陸地測量標条例
法令番号: 法律第二十三號
公布年月日: 明治23年3月27日
法令の形式: 法律
朕陸地測量標條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月二十六日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
陸軍大臣 伯爵 大山巖
法律第二十三號
陸地測量標條例
第一條 本條例中測量標ト稱スルモノハ三角㸃標石、水準㸃標石、覘標、標杭、測旗、假杭トス
第二條 陸地測量部ニ於テ宅地ニアラサル民有地ニ測量標ヲ設置スル爲メ敷地ヲ要スルトキハ所有者之ヲ拒ムコトヲ得ス又官有地第三種第一項第五項第六項第七項第八項ノ土地ニ在テハ所管廳ニ通知シテ之ヲ使用スルコトヲ得
官有地第二種第三種第二項第三項第四項第四種ノ土地及ヒ民有宅地內ト雖モ已ムヲ得サル場合ニ於テハ測旗假杭ニ限リ前項ニ準シテ之ヲ設置スルコトヲ得
第三條 民有地ニ標石ヲ設置スルトキハ其敷地ヲ買上クヘシ但所有者ニ於テ其土地ヲ寄附シ又ハ借地料ヲ要セス永遠貸地トナサンコトヲ望ムトキハ格別トス
第四條 民有地ニ覘標及ヒ標杭ヲ設置シタルトキハ宅地ニ在テハ相當ノ借地料ヲ給シ田畑鹽田鑛泉地ニ在テハ一箇年一坪ニ付金三錢其他ニ在テハ同金一錢ノ割ヲ以テ借地料ヲ給ス但所有者ニ於テ其土地ヲ寄附シ又ハ借地料ヲ要セス貸地トナサンコトヲ望ムトキハ格別トス
第五條 測量主任官測量ノ爲メ官有地第二種第三種第二項第三項第四項第四種ノ土地及ヒ民有宅地內若クハ牆垣籬柵內ニ立入ラントスルトキハ先ツ其所管廳又ハ所有者ニ通知スヘシ但官有地第三種第一項第五項第六項第七項第八項ノ土地竝宅地ニアラサル民有地及ヒ所有者又ハ管理人ノ所在遠隔スル田畑等ノ垣柵內ニ在テハ直ニ立入ルコトヲ得此場合ニ於テハ主任官タルノ證票ヲ携帶スヘシ
第六條 官有地第三種第一項ノ土地及ヒ宅地ニアラサル民有地內ニ於テ測量施行ノ爲メ障碍トナル竹木ハ已ムヲ得サルモノニ限リ之ヲ伐除シ又樹上ニ覘標ヲ設置スルコトヲ得此場合ニ於テハ相當ノ補償ヲナスヘシ
第七條 測量施行ノ爲メ牆垣籬柵等又ハ植物ヲ毀損シタルトキハ相當ノ補償ヲナスヘシ
第八條 第三條ノ敷地買上料第四條ノ宅地借地料及ヒ第六條第七條ノ補償金額ニ付所有者ト協議調ハサルトキハ市町村長ヲシテ之ヲ評定セシム
市町村長ノ評定ニ服セサル者ハ其評定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ一箇月以內ニ裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九條 標石ハ諸測量ノ基準㸃トシテ官民共ニ使用スルコトヲ得
第十條 標石ヲ移轉シ若クハ毀壞シタル者ハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ處シ又ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 覘標及ヒ標杭ヲ移轉シ若クハ毀壞シタル者ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條 測旗及ヒ假杭ヲ移轉シ若クハ毀壞シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十三條 過誤ニ由リ測量標ヲ鍛壞シ又ハ之ニ瓦礫其他ノ雜物ヲ擲チ獸類ヲ繫キ繩索ノ類ヲ懸ケ或ハ貼紙シ或ハ戱書シ其他惡戱ヲ爲シタル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第十四條 本條例施行ノ細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十五條 本條例中市制町村制ノ實施ニ至ラサル地方ニ在テハ市町村長ノ職務ハ區戶長ヲシテ之ヲ行ハシム
