通行税法
法令番号: 法律第五號
公布年月日: 明治43年3月25日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル通行稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月二十四日
內閣總理大臣兼大藏大臣 侯爵 桂太郞
法律第五號
通行稅法
第一條 汽車、電車及汽船ノ乘客ニハ左ノ區別ニ依リ通行稅ヲ課ス
二百哩又ハ二百海里以上
一等 金五十錢
二等 金二十五錢
三等 金四錢
二百哩又ハ二百海里未滿
一等 金四十錢
二等 金二十錢
三等 金三錢
百哩又ハ百海里未滿
一等 金二十錢
二等 金十錢
三等 金二錢
五十哩又ハ五十海里未滿
一等 金五錢
二等 金三錢
三等 金一錢
往復乘船車ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ往復ノ里程ヲ通算シテ之ヲ徵收ス
貸切、多人數、囘數又ハ定期乘船車ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ第一項稅額ノ五倍ヲ徵收ス
第二條 通行稅ヲ課スヘキ場合ニ於テ汽車、電車又ハ汽船ニシテ等級ヲ分タサルモノニ在リテハ三等ノ稅率ヲ適用シ二等級ニ分チタルモノニ在リテハ二等三等ノ稅率ヲ適用シ一等級ノ上又ハ三等級ノ下ニ更ニ等級ヲ設ケタルモノニ在リテハ一等又ハ三等ノ稅率ヲ適用ス
第三條 左ノ場合ニ於テハ通行稅ヲ課セス
一 外國行ノ汽船ニ乘シ外國ニ赴クトキ
二 鐵道軍事供用令ニ依リ乘車スルトキ
第四條 通行稅ハ汽車、電車又ハ汽船營業者乘船車賃金ヲ領收スルトキ之ヲ徵收スヘシ
前項ニ依リ徵收シタル通行稅ハ每月取纏メ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納付スヘシ
第五條 汽車、電車又ハ汽船營業者前條ニ依リ徵收スヘキ通行稅ヲ納付セサルトキハ國稅徵收法ニ依リ該營業者ヨリ之ヲ徵收ス
第六條 收稅官吏ハ汽車、電車又ハ汽船營業者ノ帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第七條 囘數乘船車券ハ之ヲ分割販賣スルコトヲ得ス違反スル者ハ三十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
附 則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中通行稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル通行税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月二十四日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵 桂太郎
法律第五号
通行税法
第一条 汽車、電車及汽船ノ乗客ニハ左ノ区別ニ依リ通行税ヲ課ス
二百哩又ハ二百海里以上
一等 金五十銭
二等 金二十五銭
三等 金四銭
二百哩又ハ二百海里未満
一等 金四十銭
二等 金二十銭
三等 金三銭
百哩又ハ百海里未満
一等 金二十銭
二等 金十銭
三等 金二銭
五十哩又ハ五十海里未満
一等 金五銭
二等 金三銭
三等 金一銭
往復乗船車ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ往復ノ里程ヲ通算シテ之ヲ徴収ス
貸切、多人数、回数又ハ定期乗船車ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ第一項税額ノ五倍ヲ徴収ス
第二条 通行税ヲ課スヘキ場合ニ於テ汽車、電車又ハ汽船ニシテ等級ヲ分タサルモノニ在リテハ三等ノ税率ヲ適用シ二等級ニ分チタルモノニ在リテハ二等三等ノ税率ヲ適用シ一等級ノ上又ハ三等級ノ下ニ更ニ等級ヲ設ケタルモノニ在リテハ一等又ハ三等ノ税率ヲ適用ス
第三条 左ノ場合ニ於テハ通行税ヲ課セス
一 外国行ノ汽船ニ乗シ外国ニ赴クトキ
二 鉄道軍事供用令ニ依リ乗車スルトキ
第四条 通行税ハ汽車、電車又ハ汽船営業者乗船車賃金ヲ領収スルトキ之ヲ徴収スヘシ
前項ニ依リ徴収シタル通行税ハ毎月取纏メ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納付スヘシ
第五条 汽車、電車又ハ汽船営業者前条ニ依リ徴収スヘキ通行税ヲ納付セサルトキハ国税徴収法ニ依リ該営業者ヨリ之ヲ徴収ス
第六条 収税官吏ハ汽車、電車又ハ汽船営業者ノ帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
第七条 回数乗船車券ハ之ヲ分割販売スルコトヲ得ス違反スル者ハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
附 則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別税法中通行税ニ関スル規定ハ之ヲ廃止ス