統計法
法令番号: 法律第18号
公布年月日: 昭和22年3月26日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

国の基本的施策に科学的基礎を与え、世界各国からの信頼を得るため、正確な統計の整備が必要との認識から、統計制度改善に関する委員会の答申に基づき立案された。統計の真実性確保、重複排除、体系整備、制度改善を目的とし、重要な統計を指定統計として規定を整備。統計委員会による統計事務の統轄、指定統計調査結果の公表原則、国勢調査、申告義務、統計関係職員、秘密保護、経費補助等に関する規定を設けた。

参照した発言:
第92回帝国議会 貴族院 本会議 第10号

審議経過

第92回帝国議会

貴族院
(昭和22年2月28日)
(昭和22年3月6日)
衆議院
(昭和22年3月10日)
(昭和22年3月11日)
(昭和22年3月12日)
(昭和22年3月14日)
(昭和22年3月17日)
朕は、帝國議会の協賛を経た統計法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
逓信大臣 一松定吉
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衞門
法律第十八号
統計法
(法の目的)
第一條 この法律は、統計の眞実性を確保し、統計調査の重複を除き、統計の体系を整備し、及び統計制度の改善発達を図ることを目的とする。
(指定統計)
第二條 この法律において指定統計とは、政府若しくは公共團体が作成する統計又はその他のものに委託して作成する統計であつて統計委員会で指定し、その旨を公示した統計をいう。
(指定統計調査)
第三條 指定統計を作成するための調査(以下指定統計調査という。)は、この法律によつてこれを行うものとし、他の法律の規定を適用しないものとする。
この法律に定めるものの外、指定統計調査について必要な事項は、命令でこれを定める。
(國勢調査)
第四條 政府が全國民について行う人口に関する調査で、統計委員会で指定し、その旨を公示したものは、これを國勢調査という。
國勢調査は、これを五年ごとに行わなければならない。
前項の期間の中間において、統計委員会の承認を得たときは、臨時の國勢調査を行うことができる。
(申告義務)
第五條 政府は、指定統計調査のため、人又は法人に対して申告を命ずることができる。
前項の規定により申告を命ぜられた者が、営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者若しくは禁治產者である場合又は法人である場合には、その法定代理人又は理事その他法令の規定により法人を代表する者が、本人に代つて、又は本人を代表して申告をする義務を負う。
(統計委員会)
第六條 統計委員会に関する事項は、この法律に定めるものの外、勅令でこれを定める。
(指定統計調査の承認)
第七條 指定統計調査を行おうとする場合には、調査実施者は、その調査に関し、左に掲げる事項について、あらかじめ統計委員会の承認を得なければならない。但し、第十六條但書の規定による場合において、第三号の事項については、この限りでない。
一 目的、事項、範囲、期日及び方法
二 集計事項及び集計方法
三 結果の公表の方法及び期日
四 関係書類の保存期間及び保存責任者
五 経費の概算その他統計委員会が必要と認める事項
前項の承認を得た後、調査を中止し、又は承認を得た事項を変更するには、更に統計委員会の承認を得なければならない。
第一項各号に掲げる事項について、変更の必要があると認めたときは、統計委員会は、調査実施者にその変更を求めることができる。
(統計調査の届出)
第八條 指定統計調査以外の統計調査を行う場合には、調査実施者は、その調査に関し、前條第一項第一号に掲げる事項を統計委員会に届け出なければならない。
前項の規定により届け出るべき統計調査の範囲その他の事項については、命令でこれを定める。
(統計委員会の権限)
第九條 統計委員会は、必要と認めたときは、左に掲げる事項を行うことができる。
一 関係各廳又はその他のものに対し、指定統計及びその他の統計に関する資料又は報告の提出を求めること。
二 関係各廳又は公共團体に対し、指定統計調査の実施若しくは中止又はその他の統計調査の変更若しくは中止を求めること。
三 関係各廳又はその他のものの行う指定統計調査の実施の状況を監査し、改善の必要があると認めたときは、意見を内閣総理大臣に具申し、又はこれらのものに対して、その改善につき勧告すること。
(統計事務職員)
第十條 指定統計調査に関する事務に從事する官吏は、統計官に補せられた者に限る。
指定統計調査の事務に從事する公共團体の吏員又はその他の團体の職員は、その職務を行うのに適当な特別の資格を有する者でなければならない。
統計官に関し必要な事項並びに前項に掲げる者の範囲及び資格は、統計委員会の意見を聞き、命令でこれを定める。
統計委員会の承認を得たときは、第一項及び第二項に定める者以外の者をして指定統計調査の事務に從事せしめることができる。
第十一條 前條第一項の統計官又は同條第二項の公共團体の吏員は、その意に反して、その職務を免ぜられ、又は他の職務に轉ぜしめられた場合には、統計委員会に、その事情を述べることができる。但し、別に勅令で定める場合はこの限りでない。
前項の場合には、統計委員会は、その事情を審査し、これに対する意見を、統計官については、その者の本属長官に、統計官以外の者については、その者の進退に関する権限を有する者に述べることができる。
(統計調査員)
第十二條 政府は、その行う指定統計調査のために必要があるときは、統計調査員を置くことができる。
