国と民間企業との間の人事交流に関する法律
法令番号: 法律第二百二十四号
公布年月日: 平成11年12月22日
法令の形式: 法律
国と民間企業との間の人事交流に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年十二月二十二日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第二百二十四号
国と民間企業との間の人事交流に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、行政運営における重要な役割を担うことが期待される職員について交流派遣をし、民間企業の実務を経験させることを通じて、効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得させ、かつ、民間企業の実情に関する理解を深めさせることにより、行政の課題に柔軟かつ的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成を図るとともに、民間企業における実務の経験を通じて効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得している者について交流採用をして職務に従事させることにより行政運営の活性化を図るため、交流派遣及び交流採用(以下「人事交流」という。)に関し必要な措置を講じ、もって公務の能率的な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、第十四条第一項及び第二十三条を除き、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員をいう。
2 この法律において「民間企業」とは、次に掲げる法人をいう。
一 合名会社、合資会社及び株式会社
二 有限会社
三 信用金庫
四 相互会社
五 前各号に掲げるもののほか、その事業の運営のために必要な経費の主たる財源をその事業の収益によって得ている本邦法人(その資本金の全部又は大部分が国又は地方公共団体からの出資によるものを除く。)であってその営む事業について他の事業者と競争関係にあるもののうち、前条の目的を達成するために適切であると認められる法人として人事院規則で定めるもの
六 外国法人であって、前各号に掲げる法人に類するものとして人事院が指定するもの
3 この法律において「交流派遣」とは、期間を定めて、職員(法律により任期を定めて任用される職員、常時勤務を要しない官職を占める職員その他の人事院規則で定める職員を除く。)を、その身分を保有させたまま、当該職員と民間企業との間で締結した労働契約に基づく業務に従事させることをいう。
4 この法律において「交流採用」とは、民間企業に雇用されていた者であって引き続いてこの法律の規定により採用された職員となるため退職したものを、選考により、引き続いて任期を定めて常時勤務を要する官職を占める職員として採用することをいう。
5 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。
6 この法律において「各省各庁の長」とは、内閣総理大臣、各省大臣、会計検査院長及び人事院総裁並びに各外局の長をいう。
(人事院の権限及び責務)
第三条 人事院は、この法律の実施に関し、次に掲げる権限及び責務を有する。
一 この法律(次条、第五条第二項、第十二条第三項、第十四条、第十五条、第十七条及び第二十三条の規定を除く。次号において同じ。)の実施の責めに任ずること。
二 この法律の実施に関し必要な事項について、人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。
三 人事交流の適正な実施を確保するため、人事交流の制度の運用状況に関し、職員、任命権者その他の関係者に報告を求め、又は調査をすること。
(内閣総理大臣の責務)
第四条 内閣総理大臣は、人事交流の制度の円滑かつ効果的な運用に資するため、その運用に関する基本方針を作成し、これに基づいて、各行政機関が行う人事交流に関し、その統一保持上必要な総合調整を行うものとする。
2 内閣総理大臣は、人事交流の制度の円滑かつ効果的な運用を確保するための方策について調査研究を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。
(交流基準)
第五条 各省各庁の長その他の関係者は、人事交流の制度の運用に当たっては、次に掲げる事項に関し人事院規則で定める基準(以下「交流基準」という。)に従い、常にその適正な運用の確保に努めなければならない。
一 国の機関に置かれる部局等であって民間企業に対する処分等(法令の規定に基づいてされる行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第二号に規定する処分及び同条第六号に規定する行政指導をいう。第十三条第四項及び第二十条において同じ。)に関する事務を所掌するものと当該民間企業との間の人事交流の制限に関する事項
二 国と契約関係にある民間企業との間の人事交流の制限に関する事項
三 その他人事交流の制度の適正な運用のため必要な事項
2 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、交流基準に関し、人事院に意見を述べることができる。
3 人事院は、交流基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、人事院規則の定めるところにより、行政運営に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。
(民間企業の公募)
第六条 人事院は、人事院規則の定めるところにより、人事交流を希望する民間企業を公募するものとする。
2 人事院は、各省各庁の長に対し、定期的に又はその求めに応じ、前項の規定に基づき応募した民間企業について、その名簿及びそれぞれの民間企業が示した人事交流に関する条件を提示するものとする。
(交流派遣)
第七条 各省各庁の長は、人事院規則の定めるところにより、交流派遣の実施に関する計画を記載した書類を人事院に提出し、部内の職員について前条第二項の規定により提示された名簿に記載のある民間企業に交流派遣をすることを要請することができる。
