(使用の認可)
第十条 事業者は、対象地域において、この章の定めるところに従い、使用の認可を受けて、当該事業者が施行する事業のために大深度地下を使用することができる。
(使用の認可に関する処分を行う機関)
第十一条 事業が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、国土交通大臣が使用の認可に関する処分を行う。
三 一の都道府県の区域を越え、又は道の区域の全部にわたり利害の影響を及ぼす事業その他の事業で次に掲げるもの
イ 鉄道事業者がその鉄道事業(当該事業に係る路線又はその路線及び当該鉄道事業者若しくは当該鉄道事業者がその路線に係る鉄道線路を譲渡し、若しくは使用させる鉄道事業者が運送を行う上でその路線と密接に関連する他の路線が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)の用に供する施設に関する事業
ロ 第一種電気通信事業者(その業務区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)がその事業の用に供する施設に関する事業
ハ 電気事業法による一般電気事業(供給区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)、卸電気事業(供給の相手方たる一般電気事業者の供給区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)又は特定電気事業(供給地点が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)の用に供する電気工作物に関する事業
ニ イからハまでに掲げる事業のために欠くことができない通路、鉄道、軌道、電線路、水路その他の施設に関する事業
2 事業が前項各号に掲げるもの以外のものであるときは、事業区域を管轄する都道府県知事が使用の認可に関する処分を行う。
(事前の事業間調整)
第十二条 事業者は、使用の認可を受けようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した事業概要書を作成し、前条第一項の事業にあっては当該事業を所管する大臣(以下「事業所管大臣」という。)に、同条第二項の事業にあっては都道府県知事にこれを送付しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により事業概要書を送付したときは、国土交通省令で定めるところにより、事業概要書を作成した旨その他国土交通省令で定める事項を公告するとともに、事業区域が所在する市町村において、当該事業概要書を当該公告の日から起算して三十日間、縦覧に供しなければならない。
3 第一項の規定により事業概要書を送付された事業所管大臣又は都道府県知事は、速やかに、事業区域が所在する対象地域に組織されている協議会の構成員にその写しを送付しなければならない。
4 前項の規定により事業概要書の写しを送付された協議会の構成員(第四条各号に掲げる事業を所管する行政機関に限る。以下この項において同じ。)は、同条各号に掲げる事業を施行する者のうち当該協議会の構成員が所管するものに対し、当該事業概要書の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
5 第二項の規定による公告をした事業者は、同項の縦覧期間内に、事業区域又はこれに近接する地下において第四条各号に掲げる事業を施行し、又は施行しようとする者から事業の共同化、事業区域の調整その他事業の施行に関し必要な調整の申出があったときは、当該調整に努めなければならない。
6 前項の規定による調整の結果、第二項の規定による公告をした事業者と共同して事業を施行することとなった事業者については、前各項の規定は、適用しない。
(調書の作成)
第十三条 事業者は、使用の認可を受けようとするときは、あらかじめ、事業区域に井戸その他の物件があるかどうかを調査し、当該物件があるときは、次に掲げる事項を記載した調書を作成しなければならない。
二 物件の種類及び数量並びにその所有者の氏名及び住所
三 物件に関して権利を有する者の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容
(使用認可申請書)
第十四条 事業者は、使用の認可を受けようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した使用認可申請書を、第十一条第一項の事業にあっては事業所管大臣を経由して国土交通大臣に、同条第二項の事業にあっては都道府県知事に提出しなければならない。
2 前項の使用認可申請書には、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。
七 事業の施行に伴う安全の確保及び環境の保全のための措置を記載した書類
八 事業区域の全部又は一部が、この法律又は他の法律によって土地を使用し、又は収用することができる事業の用に供されているときは、当該事業の用に供する者の意見書
九 事業区域の利用について法令の規定による制限があるときは、当該法令の施行について権限を有する行政機関の意見書
十 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があったことを証する書類又は当該行政機関の意見書
十一 第十二条第五項の規定により調整の申出があったときは、当該調整の経過の要領及びその結果を記載した書類
3 第一項の規定により使用認可申請書を提出された事業所管大臣は、遅滞なく、当該使用認可申請書及びその添付書類を検討し、意見を付して、国土交通大臣に送付するものとする。
4 第一項第三号及び第二項第三号に規定する事業区域の表示は、事業区域に係る土地又はこれに定着する物件に関して所有権その他の権利を有する者が、自己の権利に係る土地の地下が事業区域に含まれ、又は自己の権利に係る物件が事業区域にあることを容易に判断できるものでなければならない。
5 第二項第八号から第十号までに掲げる意見書は、事業者が意見を求めた日から三週間を経過してもこれを得ることができなかったときは、添付することを要しない。この場合においては、意見書を得ることができなかった事情を疎明する書類を添付しなければならない。
(使用認可申請書の補正及び却下)
