少年法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第98号
公布年月日: 昭和25年4月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

昭和二十三年に制定された少年法の実施から一年の経験を踏まえ、同法を合理化し実際的にするための改正である。主な改正点は、年齢を偽って家庭裁判所に送致された者への是正手続きの新設、保護処分執行時の同行状直接発行の規定、少年院収容時の少年保護鑑別所への仮収容制度、司法保護委員等への費用弁償規定、そして少年保護鑑別所と家庭裁判所の関係明確化である。特に年齢詐称問題については、十八歳以上(後に二十歳以上)や十四歳未満の者が誤って審判を受ける事例が多発しており、憲法上の二重処罰禁止との関係も検討した上で、保護処分取消し後の検察官送致を可能とする規定を設けた。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 法務委員会 第12号

審議経過

第7回国会

衆議院
(昭和25年3月6日)
参議院
(昭和25年3月7日)
(昭和25年3月13日)
(昭和25年3月14日)
(昭和25年3月16日)
衆議院
(昭和25年3月25日)
(昭和25年3月28日)
参議院
(昭和25年3月29日)
衆議院
(昭和25年5月3日)
少年法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年四月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十八号
少年法の一部を改正する法律
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
「少年観護所」を「少年保護鑑別所」に改める。
第九條中「專門的知識」の下に「特に少年保護鑑別所の鑑別の結果」を加える。
第十三條第二項中「司法保護委員」を「裁判所書記官」に改める。
第十九條に次の一項を加える。
2 家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第二十三條に次の一項を加える。
3 第十九條第二項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合に準用する。
第二十五條第一項中「前條」を「第二十四條」に改める。
第二十六條第一項中「法務庁教官、警察官、警察吏員、保護観察官、司法保護委員、兒童福祉司又は兒童委員」を「裁判所書記官、法務府事務官、法務府教官、警察官、警察吏員、保護観察官又は兒童福祉司」に改める。
第二十六條第四項を第五項とし、同項中「前項」を「前二項」に改め、同條第三項の次に次の一項を加える。
4 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発することができる。
第二十六條の二の次に次の一條を加える。
(同行状の執行の場合の仮收容)
第二十六條の三 第二十四條第一項第三号の決定を受けた少年に対して第二十六條第三項又は第四項の同行状を執行する場合において、必要があるときは、その少年を仮に最寄の少年保護鑑別所に收容することができる。
第二十七條第一項中「認めるときは、」及び同條第二項「意見を聞いて、」の下にそれぞれ「決定をもつて、」を加える。
第二十七條の次に次の一條を加える。
(保護処分の取消)
第二十七條の二 保護処分の継続中、本人に対し審判権がなかつたこと、又は十四歳に満たない少年について、都道府県知事若しくは兒童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければならない。
2 地方少年保護委員会又は教護院、養護施設若しくは少年院の長は、保護処分の継続中の者について、前項の事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは、保護処分をした家庭裁判所に、その旨の通知をしなければならない。
3 第十八條第一項及び第十九條第二項の規定は、家庭裁判所が、第一項の規定により、保護処分を取り消した場合に準用する。
4 家庭裁判所は、第一項の規定により、少年院に收容中の者の保護処分を取り消した場合において、必要があると認めるときは、決定をもつて、その者を引き続き少年院に收容することができる。但し、その期間は、三日を超えることはできない。
第三十條の次に次の一條を加える。
第三十條の二 家庭裁判所は、第十六條第一項の規定により司法保護委員又は兒童委員をして、調査及び観察の援助をさせた場合には、最高裁判所の定めるところにより、その費用の一部又は全部を支拂うことができる。
第四十五條の次に次の一條を加える。
第四十五條の二 前條第一号から第四号までの規定は、家庭裁判所が、第十九條第二項又は第二十三條第三項の規定により、事件を検察官に送致した場合に準用する。
第四十六條に次の但書を加える。
但し、第二十七條の二の規定により、保護処分を取り消した事件については、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂
少年法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年四月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十八号
少年法の一部を改正する法律
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
「少年観護所」を「少年保護鑑別所」に改める。
第九条中「専門的知識」の下に「特に少年保護鑑別所の鑑別の結果」を加える。
第十三条第二項中「司法保護委員」を「裁判所書記官」に改める。
第十九条に次の一項を加える。
2 家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第二十三条に次の一項を加える。
3 第十九条第二項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合に準用する。
第二十五条第一項中「前条」を「第二十四条」に改める。
第二十六条第一項中「法務庁教官、警察官、警察吏員、保護観察官、司法保護委員、児童福祉司又は児童委員」を「裁判所書記官、法務府事務官、法務府教官、警察官、警察吏員、保護観察官又は児童福祉司」に改める。
第二十六条第四項を第五項とし、同項中「前項」を「前二項」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発することができる。
第二十六条の二の次に次の一条を加える。
(同行状の執行の場合の仮収容)
第二十六条の三 第二十四条第一項第三号の決定を受けた少年に対して第二十六条第三項又は第四項の同行状を執行する場合において、必要があるときは、その少年を仮に最寄の少年保護鑑別所に収容することができる。
第二十七条第一項中「認めるときは、」及び同条第二項「意見を聞いて、」の下にそれぞれ「決定をもつて、」を加える。
第二十七条の次に次の一条を加える。
(保護処分の取消)
第二十七条の二 保護処分の継続中、本人に対し審判権がなかつたこと、又は十四歳に満たない少年について、都道府県知事若しくは児童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければならない。
2 地方少年保護委員会又は教護院、養護施設若しくは少年院の長は、保護処分の継続中の者について、前項の事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは、保護処分をした家庭裁判所に、その旨の通知をしなければならない。
3 第十八条第一項及び第十九条第二項の規定は、家庭裁判所が、第一項の規定により、保護処分を取り消した場合に準用する。
4 家庭裁判所は、第一項の規定により、少年院に収容中の者の保護処分を取り消した場合において、必要があると認めるときは、決定をもつて、その者を引き続き少年院に収容することができる。但し、その期間は、三日を超えることはできない。
第三十条の次に次の一条を加える。
第三十条の二 家庭裁判所は、第十六条第一項の規定により司法保護委員又は児童委員をして、調査及び観察の援助をさせた場合には、最高裁判所の定めるところにより、その費用の一部又は全部を支払うことができる。
第四十五条の次に次の一条を加える。
第四十五条の二 前条第一号から第四号までの規定は、家庭裁判所が、第十九条第二項又は第二十三条第三項の規定により、事件を検察官に送致した場合に準用する。
第四十六条に次の但書を加える。
但し、第二十七条の二の規定により、保護処分を取り消した事件については、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