(技術士試験の種類)
第四条 技術士試験は、これを分けて第一次試験及び第二次試験とし、総理府令で定める技術の部門(以下「技術部門」という。)ごとに行う。
2 第一次試験に合格した者は、技術士補となる資格を有する。
3 第二次試験に合格した者は、技術士となる資格を有する。
(第一次試験)
第五条 第一次試験は、技術士補となるのに必要な専門的学識を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。
2 総理府令で定める資格を有する者に対しては、総理府令で定めるところにより、第一次試験の一部を免除することができる。
(第二次試験)
第六条 第二次試験は、技術士となるのに必要な高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。
2 次のいずれかに該当する者は、第二次試験を受けることができる。
一 技術士補として技術士を補助したことがある者で、その補助した期間が総理府令で定める期間を超えるもの
二 科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験又は評価の業務に従事した者で、その従事した期間が総理府令で定める期間を超えるもの
(技術士試験の執行)
第七条 技術士試験は、毎年一回以上、科学技術庁長官が行う。
(合格証書)
第八条 技術士試験の第一次試験又は第二次試験(第十条第一項において「各試験」という。)に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
(合格の取消し等)
第九条 科学技術庁長官は、不正の手段によつて技術士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
2 科学技術庁長官は、前項の規定による処分を受けた者に対し、二年以内の期間を定めて技術士試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第十条 技術士試験の各試験を受けようとする者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国(次条第一項に規定する指定試験機関が同項に規定する試験事務を行う技術士試験の各試験を受けようとする者にあつては、指定試験機関)に納付しなければならない。
2 前項の規定により同項に規定する指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
3 第一項の受験手数料は、これを納付した者が技術士試験を受けない場合においても、返還しない。
(指定試験機関の指定)
第十一条 科学技術庁長官は、総理府令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、技術士試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、総理府令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 科学技術庁長官は、他に指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 科学技術庁長官は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
二 申請者が、その行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
三 申請者が、第二十四条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十二条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、科学技術庁長官の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 科学技術庁長官は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十四条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第十三条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に、科学技術庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、科学技術庁長官に提出しなければならない。
(試験事務規程)
第十四条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、科学技術庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、総理府令で定める。
3 科学技術庁長官は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務規程の変更を命ずることができる。
(指定試験機関の技術士試験委員)
第十五条 指定試験機関は、技術士試験の問題の作成及び採点を技術士試験委員(次項、第四項及び第五項並びに次条及び第十八条第一項において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 試験委員は、技術士試験の執行ごとに、科学技術庁長官が選定した技術士試験委員候補者のうちから、指定試験機関が選任する。
3 科学技術庁長官は、技術士試験の執行ごとに、技術士試験の執行について必要な学識経験のある者のうちから、第四十八条に規定する技術士審議会の推薦に基づき技術士試験委員候補者を選定する。
4 試験委員の選任及び解任は、科学技術庁長官の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5 第十二条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
(不正行為の禁止)
第十六条 試験委員は、技術士試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験の禁止等)
第十七条 指定試験機関が試験事務を行う場合においては、指定試験機関は、不正の手段によつて技術士試験を受けようとした者に対しては、その試験を受けることを禁止することができる。
2 前項に定めるもののほか、指定試験機関が試験事務を行う場合における第九条の規定の適用については、同条第一項中「不正の手段によつて技術士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止すること」とあるのは「不正の手段によつて技術士試験を受けた者に対しては、合格の決定を取り消すこと」と、同条第二項中「前項」とあるのは「前項又は第十七条第一項」とする。
(秘密保持義務等)
第十八条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(帳簿の備付け等)
第十九条 指定試験機関は、総理府令で定めるところにより、試験事務に関する事項で総理府令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(監督命令)
第二十条 科学技術庁長官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告)
第二十一条 科学技術庁長官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、総理府令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十二条 科学技術庁長官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(試験事務の休廃止)
第二十三条 指定試験機関は、科学技術庁長官の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第二十四条 科学技術庁長官は、指定試験機関が第十一条第四項各号(第三号を除く。以下この項において同じ。)の一に該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。この場合において、同条第四項各号中「申請者」とあるのは、「指定試験機関」とする。
2 科学技術庁長官は、指定試験機関が次のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は二年以内の期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十一条第三項各号の要件を満たさなくなつたと認められるとき。
二 第十二条第二項(第十五条第五項において準用する場合を含む。)、第十四条第三項又は第二十条の規定による命令に違反したとき。
三 第十三条、第十五条第一項若しくは第二項又は前条の規定に違反したとき。
四 第十四条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。
(指定等の条件)
第二十五条 この章の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(聴聞)
第二十六条 科学技術庁長官は、第二十四条の規定による処分をする場合においては、当該処分に係る者に対して、相当の期間を置いて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対して、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(指定試験機関がした処分等に係る不服申立て)
第二十七条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、科学技術庁長官に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(科学技術庁長官による試験事務の実施等)
第二十八条 科学技術庁長官は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 科学技術庁長官は、指定試験機関が第二十三条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十四条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
第二十九条 科学技術庁長官が自ら試験事務の全部又は一部を行う場合には、技術士試験委員(次項から第五項までにおいて「試験委員」という。)に、技術士試験の問題の作成及び採点を行わせる。
3 試験委員は、技術士試験の執行ごとに、技術士試験の執行について必要な学識経験のある者のうちから、第四十八条に規定する技術士審議会の推薦に基づき、科学技術庁長官が任命する。
(公示)
第三十条 科学技術庁長官は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
三 第二十四条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四 第二十八条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
(技術士試験の細目等)
第三十一条 この章に定めるもののほか、試験科目、受験手続、試験事務の引継ぎその他技術士試験及び指定試験機関に関し必要な事項は、総理府令で定める。