朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル非常特別稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年三月三十一日
內閣總理大臣 伯爵 桂太郞
內務大臣 子爵 芳川顯正
農商務大臣 男爵 淸浦奎吾
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
司法大臣 波多野敬直
法律第三號
非常特別稅法
第一條 臨時事件ニ因リ生シタル經費ヲ支辨スル爲本法ニ依リ地租、營業稅、所得稅、酒稅、砂糖消費稅、醬油稅、登錄稅、取引所稅、狩獵免許稅、鑛區稅及各種ノ輸入稅ヲ增徵シ毛織物及石油ニ消費稅ヲ課シ民事訴訟用印紙ヲ增貼セシム
第二條 地租、營業稅、所得稅、酒稅、砂糖消費稅、醬油稅、登錄稅、取引所稅、狩獵免許稅、鑛區稅及飮食物、衣服及附屬品、石油、砂糖、糖蜜、糖水、絹布類、酒類、煙草類ノ輸入稅ハ關係法規ノ定メタル稅額ノ外左ノ割合ノ稅額ヲ增徵ス
一 地租
市街宅地 地價百分ノ五、五
郡村宅地 地價百分ノ三、五
其ノ他ノ土地 地價百分ノ一、八
二 營業稅 營業稅法ニ依ル稅額十分ノ七
三 所得稅
第一種及第三種所得 所得稅法ニ依ル稅額十分ノ七
四 酒稅
酒造稅法ニ依ル酒類
第一種 一石ニ付金五十錢
第二種 一石ニ付金五十錢
第三種 一石ニ付酒精分一度每ニ金二錢五厘
麥酒 一石ニ付金五十錢
酒精又ハ酒精含有飮料(原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超ユルモノ) 一石ニ付原容量百分中純酒精ノ容量一箇每ニ金二錢五厘
沖繩縣酒類出港稅
沖繩縣酒類出港稅則第一條第一項ニ依リ課稅スヘキ酒類 一石ニ付金五十錢
同第二項ニ依リ課稅スヘキ酒類 一石ニ付原容量百分中純酒精ノ容量一箇每ニ金二錢五厘
五 砂糖消費稅
第一種 百斤ニ付金一圓
第二種 百斤ニ付金三圓
第三種 百斤ニ付金三圓三十錢
第四種 百斤ニ付金三圓七十錢
六 醬油稅
醬油稅則第二條本文ニ依ル場合
醬油 諸味一石ニ付金五十錢
溜 製成一石ニ付金五十錢
醬油稅則第二條但書ニ依ル場合
醬油 諸味一石ニ付金二十五錢
溜 製成一石ニ付金二十五錢
七 登錄稅
不動產ニ關スル登記
法定ノ家督相續ニ因ル所有權ノ取得 不動產價格千分ノ三
法定ノ家督相續以外ノ家督相續又ハ遺產相續ニ因ル所有權ノ取得 不動產價格千分ノ五
遺言、贈與其ノ他無償名義ニ因ル所有權ノ取得 不動產價格千分ノ十
其ノ他ノ原因ニ因ル所有權ノ取得 不動產價格千分ノ五
從來保有セル所有權ノ保存 不動產價格千分ノ三
華族世襲財產ノ創設 不動產價格千分ノ五
船舶ニ關スル登記
法定ノ家督相續ニ因ル所有權ノ取得 船舶價格千分ノ二
法定ノ家督相續以外ノ家督相續又ハ遺產相續ニ因ル所有權ノ取得 船舶價格千分ノ五
遺言、贈與其ノ他無償名義ニ因ル所有權ノ取得 船舶價格千分ノ二十
其ノ他ノ原因ニ因ル所有權ノ取得 船舶價格千分ノ五
從來保有セル所有權ノ保存 船舶價格千分ノ二
登錄稅法第六條及第六條ノ二ニ依ル登錄稅
課稅標準ノ千分比例ヲ以テ稅率ヲ定メタルモノ 課稅標準千分ノ一
一箇所每ニ又ハ一件每ニ稅額ヲ定メタルモノ
稅額金十圓ナルトキ 金五圓
稅額金五圓ナルトキ 金二圓
稅額金三圓ナルトキ 金二圓
稅額金二圓ナルトキ 金一圓
稅額金一圓ナルトキ 金五十錢
稅額金五十錢ナルトキ 金二十錢
鑛業ニ關スル登錄
試掘 金二十五圓
採掘 金五十圓
試掘增區及增減區ニ係ル訂正 金十圓
採掘增區及增減區ニ係ル訂正 金二十五圓
買受、讓受 金二十五圓
八 取引所稅
商品、有價證券 賣買各約定代金高 萬分ノ三
國債及地方債證券 同 萬分ノ二
九 狩獵免許稅
一等 金十圓
二等 金五圓
三等 金一圓
十 鑛區稅 鑛區一千坪每ニ一箇年金十錢
十一 輸入稅
關稅定率法附屬輸入稅表第二類ニ揭クル物品但シ糖菓類ヲ除ク 從價五分
糖菓類
甲 菓子 從價一割
乙 砂糖、糖蜜若ハ糖水ヲ以テ貯藏シタルモノ 從價五分
關稅定率法附屬輸入稅表第三類中ニ揭クル物品ニシテ絹製及絹入ノモノ 從價二割
酒精(アルコール) 每リートル金三錢
各種變性アルコール 每リートル金三錢
各種酒精劑(阿片丁幾ヲ除ク) 每リートル金三錢
石油 從價二割
砂糖(和蘭標本色相第十五號未滿) 從價二割五分
糖蜜 從價二割
糖水 從價二割
支那縮緬 從價一割
支那絹紬 從價一割
支那絹繻子 從價一割
支那絹紋繻子 從價一割
絹綿繻子 從價一割