2 各省各庁の長は、前項の規定による要請をしようとするときは、あらかじめ、当該要請に係る職員の同意を得なければならない。
3 第一項の規定による要請に係る交流派遣の実施に関する計画がこの法律の規定及び交流基準に適合するものであることについて人事院が認定した場合には、人事院総裁は、当該要請に係る職員(その職員が人事院事務総局の職員であるときを除く。)を人事院事務総局に属する官職に任命するとともに、当該要請に係る職員について当該要請に係る民間企業への交流派遣を実施するものとする。
4 人事院総裁は、前項の規定による交流派遣の実施に当たっては、同項の民間企業(以下「派遣先企業」という。)との間において、同項の認定を受けた計画に従って、当該派遣先企業における当該交流派遣に係る職員の労働条件、当該職員が職務に復帰する場合における当該職員と当該派遣先企業との間の労働契約の終了その他交流派遣に当たって合意しておくべきものとして人事院規則で定める事項について取決めを締結しなければならない。この場合において、人事院総裁は、当該職員にその取決めの内容を明示しなければならない。
(交流派遣の期間)
第八条 交流派遣の期間は、三年を超えることができない。
2 前項の期間は、派遣先企業から当該期間の延長を希望する旨の申出があり、かつ、その申出に理由があると人事院が認めた場合は、前条第三項の規定により交流派遣をされた職員(以下「交流派遣職員」という。)及び当該交流派遣職員の交流派遣を要請した各省各庁の長(第十三条第三項において「交流派遣元機関の長」という。)の同意を得て、交流派遣をした日から引き続き五年を超えない範囲内において、これを延長することができる。
(労働契約の締結)
第九条 交流派遣職員は、第七条第四項の取決めに定められた内容に従って、派遣先企業との間で労働契約を締結し、その交流派遣の期間中、当該派遣先企業の業務に従事するものとする。
(交流派遣職員の職務)
第十条 交流派遣職員は、その交流派遣の期間中、職務に従事することができない。
2 次に掲げる法律の規定は、交流派遣職員には適用しない。
一 国家公務員法第百一条の規定
二 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)の規定
(交流派遣職員の給与)
第十一条 交流派遣職員には、その交流派遣の期間中、給与を支給しない。
(交流派遣職員の服務等)
第十二条 交流派遣職員は、派遣先企業において、その交流派遣前に在職していた国の機関に対してする申請(行政手続法第二条第三号に規定する申請をいう。)に関する業務その他の交流派遣職員が従事することが適当でないものとして人事院規則で定める業務に従事してはならない。
2 交流派遣職員は、派遣先企業における業務を行うに当たっては、職員たる地位を利用し、又はその交流派遣前において官職を占めていたことによる影響力を利用してはならない。
3 交流派遣職員の派遣先企業の業務への従事に関しては、国家公務員法第百四条の規定は、適用しない。
4 交流派遣職員に対する国家公務員法第八十二条の規定の適用については、同条第一項第一号中「若しくは国家公務員倫理法」とあるのは、「、国家公務員倫理法若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律」とする。
(交流派遣職員の職務への復帰)
第十三条 人事院総裁は、交流派遣職員がその派遣先企業の地位を失った場合その他の人事院規則で定める場合であって、その交流派遣を継続することができないか又は適当でないと認めるときは、速やかに当該交流派遣に係る交流派遣職員を職務に復帰させなければならない。
2 交流派遣職員は、その交流派遣の期間が満了したときは、職務に復帰する。
3 交流派遣職員が職務に復帰したときは、交流派遣元機関の長(人事院総裁を除く。)は、直ちに、当該交流派遣職員をその部内の機関に属する官職に就けるために必要な措置をとらなければならない。
4 交流派遣後職務に復帰した職員については、その復帰の日から起算して二年間は、任命権者は、当該職員の派遣先企業であった民間企業に対する処分等に関する事務をその職務とする官職その他の当該民間企業と密接な関係にあるものとして人事院規則で定める官職に就けてはならない。
(交流派遣職員に関する国家公務員共済組合法の特例)
第十四条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第四十一条第二項の規定及び同法の短期給付に関する規定(同法第六十八条の二ただし書の規定を除く。以下この項において同じ。)は、交流派遣職員には適用しない。この場合において、同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員(同法第二条第一項第一号に規定する職員をいう。以下この項において同じ。)が交流派遣職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(同法第二条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなし、交流派遣職員が同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日に職員となったものとみなす。
2 交流派遣職員に対する国家公務員共済組合法の長期給付に関する規定の適用については、派遣先企業の業務を公務とみなす。
3 交流派遣職員は、国家公務員共済組合法第九十八条各号に掲げる福祉事業を利用することができない。
