物品税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第46号
公布年月日: 昭和29年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

物品税法改正案は、税制改正の一環として提出された。主な改正点は、奢侈的消費の抑制の観点から、高級大型乗用車や高級時計、高級電気冷蔵庫等の税率引上げ、テレビジョン受像機への新規課税(税率30%)を行う。一方で、国際収支改善のため小型乗用自動車の税率は引下げ、14インチ以下のテレビは育成の観点から1955年3月末まで軽減税率(15%)を適用する。また、高級毛皮製品については、納税の利便性向上のため製造課税から小売課税に変更することとした。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年2月16日)
衆議院
(昭和29年2月17日)
(昭和29年2月18日)
(昭和29年2月19日)
(昭和29年2月23日)
参議院
(昭和29年2月23日)
衆議院
(昭和29年2月24日)
参議院
(昭和29年3月4日)
衆議院
(昭和29年3月9日)
参議院
(昭和29年3月9日)
衆議院
(昭和29年3月10日)
(昭和29年3月11日)
参議院
(昭和29年3月11日)
衆議院
(昭和29年3月16日)
参議院
(昭和29年3月16日)
衆議院
(昭和29年3月17日)
(昭和29年3月18日)
(昭和29年3月19日)
(昭和29年3月25日)
(昭和29年3月26日)
(昭和29年3月27日)
(昭和29年3月27日)
参議院
(昭和29年3月28日)
(昭和29年3月30日)
(昭和29年3月30日)
(昭和29年3月30日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
物品税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第四十六号
物品税法の一部を改正する法律
物品税法(昭和十五年法律第四十号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項第一種第六号を同種第七号とし、同種第五号の次に次の一号を加える。
六 高級毛皮製品
第一条第一項第二種甲類第四号中「但シ第四十八号ニ掲グルモノヲ除ク」を削り、同類第五号を次のように改める。
五 高級普通乗用自動車(輪距百二十吋又ハ気筒容積四千立方糎ヲ超ユルモノニ限ル)
第一条第一項第二種戊類第五十一号から己類第六十四号までをそれぞれ当該類に属するものとして二号ずつ繰り下げ、同種戊類第五十号を次のように改める。
五十二 毛皮製品但シ第一種第六号ニ掲グルモノヲ除ク
第一条第一項第二種戊類第四十八号中「同部分品」の下に「但シ第四号ニ掲グルモノヲ除ク」を加え、同類第四十七号から第四十九号までを二号ずつ繰り下げ、同種丁類中第四十六号を次のように改める。
四十八 小型普通乗用四輪自動車(電気ヲ動力源トスルモノニ在リテハ輪距百吋以下其ノ他ノモノニ在リテハ輪距百吋以下ニシテ気筒容積千五百立方糎以下又ハ四輪駆動式ノモノニ限ル)
第一条第一項第二種丁類第四十五号中「第五十八号」を「第六十号」に改め、同類中第二十七号から第四十五号までを二号ずつ繰り下げる。
第一条第一項第二種丙類第二十六号中「第四十六号及第六十号」を「第五号、第四十八号及第六十二号」に改め、同類中第十九号から第二十六号までを二号ずつ繰り下げ、第十八号を削り、同類第十七号中「第四十四号」を「第十一号及第四十六号」に改め、同号を同類第二十号とし、同類第十四号中「第五十五号」を「第五十七号」に改め、同類中同号から第十六号までを三号ずつ、第十号から第十三号までを二号ずつそれぞれ繰り下げ、同類中第十六号として次の一号を加える。
十六 テレビジヨン受像機及同部分品但シ第六十号及第六十一号ニ掲グルモノヲ除ク
第一条第一項第二種乙類中第九号の次に次の二号を加える。
十 電気冷蔵器、瓦斯冷蔵器及同部分品
十一 電気、瓦斯又ハ液体燃料ヲ使用スルラジエーター(室内用ノモノニ限ル)又ハルームクーラー
第二条第二項の次に次の二項を加える。
内容積四立方呎以下ノ電気冷蔵器及瓦斯冷蔵器ニシテ前条第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ第一項ノ規定に拘ラズ其ノ価格ノ百分ノ三十ノ税率ニ依ル
