(総則)
第三十七條 公社の財務及び会計に関しては、この章の定めるところによる。
(事業年度)
第三十八條 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(経理原則)
第三十九條 公社の財務及び会計に関しては、財産の増減及び異動をその発生の事実に基いて経理するものとする。
(予算の弾力性)
第四十條 公社の予算には、その事業を企業的に経営することができるように、需要の急激な増加、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を与えるものとする。
(予算の作成及び提出)
第四十一條 公社は、毎事業年度の予算を作成し、これに当該事業年度の事業計画、資金計画その他予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出しなければならない。
2 郵政大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、大蔵大臣と協議して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣は、前項の決定をしたときは、その予算を、国の予算とともに、国会に提出しなければならない。
4 前項の予算には、第一項に規定する添附書類を附するものとする。
(予算の内容)
第四十二條 公社の予算は、予算総則、収入支出予算、継続費及び債務負担行為とする。
(予算総則)
第四十三條 予算総則には、収入支出予算、継続費及び債務負担行為に関する総括的規定(予算に与えられる第四十條に規定する弾力性の範囲を定める規定を含む。)を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。
一 第四十七條第二項の規定による債務負担行為の限度額
四 長期借入金、一時借入金及び電信電話債券の限度額
(収入支出予算)
第四十四條 収入支出予算は、勘定の別に区分し、勘定ごとに、収入にあつてはその性質、支出にあつてはその目的に従つて更に区分する。
(予備費)
第四十五條 災害の復旧その他避けることができない事由による支出予算の不足を補うため、公社の予算に予備費を設けることができる。
(継続費)
第四十六條 公社は、工事又は製造であつて、その完成に数事業年度を要するものについて、特に必要があるときは、経費の総額及び年割額を定め、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経て、その議決するところに従い、数事業年度にわたつて支出することができる。
(債務負担行為)
第四十七條 公社は、法律に基くもの又は支出予算の金額若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、債務負担行為をするには、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経なければならない。
2 公社は、前項に規定するものの外、災害の復旧その他緊急の必要があるときは、毎事業年度、予算をもつて国会の議決を経た金額の範囲内において、債務負担行為をすることができる。
(予算の議決)
第四十八條 予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
第四十九條 政府は、公社の予算が成立したときは、直ちにその旨を公社に通知しなければならない。
2 公社は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を実施することができない。
3 政府は、第一項の規定により公社に通知したときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(追加予算)
第五十條 公社は、予算作成後に生じた避けることができない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出することができる。
2 第四十一條第二項から第四項までの規定は、前項の規定による追加予算に準用する。
(予算の修正)
第五十一條 公社は、前條第一項の場合を除く外、予算の成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算を修正し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出することができる。
2 第四十一條第二項から第四項までの規定は、前項の規定による予算の修正に準用する。
(暫定予算)
第五十二條 公社は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣に提出することができる。
2 第四十一條第二項から第四項までの規定は、前項の規定による暫定予算に準用する。
3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該事業年度の予算に基いてしたものとみなす。
(予算の流用)
第五十三條 公社は、予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。但し、予算の実施上適当且つ必要であるときは、第四十四條の規定による区分にかかわらず、彼此流用することができる。
2 公社は、予算で指定する経費の金額については、郵政大臣の承認を受けなければ、前項但書の規定によりこれを他に流用することができない。
(予算の繰越)
第五十四條 公社は、予算の実施上特に必要であるときは、支出予算の経費の金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかつたものを、翌事業年度に繰り越して使用することができる。但し、予算で指定する経費の金額については、あらかじめ郵政大臣の承認を受けなければならない。
2 公社は、継続費の毎事業年度の年割額に係る支出予算の経費の金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかつたものを、継続費に係る工事又は製造の完成年度まで、逓次繰り越して使用することができる。
3 公社は、前二項の規定による繰越をしたときは、事項ごとにその金額を明らかにして、郵政大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
(資金計画)
第五十五條 公社は、国会の議決を経た予算に基いて、四半期ごとに資金計画を定め、郵政大臣、大蔵大臣及び会計検査院に提出しなければならない。これを変更するときも、同様とする。
2 大蔵大臣は、前項の規定により提出された資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度を、郵政大臣を経て公社に通知しなければならない。
3 公社は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に基いて資金計画を変更しなければならない。
(収入支出等の報告)
第五十六條 公社は、政令で定めるところにより、債務負担行為により負担した債務の金額並びに収入し、及び支出した金額を、毎月、郵政大臣及び会計検査院に報告しなければならない。
(決算)
第五十七條 公社は、毎事業年度の決算を翌年度六月三十日までに完結しなければならない。
第五十八條 公社は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後一月以内に郵政大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 公社は、前項の規定により郵政大臣の承認を受けたときは、その財務諸表を公告しなければならない。
