非常特別税法施行規則
法令番号: 勅令第八十五號
公布年月日: 明治37年4月1日
法令の形式: 勅令
朕非常特別稅法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年三月三十一日
內務大臣 子爵 芳川顯正
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
勅令第八十五號
非常特別稅法施行規則
第一條 本令ニ於テ製造者又ハ製造セムトスル者ト稱スルハ自用ニ供スルモノノミヲ製造シ又ハ製造セムトスル者ヲ包含セス
第二條 毛織物又ハ石油ヲ製造セムトスル者ハ製造場及製造スヘキ種類ヲ定メ其ノ製造場所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第三條 所轄稅務署ニ於テ必要ト認メ毛織物又ハ石油製造場ノ圖面若ハ製造用ノ器具、器械ノ目錄ヲ提出スヘキコトヲ命シタルトキハ毛織物又ハ石油製造者ハ之ヲ提出スヘシ
第四條 毛織物又ハ石油製造者製造場ヲ移轉セムトスルトキハ移轉先ノ製造場ヲ定メ其ノ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第五條 毛織物又ハ石油製造者ニシテ期間ヲ定メテ製造ヲ爲ストキハ製造ニ著手スル每ニ著手及終了ノ時期ヲ豫メ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第六條 第二條若ハ第五條ニ依リ申吿シタル事項又ハ第三條ニ依リ提出シタル圖面若ハ目錄ニ記載シタル事項ニ異動ヲ生シタルトキハ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第七條 毛織物又ハ石油製造業ヲ相續シタルトキハ相續人ヨリ其ノ旨所轄稅務署ニ申吿スヘシ
毛織物又ハ石油製造業ヲ讓渡サムトスルトキハ讓受人ト連署シ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第八條 毛織物又ハ石油製造者其ノ製造ヲ廢止セムトスルトキハ其ノ旨所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第九條 外國ニ輸出スル毛織物又ハ石油ニ付消費稅ノ免除ヲ得ムトスル者ハ運搬線路及運搬先又ハ輸出港ヲ定メ所轄稅務署ノ承認ヲ受クヘシ
所轄稅務署ニ於テ必要ト認ムルトキハ前項ノ物品ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ護送シ若ハ消費稅ニ相當スル擔保物ヲ提供セシムルコトアルヘシ
消費稅ノ免除ヲ得タル毛織物又ハ石油ヲ外國ニ輸出シタルトキハ輸出免狀又ハ之ニ代ルヘキ書類ヲ製造場所轄稅務署ニ提出スヘシ
製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取リタル後三箇月以內ニ前項ニ依リ輸出免狀又ハ之ニ代ルヘキ書類ヲ提出セサルトキハ外國ニ輸出セラレサリシモノト看做シ引取者ヨリ直ニ消費稅ヲ徵收ス
第十條 製造者ニシテ其ノ自用ニ供スル毛織物又ハ石油ニ付消費稅ノ免除ヲ得ムトスルモノハ製造場外ニ移出セムトスルトキ所轄稅務署ノ承認ヲ受クヘシ
第十一條 左ノ場合ニ於テハ毛織物又ハ石油消費稅ノ徵收ヲ猶豫ス
一 消費稅額以上ノ價額アル擔保物ヲ提供シタルトキ
二 他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スルカ爲製造場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ移出スルトキ
前項第一號ノ場合ニ於テハ猶豫期間ハ三箇月以內トス
第一項第二號ノ場合ニ於テ藏置場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ルトキハ製造場ヨリ之ヲ引取ルモノト看做ス
第九條第一項及第二項ノ規定ハ本條第一項第二號ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十二條 製造場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ラムトスル者ハ其ノ旨製造場所轄稅務署ニ申吿スヘシ毛織物ニ付テハ其ノ價格ヲ併セ申吿スヘシ
第十三條 金庫所在地以外ニ限リ收稅官吏ハ自ラ消費稅金ノ領收ヲ取扱フコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ收稅官吏ハ口頭ヲ以テ納稅吿知ヲ爲スコトヲ得