第十五条 前条の規定による使用認可申請書及びその添付書類が同条又は同条に基づく国土交通省令の規定に違反するときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、相当の期間を定めて、その補正を求めなければならない。使用の認可の申請に際し、第三十九条の規定による手数料を納めないとき又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十七条の規定により手数料を徴収する場合において当該手数料を納めないときも、同様とする。
2 事業者が前項の規定により補正を求められたにかかわらず、その定められた期間内に補正をしないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、使用認可申請書を却下しなければならない。
(使用の認可の要件)
第十六条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が次に掲げる要件のすべてに該当するときは、使用の認可をすることができる。
二 事業が対象地域における大深度地下で施行されるものであること。
三 事業の円滑な遂行のため大深度地下を使用する公益上の必要があるものであること。
四 事業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有する者であること。
六 事業により設置する施設又は工作物が、事業区域に係る土地に通常の建築物が建築されてもその構造に支障がないものとして政令で定める耐力以上の耐力を有するものであること。
七 事業の施行に伴い、事業区域にある井戸その他の物件の移転又は除却が必要となるときは、その移転又は除却が困難又は不適当でないと認められること。
(使用の認可の条件)
第十七条 使用の認可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、使用の認可の趣旨に照らして、又は使用の認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
(関係行政機関の意見の聴取等)
第十八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、使用の認可に関する処分を行おうとする場合において、第十四条第五項の規定により意見書の添付がなかったときその他必要があると認めるときは、同条第二項第八号の事業の用に供する者又は申請に係る事業の施行について関係のある行政機関の意見を求めなければならない。ただし、同号の事業の用に供する者については、その者を確知することができないときその他その意見を求めることができないときは、この限りでない。
2 申請に係る事業の施行について関係のある行政機関は、使用の認可に関する処分について、国土交通大臣又は都道府県知事に対して意見を述べることができる。
(説明会の開催等)
第十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、使用の認可に関する処分を行おうとする場合において必要があると認めるときは、申請に係る事業者に対し、事業区域に係る土地及びその付近地の住民に、説明会の開催等使用認可申請書及びその添付書類の内容を周知させるため必要な措置を講ずるよう求めることができる。
(使用の認可の手続に関する土地収用法の準用)
第二十条 国土交通大臣又は都道府県知事が使用の認可に関する処分を行おうとする場合の手続については、前二条に規定するもののほか、土地収用法第二十二条から第二十五条までの規定を準用する。この場合において、同法第二十二条、第二十三条第一項、第二十四条第一項及び第二十五条第一項中「事業の認定」とあり、並びに同条第二項中「認定」とあるのは「使用の認可」と、同法第二十三条第二項並びに第二十四条第二項及び第四項中「起業者」とあるのは「事業者」と、同法第二十三条第二項及び第二十四条第一項から第四項までの規定中「起業地」とあるのは「事業区域」と、同条第一項中「第二十条」とあるのは「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法第十六条」と、同項及び同条第三項中「事業認定申請書」とあるのは「使用認可申請書」と読み替えるものとする。
(使用の認可の告示等)
第二十一条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第十六条の規定によって使用の認可をしたときは、遅滞なく、その旨を当該使用の認可を受けた事業者(以下「認可事業者」という。)に文書で通知するとともに、次に掲げる事項をそれぞれ官報又は当該都道府県の公報で告示しなければならない。
2 国土交通大臣は、前項の規定による告示をしたときは、直ちに、関係都道府県知事にその旨を通知するとともに、事業区域を表示する図面の写しを送付しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による告示をしたときは、直ちに、国土交通大臣にその旨を報告し、国土交通大臣の要求があった場合においては、使用の認可に関する書類の写しを送付しなければならない。
4 使用の認可は、第一項の規定による告示があった日から、その効力を生ずる。
(事業区域を表示する図面の長期縦覧)
第二十二条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第十六条の規定によって使用の認可をしたときは、直ちに、事業区域が所在する市町村の長にその旨を通知しなければならない。
2 市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、第二十条において準用する土地収用法第二十四条第一項の規定により送付を受けた事業区域を表示する図面を、第二十九条第四項において準用する第二十八条第六項又は第三十条第三項若しくは第四項(事業区域の全部の使用が廃止された場合に限る。)の規定による通知を受ける日まで公衆の縦覧に供しなければならない。
3 土地収用法第二十四条第四項及び第五項の規定は、市町村長が第一項の通知を受けた日から二週間を経過しても前項の規定による手続を行わない場合に準用する。この場合において、同条第四項中「起業地」とあるのは「事業区域」と、「起業者」とあるのは「事業者」と読み替えるものとする。
(登録簿)
