振替を行うための口座を開設しなければならない。
一 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する証券会社
二 外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社
三 証券取引法第二条第二十五項に規定する証券金融会社
四 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行
五 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行
六 信託会社
七 農林中央金庫
八 商工組合中央金庫
九 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会
十 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合及び同法第八十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合連合会並びに同法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合及び同法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
十一 信用協同組合及び中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会
十二 信用金庫及び信用金庫連合会
十三 労働金庫及び労働金庫連合会
十四 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項に規定する保険会社及び同条第七項に規定する外国保険会社等
十五 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二十項に規定する登録投資法人
十六 その他前各号に類する者として主務大臣の指定したもの
2 参加者は、この法律の定めるところにより、保管振替機関に株券等を預託することができる。
(発行者の同意)
第六条の二 保管振替機関は、あらかじめ発行者から当該保管振替機関において取り扱うことについて同意を得た株券等でなければ、取り扱うことができない。
(差別的取扱いの禁止)
第六条の三 保管振替機関は、特定の参加者又は発行者に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。
第三節 監督
(帳簿書類等の作成及び保存)
第七条 保管振替機関は、主務省令で定めるところにより、業務に関する帳簿書類その他の記録を作成し、保存しなければならない。
(業務及び財産に関する報告書の提出)
第七条の二 保管振替機関は、決算期ごとに、業務及び財産に関する報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
2 前項の報告書に関する記載事項、提出期日その他必要な事項は、主務省令で定める。
(定款又は業務規程の変更)
第七条の三 保管振替機関の定款又は業務規程の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(商号等の変更の届出)
第七条の四 保管振替機関は、第三条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、その旨及び同条第二項第一号又は第三号に掲げる書類を、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
2 主務大臣は、前項の規定により保管振替機関の商号又は本店の所在地の変更の届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(事故の報告)
第七条の五 保管振替機関は、預託を受けた株券等の喪失その他の主務省令で定める事故が生じたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に報告しなければならない。
(報告及び検査)
第八条 主務大臣は、保管振替業の適正かつ確実な遂行のため必要があると認めるときは、保管振替機関に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又はその職員に、保管振替機関の営業所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(業務改善命令)
第九条 主務大臣は、保管振替業の適正かつ確実な遂行のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、保管振替機関に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(指定の取消し等)
第九条の二 主務大臣は、保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三条第一項の指定若しくは第四条の二第一項ただし書の承認を取り消し、六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその取締役若しくは監査役の解任を命ずることができる。
一 第三条第一項第二号又は第三号に掲げる要件に該当しないこととなつたとき。
二 第三条第一項の指定当時に同項各号のいずれかに該当していなかつたことが判明したとき。
三 不正の手段により第三条第一項の指定を受けたことが判明したとき。
四 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
2 主務大臣は、前項の規定により第三条第一項の指定を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(業務移転命令)
第九条の三 主務大臣は、保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、保管振替業を他の株式会社に移転することを命ずることができる。
一 前条第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消されたとき。
二 保管振替業を廃止したとき。
三 解散したとき(設立、合併又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
四 保管振替業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができない事態又は破産の原因たる事実の生ずるおそれがあると認められるとき。
(業務移転命令に伴う株主総会の特別決議に関する特例)
第九条の四 前条の規定による命令を受けた保管振替機関(次項及び次条第一項において「特定保管振替機関」という。)における商法第二百四十五条第一項、第三百四十三条、第三百四十五条第二項(同法第三百四十六条において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十七第四項又は第四百八条第三項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
2 特定保管振替機関における商法第四百八条第四項の規定による決議は、同項の規定にかかわらず、出席した株主の過半数であつて出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
3 第一項の規定により仮にした決議(以下この項及び次項において「仮決議」という。)があつた場合においては、各株主に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の株主総会を招集しなければならない。
4 前項の株主総会において第一項に規定する多数をもつて仮決議を承認した場合には、当該承認のあつた時に、当該仮決議をした事項に係る決議があつたものとみなす。
5 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があつた場合について準用する。この場合において、前項中「第一項」とあるのは、「第二項」と読み替えるものとする。
(業務移転命令に伴う営業譲渡における預託債権者保護手続の特例)
第九条の五 特定保管振替機関が第十二条第一項に規定する営業譲渡を行う場合における預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けについては、第十二条の二第一項の規定にかかわらず、個別の預託債権者の承諾を得ないですることができる。
2 前項の場合においては、第十二条第二項に規定する譲受会社は、債務の引受けの日から二週間以内に、当該債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下つてはならない。
4 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第二項の規定による預託債権者の異議について準用する。
第四節 合併、分割及び営業の譲渡
(特定合併の認可)
第十条 保管振替機関を全部又は一部の当事者とする合併(合併後存続する株式会社又は合併により設立される株式会社が保管振替業を営む場合に限る。以下この節において「特定合併」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、特定合併後存続する株式会社又は特定合併により設立される株式会社(以下この節において「特定合併後の保管振替機関」という。)について第三条の二第一項各号に掲げる事項を記載した合併認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
3 合併認可申請書には、合併契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 特定合併後の保管振替機関が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 特定合併後の保管振替機関(保管振替機関が特定合併後存続する株式会社である場合を除く。)は、特定合併の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 特定合併後の保管振替機関は、特定合併により消滅した保管振替機関の業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(特定合併の場合の預託債権者の異議)
第十条の二 保管振替機関が特定合併の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第四百十二条第一項の規定による催告は、することを要しない。
2 預託債権者(参加者を除く。)が商法第四百十二条第一項の異議を述べるときは、当該預託債権者の顧客口座簿を管理する参加者を経由して行わなければならない。
3 預託債権者が商法第四百十二条第一項の期間内に異議を述べたときは、当該預託債権者は、その口座に係る株券等のすべてについて、第二十八条第一項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の株券等の交付の請求又は第三十四条第一項の単元未満株式の同法第二百二十一条第六項において準用する同法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求を行つたものとみなす。
4 前項の預託債権者に係る商法第四百十二条第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段、第二項及第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
(特定合併の効果)
