保護司法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四号
保護司法
(この法律の目的)
第一條 この法律は、犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第十九條の規定により地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の権限に属する事項に関する事務に従事する保護司について、これに適用すべき各般の基準を定め、もつて同法の円滑な実施を期することを目的とする。
(設置区域及び定数)
第二條 保護司は、中央更生保護委員会(以下「中央委員会」という。)が都道府県の区域を分けて定める区域(以下「保護区」という。)に置くものとする。
2 保護司の定数は、全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。
3 保護区ごとの保護司の定数は、中央委員会が地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の意見を聞いて定める。
4 前項の定数を定めるに当つては、その土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考慮しなければならない。
(推薦及び委嘱)
第三條 保護司は、左の各号に掲げるすべての條件を具備する者のうちから、中央委員会の委員長が、委嘱する。
一 人格及び行動について、社会的信望を有すること。
二 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
三 生活が安定していること。
四 健康で活動力を有すること。
2 中央委員会の委員長は、前項の委嘱を、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会の委員長に委任することができる。
3 前二項の委嘱は、少年保護観察所長及び成人保護観察所長が推薦した者のうちから、第五條の規定による保護司選考会の意見を聞いて行わなければならない。
(欠格條項)
第四條 左の各号の一に該当する者は、保護司になることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 禁こ以上の刑に処せられた者
三 日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壞することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
(保護司選考会)
第五條 中央委員会、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会の委員長の諮問に応じて保護司の委嘱及び解嘱に関する意見を述べさせるため、各地方裁判所の所在地に、中央委員会の附属機関として、保護司選考会を置く。
2 保護司選考会は、委員十三人(東京に置かれる保護司選考会にあつては、十五人)以内をもつて組織し、うち一人を会長とする。
3 保護司選考会の委員には、給與を支給しない。
4 この法律で定めるもののほか、保護司選考会の組織、所掌事務、委員及び事務処理の手続については、中央委員会の規則で定める。
(少年保護司及び成人保護司)
第六條 保護司を分けて、少年保護司及び成人保護司とする。
2 少年保護司は、主として青少年に関する事務を担当し、成人保護司は、主として成人に関する事務を担当するものとする。
3 少年保護司及び成人保護司の別は、各保護司につき、地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会が協議して定める。
(任期)
第七條 保護司の任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。
(職務の執行区域)
第八條 保護司は、その置かれた保護区の区域内において、職務を行うものとする。但し、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会から特に命ぜられたときは、この限りでない。
(服務)
第九條 保護司は、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び技術の修得に努め、社会奉仕の精神をもつてその職務を遂行しなければならない。
2 保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重し、その名誉保持に努めなければならない。
(監督)
第十條 保護司は、青少年に関する事務については、地方少年保護委員会の、成人に関する事務については、地方成人保護委員会の指揮監督を受ける。
(費用の支給)
第十一條 保護司には、給與を支給しない。
2 保護司は、中央委員会の規則の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。
(解嘱)
第十二條 中央委員会の委員長は、保護司が第四條各号の一に該当するに至つたときは、これを解嘱しなければならない。
2 中央委員会の委員長は、保護司が左の各号の一に該当するに至つたときは、保護司選考会の意見を聞き、これを解嘱することができる。
一 第三條第一項各号の一に掲げる條件を欠くに至つたとき。
二 職務上の義務に違反し、又はその職務を怠つたとき。
三 保護司たるにふさわしくない非行があつたとき。
3 前二項の規定による解嘱は、当該保護司に解嘱の理由が説明され、且つ、弁明の機会が與えられた後でなければ行うことができない。但し、第四條第一号又は第二号に該当するに至つたことを理由とする解嘱については、この限りでない。
(表彰)
第十三條 法務総裁は、中央委員会の意見を聞き、職務上特に功労がある保護司を表彰し、その業績を一般に周知させることに意を用いなければならない。
(施行規則)
第十四條 この法律の実施のための手続、その他その執行について必要な細則は、中央委員会の規則で定める。
附 則
1 この法律は、更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)の施行の日から施行する。
2 左に掲げる法律の規定中「司法保護委員」を「保護司」に改める。
一 犯罪者予防更生法第十九條、第三十九條、第四十一條及び第五十二條
二 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十六條及び第三十條の二
3 他の法令中「司法保護委員」とあるのは、「保護司」と読み替えるものとする。
法務総裁 殖田俊吉