4 交流派遣職員に関する国家公務員共済組合法の規定の適用については、同法第二条第一項第五号中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として政令で定めるもの」とあるのは「に相当するものとして、次条第一項に規定する組合の運営規則で定めるもの」と、同法第九十九条第二項中「次の各号」とあるのは「次の各号(第一号及び第四号を除く。)」と、「並びに国の負担金」とあるのは「、国と民間企業との間の人事交流に関する法律第七条第四項に規定する派遣先企業(以下「派遣先企業」という。)の負担金並びに国の負担金」と、同項第二号及び第三号中「国の負担金」とあるのは「派遣先企業の負担金」と、同法第百一条の二第一項中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として政令で定めるもの」とあるのは「に相当するものとして、組合の運営規則で定めるもの」と、同法第百二条第一項中「各省各庁の長(自治大臣を含む。)又は職員団体」とあり、及び「国又は職員団体」とあるのは「派遣先企業」と、「第九十九条第二項(同条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第九十九条第二項」と、同条第四項中「職員団体」とあるのは「派遣先企業」と、同法附則第二十条の三第二項中「「次の各号」とあるのは「次の各号(」とあるのは「「次の各号(第一号及び第四号を除く。)」とあるのは「次の各号(第一号、第四号及び」と、「第百二条第一項中「)の規定」とあるのは「)及び附則第二十条の三第一項の規定」と、同条第四項」とあるのは「「特別掛金、」とあるのは「特別掛金並びに」と、「負担金並びに国の負担金」とあるのは「負担金」と、第百二条第四項」とする。
(交流派遣職員に関する児童手当法の特例)
第十五条 交流派遣職員に関する児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)の規定の適用については、派遣先企業を同法第二十条第一項第五号に規定する団体とみなす。
(職務に復帰した職員に関する一般職の職員の給与に関する法律の特例)
第十六条 交流派遣後職務に復帰した職員に関する一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十三条第一項及び附則第七項の規定の適用については、派遣先企業において就いていた業務(当該業務に係る労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第二項に規定する通勤を含む。)を公務とみなす。
(職務に復帰した職員等に関する国家公務員退職手当法の特例)
第十七条 交流派遣後職務に復帰した職員が退職した場合(交流派遣職員がその交流派遣の期間中に退職した場合を含む。)における国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定の適用については、派遣先企業の業務に係る業務上の傷病又は死亡は同法第四条第二項、第五条第一項及び第七条第四項に規定する公務上の傷病又は死亡と、当該業務に係る労働者災害補償保険法第七条第二項に規定する通勤による傷病は国家公務員退職手当法第四条第二項、第五条第二項及び第七条第四項に規定する通勤による傷病とみなす。
2 国家公務員退職手当法第七条第四項の規定は、交流派遣の期間については、適用しない。
3 前項の規定は、交流派遣職員が派遣先企業から所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十条第一項に規定する退職手当等(同法第三十一条の規定により退職手当等とみなされるものを含む。)の支払を受けた場合には、適用しない。
4 交流派遣職員がその交流派遣の期間中に退職した場合に支給する国家公務員退職手当法の規定による退職手当の算定の基礎となる俸給月額については、部内の他の職員との権衡上必要があると認められるときは、次条第一項の規定の例により、その額を調整することができる。
(交流派遣職員の職務復帰時における処遇)
第十八条 交流派遣職員が職務に復帰した場合におけるその者の職務の級、俸給月額及び昇給期間については、部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内において、人事院規則の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。
2 前項に定めるもののほか、交流派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内の他の職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。
(交流採用)
第十九条 任命権者は、第六条第二項の規定により提示された名簿に記載のある民間企業に雇用されていた者について交流採用をすることができる。
2 任命権者は、前項の規定による交流採用をしようとするときは、あらかじめ、人事院規則の定めるところにより、その実施に関する計画を記載した書類を提出して、当該計画がこの法律の規定及び交流基準に適合するものであることについて、人事院の認定を受けなければならない。
3 任命権者は、第一項の規定により交流採用をするときは、同項の民間企業との間において、当該交流採用に係る任期が満了した場合における当該民間企業による再雇用に関する取決めを締結しておかなければならない。
4 交流採用に係る任期は、三年を超えない範囲内で任命権者が定める。ただし、任命権者がその所掌事務の遂行上特に必要があると認める場合には、人事院の承認を得て、交流採用をした日から引き続き五年を超えない範囲内において、これを更新することができる。
5 任命権者は、交流採用をする場合には、当該交流採用をされる者にその任期を明示しなければならない。これを更新する場合も、同様とする。
(官職の制限)
第二十条 任命権者は、前条第一項の規定により交流採用をされた職員(以下「交流採用職員」という。)を同項の民間企業(以下「交流元企業」という。)に対する処分等に関する事務をその職務とする官職その他の交流元企業と密接な関係にあるものとして人事院規則で定める官職に就けてはならない。
(交流採用職員の服務等)
第二十一条 交流採用職員は、その任期中、いかなる場合においても、交流元企業の地位に就き、又はその事業若しくは事務に従事してはならない。
2 交流採用職員が離職後交流元企業の地位に就く場合には、国家公務員法第百三条第二項の規定は、適用しない。
3 第十二条第四項の規定は、交流採用職員について準用する。
(人事交流の状況の報告)
第二十二条 交流派遣職員は、人事院総裁から求められたときは、派遣先企業における労働条件及び業務の遂行の状況を報告しなければならない。