前条第一項第二種第四十八号ニ掲グル物品ニシテ同項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ第一項ノ規定ニ拘ラズ其ノ価格ノ百分ノ十五ノ税率ニ依ル
第三条ノ二を第三条ノ三とし、第三条の次に次の一条を加える。
第三条ノ二 小売業者ノ販売シタル第一種ノ物品ニシテ第一条第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ物品税ヲ課スル価格ノ最低限(以下本条中課税最低限ト謂フ)ヲ定メタルモノノ対価タル金額ガ当該物品ノ課税最低限ノ額以上ニシテ当該課税最低限ノ額ト当該課税最低限ノ額ニ第二条ノ税率ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ニ満タザル場合ニ於テハ同条ノ規定ニ拘ラズ其ノ対価タル金額ト当該課税最低限ノ額トノ差額ヲ当該物品ノ税額トス
第七条第一項第二号及び同条第二項中「第三十二号又ハ第四十七号」を「第三十四号又ハ第四十九号」に改める。
第十三条の次に次の一条を加える。
第十三条ノ二 前条第一項第一号ノ適用ヲ受ケタル物品ハ之ヲ本法施行地ニ於テ使用シ(同条第四項ニ規定スル手続ニ依リ購入シタル物品ヲ当該購入者ガ使用スル場合ヲ除ク)若ハ消費シ又ハ輸出以外ノ目的ニ充ツル為譲渡シ若ハ譲受クルコトヲ得ズ但シ当該物品ニ付同条第一項第一号ノ規定ノ適用ヲ受ケテ製造場ヨリ移出シタル者又ハ同条第四項ニ規定スル手続ニ依リ購入シタル者ガ命令ノ定ムル手続ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前条第一項第二号又ハ第三号ノ適用ヲ受ケタル物品ハ其ノ物品税ノ免除ヲ受ケタル日ヨリ二年間其ノ用途以外ノ用途ニ供シ又ハ其ノ用途以外ノ用途ニ供スル為譲渡シ若ハ譲受クルコトヲ得ズ但シ同項第二号又ハ第三号ノ規定ノ適用ヲ受ケテ製造場ヨリ移出シ若ハ保税地域ヨリ引取リタル者又ハ此等ノ者(第一種ノ物品ニ付テハ小売業者)ヨリ当該物品ヲ購入シタル者ガ命令ノ定ムル手続ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前二項ノ承認ヲ受ケタル物品ニ付テハ其ノ承認ヲ受ケタル者ヨリ当該承認ヲ受ケタル時ニ於ケル価格(前条第一項第一号ノ適用ヲ受ケタル物品ニシテ同条第四項ノ適用ヲ受クル物品以外ノ物品ニ付テハ同条第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケテ製造場ヨリ移出シタル時ニ於ケル価格)ニ応ジ直ニ物品税ヲ徴収ス此ノ場合ニ於テハ前条第二項及第四項本文ノ規定ヲ適用セズ
第十八条第一項に次の一号を加える。
三 第十三条ノ二第一項又ハ第二項ノ規定ニ違反シタル者
第十八条第三項を次のように改める。
第一項ノ場合ニ於テハ犯人ヨリ直ニ其ノ物品税ヲ徴収ス此ノ場合ニ於テ同項第三号ノ規定ニ該当スルトキハ第十三条第二項又ハ第四項本文ノ規定ヲ適用セズ
附 則
1 この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。
2 昭和三十年三月三十一日までの間に製造場から移出され、又は保税地域から引き取られるテレビジヨン受像機で十四インチ(政令で定めるところにより通常の取引において使用される測定方法により測定した長さによる。)以下のブラウン管を使用したもの及びその部分品(ブラウン管及びテレビジヨン受像機箱に限る。)については、改正後の物品税法第一条第一項の規定にかかわらず、その価格の百分の十二の税率による。
3 当分の間、製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる改正後の物品税法第一条第一項第二種第三十四号に掲げる物品のうち果実を原料とした果実じゆう、果実水及び果実みつに課せられるべき物品税の税率は、同法第二条第一項の規定にかかわらず、その価格の百分の十とする。
4 昭和二十九年六月一日から同年八月三十一日までの間に製造場から移出される前項に掲げる物品のうち、うんしゆうみかん、夏みかん(ひうが夏みかん、伊予みかん、なるとみかん、三宝かん及びはつさくを含む。)、りんご又はぶどうのさくじゆうで濃縮しないものを原料とし、且つ、乳化剤又は乳化香料を使用しないで製造した果実水については、前項の規定にかかわらず、物品税を課さない。