第十条の三 特定合併の時においてその当事者となる保管振替機関の参加者(商法第四百十二条第二項において準用する同法第百条第二項の規定により特定合併を承認したものとみなされるものに限る。)であつた者が現に受けている第十四条第一項ただし書又は第二項(これらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による当該保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求は、特定合併後の保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求とみなす。ただし、特定合併の日の前日までに顧客から別段の申出があつたときは、この限りでない。
2 保管振替機関が特定合併を行つた場合には、当該保管振替機関に係る第二十九条第二項に規定する保管振替機関名義株式(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する第二十九条第二項の規定により保管振替機関名義とされているものを含む。以下この項及び第十二条の三第三項において「保管振替機関名義株式等」という。)は、特定合併後の保管振替機関に係る保管振替機関名義株式等とみなす。
(新設分割の認可)
第十一条 保管振替機関が新たに設立する株式会社に保管振替業の全部又は一部を承継させるために行う新設分割(以下この節において単に「新設分割」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、新設分割により設立される株式会社(以下この節において「設立会社」という。)について次に掲げる事項を記載した新設分割認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 設立会社が承継する保管振替業
3 新設分割認可申請書には、分割計画書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 設立会社が第三条第一項第三号から第六号までに掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 設立会社は、新設分割の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 設立会社は、新設分割をした保管振替機関の承継の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(新設分割の場合の預託債権者の異議)
第十一条の二 保管振替機関が新設分割に係る分割の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第三百七十四条ノ四第一項の規定による催告は、することを要しない。この場合において、同法第三百七十四条ノ十第二項の規定は、当該預託債権者については、適用しない。
2 前項の場合における預託債権者に係る商法第三百七十四条ノ四第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段第二項第三項及第三百七十六条第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、新設分割の決議に係る預託債権者の異議について準用する。
(新設分割の効果)
第十一条の三 第十条の三第一項の規定は、新設分割について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項」とあるのは「(設立会社に承継させる保管振替業に係る参加者であつて、商法第三百七十四条ノ四第二項」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(設立会社に承継させる保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、設立会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部について新設分割を行つたときの設立会社について準用する。
(吸収分割の認可)
第十一条の四 保管振替機関が他の株式会社に保管振替業の全部又は一部を承継させるために行う吸収分割(以下この節において単に「吸収分割」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、吸収分割により保管振替業の全部又は一部を承継する株式会社(以下この節において「承継会社」という。)について次に掲げる事項を記載した吸収分割認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 承継会社が承継する保管振替業
3 吸収分割認可申請書には、分割契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 承継会社が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 承継会社(保管振替機関が承継会社である場合を除く。)は、吸収分割の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 承継会社は、吸収分割をした保管振替機関の承継の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(吸収分割の場合の預託債権者の異議)
第十一条の五 保管振替機関が吸収分割に係る分割の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第三百七十四条ノ二十第一項の規定による催告は、することを要しない。この場合において、同法第三百七十四条ノ二十六第二項の規定は、当該預託債権者については、適用しない。
2 前項の場合における預託債権者に係る商法第三百七十四条ノ二十第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段第二項第三項、第三百七十四条ノ四第一項但書及第三百七十六条第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、吸収分割の決議に係る預託債権者の異議について準用する。
(吸収分割の効果)
第十一条の六 第十条の三第一項の規定は、吸収分割について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項」とあるのは「(承継会社に承継させる保管振替業に係る参加者であつて、商法第三百七十四条ノ二十第二項」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(承継会社に承継させる保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、承継会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部について吸収分割を行つたときの承継会社について準用する。
(営業譲渡の認可)
第十二条 保管振替機関が他の株式会社に行う保管振替業の全部又は一部の譲渡(以下この節において「営業譲渡」という。)は、主務大臣の許可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、営業譲渡により保管振替業の全部又は一部を譲り受ける株式会社(以下この節において「譲受会社」という。)について次に掲げる事項を記載した営業譲渡認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 譲受会社が承継する保管振替業
3 営業譲渡認可申請書には、譲渡契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 譲受会社が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 譲受会社(保管振替機関が譲受会社である場合を除く。)は、営業譲渡の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 譲受会社は、営業譲渡をした保管振替機関の譲渡の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務及び第六条の二の発行者の同意に係る権利義務を承継する。
(営業譲渡の場合の預託債権者の異議)
第十二条の二 保管振替機関が営業譲渡の決議をした場合においては、保管振替機関は、当該決議の日から二週間以内に、当該営業譲渡に伴う預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある当該債務の引受けに係る預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、当該債務の引受けに係る参加者に対して各別にその旨を催告することができる。この場合において、預託債権者が当該期間内に異議を述べなかつたときは、当該預託債権者は、当該債務の引受けを承諾したものとみなす。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第一項の場合における債務の引受けに係る預託債権者の異議について準用する。
(営業譲渡の効果)
第十二条の三 第十条の三第一項の規定は、営業譲渡について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項において準用する同法第百条第二項の規定により特定合併を承認したものとみなされるものに限る。)」とあるのは「(第十二条の二第一項後段の規定により預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けを承諾したとみなされるものに限る。)」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(譲受会社に譲渡する保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、譲受会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部の譲渡を行つた場合の譲受会社について準用する。
3 保管振替業の全部の譲渡を受けた譲受会社は、前項において準用する第十条の三第二項の規定により当該譲受会社に係る保管振替機関名義株式等とみなされる株式、資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)に規定する優先出資及び受益権、投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資口並びに協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資について、商法第二百二十六条ノ二第四項(資産の流動化に関する法律第四十九条及び第百七十八条、投資信託及び投資法人に関する法律第八十三条第五項並びに協同組織金融機関の優先出資に関する法律第三十条において準用する場合を含む。)の規定による株券等の発行又は返還の請求をすることができる。
第五節 解散等
(解散等の認可)
第十三条 次に掲げる事項は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
一 保管振替機関の解散についての株主総会の決議
二 保管振替機関を全部又は一部の当事者とする合併(合併後存続する株式会社又は合併により設立される株式会社が保管振替業を営まない場合に限る。)
(指定の失効)
第十三条の二 保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三条第一項の指定は、その効力を失う。
一 保管振替業を廃止したとき。