2 任命権者は、毎年、人事院に対し、交流採用職員の任用及び職務の遂行の状況を報告しなければならない。
3 人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、前年に第七条第三項の規定により交流派遣をされた職員の派遣先企業における地位及び当該職員が当該交流派遣に係る同条第一項の要請の時に占めていた官職、前年に第十九条第一項の規定により交流採用をされた職員の占める官職及び当該職員がその交流元企業を退職した日の直前に当該交流元企業において占めていた地位その他必要な事項を報告しなければならない。
(防衛庁の職員への準用等)
第二十三条 この法律(第二条第一項、第五項及び第六項、第三条第一号及び第二号、第四条、第五条第二項及び第三項並びに第十条第二項を除く。)の規定は、国家公務員法第二条第三項第十六号に掲げる防衛庁の職員の人事交流について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「政令」と、第二条第二項第六号中「人事院」とあるのは「防衛庁長官(以下「長官」という。)」と、同条第三項中「職員、」とあるのは「職員、防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第十七条第二項の教育訓練又は同法第十八条第二項の教育訓練を受けている者(以下「学生」という。)、」と、同条第四項中「占める職員」とあるのは「占める職員(自衛官及び学生を除く。)」と、第三条、第六条第二項、第八条第二項、第十九条第四項及び第二十二条第二項中「人事院」とあり、並びに第七条第三項及び第四項、第十三条第一項並びに第二十二条第一項中「人事院総裁」とあるのは「長官」と、第三条第三号中「任命権者」とあるのは「任命権者(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員の任免について権限を有する者をいう。以下同じ。)」と、第五条第一項中「各省各庁の長」とあるのは「各庁の長(長官及び防衛施設庁長官をいう。以下同じ。)」と、「関し」とあるのは「関し一般職に属する国家公務員の例に準じて」と、第六条第一項中「人事院は」とあるのは「長官は」と、同条第二項、第七条第一項及び第二項並びに第八条第二項中「各省各庁の長」とあるのは「各庁の長」と、第七条第一項中「人事院に」とあるのは「長官に」と、「職員」とあるのは「職員(長官にあっては防衛施設庁に所属する自衛官を含み、防衛施設庁長官にあっては当該自衛官を除く。)」と、同条第三項中「人事院が」とあるのは「長官が」と、「人事院事務総局の職員であるときを除く」とあるのは「防衛施設庁の職員であるときに限る」と、「人事院事務総局に」とあるのは「防衛庁本庁に」と、第十二条第三項中「国家公務員法第百四条」とあるのは「自衛隊法第六十三条」と、同条第四項中「国家公務員法第八十二条」とあるのは「自衛隊法第四十六条」と、「同条第一項第一号」とあるのは「同条第一項第三号」と、「国家公務員倫理法」とあるのは「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」と、第十三条第三項中「人事院総裁を除く」とあるのは「防衛施設庁長官に限る」と、第十四条第四項中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として」とあるのは「として」と、「に相当するもの」とあるのは「として政令で定めるものに相当するもの」と、第十六条中「一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十三条第一項及び附則第七項」とあるのは「防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十三条第一項」と、第十八条第一項中「級」とあるのは「級又は階級」と、第十九条第二項中「人事院の」とあるのは「長官の」と、第二十一条第二項中「国家公務員法第百三条第二項」とあるのは「自衛隊法第六十二条第二項」と、第二十二条第三項中「人事院は、毎年、国会及び内閣」とあるのは「内閣は、毎年、国会」と読み替えるものとする。
2 防衛庁長官は、前項において準用する第七条第三項及び第十九条第二項の認定、前項において準用する第八条第二項の延長並びに前項において準用する第十九条第四項の承認を行う場合には、政令で定める審査会に付議し、その議決に基づいて行わなければならない。
3 自衛隊法第六十条の規定は、第一項において準用する第七条第三項の規定により交流派遣をされた防衛庁の職員には適用しない。
4 第一項において準用する第七条第三項の規定により交流派遣をされた自衛官(次項において「交流派遣自衛官」という。)に関する自衛隊法第九十八条第四項及び第九十八条の二第一項の規定の適用については、派遣先企業の業務を公務とみなす。
5 防衛庁の職員の給与等に関する法律第二十二条の規定は、交流派遣自衛官には適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。
(交流基準の制定のために必要な行為)
2 第五条の規定による交流基準の制定のため必要な手続その他の行為は、この法律の施行前においても、行うことができる。
(経過措置)
3 この法律の施行の日から平成十二年三月三十一日までの間における第十二条第四項及び第二十三条第一項の規定の適用については、第十二条第四項中「若しくは国家公務員倫理法」とあるのは「この法律又はこの」と、「、国家公務員倫理法若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律」とあるのは「この法律若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律又はこれらの」と、第二十三条第一項中「同条第一項第三号」と、「国家公務員倫理法」とあるのは「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」と」とあるのは「同条第一項第三号」と」とする。
内閣総理大臣 小渕恵三
法務大臣 臼井日出男
外務大臣 河野洋平
大蔵大臣 宮澤喜一
文部大臣 中曽根弘文
厚生大臣 丹羽雄哉
農林水産大臣 玉沢徳一郎
