(この法律の目的)
第一條 この法律は、児童の国民としての自覚を深めることに資するとともにその前途を祝うために、国が毎年度新たに小学校、盲学校、ろう学校及び養護学校に入学する児童に対し教科用図書を給与することを目的とする。
(教科用図書の給与)
第二條 国は、毎年度、小学校並びに盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部(以下「小学校」と総称する。)の第一学年に入学する児童に対し、その第一学年の課程において使用する政令で定める国語及び算数の教科用図書(学年の中途において転学した児童についてはその転学後において使用するものを除く。)を給与するものとする。
2 前項の教科用図書の給与は、国立の小学校については当該小学校を附置する大学の学長、都道府県立の小学校については都道府県の教育委員会、市町村(市町村の組合を含む。以下同じ。)立の小学校については市町村の教育委員会(教育委員会の設置されていない市町村にあつては市町村長とする。以下同じ。)、私立の小学校については当該小学校を設置する学校法人の理事長(以下「管理機関」と総称する。)が、国のために、それぞれ、当該小学校の校長を通じて行うものとする。
(監督及び報告等の義務)
第三條 管理機関は、前條第二項の規定による教科用図書の給与について、それぞれ、当該校長を監督し、政令で定めるところにより、給与した教科用図書の種類、その給与を受けた児童の数その他必要な事項を文部大臣に報告するとともに給与した教科用図書の価額の総額その他必要な事項を記載した証明書を当該教科用図書の発行者に交付しなければならない。
(調査及び報告)
第四條 文部大臣は、第二條第二項の規定により管理機関が行う教科用図書の給与に関する事務について、その実施の情況を調査し、及び管理機関をして必要な報告をさせることができる。
2 文部大臣は、前項に定める場合のほか、第二條第二項の規定により市町村の教育委員会又は学校法人の理事長が行う教科用図書の給与に関する事務について、それぞれ、都道府県の教育委員会又は都道府県知事に、その実施の情況を調査させ、及び市町村の教育委員会又は学校法人の理事長から必要な報告を取らせることができる。
(契約の締結)
第五條 国は、第二條第一項の規定による教科用図書の給与のため、当該教科用図書の発行者と、発行者が教科書の発行に関する臨時措置法(昭和二十三年法律第百三十二号)第十條第二項の規定により小学校に供給した教科用図書のうち第二條第二項の規定により管理機関が当該小学校の校長を通じて児童に対し給与した教科用図書について、その対価を第六條に定める方法により支払うべき旨の契約を締結することができる。
(対価の支払)
第六條 文部大臣は、教科用図書の発行者が第三條に規定する証明書を添えて前條の契約に係る対価につき適法な支払請求書を提出したときは、その支払請求書を受理した日から三十日以内に、代金を支払わなければならない。
2 文部大臣は、前項の支払請求書を受理した後、添附された証明書に誤があると認めた場合には、すみやかに、その事由を明示して、その旨を当該発行者に通知するとともに当該証明書を交付した管理機関にこれを送付し、当該管理機関に、誤があるかどうかを調査し、誤がないときはその旨を附記し、誤があつたときはその誤を訂正した上これを返送することを命じなければならない。この場合においては、前項の規定にかかわらず、文部大臣は、返送に係る証明書に誤がないと認めた場合には、証明書が到着した日から三十日以内に、当該証明書に係る代金を支払わなければならない。
3 当該年度の国の予算(追加予算を含む。)が成立しないため前二項の規定により難い場合における代金の支払の時期及びその額については、政令で特例を設けることができる。
(損害の賠償)
第七條 教育委員会又は学校法人の理事長が第三條の規定による文部大臣に対する報告書又は発行者に交付する証明書(第六條第二項の規定により文部大臣に返送する証明書を含む。)に作為を加え又は虚偽の記載をすることによつて、不当に国に損害を与えたときは、文部大臣は、当該都道府県若しくは市町村又は当該学校法人に対してその損害を賠償させることができる。
2 文部大臣は、前項の措置をする場合においては、その理由、金額その他必要な事項を当該教育委員会又は当該学校法人の理事長に対し、文書をもつて示さなければならない。
3 教育委員会又は学校法人の理事長は、第一項の場合においては、前項の文書を受け取つた日から三十日以内に、文部大臣に対し、異議の申立をすることができる。
(都の特例)
第八條 この法律の規定の適用については、特別区の設置する小学校は、都の設置する小学校とみなし、当該小学校に関しては、都は、市町村とみなす。