刺繍絹布及刺繍絹綿布 從價一割
其ノ他各種ノ絹布(純絹ト他物ヲ交ヘタルトヲ別タス但シ絹ノ重量超過スルモノ) 從價一割
諸製造煙草 從價十割
支那酒(釀造シタルモノ) 從價二割
淸酒 從價二割
各種ノ酒類ニシテ原容量百分中純酒精ノ容量五十以上ナルモノ 純酒精ノ容量一箇ヲ增ス每ニ十「リートル」ニ付金五厘
第三條 毛織物及石油ニハ左ノ割合ニ依リ消費稅ヲ課ス
一 毛織物 價格百分ノ十五
二 石油 每ガルロン金三錢二厘
前項ニ於テ毛織物ト稱スルハ毛ノ分量ニ拘ラス總テ毛製、毛絹製又ハ毛綿製ノ織物ヲ謂フ
第四條 訴狀其ノ他民事訴訟ニ關スル申立又ハ申請ノ書面ニハ民事訴訟用印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ增貼スヘシ
一 第一審ノ訴狀
財產權上ノ請求ニ係ルモノ
訴訟物ノ價額金五圓マテ 金五錢
同十圓マテ 金十錢
同二十圓マテ 金二十錢
同五十圓マテ 金三十錢
同七十五圓マテ 金三十錢
同百圓マテ 金五十錢
同二百五十圓マテ 金五十錢
同五百圓マテ 金二圓
同七百五十圓マテ 金二圓
同千圓マテ 金三圓
同二千五百圓マテ 金五圓
同五千圓マテ 金五圓
同五千圓以上ハ千圓ニ達スル每ニ 金一圓
財產權上ノ請求ニ非サルモノ 金五十錢
二 控訴狀
第一審ノ訴狀ニ增貼スヘキ印紙金額ノ半額
三 上吿狀
第一審ノ訴狀ニ增貼スヘキ印紙金額ト同額
四 支拂命令ノ申請
訴訟物ノ價額金十圓ヲ超過スル場合ニ於テハ民事訴訟用印紙法及本法ニ依リ第一審ノ訴狀ニ貼用スヘキ印紙金額ノ半額ト金二十錢トノ差額
前項ノ差額ハ民事訴訟法第三百九十條ノ規定ニ依リ訴カ區裁判所ニ繫屬スル場合又ハ第三百九十一條第二項ノ規定ニ依リ地方裁判所ニ訴ヲ起ス場合ニ於テ訴訟ニ付キ貼用スヘキ印紙ノ額ニ之ヲ通算スヘシ
五 其ノ他ノ申立又ハ申請
期日ノ變更、辯論ノ延期又ハ辯論期日ノ指定ノ申立
中斷又ハ中止シタル訴訟手續ノ受繼ノ申立
從參加ノ申請
忌避ノ申請
和解ノ申立
費用額確定ノ申請
假執行ノ宣言ヲ求ムル申立
强制執行ノ停止又ハ續行若ハ執行處分ノ取消ノ申立
配當要求
家資分散ノ申立又ハ家資分散者ノ復權ノ申立
强制競賣又ハ强制管理ノ申立
債權又ハ他ノ財產權差押ノ申請
民事訴訟法第七百三十二條乃至第七百三十四條ノ申立
金二十錢
證據調ノ申立
判決ノ送達ヲ求ムル申立
執行力アル正本ヲ求ムル申立但シ此ノ正本數通ヲ求ムルトキハ每一通ニ付
假差押又ハ假處分ノ申請
抗吿
故障
金五十錢
答辯書其ノ他特ニ揭ケサル申立又ハ申請 金五錢
左ニ揭クル申立又ハ申請ノ書面ニハ民事訴訟用印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外金八十錢ノ印紙ヲ增貼スヘシ
一 裁判上代位ノ申請
二 競賣法ニ依ル競賣ノ申立
三 裁判上ノ代位、競賣法ニ依ル競賣又ハ不動產登記ニ關スル抗吿
訴訟物ノ價額又ハ請求ノ價額金二十圓以下ナルトキハ第一項第五號ノ規定ヲ適用セス
本條第一項ノ規定ハ再審ヲ求ムルノ訴狀及原狀囘復ノ申立ニ之ヲ準用ス
第五條 商事非訟事件ニ關スル申立又ハ申請ノ書面ニハ商事非訟事件印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ增貼スヘシ
一 左ニ揭クル申立
抗吿
債權者ヨリ爲ス破產宣吿ノ申立
支拂猶豫ノ申立
金五十錢
二 其ノ他ノ申立又ハ申請 金五錢
破產手續ニ付テハ商事非訟事件印紙法第四條ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ增貼スヘシ
財團ノ價格金五圓マテ 金十錢
同十圓マテ 金二十錢
同二十圓マテ 金四十錢
同五十圓マテ 金六十錢
同七十五圓マテ 金六十錢
同百圓マテ 金一圓
同二百五十圓マテ 金一圓
同五百圓マテ 金四圓
同七百五十圓マテ 金四圓
同千圓マテ 金六圓
同二千五百圓マテ 金十圓
同五千圓マテ 金十圓
同五千圓以上ハ千圓ニ達スル每ニ 金二圓
前項ノ規定ハ商事非訟事件印紙法第六條及第七條ノ場合ニ之ヲ準用ス
商事非訟事件印紙法第五條ノ規定ハ本條第二項ノ規定ニ依リ印紙ヲ增貼スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第六條 左ニ揭クルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ消費稅ヲ免除ス
一 外國ニ輸出スル毛織物又ハ石油
二 製造者ノ自用ニ供スル毛織物又ハ石油
