地方待遇職員令
法令番号: 勅令第二百四十八號
公布年月日: 大正9年8月11日
法令の形式: 勅令
朕地方待遇職員令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年八月十日
內閣總理大臣 原敬
農商務大臣 山本達雄
內務大臣 床次竹二郞
勅令第二百四十八號
地方待遇職員令
第一條 左ニ揭クル職員中高等官待遇又ハ判任官待遇ノ事務職員及技術職員ノ任免、待遇、俸給及休職ニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
一 道路管理職員制ニ依ル職員
二 地方土木職員制ニ依ル職員
三 地方產業職員制ニ依ル職員
第二條 高等官待遇事務職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第五條第一項ノ規定ニ依リ高等文官ト爲ルノ資格ヲ有スル者
二 大學令ニ依ル大學ノ學部ニシテ各其ノ從事スル事務ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者
三 專門學校ニシテ各其ノ從事スル事務ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シ且二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ從事スル事務ト同種ノ事務ニ從事シタル者
四 五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ從事スル事務ト同種ノ事務ニ從事シ月額五十圓以上ノ俸給ヲ受ケタル者
五 各其ノ從事スル事務ニ關スル學識經驗アル者ニシテ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
第三條 高等官待遇技術職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 大學令ニ依ル大學ノ學部ニシテ各其ノ從事スル技術ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者
二 實業專門學校、帝國大學專門部、大學令ニ依ル大學ノ學部ノ實科又ハ水產講習所ニシテ各其ノ從事スル技術ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シ且二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ從事スル技術ト同種ノ技術ニ從事シタル者
三 修業年限二年ノ高等小學校卒業程度ヲ入學資格トスル修業年限三年以上ノ實業學校又ハ實業專門學校ノ別科ニシテ各其ノ從事スル技術ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シ且五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リ各其ノ從事スル技術ト同種ノ技術ニ從事シタル者
四 各其ノ從事スル技術ニ關スル學識經驗アル者ニシテ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
第四條 判任官待遇事務職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第六條ノ規定ニ依リ判任文官ト爲ルノ資格ヲ有スル者
二 第二條第二號又ハ第五號ニ該當スル者
三 專門學校ニシテ各其ノ從事スル事務ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シタル者
四 三年以上各其ノ從事スル事務ト同種ノ公務ニ從事シタル者
五 各其ノ從事スル事務ニ關スル學識經驗アル者ニシテ普通試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
第五條 判任官待遇技術職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 第三條第一號又ハ第四號ニ該當スル者
二 實業專門學校、帝國大學專門部、大學令ニ依ル大學ノ學部ノ實科又ハ水產講習所ニシテ各其ノ從事スル技術ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シタル者
三 修業年限二年ノ高等小學校卒業程度ヲ入學資格トスル修業年限三年以上ノ實業學校又ハ實業專門學校ノ別科ニシテ各其ノ從事スル技術ニ關スル學科ヲ主タル學科トスルモノニ於テ其ノ學科ヲ修メ卒業シタル者
四 各其ノ從事スル技術ニ關スル學識經驗アル者ニシテ普通試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
