(目的)
第一条 この法律は、他の法律による同種の金融機関相互間の合併に加えて、異種の金融機関相互間の合併及び転換の制度を設けることにより、金融機関が相互に適正な競争を行なうことができるような環境を整備して金融の効率化を図り、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者をいう。
一 銀行法(昭和二年法律第二十一号)第二条(営業の免許)の免許を受けた銀行(以下「普通銀行」という。)及び相互銀行(以下「銀行」と総称する。)
2 この法律において「転換」とは、金融機関が第四条の規定により異種の金融機関になることをいう。
3 この法律において「消滅金融機関」、「存続金融機関」又は「新設金融機関」とは、それぞれこの法律による合併により消滅する金融機関、当該合併後存続する金融機関又は当該合併により設立される金融機関をいう。
4 この法律において「総会」とは、銀行の株主総会又は信用金庫若しくは信用協同組合の通常総会若しくは臨時総会(信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十条第一項(総代会)の総代会を含む。)をいう。
(合併)
第三条 次の各号に掲げる異種の金融機関は、合併を行なうことができる。この場合において、存続金融機関又は新設金融機関は、当該各号に掲げる金融機関のいずれか(第四号の場合にあつては、銀行)とする。
(転換)
第四条 金融機関は、次に定めるところにより異種の金融機関になることができる。
一 普通銀行が相互銀行になり、又は相互銀行が普通銀行になること。
三 信用金庫がその組織を変更して銀行又は信用協同組合になること。
四 信用協同組合がその組織を変更して銀行又は信用金庫になること。
(合併に関する適用法規の原則)
第五条 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が銀行である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該銀行の合併に関する事項については、その営業の免許の基礎となつている法律及び商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の銀行又は株式会社の合併に関する規定に従い、又はその場合の例による。
2 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が信用金庫である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該信用金庫の合併に関する事項については、信用金庫法に定める合併の場合の例による。
3 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が信用協同組合である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該信用協同組合の合併に関する事項については、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に定める合併の場合の例による。
(認可)
第六条 この法律による金融機関の合併及び転換は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 大蔵大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 合併又は転換が金融の効率化に資するものであること。
二 合併又は転換により当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。
三 合併又は転換が金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。
四 当該金融機関が合併又は転換後に行なおうとする業務を的確に遂行する見込みが確実であること。
3 大蔵大臣は、前項第二号又は第三号の基準につき審査しようとする場合において、合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。
4 大蔵大臣は、第二項各号の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要な限度において、第一項の認可に条件を附することができる。
5 第一項の認可を受けた合併又は転換による新設金融機関若しくは存続金融機関(合併により異種の金融機関になつたものに限る。)又は転換後の金融機関は、その種類に応じ、銀行法第二条、相互銀行法(昭和二十六年法律第百九十九号)第三条第一項若しくは信用金庫法第四条(営業又は事業の免許)の免許又は中小企業等協同組合法第二十七条の二第一項(設立の認可)の認可を受けたものとみなす。
6 大蔵大臣は、第一項の認可をしようとする場合において、消滅金融機関又は転換前の金融機関が中小企業等協同組合法第百十一条第一項(所管行政庁)の規定により都道府県知事を行政庁とする信用協同組合であるときは、当該都道府県知事の意見をきかなければならない。
7 存続金融機関若しくは新設金融機関又は転換後の金融機関が前項の信用協同組合である場合における第一項から第四項までの規定の適用については、これらの規定中「大蔵大臣」とあるのは、「都道府県知事」とする。この場合において、当該都道府県知事は、第一項の認可に関する処分をしようとするときは、大蔵大臣の承認を受けなければならない。