二 解散したとき(設立、合併又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
2 前項の規定により指定が効力を失つたときは、その保管振替機関であつた者又は一般承継人(合併により消滅した保管振替機関の権利義務を承継した者であつて、保管振替業を営まないものに限る。次条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
3 主務大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定取消し等の場合のみなし保管振替機関)
第十三条の三 保管振替機関が第九条の二第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消された場合又は前条第一項の規定により当該指定が効力を失つた場合においては、その保管振替機関であつた者又は一般承継人は、当該保管振替機関が行つた保管振替業を速やかに結了しなければならない。この場合において、当該保管振替機関であつた者又は一般承継人は、その保管振替業の結了の目的の範囲内において、なおこれを保管振替機関とみなす。
(清算手続等における主務大臣の意見等)
第十三条の四 裁判所は、保管振替機関の清算手続、破産手続、再生手続、整理手続、更生手続又は承認援助手続において、主務大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。
2 主務大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。
3 第八条の規定は、第一項の規定により主務大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。
第十五条第一項中「参加者は」の下に「、保管振替機関ごとに」を加え、同条第二項第四号中「その他の」を「その他」に改める。
第十七条第二項第四号中「その他の」を「その他」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(保管振替機関の機関口座)
第十七条の二 保管振替機関は、自己のために株券の保管及び振替を行うための口座を開設し、機関口座簿を備えることができる。
2 前項の場合において、保管振替機関は、機関口座簿に、自己の商号のほか、保管及び振替を行おうとする株券につき、会社の商号並びに株式の種類及び数その他主務省令で定める事項を記載しなければならない。
3 次条及び第二十六条第四項の規定の適用については機関口座簿は参加者口座簿とみなし、第二十三条及び第二十五条の規定の適用については機関口座簿に記載された株式に係る株券は預託株券とみなす。
第二十六条に次の一項を加える。
4 前三項の規定による振替の請求があつたときは、保管振替機関又は第十五条第一項の参加者は、遅滞なく、参加者口座簿又は顧客口座簿に当該請求に係る振替の記載をしなければならない。
第二十六条の次に次の一条を加える。
(機関口座簿に記載された株式の振替)
第二十六条の二 保管振替機関は、機関口座簿に記載された株式につき、他の口座へ振替を行うことができる。
第二十九条第一項中「際し」の下に「、預託株券である旨を明らかにして」を加え、同条第二項中「株主名簿に」の下に「、預託株券に係る株式である旨が記載され、かつ、」を加える。
第三十一条第三項後段を削り、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 参加者は、保管振替機関から、当該参加者が顧客預託分として預託し、又は預託することとなるべき株券の株式につき、第一項又は第二項の規定による実質株主の通知のために必要な事項の報告を求められたときは、速やかに、顧客(主務省令で定める場合において、当該顧客から他の者が実質株主である旨の申出があつたときは、その者)を実質株主として当該事項を報告しなければならない。
第三十二条第一項中「会社は」の下に「、保管振替機関ごとに」を加え、同条第四項中「前条第四項」を「前条第五項」に改め、同条第七項中「(昭和十三年法律第七十四号)」を削る。
第三十九条第二項中「及び第三項並びに」を「から第四項まで及び」に改め、同条第三項中「(平成十年法律第百五号)」を削り、同条第四項中「及び第三項並びに」を「から第四項まで及び」に改め、同条第六項中「(昭和二十六年法律第百九十八号)」を削り、同条第七項中「(平成五年法律第四十四号)」を削り、同条第八項中「並びに第三十一条第二項及び第三項」を「、第三十一条第二項から第四項まで及び第三十二条第三項」に改める。
第三十九条の二の二中「、第十二条第一項」を「第九条の二第一項」に改める。
第三十九条の三第一号中「指定」の下に「(第十条第五項、第十一条第五項、第十一条の四第五項又は第十二条第五項の規定により指定を受けたものとみなされる場合を含む。)」を加え、同条第二号中「第十二条第一項」を「第九条の二第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
2 主務大臣は、第十三条の二第二項の規定による届出を受理したときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
第六章を次のように改める。
第六章 罰則
第四十二条 第十六条第一項、第十七条第二項、第十七条の二第二項、第十八条若しくは第二十六条第四項(これらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して顧客口座簿、参加者口座簿若しくは機関口座簿に記載すべき事項を記載せず、又はこれらに虚偽の記載をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第四十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第九条の二第一項の規定による業務の停止の命令に違反した者
二 第三十一条第一項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)、第三十一条第二項(第三十九条第二項、第四項及び第八項において準用する場合を含む。)、第三十一条第四項(第三十九条第二項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十一条第五項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主、実質優先出資社員、実質権利者、実質投資主若しくは実質優先出資者についての通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者
第四十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の二第一項、第十条第二項、第十一条第二項、第十一条の四第二項若しくは第十二条第二項の申請書又は第三条の二第二項、第十条第三項、第十一条第三項、第十一条の四第三項若しくは第十二条第三項の添付書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第七条の規定による記録の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の記録を作成した者
三 第七条の二第一項の規定による報告書の提出をせず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者
四 第八条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
五 第十三条の四第三項において準用する第八条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第四十五条 第三条の五の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条の四第一項の規定による認可を受けないで資本の額を減少し、又は虚偽の申請をして同項の認可を受けた者
二 第七条の四第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第七条の五の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第四十七条 法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。
一 第四十二条又は第四十三条 三億円以下の罰金刑
二 第四十四条(第五号を除く。) 二億円以下の罰金刑
三 第四十四条第五号又は前条 各本条の罰金刑
第四十八条 保管振替機関の取締役、監査役若しくは清算人又は参加者(その者が法人であるときは、その役員)が次の各号のいずれかに該当するときは、百万円以下の過料に処する。
一 第三条の四第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第九条又は第九条の三の規定による命令に違反したとき。
三 第九条の五第二項の規定に違反したとき。
四 正当の理由がなく、第十条の二第二項(第九条の五第四項、第十一条の二第三項、第十一条の五第三項及び第十二条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定による異議の伝達を行わなかつたとき。
五 第十六条第二項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、保管振替機関に株券等を提出することを怠つたとき。
六 第十六条第三項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、株券等を分別することを怠つたとき。
七 正当の理由がなく、第二十八条第一項(同条第三項において準用し、及びこれらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による交付の請求を拒んだとき。
八 第二十九条第一項後段(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、名義書換の請求をすることを怠つたとき。
九 正当の理由がなく、第三十六条(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による参加者口座簿若しくは顧客口座簿の写しの交付を拒み、又は虚偽の記載をして参加者口座簿若しくは顧客口座簿の写しを交付したとき。
第四十九条 商法第四百九十八条第一項、資産の流動化に関する法律第二百五十二条第一項、投資信託及び投資法人に関する法律第二百五十一条又は協同組織金融機関の優先出資に関する法律第五十四条第一項に掲げる者が次の各号のいずれかに該当するときは、百万円以下の過料に処する。
一 第三十二条第一項又は第五項(これらの規定を第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主名簿、実質優先出資社員名簿、実質権利者名簿、実質投資主名簿又は実質優先出資者名簿(以下この条において「実質株主名簿等」という。)を備え置かなかつたとき。
二 第三十二条第二項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)、第三十二条第三項(第三十九条第二項から第四項まで及び第六項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十二条第四項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主名簿等に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