統計調査員に関する事項は、命令でこれを定める。
(実地調査)
第十三條 第十條第一項、第二項及び第四項並びに前條に掲げる者は、指定統計調査のため、必要な場所に立ち入り、あらかじめ統計委員会の承認を得た事項について、檢査をなし、調査資料の提供を求め、又は関係者に対し質問をすることができる。この場合には、その職務を示す証票を示さなければならない。
(祕密の保護)
第十四條 指定統計調査の結果知られた人、法人又はその他の團体の祕密に属する事項については、その祕密は、保護されなければならない。
第十五條 何人も、指定統計を作成するために集められた調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない。
前項の規定は、統計委員会の承認を得て使用の目的を公示したものについては、これを適用しない。
(結果の公表)
第十六條 指定統計調査の結果は、速やかにこれを公表しなければならない。但し、統計委員会の承認を得た場合には、これを公表しないことができる。
(経費の補助)
第十七條 指定統計調査のために、公共團体の支出した経費については、統計委員会の意見を聞き、予算の範囲内において、國庫が、その全部又は一部を補助する。
(罰則)
第十八條 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役若しくは禁錮又は五千円以下の罰金に処する。
一 第五條の規定により申告を命ぜられた場合申告をせず、又は虚僞の申告をした者
二 第五條の規定により申告を命ぜられた調査につき申告を妨げた者
三 第十三條の規定による檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、調査資料を提供せず、若しくは虚僞の調査資料を提供し、又は質問に対し虚僞の陳述をした者
四 指定統計調査の事務に從事する者又はその他の者で指定統計調査の結果をして眞実に反するものたらしめる行爲をした者
第十九條 統計委員会委員、統計官その他指定統計調査に関する事務に從事する者、統計調査員又はこれらの職に在つた者が、その職務執行に関して知り得た人、法人又はその他の團体の祕密に属する事項を、他に漏し、又は窃用したときは、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
前項に掲げる者が、統計委員会の承認を得た場合の外集計された結果を、第七條の規定により定められた公表期日以前に、他に漏し、又は窃用したときは、これを五千円以下の罰金に処する。
職務上前二項の事項を知り得た第一項に掲げる者以外の公務員又は公務員であつた者が、同項の行爲をしたときもまた同項の例による。
附 則
第二十條 この法律の施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十一條 資源調査法、明治三十五年法律第四十九号及び大正十一年法律第五十二号は、これを廃止する。
第二十二條 前條の法律に基く勅令又は命令は、この法律によつて発せられた勅令又は命令とみなす。
第二十三條 この法律の施行後三箇月以内に行う指定統計調査については、統計委員会が承認した場合に限り、第七條の規定による承認を得ないで、これを実施することができる。
朕は、帝国議会の協賛を経た統計法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
逓信大臣 一松定吉
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衛門
法律第十八号
統計法
(法の目的)
第一条 この法律は、統計の真実性を確保し、統計調査の重複を除き、統計の体系を整備し、及び統計制度の改善発達を図ることを目的とする。
(指定統計)
第二条 この法律において指定統計とは、政府若しくは公共団体が作成する統計又はその他のものに委託して作成する統計であつて統計委員会で指定し、その旨を公示した統計をいう。
(指定統計調査)
第三条 指定統計を作成するための調査(以下指定統計調査という。)は、この法律によつてこれを行うものとし、他の法律の規定を適用しないものとする。
この法律に定めるものの外、指定統計調査について必要な事項は、命令でこれを定める。
(国勢調査)
第四条 政府が全国民について行う人口に関する調査で、統計委員会で指定し、その旨を公示したものは、これを国勢調査という。
国勢調査は、これを五年ごとに行わなければならない。
前項の期間の中間において、統計委員会の承認を得たときは、臨時の国勢調査を行うことができる。
(申告義務)
第五条 政府は、指定統計調査のため、人又は法人に対して申告を命ずることができる。
前項の規定により申告を命ぜられた者が、営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者若しくは禁治産者である場合又は法人である場合には、その法定代理人又は理事その他法令の規定により法人を代表する者が、本人に代つて、又は本人を代表して申告をする義務を負う。
(統計委員会)
第六条 統計委員会に関する事項は、この法律に定めるものの外、勅令でこれを定める。
(指定統計調査の承認)
第七条 指定統計調査を行おうとする場合には、調査実施者は、その調査に関し、左に掲げる事項について、あらかじめ統計委員会の承認を得なければならない。但し、第十六条但書の規定による場合において、第三号の事項については、この限りでない。
一 目的、事項、範囲、期日及び方法
二 集計事項及び集計方法
三 結果の公表の方法及び期日