通商産業大臣 深谷隆司
運輸大臣 二階俊博
郵政大臣 前島英三郎
労働大臣 牧野隆守
建設大臣 中山正暉
自治大臣 保利耕輔
国と民間企業との間の人事交流に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年十二月二十二日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第二百二十四号
国と民間企業との間の人事交流に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、行政運営における重要な役割を担うことが期待される職員について交流派遣をし、民間企業の実務を経験させることを通じて、効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得させ、かつ、民間企業の実情に関する理解を深めさせることにより、行政の課題に柔軟かつ的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成を図るとともに、民間企業における実務の経験を通じて効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得している者について交流採用をして職務に従事させることにより行政運営の活性化を図るため、交流派遣及び交流採用(以下「人事交流」という。)に関し必要な措置を講じ、もって公務の能率的な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、第十四条第一項及び第二十三条を除き、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員をいう。
2 この法律において「民間企業」とは、次に掲げる法人をいう。
一 合名会社、合資会社及び株式会社
二 有限会社
三 信用金庫
四 相互会社
五 前各号に掲げるもののほか、その事業の運営のために必要な経費の主たる財源をその事業の収益によって得ている本邦法人(その資本金の全部又は大部分が国又は地方公共団体からの出資によるものを除く。)であってその営む事業について他の事業者と競争関係にあるもののうち、前条の目的を達成するために適切であると認められる法人として人事院規則で定めるもの
六 外国法人であって、前各号に掲げる法人に類するものとして人事院が指定するもの
3 この法律において「交流派遣」とは、期間を定めて、職員(法律により任期を定めて任用される職員、常時勤務を要しない官職を占める職員その他の人事院規則で定める職員を除く。)を、その身分を保有させたまま、当該職員と民間企業との間で締結した労働契約に基づく業務に従事させることをいう。
4 この法律において「交流採用」とは、民間企業に雇用されていた者であって引き続いてこの法律の規定により採用された職員となるため退職したものを、選考により、引き続いて任期を定めて常時勤務を要する官職を占める職員として採用することをいう。
5 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。
6 この法律において「各省各庁の長」とは、内閣総理大臣、各省大臣、会計検査院長及び人事院総裁並びに各外局の長をいう。
(人事院の権限及び責務)
第三条 人事院は、この法律の実施に関し、次に掲げる権限及び責務を有する。
一 この法律(次条、第五条第二項、第十二条第三項、第十四条、第十五条、第十七条及び第二十三条の規定を除く。次号において同じ。)の実施の責めに任ずること。
二 この法律の実施に関し必要な事項について、人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。
三 人事交流の適正な実施を確保するため、人事交流の制度の運用状況に関し、職員、任命権者その他の関係者に報告を求め、又は調査をすること。
(内閣総理大臣の責務)
第四条 内閣総理大臣は、人事交流の制度の円滑かつ効果的な運用に資するため、その運用に関する基本方針を作成し、これに基づいて、各行政機関が行う人事交流に関し、その統一保持上必要な総合調整を行うものとする。
2 内閣総理大臣は、人事交流の制度の円滑かつ効果的な運用を確保するための方策について調査研究を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。
(交流基準)
第五条 各省各庁の長その他の関係者は、人事交流の制度の運用に当たっては、次に掲げる事項に関し人事院規則で定める基準(以下「交流基準」という。)に従い、常にその適正な運用の確保に努めなければならない。
一 国の機関に置かれる部局等であって民間企業に対する処分等(法令の規定に基づいてされる行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第二号に規定する処分及び同条第六号に規定する行政指導をいう。第十三条第四項及び第二十条において同じ。)に関する事務を所掌するものと当該民間企業との間の人事交流の制限に関する事項
二 国と契約関係にある民間企業との間の人事交流の制限に関する事項
三 その他人事交流の制度の適正な運用のため必要な事項
2 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、交流基準に関し、人事院に意見を述べることができる。
3 人事院は、交流基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、人事院規則の定めるところにより、行政運営に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。
(民間企業の公募)
第六条 人事院は、人事院規則の定めるところにより、人事交流を希望する民間企業を公募するものとする。
2 人事院は、各省各庁の長に対し、定期的に又はその求めに応じ、前項の規定に基づき応募した民間企業について、その名簿及びそれぞれの民間企業が示した人事交流に関する条件を提示するものとする。
(交流派遣)
第七条 各省各庁の長は、人事院規則の定めるところにより、交流派遣の実施に関する計画を記載した書類を人事院に提出し、部内の職員について前条第二項の規定により提示された名簿に記載のある民間企業に交流派遣をすることを要請することができる。