第七條 毛織物又ハ石油ノ消費稅ハ製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ル時引取人ヨリ之ヲ徵收ス
第八條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毛織物及石油消費稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第九條 製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ毛織物ヲ引取ル者ハ引取ノ際其ノ價格ヲ政府ニ申吿スヘシ
前項ノ申吿ヲ爲サス又ハ政府ニ於テ其ノ申吿シタル價格ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ハ毛織物ノ價格ヲ評定ス
毛織物引取人前項ノ評定價格ニ不服ナルトキハ卽時異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
異議ノ申立アリタルトキハ二人以上ノ鑑定人ヲ選定シ其ノ意見ヲ徵シ政府之ヲ決定ス
異議申立人ノ主張ニ係ル價格ト第二項ノ評定價格トノ差カ第二項ノ評定價格ト前項ノ決定價格トノ差ヨリ大ナルトキハ鑑定ニ關スル費用ハ其ノ申立人ノ負擔トス
第十條 第六條又ハ第八條ニ該當スル場合ノ外消費稅納付前ニ於テハ製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ルコトヲ得ス
第十一條 毛織物又ハ石油製造者ハ第六條又ハ第八條ニ該當スル場合ノ外消費稅納付前ニ於テ毛織物又ハ石油ヲ他ニ引渡シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十二條 自用ニ供スルモノヲ除ク外毛織物又ハ石油ヲ製造セムトスル者ハ政府ニ申吿スヘシ
第十三條 毛織物又ハ石油製造者ハ其ノ製造場ニ於テ毛織物又ハ石油ノ賣買業ヲ兼營スルコトヲ得ス
第十四條 毛織物又ハ石油ノ製造者及販賣者ハ帳簿ヲ備ヘ毛織物又ハ石油ノ製造出入ヲ詳細明瞭ニ記載スヘシ
第十五條 收稅官吏ハ毛織物又ハ石油ノ製造場又ハ販賣場ニ立入リ毛織物又ハ石油、其ノ原料、器具、器械、建築物又ハ帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
收稅官吏ハ監督上必要ト認ムルトキハ前項ノ物件ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十六條 收稅官吏ハ運搬中ニ在ル毛織物又ハ石油ヲ檢査シ其ノ出所及到著先ヲ質問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認メタルトキハ收稅官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ又ハ荷物若ハ船車ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ消費稅五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ハ十圓ヲ下ルコトヲ得ス
一 自用ニ供スル場合ノ外政府ニ申吿セスシテ毛織物又ハ石油ヲ製造シタルトキ
二 擔保物ヲ提供セスシテ消費稅ノ徵收ヲ猶豫セラレタル場合ニ於テ製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ引取リ又ハ移出シタル毛織物又ハ石油ヲ他ニ讓渡シ若ハ消費シタルトキ
三 第十條又ハ第十一條ノ禁令ヲ犯シタルトキ
第十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販賣者毛織物又ハ石油ノ製造出入ニ關シ帳簿ノ記載又ハ事實ノ申吿ヲ詐リ若ハ怠リタルトキ
二 收稅官吏其ノ職務ヲ執行スルニ當リ之ニ對シテ其ノ執行ヲ拒ミ又ハ之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタルトキ但シ刑法ニ正條アル場合ハ刑法ニ依ル
第十九條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル者ニハ刑法ノ減輕、再犯加重及數罪俱發ノ例ヲ用井ス