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
保護司法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四号
保護司法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第十九条の規定により地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の権限に属する事項に関する事務に従事する保護司について、これに適用すべき各般の基準を定め、もつて同法の円滑な実施を期することを目的とする。
(設置区域及び定数)
第二条 保護司は、中央更生保護委員会(以下「中央委員会」という。)が都道府県の区域を分けて定める区域(以下「保護区」という。)に置くものとする。
2 保護司の定数は、全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。
3 保護区ごとの保護司の定数は、中央委員会が地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の意見を聞いて定める。
4 前項の定数を定めるに当つては、その土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考慮しなければならない。
(推薦及び委嘱)
第三条 保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、中央委員会の委員長が、委嘱する。
一 人格及び行動について、社会的信望を有すること。
二 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
三 生活が安定していること。
四 健康で活動力を有すること。
2 中央委員会の委員長は、前項の委嘱を、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会の委員長に委任することができる。
3 前二項の委嘱は、少年保護観察所長及び成人保護観察所長が推薦した者のうちから、第五条の規定による保護司選考会の意見を聞いて行わなければならない。
(欠格条項)
第四条 左の各号の一に該当する者は、保護司になることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 禁こ以上の刑に処せられた者
三 日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
(保護司選考会)
第五条 中央委員会、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会の委員長の諮問に応じて保護司の委嘱及び解嘱に関する意見を述べさせるため、各地方裁判所の所在地に、中央委員会の附属機関として、保護司選考会を置く。
2 保護司選考会は、委員十三人(東京に置かれる保護司選考会にあつては、十五人)以内をもつて組織し、うち一人を会長とする。
3 保護司選考会の委員には、給与を支給しない。
4 この法律で定めるもののほか、保護司選考会の組織、所掌事務、委員及び事務処理の手続については、中央委員会の規則で定める。
(少年保護司及び成人保護司)
第六条 保護司を分けて、少年保護司及び成人保護司とする。
2 少年保護司は、主として青少年に関する事務を担当し、成人保護司は、主として成人に関する事務を担当するものとする。
3 少年保護司及び成人保護司の別は、各保護司につき、地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会が協議して定める。
(任期)
第七条 保護司の任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。
(職務の執行区域)
第八条 保護司は、その置かれた保護区の区域内において、職務を行うものとする。但し、地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会から特に命ぜられたときは、この限りでない。
(服務)
第九条 保護司は、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び技術の修得に努め、社会奉仕の精神をもつてその職務を遂行しなければならない。
2 保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重し、その名誉保持に努めなければならない。
(監督)
第十条 保護司は、青少年に関する事務については、地方少年保護委員会の、成人に関する事務については、地方成人保護委員会の指揮監督を受ける。
(費用の支給)
第十一条 保護司には、給与を支給しない。
2 保護司は、中央委員会の規則の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。
(解嘱)
第十二条 中央委員会の委員長は、保護司が第四条各号の一に該当するに至つたときは、これを解嘱しなければならない。
2 中央委員会の委員長は、保護司が左の各号の一に該当するに至つたときは、保護司選考会の意見を聞き、これを解嘱することができる。
一 第三条第一項各号の一に掲げる条件を欠くに至つたとき。
二 職務上の義務に違反し、又はその職務を怠つたとき。
三 保護司たるにふさわしくない非行があつたとき。
3 前二項の規定による解嘱は、当該保護司に解嘱の理由が説明され、且つ、弁明の機会が与えられた後でなければ行うことができない。但し、第四条第一号又は第二号に該当するに至つたことを理由とする解嘱については、この限りでない。
(表彰)
第十三条 法務総裁は、中央委員会の意見を聞き、職務上特に功労がある保護司を表彰し、その業績を一般に周知させることに意を用いなければならない。
(施行規則)
第十四条 この法律の実施のための手続、その他その執行について必要な細則は、中央委員会の規則で定める。
附 則
1 この法律は、更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)の施行の日から施行する。
2 左に掲げる法律の規定中「司法保護委員」を「保護司」に改める。
一 犯罪者予防更生法第十九条、第三十九条、第四十一条及び第五十二条
二 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十六条及び第三十条の二
3 他の法令中「司法保護委員」とあるのは、「保護司」と読み替えるものとする。
法務総裁 殖田俊吉
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