2 各省各庁の長は、前項の規定による要請をしようとするときは、あらかじめ、当該要請に係る職員の同意を得なければならない。
3 第一項の規定による要請に係る交流派遣の実施に関する計画がこの法律の規定及び交流基準に適合するものであることについて人事院が認定した場合には、人事院総裁は、当該要請に係る職員(その職員が人事院事務総局の職員であるときを除く。)を人事院事務総局に属する官職に任命するとともに、当該要請に係る職員について当該要請に係る民間企業への交流派遣を実施するものとする。
4 人事院総裁は、前項の規定による交流派遣の実施に当たっては、同項の民間企業(以下「派遣先企業」という。)との間において、同項の認定を受けた計画に従って、当該派遣先企業における当該交流派遣に係る職員の労働条件、当該職員が職務に復帰する場合における当該職員と当該派遣先企業との間の労働契約の終了その他交流派遣に当たって合意しておくべきものとして人事院規則で定める事項について取決めを締結しなければならない。この場合において、人事院総裁は、当該職員にその取決めの内容を明示しなければならない。
(交流派遣の期間)
第八条 交流派遣の期間は、三年を超えることができない。
2 前項の期間は、派遣先企業から当該期間の延長を希望する旨の申出があり、かつ、その申出に理由があると人事院が認めた場合は、前条第三項の規定により交流派遣をされた職員(以下「交流派遣職員」という。)及び当該交流派遣職員の交流派遣を要請した各省各庁の長(第十三条第三項において「交流派遣元機関の長」という。)の同意を得て、交流派遣をした日から引き続き五年を超えない範囲内において、これを延長することができる。
(労働契約の締結)
第九条 交流派遣職員は、第七条第四項の取決めに定められた内容に従って、派遣先企業との間で労働契約を締結し、その交流派遣の期間中、当該派遣先企業の業務に従事するものとする。
(交流派遣職員の職務)
第十条 交流派遣職員は、その交流派遣の期間中、職務に従事することができない。
2 次に掲げる法律の規定は、交流派遣職員には適用しない。
一 国家公務員法第百一条の規定
二 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)の規定
(交流派遣職員の給与)
第十一条 交流派遣職員には、その交流派遣の期間中、給与を支給しない。
(交流派遣職員の服務等)
第十二条 交流派遣職員は、派遣先企業において、その交流派遣前に在職していた国の機関に対してする申請(行政手続法第二条第三号に規定する申請をいう。)に関する業務その他の交流派遣職員が従事することが適当でないものとして人事院規則で定める業務に従事してはならない。
2 交流派遣職員は、派遣先企業における業務を行うに当たっては、職員たる地位を利用し、又はその交流派遣前において官職を占めていたことによる影響力を利用してはならない。
3 交流派遣職員の派遣先企業の業務への従事に関しては、国家公務員法第百四条の規定は、適用しない。
4 交流派遣職員に対する国家公務員法第八十二条の規定の適用については、同条第一項第一号中「若しくは国家公務員倫理法」とあるのは、「、国家公務員倫理法若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律」とする。
(交流派遣職員の職務への復帰)
第十三条 人事院総裁は、交流派遣職員がその派遣先企業の地位を失った場合その他の人事院規則で定める場合であって、その交流派遣を継続することができないか又は適当でないと認めるときは、速やかに当該交流派遣に係る交流派遣職員を職務に復帰させなければならない。
2 交流派遣職員は、その交流派遣の期間が満了したときは、職務に復帰する。
3 交流派遣職員が職務に復帰したときは、交流派遣元機関の長(人事院総裁を除く。)は、直ちに、当該交流派遣職員をその部内の機関に属する官職に就けるために必要な措置をとらなければならない。
4 交流派遣後職務に復帰した職員については、その復帰の日から起算して二年間は、任命権者は、当該職員の派遣先企業であった民間企業に対する処分等に関する事務をその職務とする官職その他の当該民間企業と密接な関係にあるものとして人事院規則で定める官職に就けてはならない。
(交流派遣職員に関する国家公務員共済組合法の特例)
第十四条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第四十一条第二項の規定及び同法の短期給付に関する規定(同法第六十八条の二ただし書の規定を除く。以下この項において同じ。)は、交流派遣職員には適用しない。この場合において、同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員(同法第二条第一項第一号に規定する職員をいう。以下この項において同じ。)が交流派遣職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(同法第二条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなし、交流派遣職員が同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日に職員となったものとみなす。
2 交流派遣職員に対する国家公務員共済組合法の長期給付に関する規定の適用については、派遣先企業の業務を公務とみなす。
3 交流派遣職員は、国家公務員共済組合法第九十八条各号に掲げる福祉事業を利用することができない。