第二十條 毛織物又ハ石油ノ製造者、販賣者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ當業者ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條 毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販賣者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ製造者又ハ販賣者ヲ處罰ス
第二十二條 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ左ノ制限以內ノ地租附加稅又ハ段別割ヲ課スルノ外土地ニ對シテ課稅スルコトヲ得ス
一 北海道、府縣、北海道ノ區、一級町村及二級町村、沖繩縣ノ區及間切島
附加稅ノミヲ課スルトキ 地租 十分ノ五
段別割ノミヲ課スルトキ 一段步ニ付平均金四十錢
附加稅及段別割ヲ併課スル場合ニ於テ段別割ノ總額ハ總段別地租額ノ十分ノ五ト附加稅總額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
二 其ノ他ノ公共團體
附加稅ノミヲ課スルトキ 地租 十分ノ三
段別割ノミヲ課スルトキ 一段步ニ付平均金四十錢
附加稅及段別割ヲ併課スル場合ニ於テ段別割ノ總額ハ總段別地租額ノ十分ノ三ト附加稅總額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
北海道府縣以外ノ公共團體ハ營業稅又ハ所得稅百分ノ三十ヲ超過スル附加稅ヲ課スルコトヲ得ス
第二條ニ依ル地租、營業稅及所得稅ノ增徵額ニ對シテハ附加稅ヲ課スルコトヲ得ス
府縣費ヲ市町村ニ分賦シタル場合ニ於テハ其ノ金額以內ニ限リ市町村ハ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケ第一項又ハ第二項ノ制限ヲ超過シテ附加稅又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加稅及段別割ヲ併課スルコトヲ得
明治三十六年度以前ニ起シタル負債ノ元金償還及利子仕拂ノ爲若ハ非常ノ災害ニ因リ復舊工事ノ爲費用ヲ要シ又ハ其ノ費用ノ分賦ヲ受ケタル場合ニ於テ特ニ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ第一項又ハ第二項ノ制限ヲ超過シテ附加稅又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加稅及段別割ヲ併課スルコトヲ得
北海道ノ宅地及海產干場ニ付テハ特ニ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受クルトキハ第一項ノ制限ヲ超過シテ附加稅又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加稅及段別割ヲ併課スルコトヲ得
水利ノ爲ニ費用ヲ要スル場合ニ於テ特ニ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ第一項ノ制限ヲ超過シテ附加稅又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加稅及段別割ヲ併課スルコトヲ得
第一項及第二項ノ制限ハ特ニ賦課率ヲ定メタル特別法令ノ適用ヲ妨ケス
附 則
第二十三條 本法ハ發布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ輸入稅ニ關シテハ本法發布後六箇月ヲ經テ之ヲ施行ス
地租、營業稅、所得稅ニ關シテハ明治三十七年分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十二條ノ課稅制限ハ明治三十七年度ヨリ之ヲ適用ス
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ノ稅目又ハ稅率ニシテ本法ノ規定ニ牴觸スルモノハ其ノ牴觸ノ部分ニ限リ其ノ效力ヲ失フ
第二十四條 自用ニ供スルモノヲ除ク外本法施行前ヨリ毛織物又ハ石油ヲ製造シ本法施行後引續キ之ヲ製造セムトスル者ハ本法施行後一箇月以內ニ本法ニ依リ政府ニ申吿スヘシ
前項ノ期間內ハ從前ノ製造ヲ繼續スルコトヲ得
第二十五條 第一種砂糖、糖蜜及石油ニ付テハ本法施行後六箇月ヲ經過シタルトキハ本法ニ依ル消費稅ヲ課セス
第二種砂糖ニ付テハ本法施行後六箇月ヲ經過シタルトキハ第二條第五號ヲ適用セス百斤ニ付金二圓三十錢ノ消費稅ヲ增徵ス
第二十六條 本法施行後保稅倉庫ニ庫入シタル砂糖ニシテ和蘭標本色相第十五號未滿ノモノ及糖蜜ニ付テハ庫出ノ日ニ於テ行ハルル輸入稅率ヲ適用ス