第六條 前四條ノ規定ノ適用ニ付テハ帝國大學分科大學ハ之ヲ第二條第二號及第三條第一號ノ學部、帝國大學分科大學ノ實科ハ之ヲ第三條第二號及第五條第二號ノ實科、中學校卒業程度ヲ入學資格トスル修業年限三年ノ蠶業講習所ハ之ヲ第三條第二號及第五條第二號ノ實業專門學校ト看做ス
第七條 高等官待遇職員ノ任免ノ奏薦宣行ハ高等官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ノ任免ハ判任官ノ例ニ依ル
第八條 高等官待遇職員ノ待遇相當官等ハ事務職員ニ在リテハ高等官四等乃至八等トシ技術職員ニ在リテハ高等官三等乃至八等トス
判任官待遇職員ノ待遇相當等級ハ判任官一等乃至四等トス
第九條 待遇職員ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ他ノ官職ニ在ルトキハ俸給ヲ給セス又ハ別表ニ揭クル最低金額ヨリ低キ俸給ヲ給スルコトヲ得
第十條 高等官官等俸給令第四條及第五條第一項ノ規定ハ高等官待遇ノ事務職員ニ、同令第五條第一項ノ規定ハ高等官待遇ノ技術職員ニ之ヲ準用ス
他ノ官職ニ在リテ高等官五等待遇以上ノ待遇ヲ受ケタル者ヲ高等官待遇事務職員ニ任用スル場合ニ於テハ第八條第一項ニ規定スル待遇ノ範圍內ニ於テ他ノ官職ニ付受ケタル最高キ官等相當ノ待遇ヲ與フルコトヲ得
他ノ官職ニ在リタル者ニシテ高等官待遇職員タルモノニ付テハ他ノ官職ニ付受ケタル待遇ハ之ヲ本令ニ依リ受ケタル待遇ト看做ス
第十一條 待遇職員ニハ休職ヲ命スルコトヲ得
休職ノ期間ハ一年トシ其ノ期間滿了シタルトキハ退職シタルモノトス
休職者ニハ俸給ノ三分ノ一ヲ給ス
休職ヲ命セラレタル職員ニハ復職ヲ命スルコトヲ得
休職及復職ノ手續ニ付テハ高等官待遇職員ニ在リテハ高等官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ニ在リテハ判任官ノ例ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
待遇別
級俸
奏任官待遇職員年俸
判任官待遇職員月俸
特別俸
三、三〇〇圓以上
四、〇〇〇 以下
一〇〇圓以上
一二〇 以下
一級俸
三、〇〇〇
九五
二級俸
二、七〇〇
七五
三級俸
二、五〇〇
六五
四級俸
二、二〇〇
五五
五級俸
二、〇〇〇
五〇
六級俸
一、七〇〇
四五
七級俸
一、五〇〇
四〇
八級俸
一、二〇〇
三五
九級俸
一、一〇〇
三〇
十級俸
一、〇〇〇
二五
十一級俸
九〇〇
二〇
十二級俸
八〇〇
十三級俸
七〇〇
朕地方待遇職員令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年八月十日
内閣総理大臣 原敬
農商務大臣 山本達雄
内務大臣 床次竹二郎
勅令第二百四十八号
地方待遇職員令
第一条 左ニ掲クル職員中高等官待遇又ハ判任官待遇ノ事務職員及技術職員ノ任免、待遇、俸給及休職ニ関シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
一 道路管理職員制ニ依ル職員
二 地方土木職員制ニ依ル職員
三 地方産業職員制ニ依ル職員
第二条 高等官待遇事務職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第五条第一項ノ規定ニ依リ高等文官ト為ルノ資格ヲ有スル者
二 大学令ニ依ル大学ノ学部ニシテ各其ノ従事スル事務ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者
三 専門学校ニシテ各其ノ従事スル事務ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シ且二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ従事スル事務ト同種ノ事務ニ従事シタル者
四 五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ従事スル事務ト同種ノ事務ニ従事シ月額五十円以上ノ俸給ヲ受ケタル者
五 各其ノ従事スル事務ニ関スル学識経験アル者ニシテ高等試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
第三条 高等官待遇技術職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 大学令ニ依ル大学ノ学部ニシテ各其ノ従事スル技術ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者
二 実業専門学校、帝国大学専門部、大学令ニ依ル大学ノ学部ノ実科又ハ水産講習所ニシテ各其ノ従事スル技術ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シ且二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ各其ノ従事スル技術ト同種ノ技術ニ従事シタル者