四 関係書類の保存期間及び保存責任者
五 経費の概算その他統計委員会が必要と認める事項
前項の承認を得た後、調査を中止し、又は承認を得た事項を変更するには、更に統計委員会の承認を得なければならない。
第一項各号に掲げる事項について、変更の必要があると認めたときは、統計委員会は、調査実施者にその変更を求めることができる。
(統計調査の届出)
第八条 指定統計調査以外の統計調査を行う場合には、調査実施者は、その調査に関し、前条第一項第一号に掲げる事項を統計委員会に届け出なければならない。
前項の規定により届け出るべき統計調査の範囲その他の事項については、命令でこれを定める。
(統計委員会の権限)
第九条 統計委員会は、必要と認めたときは、左に掲げる事項を行うことができる。
一 関係各庁又はその他のものに対し、指定統計及びその他の統計に関する資料又は報告の提出を求めること。
二 関係各庁又は公共団体に対し、指定統計調査の実施若しくは中止又はその他の統計調査の変更若しくは中止を求めること。
三 関係各庁又はその他のものの行う指定統計調査の実施の状況を監査し、改善の必要があると認めたときは、意見を内閣総理大臣に具申し、又はこれらのものに対して、その改善につき勧告すること。
(統計事務職員)
第十条 指定統計調査に関する事務に従事する官吏は、統計官に補せられた者に限る。
指定統計調査の事務に従事する公共団体の吏員又はその他の団体の職員は、その職務を行うのに適当な特別の資格を有する者でなければならない。
統計官に関し必要な事項並びに前項に掲げる者の範囲及び資格は、統計委員会の意見を聞き、命令でこれを定める。
統計委員会の承認を得たときは、第一項及び第二項に定める者以外の者をして指定統計調査の事務に従事せしめることができる。
第十一条 前条第一項の統計官又は同条第二項の公共団体の吏員は、その意に反して、その職務を免ぜられ、又は他の職務に転ぜしめられた場合には、統計委員会に、その事情を述べることができる。但し、別に勅令で定める場合はこの限りでない。
前項の場合には、統計委員会は、その事情を審査し、これに対する意見を、統計官については、その者の本属長官に、統計官以外の者については、その者の進退に関する権限を有する者に述べることができる。
(統計調査員)
第十二条 政府は、その行う指定統計調査のために必要があるときは、統計調査員を置くことができる。
統計調査員に関する事項は、命令でこれを定める。
(実地調査)
第十三条 第十条第一項、第二項及び第四項並びに前条に掲げる者は、指定統計調査のため、必要な場所に立ち入り、あらかじめ統計委員会の承認を得た事項について、検査をなし、調査資料の提供を求め、又は関係者に対し質問をすることができる。この場合には、その職務を示す証票を示さなければならない。
(秘密の保護)
第十四条 指定統計調査の結果知られた人、法人又はその他の団体の秘密に属する事項については、その秘密は、保護されなければならない。
第十五条 何人も、指定統計を作成するために集められた調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない。
前項の規定は、統計委員会の承認を得て使用の目的を公示したものについては、これを適用しない。
(結果の公表)
第十六条 指定統計調査の結果は、速やかにこれを公表しなければならない。但し、統計委員会の承認を得た場合には、これを公表しないことができる。
(経費の補助)
第十七条 指定統計調査のために、公共団体の支出した経費については、統計委員会の意見を聞き、予算の範囲内において、国庫が、その全部又は一部を補助する。
(罰則)
第十八条 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役若しくは禁錮又は五千円以下の罰金に処する。
一 第五条の規定により申告を命ぜられた場合申告をせず、又は虚偽の申告をした者
二 第五条の規定により申告を命ぜられた調査につき申告を妨げた者
三 第十三条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、調査資料を提供せず、若しくは虚偽の調査資料を提供し、又は質問に対し虚偽の陳述をした者
四 指定統計調査の事務に従事する者又はその他の者で指定統計調査の結果をして真実に反するものたらしめる行為をした者
第十九条 統計委員会委員、統計官その他指定統計調査に関する事務に従事する者、統計調査員又はこれらの職に在つた者が、その職務執行に関して知り得た人、法人又はその他の団体の秘密に属する事項を、他に漏し、又は窃用したときは、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
前項に掲げる者が、統計委員会の承認を得た場合の外集計された結果を、第七条の規定により定められた公表期日以前に、他に漏し、又は窃用したときは、これを五千円以下の罰金に処する。
職務上前二項の事項を知り得た第一項に掲げる者以外の公務員又は公務員であつた者が、同項の行為をしたときもまた同項の例による。
附 則
第二十条 この法律の施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十一条 資源調査法、明治三十五年法律第四十九号及び大正十一年法律第五十二号は、これを廃止する。
第二十二条 前条の法律に基く勅令又は命令は、この法律によつて発せられた勅令又は命令とみなす。
第二十三条 この法律の施行後三箇月以内に行う指定統計調査については、統計委員会が承認した場合に限り、第七条の規定による承認を得ないで、これを実施することができる。