朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル地方稅制限ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年三月三十日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
大藏大臣 松田正久
內務大臣 原敬
法律第三十七號
第一條 北海道、府縣其ノ他ノ公共團體ハ左ノ制限以內ノ地租附加稅又ハ段別割ヲ課スルノ外土地ニ對シテ課稅スルコトヲ得ス
一 北海道、府縣、北海道ノ區、一級町村及二級町村、沖繩縣ノ區及町村
附加稅ノミヲ課スルトキ 地租百分ノ六十
段別割ノミヲ課スルトキ 一段步ニ付 每地目平均金四十錢
附加稅及段別割ヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ總額ハ其ノ地目ノ地租額百分ノ六十ト附加稅額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
二 其ノ他ノ公共團體
附加稅ノミヲ課スルトキ 地租百分ノ四十
段別割ノミヲ課スルトキ 一段步ニ付 每地目平均金四十錢
附加稅及段別割ヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ總額ハ其ノ地目ノ地租額百分ノ四十ト附加稅額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二條 北海道、府縣其ノ他ノ公共團體ハ左ノ制限以內ノ營業稅附加稅ヲ課スルノ外營業稅ヲ納ムル者ノ營業ニ對シ課稅スルコトヲ得ス
一 北海道、府縣 營業稅百分ノ二十五
二 其ノ他ノ公共團體 營業稅百分ノ三十五
第三條 北海道、府縣其ノ他ノ公共團體ハ左ノ制限以內ノ所得稅附加稅ヲ課スルノ外所得稅ヲ納ムル者ノ所得ニ對シ課稅スルコトヲ得ス
一 北海道、府縣 所得稅百分ノ十
二 其ノ他ノ公共團體 所得稅百分ノ三十五
第四條 府縣費ノ全部ヲ市ニ分賦シタル場合ニ於テハ市ハ前三條ノ市稅制限ノ外其ノ分賦金額以內ニ限リ府縣稅制限ニ達スル迄課稅スルコトヲ得
府縣費ノ一部ヲ市町村ニ分賦シタル場合ニ於テハ市町村ハ前三條ノ市町村稅制限ノ外其ノ分賦金額以內ニ限リ課稅スルコトヲ得但シ府縣ノ賦課額ト市町村ノ賦課額トノ合算額ハ府縣稅ノ制限ヲ超過スルコトヲ得ス
第五條 特別ノ必要アル場合ニ於テハ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケ第一條乃至第三條ノ制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以內ニ於テ課稅スルコトヲ得
左ニ揭クル場合ニ於テハ特ニ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケ前項ノ制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
一 內務大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ爲費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復舊工事ノ爲費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ爲費用ヲ要スルトキ
四 傳染病豫防ノ爲費用ヲ要スルトキ
前二項ニ依リ制限ヲ超過シテ課稅スルハ第一條乃至第三條ニ定メタル各稅目ニ對スル賦課カ各其ノ制限ニ達シタルトキニ限ル
前三項ノ規定ハ前條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六條 本法ノ附加稅ハ非常特別稅法ニ依ル增徵額ニ對シテハ之ヲ課スルコトヲ得ス
第七條 本法ノ規定ハ特ニ賦課率ヲ定メタル特別法令ノ適用ヲ妨ケス
附 則
本法ハ明治四十一年度ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中地租、營業稅及所得稅ノ地方稅制限ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル地方税制限ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年三月三十日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
大蔵大臣 松田正久
内務大臣 原敬
法律第三十七号
第一条 北海道、府県其ノ他ノ公共団体ハ左ノ制限以内ノ地租附加税又ハ段別割ヲ課スルノ外土地ニ対シテ課税スルコトヲ得ス
一 北海道、府県、北海道ノ区、一級町村及二級町村、沖縄県ノ区及町村
附加税ノミヲ課スルトキ 地租百分ノ六十
段別割ノミヲ課スルトキ 一段歩ニ付 毎地目平均金四十銭
附加税及段別割ヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ総額ハ其ノ地目ノ地租額百分ノ六十ト附加税額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
二 其ノ他ノ公共団体
附加税ノミヲ課スルトキ 地租百分ノ四十
段別割ノミヲ課スルトキ 一段歩ニ付 毎地目平均金四十銭
附加税及段別割ヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ総額ハ其ノ地目ノ地租額百分ノ四十ト附加税額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二条 北海道、府県其ノ他ノ公共団体ハ左ノ制限以内ノ営業税附加税ヲ課スルノ外営業税ヲ納ムル者ノ営業ニ対シ課税スルコトヲ得ス
一 北海道、府県 営業税百分ノ二十五
二 其ノ他ノ公共団体 営業税百分ノ三十五
第三条 北海道、府県其ノ他ノ公共団体ハ左ノ制限以内ノ所得税附加税ヲ課スルノ外所得税ヲ納ムル者ノ所得ニ対シ課税スルコトヲ得ス
一 北海道、府県 所得税百分ノ十
二 其ノ他ノ公共団体 所得税百分ノ三十五
第四条 府県費ノ全部ヲ市ニ分賦シタル場合ニ於テハ市ハ前三条ノ市税制限ノ外其ノ分賦金額以内ニ限リ府県税制限ニ達スル迄課税スルコトヲ得
府県費ノ一部ヲ市町村ニ分賦シタル場合ニ於テハ市町村ハ前三条ノ市町村税制限ノ外其ノ分賦金額以内ニ限リ課税スルコトヲ得但シ府県ノ賦課額ト市町村ノ賦課額トノ合算額ハ府県税ノ制限ヲ超過スルコトヲ得ス
第五条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケ第一条乃至第三条ノ制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以内ニ於テ課税スルコトヲ得
左ニ掲クル場合ニ於テハ特ニ内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケ前項ノ制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
一 内務大蔵両大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ為費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復旧工事ノ為費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ為費用ヲ要スルトキ
四 伝染病予防ノ為費用ヲ要スルトキ
前二項ニ依リ制限ヲ超過シテ課税スルハ第一条乃至第三条ニ定メタル各税目ニ対スル賦課カ各其ノ制限ニ達シタルトキニ限ル
前三項ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六条 本法ノ附加税ハ非常特別税法ニ依ル増徴額ニ対シテハ之ヲ課スルコトヲ得ス
第七条 本法ノ規定ハ特ニ賦課率ヲ定メタル特別法令ノ適用ヲ妨ケス
附 則
本法ハ明治四十一年度ヨリ之ヲ施行ス
非常特別税法中地租、営業税及所得税ノ地方税制限ニ関スル規定ハ之ヲ廃止ス