(資金の貸付け)
第十条 都道府県は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものに対し、その経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、次に掲げる資金を貸し付けることができる。
二 配偶者のない女子が扶養している児童の修学(これに引き続く実地修練を含む。)に必要な資金
三 配偶者のない女子又はその者が扶養している児童が事業を開始し、又は就職するために必要な知識技能を習得するのに必要な資金
四 前三号に掲げるもののほか、配偶者のない女子及びその者が扶養している児童の福祉のために必要な資金であつて政令で定めるもの
2 都道府県は、前項に規定する資金のうち、その貸付けの目的を達成するために一定の期間継続して貸し付ける必要がある資金で政令で定めるものについては、その貸付けの期間中に当該児童が二十歳に達した後でも、政令で定めるところにより、なお継続してその貸付けを行なうことができる。
3 都道府県は、第一項に規定する資金のうち、その貸付けの目的が児童の修学、知識技能の習得等に係る資金であつて政令で定めるものを貸し付けている場合において、その修学、知識技能の習得等の中途において当該資金の貸付けを受けている配偶者のない女子が死亡したときは、政令で定めるところにより、当該児童(二十歳以上である者を含む。)がその修学、知識技能の習得等を終了するまでの間、当該児童に対して、当該資金の貸付けを行なうことができる。
(母子福祉団体に対する貸付け)
第十一条 都道府県は、政令で定める事業を行なう母子福祉団体であつて、その事業に使用される者が主として配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものであるものに対し、当該事業につき、前条第一項第一号に掲げる資金を貸し付けることができる。
(償還の免除)
第十二条 都道府県は、貸付金の貸付けを受けた者が死亡したとき、又は精神若しくは身体に著しい障害を受けたため、貸付金を償還することができなくなったと認められるときは、都道府県児童福祉審議会の意見を聞き、かつ、議会の議決を経て、当該貸付金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができる。ただし、政令で定める場合はこの限りでない。
(特別会計)
第十三条 都道府県は、この法律による貸付金の貸付けを行なうについては、特別会計を設けなければならない。
2 前項の特別会計においては、一般会計からの繰入金、次条第一項の規定による国からの借入金、貸付金の償還金(当該貸付金に係る政令で定める収入を含む。以下同じ。)及び附属雑収入をもつてその歳入とし、貸付金及び貸付けに関する事務に要する費用をもつてその歳出とする。
3 前項に規定する貸付けに関する事務に要する費用の額は、前項の規定に基づく政令で定める収入のうち収納済みとなつたものの二分の一に相当する額と、当該経費に充てるための一般会計からの繰入金の額との合計額をこえてはならない。
(国の貸付け)
第十四条 国は、都道府県が貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額を、無利子で、都道府県に貸し付けるものとする。
2 都道府県は、この法律による貸付金の貸付業務を廃止したときは、その際における未貸付額及びその後において支払を受けた貸付金の償還金の額に、それぞれ第一号に掲げる金額の第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た金額の合計額を、政令で定めるところにより国に償還しなければならない。
二 前号に掲げる額と都道府県が貸付金の財源として特別会計に繰り入れた金額の総額との合計額
3 第一項の規定による貸付けの手続に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
(政令への委任)
第十五条 第十条から第十三条までに定めるもののほか、貸付金の貸付金額の限度、貸付方法、償還その他貸付金に関して必要な事項は、政令で定める。
(売店等の設置の許可)
第十六条 国又は地方公共団体の設置した事務所その他の公共的施設の管理者は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又は母子福祉団体からの申請があつたときは、その公共的施設内において、新聞、雑誌、たばこ、事務用品、食料品その他の物品を販売し、又は理容業、美容業等の業務を行なうために、売店又は理容所、美容所等の施設を設置することを許すように努めなければならない。
2 前項の規定により売店その他の施設を設置することを許された者は、病気その他正当な理由がある場合のほかは、みずからその業務に従事し、又は当額母子福祉団体が使用する配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものをその業務に従事させなければならない。
3 都道府県知事は、第一項に規定する売店その他の施設の設置及びその運営を円滑にするため、当該都道府県の区域内の公共的施設の管理者と協議を行ない、かつ、公共的施設内における売店等の設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び母子福祉団体に知らせる措置を講じなければならない。
(専売品販売の許可)
第十七条 日本専売公社は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがたばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)の規定による製造たばこの小売人の指定を申請したときは、同法第三十一条第一項各号の一に該当する場合を除き、その者を製造たばこの小売人に指定するように努めなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により小売人に指定された者について準用する。
(公営住宅の供給に関する特別の配慮)
第十八条 地方公共団体は、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)による公営住宅の供給を行なう場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
(母子家庭の母及び児童の雇用に関する協力)
第十九条 母子相談員その他母子家庭の福祉に関する機関及び公共職業安定所は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、相互に協力しなければならない。