第五十九條 公社は、毎事業年度、予算の区分に従いその実施の結果を明らかにした報告書を作成し、前條第一項の規定により郵政大臣の承認を受けた当該事業年度の財務諸表とともに、郵政大臣に提出しなければならない。
2 郵政大臣は、前項の規定により報告書及び財務諸表(以下「決算書類」という。)の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 第一項に規定する報告書の形式及び内容は、省令で定める。
第六十條 内閣は、前條第二項の規定により公社の決算書類の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付しなければならない。
2 内閣は、会計検査院の検査を経た公社の決算書類を、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第六十一條 公社は、毎事業年度、経営上利益を生じた場合において、前事業年度から繰り越した損失の補てんに充て、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 公社は、毎事業年度、経営上損失を生じた場合において、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足の額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び電信電話債券)
第六十二條 公社は、郵政大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは一時借入金をし、又は電信電話債券を発行することができる。
2 前項の規定による長期借入金、一時借入金及び電信電話債券の限度額については、予算をもつて国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、郵政大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
4 前項但書の規定により借り換えた一時借入金は、一年以内に償還しなければならない。
5 第一項の規定により公社が発行する電信電話債券の債権者は、公社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
6 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
7 公社は、郵政大臣の認可を受けて、電信電話債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
8 前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九條から第三百十一條までの規定を準用する。
9 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三條の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第一項の規定による長期借入金及び電信電話債券のうち、外貨で支払われるものについて、保証契約をすることができる。
10 第一項、第二項及び第五項から前項までに定めるものの外、電信電話債券に関し必要な事項は、政令で定める。
第六十三條 公社は、国会の議決を経た長期借入金又は電信電話債券の限度額のうち、当該事業年度において借入又は発行をしなかつた金額があるときは、当該金額を限度として、支出予算の繰越額及び前事業年度から持ち越した未払金の金額の範囲内で、翌事業年度において、長期借入金をし、又は電信電話債券を発行することができる。
(政府からの貸付等)
第六十四條 政府は、公社に対し、長期若しくは一時の資金の貸付をし、又は電信電話債券の引受をすることができる。
(国庫余裕金の一時使用)
第六十五條 政府は、前條の一時の資金の貸付に代えて、当該事業年度内に限り、国庫余裕金を公社に一時使用させることができる。
2 前項の規定により一時使用させる金額については、大蔵大臣の定めるところにより、相当の利子を附するものとする。
(償還計画)
第六十六條 公社は、毎事業年度、長期借入金及び電信電話債券の償還計画をたてて、郵政大臣の承認を受けなければならない。
(現金の取扱)
第六十七條 公社は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。
2 前項本文の規定により国庫に預託する金額については、大蔵大臣の定めるところにより、相当の利子を附するものとする。
(財産の処分の制限)
第六十八條 公社が電気通信幹線路及びこれに準ずる重要な電気通信設備を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。
(会計職員)
第六十九條 総裁により契約を締結する職員として任命された者は、契約の締結に関し、総裁により現金の出納を命令する職員として任命された者は、債務者に対する支払の請求に関し、総裁により現金の出納をする職員として任命された者(以下「現金出納職員」という。)は、現金の支払及び受領に関し、総裁により物品の出納をする職員として任命された者(以下「物品出納職員」という。)は、物品の引渡及び受領に関し、それぞれ総裁を代理する。
第七十條 総裁は、現金出納職員又は物品出納職員が善良な管理者の注意を怠り、その保管に係る現金又は物品を亡失き損し、公社に損害を与えたときは、その損害の弁償を命じなければならない。
2 前項の規定により弁償を命ぜられた現金出納職員又は物品出納職員は、その責を免がれるべき理由があると信ずるときは、会計検査院の検定を求めることができる。但し、弁償を命ぜられた時から起算して五年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合において、会計検査院が現金出納職員又は物品出納職員に弁償の責がないと検定したときは、総裁は、その弁償の命令を取り消し、既納に係る弁償金を直ちに還付しなければならない。
(会計規程)
第七十一條 公社は、その会計に関し、この法律及びこれに基く政令に定めるものの外、会計規程を定めなければならない。
2 前項の会計規程は、公社の事業の企業的な経営と予算の適正な実施に役立つように定めなければならない。
3 公社は、第一項の会計規程を定めるときは、その基本事項について、郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
4 公社は、第一項の会計規程を定めたときは、直ちにこれを郵政大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
(給与準則)
第七十二條 公社は、その役員及び職員に対して支給する給与ついて給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該事業年度の予算の中で定められた給与の総額をこえるものであつてはならない。但し、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずるため特に必要があつて、郵政大臣の認可を受け、国会の議決を経た金額の範囲内で、臨時に給与を支給する場合については、この限りでない。
(会計検査)
第七十三條 公社の会計については、会計検査院が検査する。
(大蔵大臣との協議)
第七十四條 郵政大臣は、第六十二條第一項、第三項但書及び第七項の認可並びに第六十六條の承認をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。