三 正当の理由がなく、第三十二条第六項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十二条第七項(第三十九条第六項において準用する場合を含む。)の規定による実質株主名簿等の閲覧又は謄写の請求を拒んだとき。
第五十条 第十三条の二第二項に規定する保管振替機関であつた者又は一般承継人の役員が同項の規定に違反して届出を怠つたときは、三十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、附則第四条及び第五条の規定は、同年一月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 施行日から平成十六年三月三十一日までの間は、この法律の施行の際現に存する改正前の株券等の保管及び振替に関する法律(以下「旧法」という。)第三条第一項に規定する保管振替機関(以下「旧保管振替機関」という。)については、改正後の株券等の保管及び振替に関する法律(以下「新法」という。)第二条第二項に規定する保管振替機関(以下「新保管振替機関」という。)とみなして、新法の規定(第三条第二項、第三条の二第二項、第三条の三、第三条の四、第四条の二、第九条の三から第十条まで、第十条の二第一項、同条第二項及び第三項(これらの規定を第十二条の二第三項において準用する場合を除く。)、第十条の二第四項、第十条の三(第十二条の三において準用する場合を除く。)、第十一条から第十一条の六まで、第十三条、第十三条の二、第十三条の四、第十七条の二、第二十六条の二、第三十五条、第三十九条の三第二項並びに第四十七条各号を除く。)を適用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる新法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えるものとする。
第三条第一項第三号(ニ及びホを除く。)
取締役又は監査役
役員
第三条第一項第四号
定款及び保管振替業の実施に関する規程
保管振替業の実施に関する規程
第三条の五
取締役、監査役
役員
第七条の二第一項
決算期
事業年度
第七条の三
定款又は業務規程
業務規程
第七条の四第一項
第三条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項
その名称、住所若しくは事務所の所在地又は業務規程
その旨及び同条第二項第一号又は第三号に掲げる書類
その旨
第七条の四第二項
商号又は本店
名称又は住所若しくは事務所
第八条第一項
営業所
事務所
第九条の二第一項
取締役若しくは監査役
役員
第十二条の二第一項
決議
議決
第四十七条各号列記以外の部分
次の各号に掲げる規定
第四十二条から第四十四条まで及び前条
当該各号に定める
各本条の
第四十八条
取締役、監査役若しくは清算人
役員
(秘密保持義務に関する経過措置)
第三条 前条の規定により新保管振替機関とみなされる旧保管振替機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者についての保管振替事業(旧法第三条第一項に規定する保管振替事業をいう。以下同じ。)に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない義務については、施行日以後も、なお従前の例による。
(旧保管振替機関が行う事業譲渡の特例)
第四条 旧保管振替機関が新法第三条第一項の指定を受けようとする株式会社に施行日以後に保管振替事業の全部又は一部の譲渡を行うことを施行日の前日までに議決した場合には、旧保管振替機関は、当該議決の日から二週間以内に、当該譲渡に伴う預託を受けた旧法第二条第一項に規定する株券等(以下「株券等」という。)の預託に係る債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある当該債務の引受けに係る預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、当該債務の引受けに係る旧法第六条第二項に規定する参加者(以下「参加者」という。)に対して各別にその旨を催告することができる。この場合において、預託債権者が当該期間内に異議を述べなかったときは、当該預託債権者は、当該債務の引受けを承諾したものとみなす。
2 この条において「預託債権者」とは、旧保管振替機関が預託を受けた株券等並びに旧法第十六条第四項及び第十九条(旧法第二十条第三項及び第二十一条第四項(旧法第二十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及びこれらの規定を準用する旧法第三十九条の規定により旧保管振替機関が預託を受けたとみなされる株券等の預託に係る債権者をいう。
3 第一項の期間は、一月を下ってはならない。
4 預託債権者(参加者を除く。)が第一項の異議を述べるときは、当該預託債権者の顧客口座簿を管理する参加者を経由して行わなければならない。
5 預託債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、当該預託債権者は、その口座に係る株券等のすべてについて、旧法第二十八条第一項(旧法第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の株券等の交付の請求又は旧法第三十四条第一項の単元未満株式の商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百二十一条第六項において準用する同法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求を行ったものとみなす。
第五条 保管振替事業の全部又は一部の譲渡が行われた時において旧保管振替機関の前条第一項後段の規定により預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けを承諾したとみなされる参加者であった者が現に受けている旧法第十四条第一項ただし書又は第二項(これらの規定を旧法第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による当該旧保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求(譲渡する保管振替事業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、当該譲渡を受ける株式会社への預託に係る顧客の承諾又は請求とみなす。ただし、当該譲渡の日の前日までに顧客から別段の申出があったときは、この限りでない。
(罰則の適用に関する経過措置)
第六条 施行日前にした行為及び附則第三条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第八条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、新保管振替機関に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 小泉純一郎
法務大臣 森山眞弓
財務大臣 塩川正十郎
株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十三年六月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第六十九号
株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律
株券等の保管及び振替に関する法律(昭和五十九年法律第三十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二章 保管振替機関等(第三条―第十三条)」を
第二章
保管振替機関
第一節
通則(第三条―第三条の五)
第二節
業務(第四条―第六条の三)
第三節
監督(第七条―第九条の五)
第四節
合併、分割及び営業の譲渡(第十条―第十二条の三)
第五節
解散等(第十三条―第十三条の四)
に、「第四十六条」を「第五十条」に改める。
第二条を次のように改める。
(定義)
第二条 この法律において「株券等」とは、株券その他の有価証券で、その保管及び受渡しの合理化を図るべきものとして主務大臣が指定したものをいう。
2 この法律において「保管振替機関」とは、次条第一項の規定により主務大臣の指定を受けた株式会社をいう。
3 この法律において「参加者」とは、保管振替機関が第六条第一項の規定により株券等の保管及び振替を行うための口座を開設した者をいう。
第二章を次のように改める。
第二章 保管振替機関
第一節 通則
(保管振替業を営む者の指定)
第三条 主務大臣は、次に掲げる要件を備える株式会社を、その申請により、この法律の定めるところにより第四条各号に掲げる業務の全部(以下「保管振替業」という。)を営む者として、指定することができる。
一 第九条の二第一項の規定によりこの項の指定を取り消された日から五年を経過しない者でないこと。
二 この法律又はこの法律に相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者でないこと。
三 取締役又は監査役のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。
イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ニ 第九条の二第一項の規定によりこの項の指定を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けているこの項の指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその会社の取締役又は監査役(外国の法令上これらと同様に取り扱われている者を含む。ホにおいて同じ。)であつた者でその取消しの日から五年を経過しない者
ホ 第九条の二第一項の規定又はこの法律に相当する外国の法令の規定により解任を命ぜられた取締役又は監査役でその処分を受けた日から五年を経過しない者
ヘ 前号に規定する法律、商法、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第四十六条、第四十七条、第四十九条若しくは第五十条の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
四 定款及び保管振替業の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)が、法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより保管振替業を適正かつ確実に遂行するために十分であると認められること。
五 保管振替業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、保管振替業に係る収支の見込みが良好であると認められること。
六 その人的構成に照らして、保管振替業を適正かつ確実に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すると認められること。
2 主務大臣は、前項の指定をしたときは、その指定した保管振替機関の商号及び本店の所在地を官報で公示しなければならない。
(指定の申請)
第三条の二 前条第一項の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した指定申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 商号
二 資本の額及び純資産額
三 本店その他の営業所の名称及び所在地
四 取締役及び監査役の氏名
五 保管振替業以外の業務を営むときは、その業務の内容