第二十七條 平和克復ニ至リタルトキハ其ノ翌年末日限本法ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル非常特別税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年三月三十一日
内閣総理大臣 伯爵 桂太郎
内務大臣 子爵 芳川顕正
農商務大臣 男爵 清浦奎吾
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
司法大臣 波多野敬直
法律第三号
非常特別税法
第一条 臨時事件ニ因リ生シタル経費ヲ支弁スル為本法ニ依リ地租、営業税、所得税、酒税、砂糖消費税、醬油税、登録税、取引所税、狩猟免許税、鉱区税及各種ノ輸入税ヲ増徴シ毛織物及石油ニ消費税ヲ課シ民事訴訟用印紙ヲ増貼セシム
第二条 地租、営業税、所得税、酒税、砂糖消費税、醬油税、登録税、取引所税、狩猟免許税、鉱区税及飲食物、衣服及附属品、石油、砂糖、糖蜜、糖水、絹布類、酒類、煙草類ノ輸入税ハ関係法規ノ定メタル税額ノ外左ノ割合ノ税額ヲ増徴ス
一 地租
市街宅地 地価百分ノ五、五
郡村宅地 地価百分ノ三、五
其ノ他ノ土地 地価百分ノ一、八
二 営業税 営業税法ニ依ル税額十分ノ七
三 所得税
第一種及第三種所得 所得税法ニ依ル税額十分ノ七
四 酒税
酒造税法ニ依ル酒類
第一種 一石ニ付金五十銭
第二種 一石ニ付金五十銭
第三種 一石ニ付酒精分一度毎ニ金二銭五厘
麦酒 一石ニ付金五十銭
酒精又ハ酒精含有飲料(原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超ユルモノ) 一石ニ付原容量百分中純酒精ノ容量一箇毎ニ金二銭五厘
沖縄県酒類出港税
沖縄県酒類出港税則第一条第一項ニ依リ課税スヘキ酒類 一石ニ付金五十銭
同第二項ニ依リ課税スヘキ酒類 一石ニ付原容量百分中純酒精ノ容量一箇毎ニ金二銭五厘
五 砂糖消費税
第一種 百斤ニ付金一円
第二種 百斤ニ付金三円
第三種 百斤ニ付金三円三十銭
第四種 百斤ニ付金三円七十銭
六 醬油税
醬油税則第二条本文ニ依ル場合
醬油 諸味一石ニ付金五十銭
溜 製成一石ニ付金五十銭
醬油税則第二条但書ニ依ル場合
醬油 諸味一石ニ付金二十五銭
溜 製成一石ニ付金二十五銭
七 登録税
不動産ニ関スル登記
法定ノ家督相続ニ因ル所有権ノ取得 不動産価格千分ノ三
法定ノ家督相続以外ノ家督相続又ハ遺産相続ニ因ル所有権ノ取得 不動産価格千分ノ五
遺言、贈与其ノ他無償名義ニ因ル所有権ノ取得 不動産価格千分ノ十
其ノ他ノ原因ニ因ル所有権ノ取得 不動産価格千分ノ五
従来保有セル所有権ノ保存 不動産価格千分ノ三
華族世襲財産ノ創設 不動産価格千分ノ五
船舶ニ関スル登記
法定ノ家督相続ニ因ル所有権ノ取得 船舶価格千分ノ二
法定ノ家督相続以外ノ家督相続又ハ遺産相続ニ因ル所有権ノ取得 船舶価格千分ノ五
遺言、贈与其ノ他無償名義ニ因ル所有権ノ取得 船舶価格千分ノ二十
其ノ他ノ原因ニ因ル所有権ノ取得 船舶価格千分ノ五
従来保有セル所有権ノ保存 船舶価格千分ノ二
登録税法第六条及第六条ノ二ニ依ル登録税
課税標準ノ千分比例ヲ以テ税率ヲ定メタルモノ 課税標準千分ノ一
一箇所毎ニ又ハ一件毎ニ税額ヲ定メタルモノ
税額金十円ナルトキ 金五円
税額金五円ナルトキ 金二円
税額金三円ナルトキ 金二円
税額金二円ナルトキ 金一円
税額金一円ナルトキ 金五十銭
税額金五十銭ナルトキ 金二十銭
鉱業ニ関スル登録
試掘 金二十五円
採掘 金五十円
試掘増区及増減区ニ係ル訂正 金十円
採掘増区及増減区ニ係ル訂正 金二十五円
買受、譲受 金二十五円
八 取引所税
商品、有価証券 売買各約定代金高 万分ノ三
国債及地方債証券 同 万分ノ二
九 狩猟免許税
一等 金十円
二等 金五円
三等 金一円
十 鉱区税 鉱区一千坪毎ニ一箇年金十銭
十一 輸入税
関税定率法附属輸入税表第二類ニ掲クル物品但シ糖菓類ヲ除ク 従価五分
糖菓類
甲 菓子 従価一割
乙 砂糖、糖蜜若ハ糖水ヲ以テ貯蔵シタルモノ 従価五分
関税定率法附属輸入税表第三類中ニ掲クル物品ニシテ絹製及絹入ノモノ 従価二割
酒精(アルコール) 毎リートル金三銭
各種変性アルコール 毎リートル金三銭
各種酒精剤(阿片丁幾ヲ除ク) 毎リートル金三銭
石油 従価二割
砂糖(和蘭標本色相第十五号未満) 従価二割五分
糖蜜 従価二割
糖水 従価二割
支那縮緬 従価一割
支那絹紬 従価一割