4 交流派遣職員に関する国家公務員共済組合法の規定の適用については、同法第二条第一項第五号中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として政令で定めるもの」とあるのは「に相当するものとして、次条第一項に規定する組合の運営規則で定めるもの」と、同法第九十九条第二項中「次の各号」とあるのは「次の各号(第一号及び第四号を除く。)」と、「並びに国の負担金」とあるのは「、国と民間企業との間の人事交流に関する法律第七条第四項に規定する派遣先企業(以下「派遣先企業」という。)の負担金並びに国の負担金」と、同項第二号及び第三号中「国の負担金」とあるのは「派遣先企業の負担金」と、同法第百一条の二第一項中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として政令で定めるもの」とあるのは「に相当するものとして、組合の運営規則で定めるもの」と、同法第百二条第一項中「各省各庁の長(自治大臣を含む。)又は職員団体」とあり、及び「国又は職員団体」とあるのは「派遣先企業」と、「第九十九条第二項(同条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第九十九条第二項」と、同条第四項中「職員団体」とあるのは「派遣先企業」と、同法附則第二十条の三第二項中「「次の各号」とあるのは「次の各号(」とあるのは「「次の各号(第一号及び第四号を除く。)」とあるのは「次の各号(第一号、第四号及び」と、「第百二条第一項中「)の規定」とあるのは「)及び附則第二十条の三第一項の規定」と、同条第四項」とあるのは「「特別掛金、」とあるのは「特別掛金並びに」と、「負担金並びに国の負担金」とあるのは「負担金」と、第百二条第四項」とする。
(交流派遣職員に関する児童手当法の特例)
第十五条 交流派遣職員に関する児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)の規定の適用については、派遣先企業を同法第二十条第一項第五号に規定する団体とみなす。
(職務に復帰した職員に関する一般職の職員の給与に関する法律の特例)
第十六条 交流派遣後職務に復帰した職員に関する一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十三条第一項及び附則第七項の規定の適用については、派遣先企業において就いていた業務(当該業務に係る労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第二項に規定する通勤を含む。)を公務とみなす。
(職務に復帰した職員等に関する国家公務員退職手当法の特例)
第十七条 交流派遣後職務に復帰した職員が退職した場合(交流派遣職員がその交流派遣の期間中に退職した場合を含む。)における国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定の適用については、派遣先企業の業務に係る業務上の傷病又は死亡は同法第四条第二項、第五条第一項及び第七条第四項に規定する公務上の傷病又は死亡と、当該業務に係る労働者災害補償保険法第七条第二項に規定する通勤による傷病は国家公務員退職手当法第四条第二項、第五条第二項及び第七条第四項に規定する通勤による傷病とみなす。
2 国家公務員退職手当法第七条第四項の規定は、交流派遣の期間については、適用しない。
3 前項の規定は、交流派遣職員が派遣先企業から所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十条第一項に規定する退職手当等(同法第三十一条の規定により退職手当等とみなされるものを含む。)の支払を受けた場合には、適用しない。
4 交流派遣職員がその交流派遣の期間中に退職した場合に支給する国家公務員退職手当法の規定による退職手当の算定の基礎となる俸給月額については、部内の他の職員との権衡上必要があると認められるときは、次条第一項の規定の例により、その額を調整することができる。
(交流派遣職員の職務復帰時における処遇)
第十八条 交流派遣職員が職務に復帰した場合におけるその者の職務の級、俸給月額及び昇給期間については、部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内において、人事院規則の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。
2 前項に定めるもののほか、交流派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内の他の職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。
(交流採用)
第十九条 任命権者は、第六条第二項の規定により提示された名簿に記載のある民間企業に雇用されていた者について交流採用をすることができる。
2 任命権者は、前項の規定による交流採用をしようとするときは、あらかじめ、人事院規則の定めるところにより、その実施に関する計画を記載した書類を提出して、当該計画がこの法律の規定及び交流基準に適合するものであることについて、人事院の認定を受けなければならない。
3 任命権者は、第一項の規定により交流採用をするときは、同項の民間企業との間において、当該交流採用に係る任期が満了した場合における当該民間企業による再雇用に関する取決めを締結しておかなければならない。
4 交流採用に係る任期は、三年を超えない範囲内で任命権者が定める。ただし、任命権者がその所掌事務の遂行上特に必要があると認める場合には、人事院の承認を得て、交流採用をした日から引き続き五年を超えない範囲内において、これを更新することができる。
5 任命権者は、交流採用をする場合には、当該交流採用をされる者にその任期を明示しなければならない。これを更新する場合も、同様とする。
(官職の制限)
第二十条 任命権者は、前条第一項の規定により交流採用をされた職員(以下「交流採用職員」という。)を同項の民間企業(以下「交流元企業」という。)に対する処分等に関する事務をその職務とする官職その他の交流元企業と密接な関係にあるものとして人事院規則で定める官職に就けてはならない。
(交流採用職員の服務等)
第二十一条 交流採用職員は、その任期中、いかなる場合においても、交流元企業の地位に就き、又はその事業若しくは事務に従事してはならない。
2 交流採用職員が離職後交流元企業の地位に就く場合には、国家公務員法第百三条第二項の規定は、適用しない。
3 第十二条第四項の規定は、交流採用職員について準用する。
(人事交流の状況の報告)
第二十二条 交流派遣職員は、人事院総裁から求められたときは、派遣先企業における労働条件及び業務の遂行の状況を報告しなければならない。