第十四條 本令ニ依リ提供スヘキ擔保物ノ種類ハ金錢及所轄稅務署ノ確實ト認メタル有價證券ニ限ル
擔保物ヲ提供セムトスル者ハ前項ノ擔保物ヲ供託シ其ノ供託受領證ヲ所轄稅務署ニ提出スヘシ
第十五條 擔保トシテ提供シタル有價證券ノ價格減少シタルトキハ所轄稅務署ハ更ニ相當ノ擔保物ノ提供ヲ命スルコトヲ得
前項ニ依リ擔保物ノ提供ヲ命セラレタル者之ヲ提供セサルトキハ稅務署ハ直ニ消費稅ヲ徵收ス
第十六條 擔保物ヲ提供シタル場合ニ於テ消費稅納付濟ニ至リタルトキ又ハ消費稅免除ノ確定シタルトキハ所轄稅務署ハ返付ノ手續ヲ爲スヘシ
第十七條 消費稅ヲ徵收スヘキ場合ニ於テ擔保物アルトキハ擔保物ヲ以テ稅金ニ充ツ
擔保物ヲ以テ稅金ニ充ツヘキ場合ニ於テハ有價證券ハ之ヲ公賣ニ付シ消費稅及公賣ノ費用ニ充ツ
前二項ノ場合ニ於テ不足アルトキハ之ヲ追徵シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第十八條 毛織物又ハ石油製造者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 原料ノ種類、數量、他ヨリ引取リタル者ニ在リテハ引取ノ日及其ノ引渡人ノ住所、氏名又ハ名稱
二 使用シタル原料ノ種類、數量及其ノ使用ノ日
三 製造シタル種類、數量及其ノ製造ノ日
四 他ニ引渡シタル種類、數量、價額、引渡ノ日及其ノ引取人ノ住所、氏名又ハ名稱
第十九條 毛織物又ハ石油販賣者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 引取リタル種類、數量、價額、引取ノ日及其ノ引渡人ノ住所、氏名又ハ名稱
二 販賣シタル種類、數量、價額、販賣ノ日及其ノ買受人ノ住所、氏名又ハ名稱
小賣人ノ場合ニ於テハ前項第二號買受人ノ住所、氏名又ハ名稱ヲ記載スルコトヲ要セス
第二十條 本令ニ依リ所轄稅務署ニ申吿シ又ハ其ノ承認ヲ受クヘキ場合ニ於テ製造場又ハ藏置場ニ出張シタル收稅官吏ニ申吿シ又ハ其ノ承認ヲ受ケタルトキハ稅務署ニ申吿シ又ハ其ノ承認ヲ受ケタルモノト看做ス
第二十一條 收稅官吏ハ毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販賣者ノ營業ニ關シ職務上知得シタル事項ヲ他ニ漏洩スルコトヲ得ス
第二十二條 本令中稅務署ニ屬スル事務ハ稅關又ハ保稅倉庫ヨリ引取ラルル毛織物又ハ石油ニ關シテハ稅關之ヲ行フ
附 則
本令ハ發布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法第二十四條ニ依リ政府ニ申吿スヘキ場合ニ於テハ第二條ニ準シテ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
朕非常特別税法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年三月三十一日
内務大臣 子爵 芳川顕正
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
勅令第八十五号
非常特別税法施行規則
第一条 本令ニ於テ製造者又ハ製造セムトスル者ト称スルハ自用ニ供スルモノノミヲ製造シ又ハ製造セムトスル者ヲ包含セス
第二条 毛織物又ハ石油ヲ製造セムトスル者ハ製造場及製造スヘキ種類ヲ定メ其ノ製造場所轄税務署ニ申告スヘシ
第三条 所轄税務署ニ於テ必要ト認メ毛織物又ハ石油製造場ノ図面若ハ製造用ノ器具、器械ノ目録ヲ提出スヘキコトヲ命シタルトキハ毛織物又ハ石油製造者ハ之ヲ提出スヘシ
第四条 毛織物又ハ石油製造者製造場ヲ移転セムトスルトキハ移転先ノ製造場ヲ定メ其ノ所轄税務署ニ申告スヘシ
第五条 毛織物又ハ石油製造者ニシテ期間ヲ定メテ製造ヲ為ストキハ製造ニ著手スル毎ニ著手及終了ノ時期ヲ予メ所轄税務署ニ申告スヘシ
第六条 第二条若ハ第五条ニ依リ申告シタル事項又ハ第三条ニ依リ提出シタル図面若ハ目録ニ記載シタル事項ニ異動ヲ生シタルトキハ所轄税務署ニ申告スヘシ
第七条 毛織物又ハ石油製造業ヲ相続シタルトキハ相続人ヨリ其ノ旨所轄税務署ニ申告スヘシ
毛織物又ハ石油製造業ヲ譲渡サムトスルトキハ譲受人ト連署シ所轄税務署ニ申告スヘシ
第八条 毛織物又ハ石油製造者其ノ製造ヲ廃止セムトスルトキハ其ノ旨所轄税務署ニ申告スヘシ
第九条 外国ニ輸出スル毛織物又ハ石油ニ付消費税ノ免除ヲ得ムトスル者ハ運搬線路及運搬先又ハ輸出港ヲ定メ所轄税務署ノ承認ヲ受クヘシ