支那絹繻子 従価一割
支那絹紋繻子 従価一割
絹綿繻子 従価一割
刺繍絹布及刺繍絹綿布 従価一割
其ノ他各種ノ絹布(純絹ト他物ヲ交ヘタルトヲ別タス但シ絹ノ重量超過スルモノ) 従価一割
諸製造煙草 従価十割
支那酒(醸造シタルモノ) 従価二割
清酒 従価二割
各種ノ酒類ニシテ原容量百分中純酒精ノ容量五十以上ナルモノ 純酒精ノ容量一箇ヲ増ス毎ニ十「リートル」ニ付金五厘
第三条 毛織物及石油ニハ左ノ割合ニ依リ消費税ヲ課ス
一 毛織物 価格百分ノ十五
二 石油 毎ガルロン金三銭二厘
前項ニ於テ毛織物ト称スルハ毛ノ分量ニ拘ラス総テ毛製、毛絹製又ハ毛綿製ノ織物ヲ謂フ
第四条 訴状其ノ他民事訴訟ニ関スル申立又ハ申請ノ書面ニハ民事訴訟用印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ増貼スヘシ
一 第一審ノ訴状
財産権上ノ請求ニ係ルモノ
訴訟物ノ価額金五円マテ 金五銭
同十円マテ 金十銭
同二十円マテ 金二十銭
同五十円マテ 金三十銭
同七十五円マテ 金三十銭
同百円マテ 金五十銭
同二百五十円マテ 金五十銭
同五百円マテ 金二円
同七百五十円マテ 金二円
同千円マテ 金三円
同二千五百円マテ 金五円
同五千円マテ 金五円
同五千円以上ハ千円ニ達スル毎ニ 金一円
財産権上ノ請求ニ非サルモノ 金五十銭
二 控訴状
第一審ノ訴状ニ増貼スヘキ印紙金額ノ半額
三 上告状
第一審ノ訴状ニ増貼スヘキ印紙金額ト同額
四 支払命令ノ申請
訴訟物ノ価額金十円ヲ超過スル場合ニ於テハ民事訴訟用印紙法及本法ニ依リ第一審ノ訴状ニ貼用スヘキ印紙金額ノ半額ト金二十銭トノ差額
前項ノ差額ハ民事訴訟法第三百九十条ノ規定ニ依リ訴カ区裁判所ニ繋属スル場合又ハ第三百九十一条第二項ノ規定ニ依リ地方裁判所ニ訴ヲ起ス場合ニ於テ訴訟ニ付キ貼用スヘキ印紙ノ額ニ之ヲ通算スヘシ
五 其ノ他ノ申立又ハ申請
期日ノ変更、弁論ノ延期又ハ弁論期日ノ指定ノ申立
中断又ハ中止シタル訴訟手続ノ受継ノ申立
従参加ノ申請
忌避ノ申請
和解ノ申立
費用額確定ノ申請
仮執行ノ宣言ヲ求ムル申立
強制執行ノ停止又ハ続行若ハ執行処分ノ取消ノ申立
配当要求
家資分散ノ申立又ハ家資分散者ノ復権ノ申立
強制競売又ハ強制管理ノ申立
債権又ハ他ノ財産権差押ノ申請
民事訴訟法第七百三十二条乃至第七百三十四条ノ申立
金二十銭
証拠調ノ申立
判決ノ送達ヲ求ムル申立
執行力アル正本ヲ求ムル申立但シ此ノ正本数通ヲ求ムルトキハ毎一通ニ付
仮差押又ハ仮処分ノ申請
抗告
故障
金五十銭
答弁書其ノ他特ニ掲ケサル申立又ハ申請 金五銭
左ニ掲クル申立又ハ申請ノ書面ニハ民事訴訟用印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外金八十銭ノ印紙ヲ増貼スヘシ
一 裁判上代位ノ申請
二 競売法ニ依ル競売ノ申立
三 裁判上ノ代位、競売法ニ依ル競売又ハ不動産登記ニ関スル抗告
訴訟物ノ価額又ハ請求ノ価額金二十円以下ナルトキハ第一項第五号ノ規定ヲ適用セス
本条第一項ノ規定ハ再審ヲ求ムルノ訴状及原状回復ノ申立ニ之ヲ準用ス
第五条 商事非訟事件ニ関スル申立又ハ申請ノ書面ニハ商事非訟事件印紙法ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ増貼スヘシ
一 左ニ掲クル申立
抗告
債権者ヨリ為ス破産宣告ノ申立
支払猶予ノ申立
金五十銭
二 其ノ他ノ申立又ハ申請 金五銭
破産手続ニ付テハ商事非訟事件印紙法第四条ニ依リ貼用スヘキ印紙ノ外左ノ印紙ヲ増貼スヘシ
財団ノ価格金五円マテ 金十銭
同十円マテ 金二十銭
同二十円マテ 金四十銭
同五十円マテ 金六十銭
同七十五円マテ 金六十銭
同百円マテ 金一円
同二百五十円マテ 金一円
同五百円マテ 金四円
同七百五十円マテ 金四円
同千円マテ 金六円
同二千五百円マテ 金十円
同五千円マテ 金十円
同五千円以上ハ千円ニ達スル毎ニ 金二円
前項ノ規定ハ商事非訟事件印紙法第六条及第七条ノ場合ニ之ヲ準用ス
商事非訟事件印紙法第五条ノ規定ハ本条第二項ノ規定ニ依リ印紙ヲ増貼スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
第六条 左ニ掲クルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ消費税ヲ免除ス
一 外国ニ輸出スル毛織物又ハ石油
二 製造者ノ自用ニ供スル毛織物又ハ石油