2 任命権者は、毎年、人事院に対し、交流採用職員の任用及び職務の遂行の状況を報告しなければならない。
3 人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、前年に第七条第三項の規定により交流派遣をされた職員の派遣先企業における地位及び当該職員が当該交流派遣に係る同条第一項の要請の時に占めていた官職、前年に第十九条第一項の規定により交流採用をされた職員の占める官職及び当該職員がその交流元企業を退職した日の直前に当該交流元企業において占めていた地位その他必要な事項を報告しなければならない。
(防衛庁の職員への準用等)
第二十三条 この法律(第二条第一項、第五項及び第六項、第三条第一号及び第二号、第四条、第五条第二項及び第三項並びに第十条第二項を除く。)の規定は、国家公務員法第二条第三項第十六号に掲げる防衛庁の職員の人事交流について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「政令」と、第二条第二項第六号中「人事院」とあるのは「防衛庁長官(以下「長官」という。)」と、同条第三項中「職員、」とあるのは「職員、防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第十七条第二項の教育訓練又は同法第十八条第二項の教育訓練を受けている者(以下「学生」という。)、」と、同条第四項中「占める職員」とあるのは「占める職員(自衛官及び学生を除く。)」と、第三条、第六条第二項、第八条第二項、第十九条第四項及び第二十二条第二項中「人事院」とあり、並びに第七条第三項及び第四項、第十三条第一項並びに第二十二条第一項中「人事院総裁」とあるのは「長官」と、第三条第三号中「任命権者」とあるのは「任命権者(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員の任免について権限を有する者をいう。以下同じ。)」と、第五条第一項中「各省各庁の長」とあるのは「各庁の長(長官及び防衛施設庁長官をいう。以下同じ。)」と、「関し」とあるのは「関し一般職に属する国家公務員の例に準じて」と、第六条第一項中「人事院は」とあるのは「長官は」と、同条第二項、第七条第一項及び第二項並びに第八条第二項中「各省各庁の長」とあるのは「各庁の長」と、第七条第一項中「人事院に」とあるのは「長官に」と、「職員」とあるのは「職員(長官にあっては防衛施設庁に所属する自衛官を含み、防衛施設庁長官にあっては当該自衛官を除く。)」と、同条第三項中「人事院が」とあるのは「長官が」と、「人事院事務総局の職員であるときを除く」とあるのは「防衛施設庁の職員であるときに限る」と、「人事院事務総局に」とあるのは「防衛庁本庁に」と、第十二条第三項中「国家公務員法第百四条」とあるのは「自衛隊法第六十三条」と、同条第四項中「国家公務員法第八十二条」とあるのは「自衛隊法第四十六条」と、「同条第一項第一号」とあるのは「同条第一項第三号」と、「国家公務員倫理法」とあるのは「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」と、第十三条第三項中「人事院総裁を除く」とあるのは「防衛施設庁長官に限る」と、第十四条第四項中「とし、その他の職員については、これらに準ずる給与として」とあるのは「として」と、「に相当するもの」とあるのは「として政令で定めるものに相当するもの」と、第十六条中「一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十三条第一項及び附則第七項」とあるのは「防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十三条第一項」と、第十八条第一項中「級」とあるのは「級又は階級」と、第十九条第二項中「人事院の」とあるのは「長官の」と、第二十一条第二項中「国家公務員法第百三条第二項」とあるのは「自衛隊法第六十二条第二項」と、第二十二条第三項中「人事院は、毎年、国会及び内閣」とあるのは「内閣は、毎年、国会」と読み替えるものとする。
2 防衛庁長官は、前項において準用する第七条第三項及び第十九条第二項の認定、前項において準用する第八条第二項の延長並びに前項において準用する第十九条第四項の承認を行う場合には、政令で定める審査会に付議し、その議決に基づいて行わなければならない。
3 自衛隊法第六十条の規定は、第一項において準用する第七条第三項の規定により交流派遣をされた防衛庁の職員には適用しない。
4 第一項において準用する第七条第三項の規定により交流派遣をされた自衛官(次項において「交流派遣自衛官」という。)に関する自衛隊法第九十八条第四項及び第九十八条の二第一項の規定の適用については、派遣先企業の業務を公務とみなす。
5 防衛庁の職員の給与等に関する法律第二十二条の規定は、交流派遣自衛官には適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。
(交流基準の制定のために必要な行為)
2 第五条の規定による交流基準の制定のため必要な手続その他の行為は、この法律の施行前においても、行うことができる。
(経過措置)
3 この法律の施行の日から平成十二年三月三十一日までの間における第十二条第四項及び第二十三条第一項の規定の適用については、第十二条第四項中「若しくは国家公務員倫理法」とあるのは「この法律又はこの」と、「、国家公務員倫理法若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律」とあるのは「この法律若しくは国と民間企業との間の人事交流に関する法律又はこれらの」と、第二十三条第一項中「同条第一項第三号」と、「国家公務員倫理法」とあるのは「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」と」とあるのは「同条第一項第三号」と」とする。
内閣総理大臣 小渕恵三
法務大臣 臼井日出男
外務大臣 河野洋平
大蔵大臣 宮沢喜一
文部大臣 中曽根弘文
厚生大臣 丹羽雄哉
農林水産大臣 玉沢徳一郎
通商産業大臣 深谷隆司
運輸大臣 二階俊博
郵政大臣 前島英三郎
労働大臣 牧野隆守
建設大臣 中山正暉
自治大臣 保利耕輔