5 この法律の施行前に課した、又は課すべきであつた物品税については、なお従前の例による。
6 物品税法第十一条第一項、第十二条第一項又は第十三条第一項の規定による承認を受けてこの法律の施行前に製造場から移出し、又は保税地域から引き取つた物品がその承認の際政府が指定した期間内にその承認を受けた移出先若しくは引取先に移入され、若しくは輸出され、又はその承認を受けた用途に供されたことの証明がない場合(当該期間がこの法律の施行の日の前日までに終る場合を除く。)における物品税の徴収については、改正後の物品税法第一条及び第二条の規定を適用する。
7 物品税法第十二条第一項の規定による承認を受けてこの法律の施行前に製造場から移出し、又は保税地域から引き取つた物品について、この法律の施行後にその用途が変更された場合における同条第二項の規定による物品税の徴収については、改正後の物品税法第一条及び第二条の規定を適用する。
8 この法律の施行前から引き続いて改正後の物品税法第一条第一項第一種第六号に掲げる物品の小売業を営み、又は同項第二種第十六号に掲げる物品を製造する者は、この法律の施行後一月以内に、昭和二十九年九月一日前から引き続いて第四項に掲げる物品を製造する者は、同日以後一月以内に、その旨及びその販売場又は製造場の位置をその所在地の所轄税務署長に書面で申告しなければならない。
9 前項の規定による申告をした者は、この法律の施行の日(その者が第四項に掲げる物品を製造する者である場合には、昭和二十九年九月一日)において物品税法第十五条の規定による申告をした者とみなす。
10 第八項及び物品税法第十八条第一項第一号の規定は、この法律の施行前から引き続いて改正後の物品税法第一条第一項第一種第六号に掲げる物品の小売業を営み、又は同項第二種第十六号に掲げる物品を製造する者で、この法律の施行後一月以内に小売業又は製造を廃止するもの及び昭和二十九年九月一日前から引き続いて第四項に掲げる物品を製造する者で、同日以後一月以内に製造を廃止するものについては、適用しない。
11 この法律の施行の際製造場及び保税地域以外の場所で左に掲げる物品(第二号又は第三号に掲げるものについては三個以上のものに限る。)を所持する当該物品の製造者又は販売者がある場合においては、当該物品については、その者が製造者としてこれをこの法律の施行の日に製造場から移出したものとみなして、物品税を課する。この場合においては、第一号に掲げる物品についてはその価格の百分の二十、第二号及び第四号に掲げる物品についてはその価格の百分の十、第三号に掲げる物品についてはその価格の百分の三十(テレビジヨン受像機のうち、第二項に掲げるものについては百分の十二)の税率により算出した金額をその税額とする。
一 改正後の物品税法第一条第一項第二種第五号に掲げる物品
二 改正後の物品税法第一条第一項第二種第十号に掲げる物品(同法第二条第三項の規定の適用を受ける物品を除く。)及び同種第十一号に掲げる物品
三 テレビジヨン受像機
四 改正後の物品税法第一条第一項第二種第二十八号に掲げる物品(輪距百十インチをこえるものを除く。)
12 前項に規定する税額が三万円以下のときは、昭和二十九年四月三十日限り、三万円をこえるときは、左の区分によりその税額を各月に等分して、その月末日限り、これを徴収する。
税額三万円をこえるとき 昭和二十九年四月及び五月
税額十万円をこえるとき 同年四月から六月まで
税額三十万円をこえるとき 同年四月から七月まで
税額五十万円をこえるとき 同年四月から八月まで
13 第十一項に規定する者は、その所持する物品で同項の規定に該当するものの貯蔵場所並びに貯蔵場所ごとに品目別の数量及び価格を、この法律の施行後一月以内に、その貯蔵場所の所在地の所轄税務署長に書面で申告しなければならない。
14 この法律の施行の際製造場以外の場所において物品の販売者が所持する改正後の物品税法第一条第一項第一種第六号に掲げる物品については、政令で定めるところにより、物品税法第四条の規定にかかわらず、物品税を免除する。
15 第八項、第十一項及び前項の規定は、これらの項に規定する物品が改正後の物品税法第一条第一項の規定に基き政令で定められた物品に該当する場合に限り、適用する。
16 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 小笠原三九郎
内閣総理大臣 吉田茂