(長期計画)
第十二條 建設大臣は、測量審議会にはかつて、基本測量に関する長期計画を定めなければならない。
(資料又は報告の要求)
第十三條 地理調査所の長は、関係行政機関又はその他の者に対し、基本測量に関する資料又は報告の提出を求めることができる。
(実施の公示)
第十四條 地理調査所の長は、基本測量を実施しようとするときは、あらかじめその地域、期間その他必要な事項を関係都道府縣知事に通知しなければならない。
2 地理調査所の長は、基本測量の実施を終つたときは、その旨を関係都道府縣知事に通知しなければならない。
3 都道府縣知事は、前二項の規定による通知を受けたときは、遅滯なくこれを公示しなければならない。
(土地の立入及び通知)
第十五條 基本測量に從事する地理調査所の職員は、測量を実施するために必要があるときは、國有、公有又は私有の土地に立ち入ることができる。
2 前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入る場合においては、測量に從事する者は、あらかじめその占有者に通知しなければならない。但し、占有者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
3 第一項の職員が、同項の規定により土地に立ち入る場合においては、その身分を示す証票を携帶し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(障害物の除去)
第十六條 地理調査所の長又はその命を受けた地理調査所の職員は、基本測量を実施するためにやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て、障害となる植物又はかき、さく等を伐除することができる。
第十七條 地理調査所の長又はその命を受けた地理調査所の職員は、山林原野又はこれに類する土地で基本測量を実施する場合において、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、植物又はかき、さく等の現状を著しく損傷しないときは、前條の規定にかかわらず、承諾を得ないで、これらを伐除することができる。この場合においては、遅滯なく、その旨を所有者又は占有者に通知しなければならない。
(土地等の一時使用)
第十八條 基本測量に從事する地理調査所の職員は、仮設標識を設置するために必要があるときは、あらかじめ占有者に通知して、土地、樹木、又は工作物を一時使用することができる。但し、占有者に対しあらかじめ通知することが困難であるときは、通知することを要しないものとする。
(土地の收用又は使用)
第十九條 政府は、基本測量を実施するために、必要があるときは、土地、建物、樹木若しくは工作物を收用し、又は使用することができる。
2 前項の規定による收用又は使用に関しては、土地收用法(明治三十三年法律第二十九号)を適用する。
3 第一項の規定による收用又は使用については、第十四條第三項の規定による都道府縣知事の公示があつたときは、土地收用法第十四條の規定による公告があつたものとみなす。
(損失補償)
第二十條 第十六條、第十七條又は第十八條の規定による植物、かき若しくはさく等の伐除又は土地、樹木若しくは工作物の一時使用により、損失を生じたときは、政府は、その所有者に対して、相当の價額により、その損失を補償しなければならない。
2 前項の規定により補償を受けることができる者は、その補償金額について不服があるときは、政令の定める手続により、その金額の通知を受けた日から一月以内に、土地收用審査会の裁決を求めることができる。
(永久標識及び一時標識に関する通知)
第二十一條 地理調査所の長は、永久標識又は一時標識を設置した場合においては、その種類及び所在を関係都道府縣知事に通知しなければならない。
2 都道府縣知事は、前項の規定による通知を受けたときは、関係市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)にその旨を通知しなければならない。
3 市町村長は、永久標識又は一時標識について、滅失、破損その他異状があることを発見したときは、遅滯なく、その旨を地理調査所の長に通知しなければならない。
(測量標の保全)
第二十二條 何人も、移轉、き損その他の行爲により、基本測量のため設置した測量標の効用を害してはならない。
(永久標識及び一時標識の移轉、撤去及び廃棄)
第二十三條 地理調査所の長は、永久標識又は一時標識を移轉し、撤去し、又は廃棄したときは、関係都道府縣知事及びその敷地の所有者又は占有者に通知しなければならない。
2 第二十一條第二項の規定は、前項の場合に準用する。
(測量標の移轉の請求)
第二十四條 永久標識又は一時標識のき損その他その効用を害する虞がある行爲を当該標識の敷地又はその附近でしようとする者は、理由を詳記した書面をもつて都道府縣知事を経由して(國又は都道府縣が行爲をしようとする場合においては、直接に)、地理調査所の長に当該標識の移轉を請求することができる。
2 都道府縣知事は、前項の規定による請求の書面を受け取つたときは、意見を附して送付しなければならない。
3 地理調査所の長は、第一項の規定による請求に理由があると認めるときは、当該標識を移轉し、理由がないと認めるときは、その旨を移轉を請求した者に通知しなければならない。
4 前項の規定による標識の移轉に要した費用は、移轉を請求した者が負担しなければならない。
第二十五條 基本測量に從事する地理調査所の職員は、仮設標識の移轉の請求があつた場合において、その請求に理由があると認めたときは、当該標識を移轉しなければならない。
(測量標の使用)
第二十六條 基本測量以外の測量を実施しようとする者は、地理調査所の長の承認を得て、基本測量のために設置した測量標を使用することができる。