朕陸地測量標条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月二十六日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
陸軍大臣 伯爵 大山巌
法律第二十三号
陸地測量標条例
第一条 本条例中測量標ト称スルモノハ三角点標石、水準点標石、覘標、標杭、測旗、仮杭トス
第二条 陸地測量部ニ於テ宅地ニアラサル民有地ニ測量標ヲ設置スル為メ敷地ヲ要スルトキハ所有者之ヲ拒ムコトヲ得ス又官有地第三種第一項第五項第六項第七項第八項ノ土地ニ在テハ所管庁ニ通知シテ之ヲ使用スルコトヲ得
官有地第二種第三種第二項第三項第四項第四種ノ土地及ヒ民有宅地内ト雖モ已ムヲ得サル場合ニ於テハ測旗仮杭ニ限リ前項ニ準シテ之ヲ設置スルコトヲ得
第三条 民有地ニ標石ヲ設置スルトキハ其敷地ヲ買上クヘシ但所有者ニ於テ其土地ヲ寄附シ又ハ借地料ヲ要セス永遠貸地トナサンコトヲ望ムトキハ格別トス
第四条 民有地ニ覘標及ヒ標杭ヲ設置シタルトキハ宅地ニ在テハ相当ノ借地料ヲ給シ田畑塩田鉱泉地ニ在テハ一箇年一坪ニ付金三銭其他ニ在テハ同金一銭ノ割ヲ以テ借地料ヲ給ス但所有者ニ於テ其土地ヲ寄附シ又ハ借地料ヲ要セス貸地トナサンコトヲ望ムトキハ格別トス
第五条 測量主任官測量ノ為メ官有地第二種第三種第二項第三項第四項第四種ノ土地及ヒ民有宅地内若クハ牆垣籬柵内ニ立入ラントスルトキハ先ツ其所管庁又ハ所有者ニ通知スヘシ但官有地第三種第一項第五項第六項第七項第八項ノ土地並宅地ニアラサル民有地及ヒ所有者又ハ管理人ノ所在遠隔スル田畑等ノ垣柵内ニ在テハ直ニ立入ルコトヲ得此場合ニ於テハ主任官タルノ証票ヲ携帯スヘシ
第六条 官有地第三種第一項ノ土地及ヒ宅地ニアラサル民有地内ニ於テ測量施行ノ為メ障碍トナル竹木ハ已ムヲ得サルモノニ限リ之ヲ伐除シ又樹上ニ覘標ヲ設置スルコトヲ得此場合ニ於テハ相当ノ補償ヲナスヘシ
第七条 測量施行ノ為メ牆垣籬柵等又ハ植物ヲ毀損シタルトキハ相当ノ補償ヲナスヘシ
第八条 第三条ノ敷地買上料第四条ノ宅地借地料及ヒ第六条第七条ノ補償金額ニ付所有者ト協議調ハサルトキハ市町村長ヲシテ之ヲ評定セシム
市町村長ノ評定ニ服セサル者ハ其評定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ一箇月以内ニ裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九条 標石ハ諸測量ノ基準点トシテ官民共ニ使用スルコトヲ得
第十条 標石ヲ移転シ若クハ毀壊シタル者ハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ又ハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条 覘標及ヒ標杭ヲ移転シ若クハ毀壊シタル者ハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第十二条 測旗及ヒ仮杭ヲ移転シ若クハ毀壊シタル者ハ二円以上二十円以下ノ罰金ニ処ス
第十三条 過誤ニ由リ測量標ヲ鍛壊シ又ハ之ニ瓦礫其他ノ雑物ヲ擲チ獣類ヲ繋キ縄索ノ類ヲ懸ケ或ハ貼紙シ或ハ戲書シ其他悪戲ヲ為シタル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第十四条 本条例施行ノ細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十五条 本条例中市制町村制ノ実施ニ至ラサル地方ニ在テハ市町村長ノ職務ハ区戸長ヲシテ之ヲ行ハシム