2 指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 前条第一項第二号及び第三号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面
二 定款
三 会社登記簿の謄本
四 業務規程
五 貸借対照表及び損益計算書
六 収支の見込みを記載した書類
七 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める書類
(資本の額等)
第三条の三 保管振替機関の資本の額は、政令で定める金額以上でなければならない。
2 前項の政令で定める金額は、五億円を下回つてはならない。
3 保管振替機関の純資産額は、第一項の政令で定める金額以上でなければならない。
(資本の額の変更)
第三条の四 保管振替機関は、その資本の額を減少しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。
2 保管振替機関は、その資本の額を増加しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
3 保管振替機関が第九条の規定による主務大臣の命令を実施するために資本の減少が必要である場合における商法第三百七十六条第二項の規定の適用については、同項中「第百条」とあるのは、「第百条第一項及第二項」とする。
4 保管振替機関が預託を受けた株券等並びに第十六条第四項、第十九条(第二十条第三項及び第二十一条第四項(第二十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及びこれらの規定を準用する第三十九条の規定により保管振替機関が預託を受けたとみなされる株券等の預託に係る債権者(以下「預託債権者」という。)であつて参加者以外の者に対する前項の規定により読み替えて適用する商法第三百七十六条第二項において準用する同法第百条第一項の催告は、することを要しない。
5 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第三項の資本の減少が必要である場合における預託債権者の異議について準用する。
(秘密保持義務)
第三条の五 保管振替機関の取締役、監査役若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、保管振替業に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第二節 業務
(業務の範囲)
第四条 保管振替機関は、この法律の定めるところにより、次に掲げる業務を行うものとする。
一 株券等の保管に関する業務
二 株券等の振替に関する業務
三 その他この法律により保管振替機関が行うこととされている業務
(兼業の制限)
第四条の二 保管振替機関は、保管振替業のほか、他の業務を営むことができない。ただし、保管振替業に関連する業務で、当該保管振替機関が保管振替業を適正かつ確実に営むにつき支障を生ずるおそれがないと認められるものについて、主務省令で定めるところにより、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 保管振替機関は、前項ただし書の承認を受けた業務を廃止したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(保管振替業の一部の委託)
第四条の三 保管振替機関は、主務省令で定めるところにより、保管振替業の一部を、主務大臣の承認を受けて、他の者に委託することができる。
2 保管振替機関は、前項の規定による保管振替業の一部の委託に関する契約には、業務を委託する相手方が当該業務を他の者に委託しない旨の条件を付さなければならない。
(業務規程)
第五条 保管振替機関は、業務規程において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 取り扱う株券等に関する事項
二 参加者の口座に関する事項
三 参加者の顧客の口座に関する事項
四 株券等の預託及び保管に関する事項
五 預託を受けた株券等に不足が生じた場合の補てんに関する事項
六 株券等の振替に関する事項
七 株券等の交付に関する事項
八 預託を受けた株券等に係る権利の行使に関する事項
九 第三十一条(第三十九条第二項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)の通知に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、保管振替業の実施に必要な事項として主務省令で定める事項
(口座の開設)
第六条 保管振替機関は、業務規程の定めるところにより、次に掲げる者のために、その申出により株券等の保管及び振替を行うための口座を開設しなければならない。
一 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する証券会社
二 外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社
三 証券取引法第二条第二十五項に規定する証券金融会社
四 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行
五 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行
六 信託会社
七 農林中央金庫
八 商工組合中央金庫
九 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会
十 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合及び同法第八十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合連合会並びに同法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合及び同法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
十一 信用協同組合及び中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会
十二 信用金庫及び信用金庫連合会
十三 労働金庫及び労働金庫連合会
十四 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項に規定する保険会社及び同条第七項に規定する外国保険会社等
十五 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二十項に規定する登録投資法人
十六 その他前各号に類する者として主務大臣の指定したもの
2 参加者は、この法律の定めるところにより、保管振替機関に株券等を預託することができる。
(発行者の同意)
第六条の二 保管振替機関は、あらかじめ発行者から当該保管振替機関において取り扱うことについて同意を得た株券等でなければ、取り扱うことができない。
(差別的取扱いの禁止)
第六条の三 保管振替機関は、特定の参加者又は発行者に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。
第三節 監督
(帳簿書類等の作成及び保存)
第七条 保管振替機関は、主務省令で定めるところにより、業務に関する帳簿書類その他の記録を作成し、保存しなければならない。
(業務及び財産に関する報告書の提出)
第七条の二 保管振替機関は、決算期ごとに、業務及び財産に関する報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
2 前項の報告書に関する記載事項、提出期日その他必要な事項は、主務省令で定める。
(定款又は業務規程の変更)
第七条の三 保管振替機関の定款又は業務規程の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(商号等の変更の届出)
第七条の四 保管振替機関は、第三条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、その旨及び同条第二項第一号又は第三号に掲げる書類を、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
2 主務大臣は、前項の規定により保管振替機関の商号又は本店の所在地の変更の届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(事故の報告)
第七条の五 保管振替機関は、預託を受けた株券等の喪失その他の主務省令で定める事故が生じたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に報告しなければならない。
(報告及び検査)
第八条 主務大臣は、保管振替業の適正かつ確実な遂行のため必要があると認めるときは、保管振替機関に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又はその職員に、保管振替機関の営業所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(業務改善命令)
第九条 主務大臣は、保管振替業の適正かつ確実な遂行のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、保管振替機関に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(指定の取消し等)
第九条の二 主務大臣は、保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三条第一項の指定若しくは第四条の二第一項ただし書の承認を取り消し、六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその取締役若しくは監査役の解任を命ずることができる。
一 第三条第一項第二号又は第三号に掲げる要件に該当しないこととなつたとき。
二 第三条第一項の指定当時に同項各号のいずれかに該当していなかつたことが判明したとき。
三 不正の手段により第三条第一項の指定を受けたことが判明したとき。
四 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
2 主務大臣は、前項の規定により第三条第一項の指定を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(業務移転命令)
第九条の三 主務大臣は、保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、保管振替業を他の株式会社に移転することを命ずることができる。
一 前条第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消されたとき。
二 保管振替業を廃止したとき。
三 解散したとき(設立、合併又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
四 保管振替業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができない事態又は破産の原因たる事実の生ずるおそれがあると認められるとき。
(業務移転命令に伴う株主総会の特別決議に関する特例)
第九条の四 前条の規定による命令を受けた保管振替機関(次項及び次条第一項において「特定保管振替機関」という。)における商法第二百四十五条第一項、第三百四十三条、第三百四十五条第二項(同法第三百四十六条において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十七第四項又は第四百八条第三項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