所轄税務署ニ於テ必要ト認ムルトキハ前項ノ物品ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ護送シ若ハ消費税ニ相当スル担保物ヲ提供セシムルコトアルヘシ
消費税ノ免除ヲ得タル毛織物又ハ石油ヲ外国ニ輸出シタルトキハ輸出免状又ハ之ニ代ルヘキ書類ヲ製造場所轄税務署ニ提出スヘシ
製造場、税関又ハ保税倉庫ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取リタル後三箇月以内ニ前項ニ依リ輸出免状又ハ之ニ代ルヘキ書類ヲ提出セサルトキハ外国ニ輸出セラレサリシモノト看做シ引取者ヨリ直ニ消費税ヲ徴収ス
第十条 製造者ニシテ其ノ自用ニ供スル毛織物又ハ石油ニ付消費税ノ免除ヲ得ムトスルモノハ製造場外ニ移出セムトスルトキ所轄税務署ノ承認ヲ受クヘシ
第十一条 左ノ場合ニ於テハ毛織物又ハ石油消費税ノ徴収ヲ猶予ス
一 消費税額以上ノ価額アル担保物ヲ提供シタルトキ
二 他ノ製造場又ハ蔵置場ニ移入スルカ為製造場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ移出スルトキ
前項第一号ノ場合ニ於テハ猶予期間ハ三箇月以内トス
第一項第二号ノ場合ニ於テ蔵置場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ルトキハ製造場ヨリ之ヲ引取ルモノト看做ス
第九条第一項及第二項ノ規定ハ本条第一項第二号ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十二条 製造場ヨリ毛織物又ハ石油ヲ引取ラムトスル者ハ其ノ旨製造場所轄税務署ニ申告スヘシ毛織物ニ付テハ其ノ価格ヲ併セ申告スヘシ
第十三条 金庫所在地以外ニ限リ収税官吏ハ自ラ消費税金ノ領収ヲ取扱フコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ収税官吏ハ口頭ヲ以テ納税告知ヲ為スコトヲ得
第十四条 本令ニ依リ提供スヘキ担保物ノ種類ハ金銭及所轄税務署ノ確実ト認メタル有価証券ニ限ル
担保物ヲ提供セムトスル者ハ前項ノ担保物ヲ供託シ其ノ供託受領証ヲ所轄税務署ニ提出スヘシ
第十五条 担保トシテ提供シタル有価証券ノ価格減少シタルトキハ所轄税務署ハ更ニ相当ノ担保物ノ提供ヲ命スルコトヲ得
前項ニ依リ担保物ノ提供ヲ命セラレタル者之ヲ提供セサルトキハ税務署ハ直ニ消費税ヲ徴収ス
第十六条 担保物ヲ提供シタル場合ニ於テ消費税納付済ニ至リタルトキ又ハ消費税免除ノ確定シタルトキハ所轄税務署ハ返付ノ手続ヲ為スヘシ
第十七条 消費税ヲ徴収スヘキ場合ニ於テ担保物アルトキハ担保物ヲ以テ税金ニ充ツ
担保物ヲ以テ税金ニ充ツヘキ場合ニ於テハ有価証券ハ之ヲ公売ニ付シ消費税及公売ノ費用ニ充ツ
前二項ノ場合ニ於テ不足アルトキハ之ヲ追徴シ残金アルトキハ之ヲ還付ス
第十八条 毛織物又ハ石油製造者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 原料ノ種類、数量、他ヨリ引取リタル者ニ在リテハ引取ノ日及其ノ引渡人ノ住所、氏名又ハ名称
二 使用シタル原料ノ種類、数量及其ノ使用ノ日
三 製造シタル種類、数量及其ノ製造ノ日
四 他ニ引渡シタル種類、数量、価額、引渡ノ日及其ノ引取人ノ住所、氏名又ハ名称
第十九条 毛織物又ハ石油販売者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 引取リタル種類、数量、価額、引取ノ日及其ノ引渡人ノ住所、氏名又ハ名称
二 販売シタル種類、数量、価額、販売ノ日及其ノ買受人ノ住所、氏名又ハ名称
小売人ノ場合ニ於テハ前項第二号買受人ノ住所、氏名又ハ名称ヲ記載スルコトヲ要セス
第二十条 本令ニ依リ所轄税務署ニ申告シ又ハ其ノ承認ヲ受クヘキ場合ニ於テ製造場又ハ蔵置場ニ出張シタル収税官吏ニ申告シ又ハ其ノ承認ヲ受ケタルトキハ税務署ニ申告シ又ハ其ノ承認ヲ受ケタルモノト看做ス
第二十一条 収税官吏ハ毛織物又ハ石油ノ製造者又ハ販売者ノ営業ニ関シ職務上知得シタル事項ヲ他ニ漏洩スルコトヲ得ス
第二十二条 本令中税務署ニ属スル事務ハ税関又ハ保税倉庫ヨリ引取ラルル毛織物又ハ石油ニ関シテハ税関之ヲ行フ
附 則
本令ハ発布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別税法第二十四条ニ依リ政府ニ申告スヘキ場合ニ於テハ第二条ニ準シテ所轄税務署ニ申告スヘシ