補助金等の臨時特例等に関する法律
法令番号: 法律第129号
公布年月日: 昭和29年5月28日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

国の財政健全化と中央・地方の財政調整の観点から、国の補助金・負担金等の整理が必要となり、昭和29年度予算で措置を講じることとなった。法律に基づく補助金等について法的措置が必要となったが、関連法規が多数あるため、慎重な検討を要することから、臨時的措置として本法案を提出した。法案の主な内容は、地方公共団体の法令に基づく施策経費への補助金等のうち、職員設置費・事務費等や地方的な事務費・事業費に関わる補助金等について、地方財源への組み入れや低減を図るとともに、民間団体等への補助金等についても、停止または低減する措置を講じようとするものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第2号

審議経過

第19回国会

参議院
衆議院
参議院
衆議院
参議院
衆議院
参議院
衆議院
参議院
衆議院
参議院
衆議院
参議院
(昭和29年3月29日)
衆議院
参議院
衆議院
(昭和29年3月31日)
参議院
(昭和29年4月5日)
(昭和29年4月12日)
(昭和29年5月14日)
衆議院
(昭和29年5月18日)
(昭和29年6月15日)
補助金等の臨時特例等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年五月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十九号
補助金等の臨時特例等に関する法律
目次
第一章
文部省関係(第一条―第六条)
第二章
厚生省関係(第七条―第十条)
第三章
農林省関係(第十一条―第十四条)
第四章
通商産業省関係(第十五条・第十六条)
第五章
運輸省関係(第十七条―第二十条)
第六章
建設省関係(第二十一条)
附則
第一章 文部省関係
(公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法の施行の停止)
第一条 公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法(昭和二十三年法律第百三十四号)は、その施行を停止する。
(社会教育法に基く補助の特例)
第二条 公立の公民館に関する国の補助については、社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第三十五条及び第三十六条(公民館の補助その他の援助)の規定によらず、次項及び第三項に定めるところによる。
2 国は、公民館を設置する市町村に対し、予算の範囲内において、左に掲げる経費について、その一部を補助することができる。
一 公民館の施設に要する経費
二 公民館に備え付ける図書その他の設備に要する経費
3 前項の経費の範囲その他補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。
(図書館法に基く補助の特例)
第三条 公立図書館に関する国の補助については、図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十条及び第二十二条(公立図書館に対する補助その他の援助)の規定によらず、次項及び第三項に定めるところによる。
2 国は、図書館を設置する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、左に掲げる経費について、その一部を補助することができる。
一 図書館の施設に要する経費
二 図書館に備え付ける図書館資料その他の設備に要する経費
3 前項の経費の範囲その他補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。
(産業教育振興法に基く補助の特例)
第四条 産業教育振興法(昭和二十六年法律第二百二十八号)第二十条(教科用図書の発行に関する補助)の規定は、適用しない。
(博物館法に基く補助の特例)
第五条 公立博物館に関する国の補助については、博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二十四条及び第二十五条(補助金の交付その他の援助)の規定によらず、次項及び第三項に定めるところによる。
2 国は、博物館を設置する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、左に掲げる経費について、その一部を補助することができる。
一 博物館の施設に要する経費
二 博物館に備え付ける博物館資料その他の設備に要する経費
3 前項の経費の範囲その他補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。
(新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律の施行の停止)
第六条 新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律(昭和二十七年法律第三十二号)は、その施行を停止する。
第二章 厚生省関係
(児童福祉法に基く負担の特例)
第七条 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十二条(国庫負担)の規定中母子手帳に関する部分は、適用しない。
(性病予防法に基く負担の特例)
第八条 性病の診療を行うための都道府県又は市町村(特別区を含む。)の診療所又は代用診療所に要する費用についての国の負担率は、性病予防法(昭和二十三年法律第百六十七号)第十九条(国庫負担)の規定にかかわらず、四分の一とする。
(精神衛生法に基く補助の特例)
第九条 公立の精神衛生相談所の運営に要する経費についての国の補助率は、精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)第八条(国の補助)の規定にかかわらず、四分の一とする。
(母子福祉資金の貸付等に関する法律に基く負担の特例)
第十条 母子福祉資金の貸付等に関する法律(昭和二十七年法律第三百五十号)第十五条第五項(母子相談員に要する費用)の規定中国の負担に関する部分は、適用しない。
第三章 農林省関係
(漁業法に基く負担の特例)
第十一条 漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会に関する国の負担については、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百十八条(漁業調整委員会の費用)及び第百三十二条(内水面漁場管理委員会の費用)の規定によらず、次項に定めるところによる。
2 国は、政令で定めるところにより、漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会に要する経費を負担する。
(家畜伝染病予防法に基く負担の特例)
第十二条 家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)第六十条(費用の負担)第一号又は第六号の経費のうち、家畜伝染病(同法第六十二条の規定により指定された疾病を含む。)以外の寄生虫病の発生を予防するために要するものについての国の負担率は、同法第六十条第一号又は第六号の規定にかかわらず、二分の一とする。