2 特定保管振替機関における商法第四百八条第四項の規定による決議は、同項の規定にかかわらず、出席した株主の過半数であつて出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
3 第一項の規定により仮にした決議(以下この項及び次項において「仮決議」という。)があつた場合においては、各株主に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の株主総会を招集しなければならない。
4 前項の株主総会において第一項に規定する多数をもつて仮決議を承認した場合には、当該承認のあつた時に、当該仮決議をした事項に係る決議があつたものとみなす。
5 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があつた場合について準用する。この場合において、前項中「第一項」とあるのは、「第二項」と読み替えるものとする。
(業務移転命令に伴う営業譲渡における預託債権者保護手続の特例)
第九条の五 特定保管振替機関が第十二条第一項に規定する営業譲渡を行う場合における預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けについては、第十二条の二第一項の規定にかかわらず、個別の預託債権者の承諾を得ないですることができる。
2 前項の場合においては、第十二条第二項に規定する譲受会社は、債務の引受けの日から二週間以内に、当該債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下つてはならない。
4 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第二項の規定による預託債権者の異議について準用する。
第四節 合併、分割及び営業の譲渡
(特定合併の認可)
第十条 保管振替機関を全部又は一部の当事者とする合併(合併後存続する株式会社又は合併により設立される株式会社が保管振替業を営む場合に限る。以下この節において「特定合併」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、特定合併後存続する株式会社又は特定合併により設立される株式会社(以下この節において「特定合併後の保管振替機関」という。)について第三条の二第一項各号に掲げる事項を記載した合併認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
3 合併認可申請書には、合併契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 特定合併後の保管振替機関が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 特定合併後の保管振替機関(保管振替機関が特定合併後存続する株式会社である場合を除く。)は、特定合併の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 特定合併後の保管振替機関は、特定合併により消滅した保管振替機関の業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(特定合併の場合の預託債権者の異議)
第十条の二 保管振替機関が特定合併の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第四百十二条第一項の規定による催告は、することを要しない。
2 預託債権者(参加者を除く。)が商法第四百十二条第一項の異議を述べるときは、当該預託債権者の顧客口座簿を管理する参加者を経由して行わなければならない。
3 預託債権者が商法第四百十二条第一項の期間内に異議を述べたときは、当該預託債権者は、その口座に係る株券等のすべてについて、第二十八条第一項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の株券等の交付の請求又は第三十四条第一項の単元未満株式の同法第二百二十一条第六項において準用する同法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求を行つたものとみなす。
4 前項の預託債権者に係る商法第四百十二条第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段、第二項及第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
(特定合併の効果)
第十条の三 特定合併の時においてその当事者となる保管振替機関の参加者(商法第四百十二条第二項において準用する同法第百条第二項の規定により特定合併を承認したものとみなされるものに限る。)であつた者が現に受けている第十四条第一項ただし書又は第二項(これらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による当該保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求は、特定合併後の保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求とみなす。ただし、特定合併の日の前日までに顧客から別段の申出があつたときは、この限りでない。
2 保管振替機関が特定合併を行つた場合には、当該保管振替機関に係る第二十九条第二項に規定する保管振替機関名義株式(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する第二十九条第二項の規定により保管振替機関名義とされているものを含む。以下この項及び第十二条の三第三項において「保管振替機関名義株式等」という。)は、特定合併後の保管振替機関に係る保管振替機関名義株式等とみなす。
(新設分割の認可)
第十一条 保管振替機関が新たに設立する株式会社に保管振替業の全部又は一部を承継させるために行う新設分割(以下この節において単に「新設分割」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、新設分割により設立される株式会社(以下この節において「設立会社」という。)について次に掲げる事項を記載した新設分割認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 設立会社が承継する保管振替業
3 新設分割認可申請書には、分割計画書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 設立会社が第三条第一項第三号から第六号までに掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 設立会社は、新設分割の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 設立会社は、新設分割をした保管振替機関の承継の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(新設分割の場合の預託債権者の異議)
第十一条の二 保管振替機関が新設分割に係る分割の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第三百七十四条ノ四第一項の規定による催告は、することを要しない。この場合において、同法第三百七十四条ノ十第二項の規定は、当該預託債権者については、適用しない。
2 前項の場合における預託債権者に係る商法第三百七十四条ノ四第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段第二項第三項及第三百七十六条第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、新設分割の決議に係る預託債権者の異議について準用する。
(新設分割の効果)
第十一条の三 第十条の三第一項の規定は、新設分割について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項」とあるのは「(設立会社に承継させる保管振替業に係る参加者であつて、商法第三百七十四条ノ四第二項」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(設立会社に承継させる保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、設立会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部について新設分割を行つたときの設立会社について準用する。
(吸収分割の認可)
第十一条の四 保管振替機関が他の株式会社に保管振替業の全部又は一部を承継させるために行う吸収分割(以下この節において単に「吸収分割」という。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、吸収分割により保管振替業の全部又は一部を承継する株式会社(以下この節において「承継会社」という。)について次に掲げる事項を記載した吸収分割認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 承継会社が承継する保管振替業
3 吸収分割認可申請書には、分割契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 承継会社が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 承継会社(保管振替機関が承継会社である場合を除く。)は、吸収分割の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 承継会社は、吸収分割をした保管振替機関の承継の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を承継する。
(吸収分割の場合の預託債権者の異議)
第十一条の五 保管振替機関が吸収分割に係る分割の決議をした場合においては、預託債権者(参加者を除く。)に対する商法第三百七十四条ノ二十第一項の規定による催告は、することを要しない。この場合において、同法第三百七十四条ノ二十六第二項の規定は、当該預託債権者については、適用しない。
2 前項の場合における預託債権者に係る商法第三百七十四条ノ二十第二項の規定の適用については、同項中「第百条第一項後段第二項第三項、第三百七十四条ノ四第一項但書及第三百七十六条第三項」とあるのは、「第百条第一項後段及第二項」とする。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、吸収分割の決議に係る預託債権者の異議について準用する。
(吸収分割の効果)
第十一条の六 第十条の三第一項の規定は、吸収分割について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項」とあるのは「(承継会社に承継させる保管振替業に係る参加者であつて、商法第三百七十四条ノ二十第二項」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(承継会社に承継させる保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、承継会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部について吸収分割を行つたときの承継会社について準用する。