三 修業年限二年ノ高等小学校卒業程度ヲ入学資格トスル修業年限三年以上ノ実業学校又ハ実業専門学校ノ別科ニシテ各其ノ従事スル技術ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シ且五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リ各其ノ従事スル技術ト同種ノ技術ニ従事シタル者
四 各其ノ従事スル技術ニ関スル学識経験アル者ニシテ高等試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
第四条 判任官待遇事務職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第六条ノ規定ニ依リ判任文官ト為ルノ資格ヲ有スル者
二 第二条第二号又ハ第五号ニ該当スル者
三 専門学校ニシテ各其ノ従事スル事務ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シタル者
四 三年以上各其ノ従事スル事務ト同種ノ公務ニ従事シタル者
五 各其ノ従事スル事務ニ関スル学識経験アル者ニシテ普通試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
第五条 判任官待遇技術職員ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 第三条第一号又ハ第四号ニ該当スル者
二 実業専門学校、帝国大学専門部、大学令ニ依ル大学ノ学部ノ実科又ハ水産講習所ニシテ各其ノ従事スル技術ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シタル者
三 修業年限二年ノ高等小学校卒業程度ヲ入学資格トスル修業年限三年以上ノ実業学校又ハ実業専門学校ノ別科ニシテ各其ノ従事スル技術ニ関スル学科ヲ主タル学科トスルモノニ於テ其ノ学科ヲ修メ卒業シタル者
四 各其ノ従事スル技術ニ関スル学識経験アル者ニシテ普通試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
第六条 前四条ノ規定ノ適用ニ付テハ帝国大学分科大学ハ之ヲ第二条第二号及第三条第一号ノ学部、帝国大学分科大学ノ実科ハ之ヲ第三条第二号及第五条第二号ノ実科、中学校卒業程度ヲ入学資格トスル修業年限三年ノ蚕業講習所ハ之ヲ第三条第二号及第五条第二号ノ実業専門学校ト看做ス
第七条 高等官待遇職員ノ任免ノ奏薦宣行ハ高等官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ノ任免ハ判任官ノ例ニ依ル
第八条 高等官待遇職員ノ待遇相当官等ハ事務職員ニ在リテハ高等官四等乃至八等トシ技術職員ニ在リテハ高等官三等乃至八等トス
判任官待遇職員ノ待遇相当等級ハ判任官一等乃至四等トス
第九条 待遇職員ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ他ノ官職ニ在ルトキハ俸給ヲ給セス又ハ別表ニ掲クル最低金額ヨリ低キ俸給ヲ給スルコトヲ得
第十条 高等官官等俸給令第四条及第五条第一項ノ規定ハ高等官待遇ノ事務職員ニ、同令第五条第一項ノ規定ハ高等官待遇ノ技術職員ニ之ヲ準用ス
他ノ官職ニ在リテ高等官五等待遇以上ノ待遇ヲ受ケタル者ヲ高等官待遇事務職員ニ任用スル場合ニ於テハ第八条第一項ニ規定スル待遇ノ範囲内ニ於テ他ノ官職ニ付受ケタル最高キ官等相当ノ待遇ヲ与フルコトヲ得
他ノ官職ニ在リタル者ニシテ高等官待遇職員タルモノニ付テハ他ノ官職ニ付受ケタル待遇ハ之ヲ本令ニ依リ受ケタル待遇ト看做ス
第十一条 待遇職員ニハ休職ヲ命スルコトヲ得
休職ノ期間ハ一年トシ其ノ期間満了シタルトキハ退職シタルモノトス
休職者ニハ俸給ノ三分ノ一ヲ給ス
休職ヲ命セラレタル職員ニハ復職ヲ命スルコトヲ得
休職及復職ノ手続ニ付テハ高等官待遇職員ニ在リテハ高等官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ニ在リテハ判任官ノ例ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
待遇別
級俸
奏任官待遇職員年俸
判任官待遇職員月俸
特別俸
三、三〇〇円以上
四、〇〇〇 以下
一〇〇円以上
一二〇 以下
一級俸
三、〇〇〇
九五
二級俸
二、七〇〇
七五
三級俸
二、五〇〇
六五
四級俸
二、二〇〇
五五
五級俸
二、〇〇〇
五〇
六級俸
一、七〇〇
四五
七級俸
一、五〇〇
四〇
八級俸
一、二〇〇
三五
九級俸
一、一〇〇
三〇
十級俸
一、〇〇〇
二五
十一級俸
九〇〇
二〇
十二級俸
八〇〇
十三級俸
七〇〇