(水産資源保護法に基く負担の特例)
第十三条 国は、水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第十九条(費用の負担)の規定にかかわらず、予算の範囲内において、都道府県知事が管理計画に基いて行う保護水面の管理に要する経費の一部を補助するものとする。
(漁船損害補償法の規定の読替)
第十四条 漁船損害補償法(昭和二十七年法律第二十八号)第百十二条第一項(付保義務の発生)中「指定漁船(一年を通じて六十日以上漁業に従事する総トン数百トン未満一トン以上の動力漁船であつて当該地区内に主たる根拠地を有する漁船をいう。以下同じ。)」とあるのは、「政令で指定する漁船(以下「指定漁船」という。)」と読み替えるものとする。
第四章 通商産業省関係
(自転車競技法に基く国庫納付金制度の停止)
第十五条 自転車競技法(昭和二十三年法律第二百九号)第十条第三項及び第四項(国庫納付金及びその使途)の規定は、適用しない。
(小型自動車競走法に基く国庫納付金制度の停止)
第十六条 小型自動車競走法(昭和二十五年法律第二百八号)第十七条(国庫納付金)の規定は、適用しない。
第五章 運輸省関係
(日本国有鉄道法の一部改正)
第十七条 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。
第五十七条第一項中「(第一項第三号を準用する場合を除く。)」を削る。
第五十八条を次のように改める。
第五十八条 削除
(モーターボート競走法に基く国庫納付金制度の停止)
第十八条 モーターボート競走法(昭和二十六年法律第二百四十二号)第二十条(国庫納付金)の規定は、適用しない。
(外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基く利子補給の一部停止)
第十九条 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法(昭和二十八年法律第一号)第十九条(日本開発銀行に対する利子補給契約)の規定は、適用しない。
(地方鉄道軌道整備法の規定の読替)
第二十条 地方鉄道軌道整備法(昭和二十八年法律第百六十九号)第八条第一項、第二項及び第三項(補助)中「相当する金額」とあるのは、それぞれ「相当する金額を限度として」と読み替えるものとする。
第六章 建設省関係
(公営住宅法に基く補助等の特例)
第二十一条 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第七条第一項(国の補助)に規定する第一種公営住宅の建設費用についての国の補助率は、政令で定める第一種公営住宅に係るものについては、同項の規定にかかわらず、二分の一以内とすることができる。
2 公営住宅法第二十六条第一項(建設大臣及び都道府県知事の指導監督)の規定により都道府県知事が行う指導監督に要する費用については、同法第二十七条(指導監督費の交付)の規定によらず、次項に定めるところによる。
3 国は、政令で定めるところにより、公営住宅法第二十六条第一項の規定により都道府県知事が行う指導監督に要する費用の一部を当該都道府県に交付する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、この附則に特別の定がある場合を除いて、昭和二十九年四月一日から適用する。
2 この法律は、この法律施行前に補助又は負担をすべきこととなつた場合における補助金又は負担金については、適用しない。
3 第六条の規定は、昭和二十八年度以前に新たに入学した児童に対する教科用図書の給与及びこの法律施行前に、新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律に基くものとして、昭和二十九年度に新たに入学した児童に対し行つた教科用図書の給与に関しては、適用しない。
4 漁業協同組合の地区において、昭和二十九年三月三十一日以前に漁船損害補償法(以下「補償法」という。)第百十二条第一項及び漁船損害補償法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百四十六号)附則第二項(指定漁船に関する読替)の規定による同意があつた場合には、当該地区においては、補償法第百十三条の三第一項(付保義務の消滅)各号の一に該当する場合を除き、その同意は、同年四月一日以後、補償法第百十二条第一項及びこの法律第十四条の規定によるものとして引き続き効力を有するものとする。但し、同条の政令で指定する漁船(以下「新指定漁船」という。)以外の漁船については、この法律施行の日以後は、この限りでない。
5 前項の規定は、昭和二十九年四月一日以後この法律施行前に補償法第百十二条第一項の規定による同意があつた場合について準用する。この場合において、前項本文中「同年四月一日以後」とあるのは「同意があつた時以後」と読み替えるものとする。
6 前項の規定は、この法律施行の日において当該地区内に住所を有する新指定漁船の所有者の総員のうち、同項の同意に加わり且つその同意の際に新指定漁船に該当する漁船を所有していた者の占める割合が三分の二に満たない場合には、この法律施行の日以後は、適用しない。
7 第五項の場合において補償法第百十二条第一項の規定により新指定漁船以外の漁船が普通損害保険に付されたとき(同条第二項(義務付保とみなされる場合)の規定により新指定漁船以外の漁船が普通損害保険に付されたものとみなされたときを含む。)は、当該漁船については、国庫は、この法律施行の際まだ経過していない保険期間に対応する部分の保険料に係る負担を行わない。
8 前項の場合において補償法第百十二条第一項の規定により新指定漁船以外の漁船を普通損害保険に付した者は、この法律施行の日から起算して二十日を経過するまでの期間内に、当該普通損害保険を将来に向つて解除することができる。この場合には、その者は、漁船保険組合に対し、解除の際まだ経過していない保険期間に対応する部分の保険料の払いもどしを請求することができる。
9 漁船保険組合は、前項後段の規定による請求に応じて保険料の払いもどしをすべきときは、政府に対し、その払いもどすべき保険料のうち純保険料の百分の九十に相当する金額の支払を請求することができる。
10 第十五条、第十六条又は第十八条の規定は、昭和二十九年四月一日前に実施した競輪、小型自動車競走又はモーターボート競走(以下この項において「競輪等」という。)に係る国庫納付金の納付については、適用しない。この場合において、競輪等の実施期間が同日以後にわたるときは、当該競輪等に係る国庫納付金の金額は、同年三月三十一日までの期間に対応する部分の金額とする。
11 この法律は、第十七条の規定を除くの外、昭和三十年三月三十一日限りその効力を失う。但し、昭和二十九年度分の予算に係る補助金及び負担金については、同日後もなおその効力を有する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
厚生大臣 草葉隆円
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 愛知揆一
運輸大臣 石井光次郎
建設大臣 戸塚九一郎