第七条 毛織物又ハ石油ノ消費税ハ製造場、税関又ハ保税倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ル時引取人ヨリ之ヲ徴収ス
第八条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毛織物及石油消費税ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第九条 製造場、税関又ハ保税倉庫ヨリ毛織物ヲ引取ル者ハ引取ノ際其ノ価格ヲ政府ニ申告スヘシ
前項ノ申告ヲ為サス又ハ政府ニ於テ其ノ申告シタル価格ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ハ毛織物ノ価格ヲ評定ス
毛織物引取人前項ノ評定価格ニ不服ナルトキハ即時異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
異議ノ申立アリタルトキハ二人以上ノ鑑定人ヲ選定シ其ノ意見ヲ徴シ政府之ヲ決定ス
異議申立人ノ主張ニ係ル価格ト第二項ノ評定価格トノ差カ第二項ノ評定価格ト前項ノ決定価格トノ差ヨリ大ナルトキハ鑑定ニ関スル費用ハ其ノ申立人ノ負担トス
第十条 第六条又ハ第八条ニ該当スル場合ノ外消費税納付前ニ於テハ製造場、税関又ハ保税倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ルコトヲ得ス
第十一条 毛織物又ハ石油製造者ハ第六条又ハ第八条ニ該当スル場合ノ外消費税納付前ニ於テ毛織物又ハ石油ヲ他ニ引渡シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十二条 自用ニ供スルモノヲ除ク外毛織物又ハ石油ヲ製造セムトスル者ハ政府ニ申告スヘシ
第十三条 毛織物又ハ石油製造者ハ其ノ製造場ニ於テ毛織物又ハ石油ノ売買業ヲ兼営スルコトヲ得ス
第十四条 毛織物又ハ石油ノ製造者及販売者ハ帳簿ヲ備ヘ毛織物又ハ石油ノ製造出入ヲ詳細明瞭ニ記載スヘシ
第十五条 収税官吏ハ毛織物又ハ石油ノ製造場又ハ販売場ニ立入リ毛織物又ハ石油、其ノ原料、器具、器械、建築物又ハ帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
収税官吏ハ監督上必要ト認ムルトキハ前項ノ物件ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十六条 収税官吏ハ運搬中ニ在ル毛織物又ハ石油ヲ検査シ其ノ出所及到著先ヲ質問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認メタルトキハ収税官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ又ハ荷物若ハ船車ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ消費税五倍ニ相当スル罰金ニ処シ直ニ其ノ税金ヲ徴収ス但シ罰金額ハ十円ヲ下ルコトヲ得ス
一 自用ニ供スル場合ノ外政府ニ申告セスシテ毛織物又ハ石油ヲ製造シタルトキ
二 担保物ヲ提供セスシテ消費税ノ徴収ヲ猶予セラレタル場合ニ於テ製造場、税関又ハ保税倉庫ヨリ引取リ又ハ移出シタル毛織物又ハ石油ヲ他ニ譲渡シ若ハ消費シタルトキ
三 第十条又ハ第十一条ノ禁令ヲ犯シタルトキ
第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処ス
一 毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販売者毛織物又ハ石油ノ製造出入ニ関シ帳簿ノ記載又ハ事実ノ申告ヲ詐リ若ハ怠リタルトキ
二 収税官吏其ノ職務ヲ執行スルニ当リ之ニ対シテ其ノ執行ヲ拒ミ又ハ之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタルトキ但シ刑法ニ正条アル場合ハ刑法ニ依ル
第十九条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ違反シタル者ニハ刑法ノ減軽、再犯加重及数罪俱発ノ例ヲ用井ス