(営業譲渡の認可)
第十二条 保管振替機関が他の株式会社に行う保管振替業の全部又は一部の譲渡(以下この節において「営業譲渡」という。)は、主務大臣の許可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の認可を受けようとする保管振替機関は、営業譲渡により保管振替業の全部又は一部を譲り受ける株式会社(以下この節において「譲受会社」という。)について次に掲げる事項を記載した営業譲渡認可申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 第三条の二第一項各号に掲げる事項
二 譲受会社が承継する保管振替業
3 営業譲渡認可申請書には、譲渡契約書その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の認可の申請があつた場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 譲受会社が第三条第一項各号に掲げる要件に該当すること。
二 保管振替業の承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
5 譲受会社(保管振替機関が譲受会社である場合を除く。)は、営業譲渡の時に第三条第一項の指定を受けたものとみなす。
6 譲受会社は、営業譲渡をした保管振替機関の譲渡の対象となる業務に関し、行政官庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務及び第六条の二の発行者の同意に係る権利義務を承継する。
(営業譲渡の場合の預託債権者の異議)
第十二条の二 保管振替機関が営業譲渡の決議をした場合においては、保管振替機関は、当該決議の日から二週間以内に、当該営業譲渡に伴う預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある当該債務の引受けに係る預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、当該債務の引受けに係る参加者に対して各別にその旨を催告することができる。この場合において、預託債権者が当該期間内に異議を述べなかつたときは、当該預託債権者は、当該債務の引受けを承諾したものとみなす。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第一項の場合における債務の引受けに係る預託債権者の異議について準用する。
(営業譲渡の効果)
第十二条の三 第十条の三第一項の規定は、営業譲渡について準用する。この場合において、同項中「(商法第四百十二条第二項において準用する同法第百条第二項の規定により特定合併を承認したものとみなされるものに限る。)」とあるのは「(第十二条の二第一項後段の規定により預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けを承諾したとみなされるものに限る。)」と、「請求は、特定合併後の保管振替機関」とあるのは「請求(譲受会社に譲渡する保管振替業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、譲受会社」と読み替えるものとする。
2 第十条の三第二項の規定は、保管振替業の全部の譲渡を行つた場合の譲受会社について準用する。
3 保管振替業の全部の譲渡を受けた譲受会社は、前項において準用する第十条の三第二項の規定により当該譲受会社に係る保管振替機関名義株式等とみなされる株式、資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)に規定する優先出資及び受益権、投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資口並びに協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資について、商法第二百二十六条ノ二第四項(資産の流動化に関する法律第四十九条及び第百七十八条、投資信託及び投資法人に関する法律第八十三条第五項並びに協同組織金融機関の優先出資に関する法律第三十条において準用する場合を含む。)の規定による株券等の発行又は返還の請求をすることができる。
第五節 解散等
(解散等の認可)
第十三条 次に掲げる事項は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
一 保管振替機関の解散についての株主総会の決議
二 保管振替機関を全部又は一部の当事者とする合併(合併後存続する株式会社又は合併により設立される株式会社が保管振替業を営まない場合に限る。)
(指定の失効)
第十三条の二 保管振替機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三条第一項の指定は、その効力を失う。
一 保管振替業を廃止したとき。
二 解散したとき(設立、合併又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
2 前項の規定により指定が効力を失つたときは、その保管振替機関であつた者又は一般承継人(合併により消滅した保管振替機関の権利義務を承継した者であつて、保管振替業を営まないものに限る。次条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
3 主務大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定取消し等の場合のみなし保管振替機関)
第十三条の三 保管振替機関が第九条の二第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消された場合又は前条第一項の規定により当該指定が効力を失つた場合においては、その保管振替機関であつた者又は一般承継人は、当該保管振替機関が行つた保管振替業を速やかに結了しなければならない。この場合において、当該保管振替機関であつた者又は一般承継人は、その保管振替業の結了の目的の範囲内において、なおこれを保管振替機関とみなす。
(清算手続等における主務大臣の意見等)
第十三条の四 裁判所は、保管振替機関の清算手続、破産手続、再生手続、整理手続、更生手続又は承認援助手続において、主務大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。
2 主務大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。
3 第八条の規定は、第一項の規定により主務大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。
第十五条第一項中「参加者は」の下に「、保管振替機関ごとに」を加え、同条第二項第四号中「その他の」を「その他」に改める。
第十七条第二項第四号中「その他の」を「その他」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(保管振替機関の機関口座)
第十七条の二 保管振替機関は、自己のために株券の保管及び振替を行うための口座を開設し、機関口座簿を備えることができる。
2 前項の場合において、保管振替機関は、機関口座簿に、自己の商号のほか、保管及び振替を行おうとする株券につき、会社の商号並びに株式の種類及び数その他主務省令で定める事項を記載しなければならない。
3 次条及び第二十六条第四項の規定の適用については機関口座簿は参加者口座簿とみなし、第二十三条及び第二十五条の規定の適用については機関口座簿に記載された株式に係る株券は預託株券とみなす。
第二十六条に次の一項を加える。
4 前三項の規定による振替の請求があつたときは、保管振替機関又は第十五条第一項の参加者は、遅滞なく、参加者口座簿又は顧客口座簿に当該請求に係る振替の記載をしなければならない。
第二十六条の次に次の一条を加える。
(機関口座簿に記載された株式の振替)
第二十六条の二 保管振替機関は、機関口座簿に記載された株式につき、他の口座へ振替を行うことができる。
第二十九条第一項中「際し」の下に「、預託株券である旨を明らかにして」を加え、同条第二項中「株主名簿に」の下に「、預託株券に係る株式である旨が記載され、かつ、」を加える。
第三十一条第三項後段を削り、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 参加者は、保管振替機関から、当該参加者が顧客預託分として預託し、又は預託することとなるべき株券の株式につき、第一項又は第二項の規定による実質株主の通知のために必要な事項の報告を求められたときは、速やかに、顧客(主務省令で定める場合において、当該顧客から他の者が実質株主である旨の申出があつたときは、その者)を実質株主として当該事項を報告しなければならない。
第三十二条第一項中「会社は」の下に「、保管振替機関ごとに」を加え、同条第四項中「前条第四項」を「前条第五項」に改め、同条第七項中「(昭和十三年法律第七十四号)」を削る。
第三十九条第二項中「及び第三項並びに」を「から第四項まで及び」に改め、同条第三項中「(平成十年法律第百五号)」を削り、同条第四項中「及び第三項並びに」を「から第四項まで及び」に改め、同条第六項中「(昭和二十六年法律第百九十八号)」を削り、同条第七項中「(平成五年法律第四十四号)」を削り、同条第八項中「並びに第三十一条第二項及び第三項」を「、第三十一条第二項から第四項まで及び第三十二条第三項」に改める。
第三十九条の二の二中「、第十二条第一項」を「第九条の二第一項」に改める。
第三十九条の三第一号中「指定」の下に「(第十条第五項、第十一条第五項、第十一条の四第五項又は第十二条第五項の規定により指定を受けたものとみなされる場合を含む。)」を加え、同条第二号中「第十二条第一項」を「第九条の二第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
2 主務大臣は、第十三条の二第二項の規定による届出を受理したときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
第六章を次のように改める。
第六章 罰則
第四十二条 第十六条第一項、第十七条第二項、第十七条の二第二項、第十八条若しくは第二十六条第四項(これらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して顧客口座簿、参加者口座簿若しくは機関口座簿に記載すべき事項を記載せず、又はこれらに虚偽の記載をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第四十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第九条の二第一項の規定による業務の停止の命令に違反した者
二 第三十一条第一項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)、第三十一条第二項(第三十九条第二項、第四項及び第八項において準用する場合を含む。)、第三十一条第四項(第三十九条第二項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十一条第五項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主、実質優先出資社員、実質権利者、実質投資主若しくは実質優先出資者についての通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者