第二十三条 都道府県知事は、その管轄区域における大深度地下の使用の認可に関する登録簿(次項において単に「登録簿」という。)を調製し、公衆の閲覧に供するとともに、請求があったときはその写しを交付しなければならない。
2 登録簿の調製、閲覧その他登録簿に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(使用の認可の拒否)
第二十四条 国土交通大臣又は都道府県知事は、使用の認可を拒否したときは、遅滞なく、その旨を申請に係る事業者に文書で通知しなければならない。
(使用の認可の効果)
第二十五条 第二十一条第一項の規定による告示があったときは、当該告示の日において、認可事業者は、当該告示に係る使用の期間中事業区域を使用する権利を取得し、当該事業区域に係る土地に関するその他の権利は、認可事業者による事業区域の使用を妨げ、又は当該告示に係る施設若しくは工作物の耐力及び事業区域の位置からみて認可事業者による事業区域の使用に支障を及ぼす限度においてその行使を制限される。
(占用の許可等の特例)
第二十六条 前条の規定に基づく認可事業者による事業区域の使用については、道路法、河川法その他の法令中占用の許可及び占用料の徴収に関する規定は、適用しない。
(使用の認可に基づく地位の承継)
第二十七条 相続人、合併により設立される法人その他認可事業者の一般承継人は、被承継人が有していた使用の認可に基づく地位を承継する。
(権利の譲渡)
第二十八条 使用の認可に基づく権利の全部又は一部は、第十一条第一項の事業にあっては国土交通大臣、同条第二項の事業にあっては都道府県知事の承認を受けなければ、譲渡することができない。
2 前項の規定による国土交通大臣への承認の申請は、事業所管大臣を経由して行わなければならない。この場合においては、事業所管大臣は、遅滞なく、申請書を検討し、意見を付して、国土交通大臣に送付するものとする。
3 第一項の規定による承認の申請書の様式は、国土交通省令で定める。
4 第十七条の規定は、第一項の規定による承認について準用する。
5 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定による承認をしたときは、それぞれ官報又は当該都道府県の公報で告示しなければならない。
6 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、直ちに、その旨を、事業区域が所在する市町村の長に通知するとともに、国土交通大臣にあっては関係都道府県知事に通知し、都道府県知事にあっては国土交通大臣に報告しなければならない。
7 使用の認可に基づく権利の全部又は一部を譲り受けた者は、譲渡人が有していた使用の認可に基づく地位を承継する。
(使用の認可の取消し)
第二十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、認可事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、使用の認可(前条第一項の規定による承認を含む。以下この条において同じ。)を取り消すことができる。
一 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。
二 施行する事業が第十六条各号に掲げる要件のいずれかに該当しないこととなったとき。
三 正当な理由なく事業計画に従って事業を施行していないと認められるとき。
四 第十七条(前条第四項において準用する場合を含む。)の規定により使用の認可に付された条件に違反したとき。
2 国土交通大臣は、前項の規定により使用の認可を取り消そうとするときは、あらかじめ、事業所管大臣の意見を聴かなければならない。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により使用の認可を取り消したときは、それぞれ官報又は当該都道府県の公報で告示しなければならない。
4 前条第六項の規定は、前項の規定による告示をした場合に準用する。
5 使用の認可は、第三項の規定による告示があった日から将来に向かって、その効力を失う。
(事業の廃止又は変更)
第三十条 第二十一条第一項の規定による告示があった後、認可事業者が事業の全部若しくは一部を廃止し、又はこれを変更したために事業区域の全部又は一部を使用する必要がなくなったときは、認可事業者は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣又は都道府県知事にその旨(事業区域の一部を使用する必要がなくなったときにあっては、使用の必要がない事業区域の部分及びこれを表示する図面を含む。)を届け出なければならない。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による届出を受け取ったときは、事業区域の全部又は一部の使用が廃止されたこと(事業区域の一部の使用の廃止にあっては、使用の廃止に係る事業区域の部分を含む。)を、それぞれ官報又は当該都道府県の公報で告示しなければならない。
3 国土交通大臣は、前項の規定による告示をしたときは、直ちに、事業区域が所在する市町村の長及び関係都道府県知事に対し、その旨を通知するとともに、事業区域の一部の使用の廃止にあっては、使用の廃止に係る事業区域の部分を表示する図面の写しを送付しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の規定による告示をしたときは、直ちに、その旨を、事業区域が所在する市町村の長に通知し、国土交通大臣に報告するとともに、事業区域の一部の使用の廃止にあっては、当該市町村長に使用の廃止に係る事業区域の部分を表示する図面の写しを送付しなければならない。
5 第三項又は前項の通知(事業区域の一部の使用の廃止に係るものに限る。次項において同じ。)を受けた市町村長は、直ちに、使用の廃止に係る事業区域の部分を表示する図面を第二十二条第二項に規定する日まで公衆の縦覧に供しなければならない。
6 土地収用法第二十四条第四項及び第五項の規定は、市町村長が第三項又は第四項の通知を受けた日から二週間を経過しても前項の規定による手続を行わない場合に準用する。この場合において、同条第四項中「起業地」とあるのは「事業区域」と、「起業者」とあるのは「事業者」と読み替えるものとする。
7 使用の認可は、第二項の規定による告示があった日から将来に向かって、その効力(事業区域の一部の使用の廃止に係るものにあっては、使用の廃止に係る事業区域の部分における効力)を失う。