第二十条 毛織物又ハ石油ノ製造者、販売者カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ依リ当業者ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一条 毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販売者ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ違反シタルトキハ製造者又ハ販売者ヲ処罰ス
第二十二条 北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ左ノ制限以内ノ地租附加税又ハ段別割ヲ課スルノ外土地ニ対シテ課税スルコトヲ得ス
一 北海道、府県、北海道ノ区、一級町村及二級町村、沖縄県ノ区及間切島
附加税ノミヲ課スルトキ 地租 十分ノ五
段別割ノミヲ課スルトキ 一段歩ニ付平均金四十銭
附加税及段別割ヲ併課スル場合ニ於テ段別割ノ総額ハ総段別地租額ノ十分ノ五ト附加税総額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
二 其ノ他ノ公共団体
附加税ノミヲ課スルトキ 地租 十分ノ三
段別割ノミヲ課スルトキ 一段歩ニ付平均金四十銭
附加税及段別割ヲ併課スル場合ニ於テ段別割ノ総額ハ総段別地租額ノ十分ノ三ト附加税総額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
北海道府県以外ノ公共団体ハ営業税又ハ所得税百分ノ三十ヲ超過スル附加税ヲ課スルコトヲ得ス
第二条ニ依ル地租、営業税及所得税ノ増徴額ニ対シテハ附加税ヲ課スルコトヲ得ス
府県費ヲ市町村ニ分賦シタル場合ニ於テハ其ノ金額以内ニ限リ市町村ハ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケ第一項又ハ第二項ノ制限ヲ超過シテ附加税又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加税及段別割ヲ併課スルコトヲ得
明治三十六年度以前ニ起シタル負債ノ元金償還及利子仕払ノ為若ハ非常ノ災害ニ因リ復旧工事ノ為費用ヲ要シ又ハ其ノ費用ノ分賦ヲ受ケタル場合ニ於テ特ニ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ第一項又ハ第二項ノ制限ヲ超過シテ附加税又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加税及段別割ヲ併課スルコトヲ得
北海道ノ宅地及海産干場ニ付テハ特ニ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受クルトキハ第一項ノ制限ヲ超過シテ附加税又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加税及段別割ヲ併課スルコトヲ得
水利ノ為ニ費用ヲ要スル場合ニ於テ特ニ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ第一項ノ制限ヲ超過シテ附加税又ハ段別割ヲ課シ若ハ附加税及段別割ヲ併課スルコトヲ得
第一項及第二項ノ制限ハ特ニ賦課率ヲ定メタル特別法令ノ適用ヲ妨ケス
附 則
第二十三条 本法ハ発布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ輸入税ニ関シテハ本法発布後六箇月ヲ経テ之ヲ施行ス
地租、営業税、所得税ニ関シテハ明治三十七年分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十二条ノ課税制限ハ明治三十七年度ヨリ之ヲ適用ス
北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ノ税目又ハ税率ニシテ本法ノ規定ニ牴触スルモノハ其ノ牴触ノ部分ニ限リ其ノ効力ヲ失フ
第二十四条 自用ニ供スルモノヲ除ク外本法施行前ヨリ毛織物又ハ石油ヲ製造シ本法施行後引続キ之ヲ製造セムトスル者ハ本法施行後一箇月以内ニ本法ニ依リ政府ニ申告スヘシ
前項ノ期間内ハ従前ノ製造ヲ継続スルコトヲ得
第二十五条 第一種砂糖、糖蜜及石油ニ付テハ本法施行後六箇月ヲ経過シタルトキハ本法ニ依ル消費税ヲ課セス
第二種砂糖ニ付テハ本法施行後六箇月ヲ経過シタルトキハ第二条第五号ヲ適用セス百斤ニ付金二円三十銭ノ消費税ヲ増徴ス
第二十六条 本法施行後保税倉庫ニ庫入シタル砂糖ニシテ和蘭標本色相第十五号未満ノモノ及糖蜜ニ付テハ庫出ノ日ニ於テ行ハルル輸入税率ヲ適用ス
第二十七条 平和克復ニ至リタルトキハ其ノ翌年末日限本法ヲ廃止ス