第四十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の二第一項、第十条第二項、第十一条第二項、第十一条の四第二項若しくは第十二条第二項の申請書又は第三条の二第二項、第十条第三項、第十一条第三項、第十一条の四第三項若しくは第十二条第三項の添付書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第七条の規定による記録の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の記録を作成した者
三 第七条の二第一項の規定による報告書の提出をせず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者
四 第八条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
五 第十三条の四第三項において準用する第八条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第四十五条 第三条の五の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条の四第一項の規定による認可を受けないで資本の額を減少し、又は虚偽の申請をして同項の認可を受けた者
二 第七条の四第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第七条の五の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第四十七条 法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。
一 第四十二条又は第四十三条 三億円以下の罰金刑
二 第四十四条(第五号を除く。) 二億円以下の罰金刑
三 第四十四条第五号又は前条 各本条の罰金刑
第四十八条 保管振替機関の取締役、監査役若しくは清算人又は参加者(その者が法人であるときは、その役員)が次の各号のいずれかに該当するときは、百万円以下の過料に処する。
一 第三条の四第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第九条又は第九条の三の規定による命令に違反したとき。
三 第九条の五第二項の規定に違反したとき。
四 正当の理由がなく、第十条の二第二項(第九条の五第四項、第十一条の二第三項、第十一条の五第三項及び第十二条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定による異議の伝達を行わなかつたとき。
五 第十六条第二項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、保管振替機関に株券等を提出することを怠つたとき。
六 第十六条第三項(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、株券等を分別することを怠つたとき。
七 正当の理由がなく、第二十八条第一項(同条第三項において準用し、及びこれらの規定を第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による交付の請求を拒んだとき。
八 第二十九条第一項後段(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、名義書換の請求をすることを怠つたとき。
九 正当の理由がなく、第三十六条(第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による参加者口座簿若しくは顧客口座簿の写しの交付を拒み、又は虚偽の記載をして参加者口座簿若しくは顧客口座簿の写しを交付したとき。
第四十九条 商法第四百九十八条第一項、資産の流動化に関する法律第二百五十二条第一項、投資信託及び投資法人に関する法律第二百五十一条又は協同組織金融機関の優先出資に関する法律第五十四条第一項に掲げる者が次の各号のいずれかに該当するときは、百万円以下の過料に処する。
一 第三十二条第一項又は第五項(これらの規定を第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主名簿、実質優先出資社員名簿、実質権利者名簿、実質投資主名簿又は実質優先出資者名簿(以下この条において「実質株主名簿等」という。)を備え置かなかつたとき。
二 第三十二条第二項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)、第三十二条第三項(第三十九条第二項から第四項まで及び第六項から第八項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十二条第四項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して、実質株主名簿等に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
三 正当の理由がなく、第三十二条第六項(第三十九条第三項及び第五項から第七項までにおいて準用する場合を含む。)又は第三十二条第七項(第三十九条第六項において準用する場合を含む。)の規定による実質株主名簿等の閲覧又は謄写の請求を拒んだとき。
第五十条 第十三条の二第二項に規定する保管振替機関であつた者又は一般承継人の役員が同項の規定に違反して届出を怠つたときは、三十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、附則第四条及び第五条の規定は、同年一月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 施行日から平成十六年三月三十一日までの間は、この法律の施行の際現に存する改正前の株券等の保管及び振替に関する法律(以下「旧法」という。)第三条第一項に規定する保管振替機関(以下「旧保管振替機関」という。)については、改正後の株券等の保管及び振替に関する法律(以下「新法」という。)第二条第二項に規定する保管振替機関(以下「新保管振替機関」という。)とみなして、新法の規定(第三条第二項、第三条の二第二項、第三条の三、第三条の四、第四条の二、第九条の三から第十条まで、第十条の二第一項、同条第二項及び第三項(これらの規定を第十二条の二第三項において準用する場合を除く。)、第十条の二第四項、第十条の三(第十二条の三において準用する場合を除く。)、第十一条から第十一条の六まで、第十三条、第十三条の二、第十三条の四、第十七条の二、第二十六条の二、第三十五条、第三十九条の三第二項並びに第四十七条各号を除く。)を適用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる新法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えるものとする。
第三条第一項第三号(ニ及びホを除く。)
取締役又は監査役
役員
第三条第一項第四号
定款及び保管振替業の実施に関する規程
保管振替業の実施に関する規程
第三条の五
取締役、監査役
役員
第七条の二第一項
決算期
事業年度
第七条の三
定款又は業務規程
業務規程
第七条の四第一項
第三条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項
その名称、住所若しくは事務所の所在地又は業務規程
その旨及び同条第二項第一号又は第三号に掲げる書類
その旨
第七条の四第二項
商号又は本店
名称又は住所若しくは事務所
第八条第一項
営業所
事務所
第九条の二第一項
取締役若しくは監査役
役員
第十二条の二第一項
決議
議決
第四十七条各号列記以外の部分
次の各号に掲げる規定
第四十二条から第四十四条まで及び前条
当該各号に定める
各本条の
第四十八条
取締役、監査役若しくは清算人
役員
(秘密保持義務に関する経過措置)
第三条 前条の規定により新保管振替機関とみなされる旧保管振替機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者についての保管振替事業(旧法第三条第一項に規定する保管振替事業をいう。以下同じ。)に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない義務については、施行日以後も、なお従前の例による。
(旧保管振替機関が行う事業譲渡の特例)
第四条 旧保管振替機関が新法第三条第一項の指定を受けようとする株式会社に施行日以後に保管振替事業の全部又は一部の譲渡を行うことを施行日の前日までに議決した場合には、旧保管振替機関は、当該議決の日から二週間以内に、当該譲渡に伴う預託を受けた旧法第二条第一項に規定する株券等(以下「株券等」という。)の預託に係る債務の引受けの内容の要旨及びこれに対し異議のある当該債務の引受けに係る預託債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、当該債務の引受けに係る旧法第六条第二項に規定する参加者(以下「参加者」という。)に対して各別にその旨を催告することができる。この場合において、預託債権者が当該期間内に異議を述べなかったときは、当該預託債権者は、当該債務の引受けを承諾したものとみなす。
2 この条において「預託債権者」とは、旧保管振替機関が預託を受けた株券等並びに旧法第十六条第四項及び第十九条(旧法第二十条第三項及び第二十一条第四項(旧法第二十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及びこれらの規定を準用する旧法第三十九条の規定により旧保管振替機関が預託を受けたとみなされる株券等の預託に係る債権者をいう。
3 第一項の期間は、一月を下ってはならない。
4 預託債権者(参加者を除く。)が第一項の異議を述べるときは、当該預託債権者の顧客口座簿を管理する参加者を経由して行わなければならない。
5 預託債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、当該預託債権者は、その口座に係る株券等のすべてについて、旧法第二十八条第一項(旧法第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の株券等の交付の請求又は旧法第三十四条第一項の単元未満株式の商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百二十一条第六項において準用する同法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求を行ったものとみなす。
第五条 保管振替事業の全部又は一部の譲渡が行われた時において旧保管振替機関の前条第一項後段の規定により預託を受けた株券等の預託に係る債務の引受けを承諾したとみなされる参加者であった者が現に受けている旧法第十四条第一項ただし書又は第二項(これらの規定を旧法第三十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による当該旧保管振替機関への預託に係る顧客の承諾又は請求(譲渡する保管振替事業において取り扱う株券等に係るものに限る。)は、当該譲渡を受ける株式会社への預託に係る顧客の承諾又は請求とみなす。ただし、当該譲渡の日の前日までに顧客から別段の申出があったときは、この限りでない。
(罰則の適用に関する経過措置)
第六条 施行日前にした行為及び附則第三条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第八条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、新保管振替機関に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 小泉純一郎
法務大臣 森山真弓
財務大臣 塩川正十郎